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(アンソロジー)
「宝石」一九五〇―牟家(ムウチャア)殺人事件
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「宝石」一九五〇―牟家(ムウチャア)殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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1950年の『宝石』に掲載された作品のなかから、魔子鬼一「牟家殺人事件」、江戸川乱歩「「抜打座談会」を評す」、木々高太郎「信天翁通信」、宮原龍雄「首吊り道成寺」岡沢孝雄「四柱」、椿八郎「贋造犯人」、岡田鯱彦「妖奇の恋魚」を選び出して復刻したもの。 戦後の混乱が収まりつつあり、またまだ海外ミステリの翻訳が始まっていない頃で、国際ミステリが大いに盛り上がっていたのが1950年なのであるという。そのとおり、力作が並んでいる。一方で奇妙な味わいの作品も目に付き、この時代を感じさせてくれる。 魔子鬼一「牟家殺人事件」は意外なほどの本格。結末がごちゃごちゃしすぎているようにも思うが、再評価すべき一篇だろう。 乱歩と木々の「本格/変格」論も1950年という状況を伝えていて興味深い。 椿八郎「贋造犯人」は愉快な一作。 岡田鯱彦「妖奇の恋魚」は『雨月物語』の「夢応の鯉魚」を下敷きにしたものだが、ひねりがあり、また明るい結末に好感が持てる。 | ||||
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今回は長篇「牟家殺人事件」(魔子鬼一)に4短編「首吊り道成寺」(宮原龍雄)「四桂」(岡沢孝雄)「贋造犯人」(椿八郎)「妖奇の鯉魚」(岡田鯱彦)を収録しているが、前巻『悪魔黙示録』程の満腹感はなかった。でも小説のセレクトの良し悪しはあくまで私個人の嗜好の問題なので、たいした事じゃない。 気になった点は他にある。 「一九五〇=昭和25年」が探偵小説界にとってどういう年だったか、本巻でそれを象徴しているのは小説よりも2随筆「抜打座談会を評す」(江戸川乱歩)「信天翁通信」(木々高太郎)だと思うのだが、 そこで語られている「抜打座談会」そのものが未収録ではいただけない。 底本を『宝石』のみに限定してしまった為、『新青年』に掲載された「抜打座談会」は収録できなくなってしまった。これは失敗だったんじゃないかなぁ。 前巻のレビューに書いたとおり、一年単位で区切ってフォーカスするアイディアは良い。 ただ、掲載するテキストの底本元雑誌を一年一誌とはせず、また探偵雑誌からだけではなく良い作品があれば大衆雑誌からも使ったっていい。 なんだかミステリー文学資料館に蔵書があるものからしかテキストを選ぶ気がなさそうなんだよね、最近のミステリー文学資料館の本って。 山前譲・新保博久ご両人、光文社文庫の担当編集者氏、その辺なんとかなりませんか? もうひとつ。前巻でも思ったけど、クロニクルなのだから解説をもう少し熱っぽく書いてほしいな。 なぜ「その年」に注目したのか、そして「その年」の社会情勢はどうで、探偵小説界はどういう状況で、そんな中、収録された作家はどういう活動をしていたかを。 でないと、昭和25年の『宝石』にはこんなのが載ってましたよってだけのアンソロゾーに思われてしまう。 このシリーズの方針を改めて明確にするためにも次巻での巻き返しに期待する。 | ||||
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