■スポンサードリンク


何者



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
何者
何者 (新潮文庫)

何者の評価: 3.95/5点 レビュー 389件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.95pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全279件 221~240 12/14ページ
No.59:
(4pt)

自分は拓人だった

薦められて読みました。 この本に大学1年生で出会えて良かったと思います。 途中までは自分の大学の先輩を見てるような感覚でスラスラと読みましたが、中盤くらいから登場人物の言葉に心を動かされているのがわかりました。 それでもまだ大したことないものでした。 しかし、最後に主人公の拓人が説教をうけるところは読んでて辛かったです。 自分ほまさに拓人のような人間だから。 湧いてくる何かを堪えながら最後まで読みきりました。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.58:
(5pt)

自分じゃない何者かになる為に

Twitterを随所に散りばめながら話が進んで行くという なかなか斬新なストーリー。 就活という今までありそうでなかったテーマで、 5人の就活に絡んだストーリーが展開されていく。 文中にもあったように、 TwitterやFacebookなどのSNSの登場により、 リアルではない自分をSNS上に容易に作り出すことが可能になったんだと 考えさせられる1冊だった。 SNSの登場により、自分の言葉を気軽に伝えられるようになった分 本当に伝えたい部分が隠れてしまう。 もしくは、飾り付けて、伝えようとしなくなる。 自分ではない何者ではなく、表裏のない自分になる 重要性を感じさせられた。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.57:
(4pt)

勘違いした凡愚の頬を平手打ち

早稲田大学卒業 直木賞作家 優良企業勤務 まず朝井先生のきらびやかな経歴を頭に入れましょう。 それから作品に目を通しましょう。 学歴も職歴も何もかもが平均以下、なにがしか実績を残したわけでもない。 やたらと高い自己評価を裏付けるものは何もない。 インターネット掲示板やツイッターで偉そうな口を叩き続ける毎日・・・。 そんな勘違いした凡愚の頬を平手打ちするような作品です。 まだ24歳の若者がこんな嫌味ったらしい作品を書くとは驚きです。 私のような人間はぐうの音も出ません(笑)
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.56:
(4pt)

フィクション『就活』ドキュメンタリー・ストーリー

何者にはTwitterがたくさん出てくる。 僕と世代がほぼドンピシャだからリアリティがあって怖かった。 SNSと現実という表裏の色の違い。 見せたい自分と本当の自分の違い。 こうだと信じて止まない理想の自分と実際の自分の違い。 色んなギャップが作品の中にたくさんたくさん。 人のかっこわるい所がいくつも出てくる。 そういう部分がたくさん出てくるから、読んでいる自分にも刺さってくる。 たくさんのかっこわるいの中にちょっとだけかっこいいところがあったりする。 ああ、これがすごく現実らしいなって思った。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.55:
(4pt)

今後の朝井 リョウに期待したい!

自分も就職活動をしたが、感情移入できる箇所は多数ありのめり込むことが出来た。 また、現在のIT社会が抱える闇も見えたりと、読み応えのある内容。 ただ、もう少し奥深さがあると良かったかも。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.54:
(5pt)

朝井リョウという作家がこの時代にいたことは幸いだった

この作品はこの2010年代初頭でなければ書けない作品である。

就職氷河期の最中の就活という不安感。
ロスジェネ世代の苦境を目の当たりにした、後の世代の焦燥感。
誰ともつながることのできる、あるいは、つながってしまう時代の生きづらさ。

さまざまな要素が折り重なった社会の中で生きる大学生を研究者的に客観的に分析するのでなく、朝井リョウはその若者たちに寄り添った描写を重ね、彼らが「なぜそう振る舞わざるを得ないのか?」に迫っていく。

登場人物たちの生きる社会の困難さを当事者性を持って書くことのできる朝井リョウという作家がこの時代にいたことは幸いだった。

リアルとバーチャルをつないでしまうソーシャルメディアが登場してそれほどの時を経っていない時代に若者たちは手さぐりの中、どう生きていたのか。

それを示す一級の歴史資料として、本作品は記録されることだろう。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.53:
(4pt)

初めてよみました

50代のおっさんですが、子供と同世代が登場人物で、少しだけほんの少しだけ子供の気持ちに触れたような気がします。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.52:
(4pt)

未知の世界

現代の若者にとっては当たり前の就職活動やSNSだろうが、私にはどれも縁遠いものであった。 この年代の人間性はいまいち解らなくて困っていたが、本作品から一部をかいま見れた気がした。 到底共感はできないが役にたちそう。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.51:
(5pt)

過度な関心に対するカウンター これは今の朝井リョウにしか書けない

自分はこれまでエッセイも含め朝井リョウの作品に全て触れ、ネット上でのインタビューなども見かければクリックするほど朝井リョウへの関心が強い人間です。それは彼が同世代の平成生まれでありながら大学生作家として華々しくデビューし、社会人と小説家の二足のわらじをしっかりはいているという憧れと嫉妬が混ざった結果だと思います。そしてこの「何者」に対する印象はこれまでの作品とは全く異なり、かなり穿った見方になりますがこんな印象を持ちました。

自分がこの「何者」をつきつけられて思ったことは、主人公の拓人は朝井リョウが自分の作品に対する批評以上に就活前と後で「なぜ小説家として食べられるのに働くのか」「就職活動を本当にしたのか」という誹謗・中傷に対して溜まったものをぶつけたキャラなのだなぁと感じます。
そのため、拓人という人間は事あるごとに就職活動を機に自分を必死にアピールできる女性、イケメンで自分の言えないことをさらっといえる同居人、自分と同じ穴のムジナでありながら彼女がいるサブカル男子に対する嫉妬や憤懣をぶつけます。

おそらく作者はアンチ朝井リョウを拓人というキャラに込めて描き、それを後半叩かせて「僕という人間に価値基準をおかずにこの世の中で自分の居場所を見つけなよ」と諭すような構造です。クライマックスで女性二人が想いのたけをぶつけるシーンに関して作者は筆が勝手に動いたことを打ち明けましたが、それは作者の深層心理が書かせたものではないでしょうか。

私は掲示板やSNSで人格否定は行いませんが確かに拓人のように自分の感性を愛しすぎて読んだ作品をレビューしないと気が済まない一種の病にかかっているのかもしれません。この作品を読んだ後にすぐに現在発売されている「世界地図の下書き」を買ってレビューしてしまうようでは、朝井リョウへの憧れや嫉妬を捨てきれず、変わらないのかもしれません。

そういった構造を浮き彫りにさせられただけでこの「何者」は表現や情景描写抜きにして芯に迫るような作品で、良い面でも悪い面でも朝井リョウに対する想いが強すぎるほどそのカウンターを食らうようなよくできた構造の作品だと思います。

他にも作者得意の感性豊かなモノローグをうまく後半のツイッターにつなげる仕組みなどは見事だと思います。

今回の「何者」を通して私は朝井リョウという価値観から離れるべきかと考えましたが、そういうことを見透かす彼の能力に対してより感心させられたので次作の「世界地図の下書き」にも触れたいと思います。これでいいのだろうか・・・(笑)
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.50:
(5pt)

とても良かった

ギスギスといった音が聞こえる様な良書でした。 そしてそれが大学生の痴話のように軽い感じで書かれているからこそ良書だと思った。 人全体の内部を突いている。 この本を理解する為にツイッターを初めてみてよかった。 これでもうツイッターには用もないので消しますが、そこまでした甲斐がある作品で安心。 桐島の数段上をいく作品でした。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.49:
(5pt)

大学生必読の本ですね。大学進学を目指す高校生も読んで欲しい。

大学生・就活の真実ですねぇ。 これから就職活動をする学生は、読んで損はないと思う。 憂鬱な気分になってしまう人もいるだろうから ハートが弱い人は、読むべきじゃないかな。 印象としては、 部活やめるってよ の朝井リョウさんの上手な群像劇の雰囲気に、 古市憲寿さんの、真実をグイグイ攻める表現の強烈さ(皮肉っぽい感じ)が加わったような 素晴らしい作品です。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.48:
(5pt)

生々しい現状をよくとらえている…

先日友人から借りたこの本を読み終わりましたので少し書きます。(また、私は大学4年生なのでその視点からです。)
ネタバレは避けるため抽象的になります、あしからず。

まず、就職活動を始める大学生のお話になります。そして時代がSNSの流行する現代になります。
(この時点で昔に就職活動した大人の方は理解できなところがあるかも知れません)

作者自身が就職活動をなさっていたときに書いていたものと言われていますので21歳程度で書かれたという所もポイントです。

そして、本作は就活を体験した私から見ても就職活動の全貌・様々なタイプの就活生を見事に描き切っています。

当時こんな悩みをしたなぁとかツイッターの状況だったり・大学生活であったり若者ならリアルに感じられる場面が沢山あると思います。

大人の方でも現状の就職活動のことやSNS文化であったり知らなかったではいられない内容が多くあるので是非読んでください。

最後に「拓人君に幸あれ。」これは本作を読めば意味がわかります。

若者としてとても印象残るタイトルとなりましたので、今更ですが少し書かせていただきました。

失礼します。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.47:
(5pt)

自分の就活を振り返りながら読めた

非常に面白く読んだ。

読みながら、自分の就活を
振り返りながら読み進められたからだろう。

読み終えてから、先に読み終えていた妻と
本書について話し合えた。

たくとの面接の受け答えはないわーとか
コータローみたいな就活得意な奴いるーとか。

読んだ友人・知人がいたら、長く話し込めるだろう。
本書を媒介にして、話し合うことのできる
きわめて優れた本であるように感じた。

「想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める」

「ツイッターもフェイスブックもメールも何も無ければ、
 隠されていたような気持ちはしなかったかもしれない。
 ただ話すタイミングが無かったんだ、と、思えたかもしれない。
 だけど、日常的に光太郎のことを補完してしれるものが
 たくさん存在してしまうから、
 意図的に隠されていたような気持ちになってしまう。
 (略)
 ほんとうのことが、埋もれていく。
 手軽に、気軽に伝えられることが増えた分、
 ほんとうに伝えたいことを、伝えられなくなっていく」

「むりやりクールを装おうとすると、間違った方向に
 進んでしまうことになる。
 説明会で自分だけ私服だったことをアピールしてみたり、
 就活という制度そのものを批判することで、
 個性とか、夢とか、そういう大きな話への転換を試みてみたり」

といった箇所に横線を入れた。
小説で横線を入れることなんて、ほとんどないのに。

私の生活の延長線上のことを
より深く考えて、小説という形で表現しているからこそ
私は横線を入れたのだろう。

本書のような、自分の経験を思い返しながら読める本に
もっと出会えたらいいなと思った。

但し、就活自体の進め方に関しては
自分を見つめる作業以上に、企業研究しろよ
と、たくと君に言いたい。
面接のやりとり、あれはないわー。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.46:
(4pt)

同い年として

自分は作者と同い年で前から少なからず興味を持っていました

 著者の作品を読むのは初めてでしたが非常に引き込まれました

 自分も数年前に就職活動をして

 スタンスとしてはタクトのような感じでした

 自分は皆とは違う

 必死にならなくてもどこか受かるはずだという

 根拠のない自信を持ちながらも

 内心はいつも焦っていました

 弱い自分を守るのと自分を捨てて必死になって生きていくのどちらが大変なのか

 考えさせられました

 就活中、皆仲のいい振りをしながら

 友達が自分より良い所に就職できることが許せないという気持ちが書かれていてとても共感できました

 これはきっと就職だけに限らず 受験、昇進いくらでも着いて回るのでと思います

 自分は人より優れていたい

 自分は人とは違うという意識

 自分もずっとそんなものに振り回されています

 最期タクトが自分はかっこ悪いといっているのもまた非常に共感しました

 作品は非常に面白かったのですが
 
 就活自体は終わらないまま幕を閉じます
 
 メンバー全員の就活を最期まで読みたかったなあ、と思います
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.45:
(4pt)

さすが

「桐島、部活辞めるってよ」と本作
2作しか著者の作品を読んでいませんが、着実に力をつけている気がしました。
アイデアや構成や、文章力など、まだ若いのに目を見張る才能を感じます。

人間描写も緻密でリアル。
こんなやついる・・というか自分にもこんな面ある・・と共感。
SNSを用いた心理描写が、リアルな表現につながっています。

日常世界に潜む、且つ誰にでも経験のある、恐れや不安を見事に書き出しており
ハラハラどきどきして、物語に引き込まれてしまいます。

また、ついつい批評家になっている自分を反省する意味でも良書でした。
ラストは少々説教じみてもいますが、自分にもこんな面あるな〜と・・。
そういった視点で、他のレビューを見返すと、酷評もなんだかほほえましいです。
「10点、20点でもいいから、・・・・」(笑)
いやいや、そんな観察者的態度こそ反省せねば・・。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.44:
(5pt)

アンニュイな空気感、結構好きです。

子供ではなくなったけど かといって大人ほど物事割り切れず、自分を直視出来ない学生達のあやふやな雰囲気がおしゃれによく描かれていました。 ESがエントリーシートとわかるのに一呼吸必要でした。 就活も様変わりしたんですね。 ソーシャルネットワークで人との距離が近くなったわけではないようですね。 宮本輝さんの[青が散る]や井坂幸太郎さんの砂漠]にもよくにた空気があったように思いました。 全体に気だるい空気なのに読み終わると登場人物に好感が持て、ほほえましくて爽やかな気分になる一冊でした。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.43:
(5pt)

面白い!

現代のシューカツをリアルに描いてて面白かったです。 テンポが良くてあっと言う間に読みきっちゃいました。 でも、ホントに今のままでいいのかな〜って疑問は残ります(この本を読む前からですが)
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.42:
(4pt)

作者は軽く書いているように見えて、実は随所に工夫を凝らして作品に仕上げている

1989年生まれの作者は早稲田大学文化構想学部を卒業し、2013年に本作で直木賞を男性として最年少で受賞した。学生時代に「桐島、部活やめるってよ」桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)で作家デビューして2009年にすばる新人賞を受賞。作者は、就職活動を行なって就職し会社員となってから営業に勤しみながら本書を書き上げた。本作は主に主人公拓人の目を通して就職活動の情報交換で集まった大学生五人(拓人・光太郎・隆良・理香・瑞月)の話で、それに二人の(銀次・サワ先輩)の話が加わる。今時の「就活」のもようにあわせて、ルームシェアやSNS(ソーシャルネットワーク)のツイッターを絡ませているのが特徴。70頁「RICAKOBAYAKAWA @rika_0927 17分前 就活仲間のみんなで飲み会中!お互いに刺激しあっているなう。こうしてると、受験と就活は団体戦ってホントなんだと思う!twitpic...... -。理香さんはいつ、こんな写真を取って、その画面を加工して、ツイートしていたのだろう。」”なう”はnow、すなわちツイッター上で今こうしていますという意の流行言葉。 139頁「『うん。知らないの?メールアドレスからツイッターのアカウントって検索できるでしょ』」 170頁「『プロフィールを全部伏せて、誰にも正体をわからないようにして、本音を吐き出す用のアカウントを持っている人ってけっこういるんですよ。ツイッターとかで』」 260頁「『たまーに見知らぬ人がリツイートしてくれたりお気に入りに登録してくれたりするのが気持ち良くて仕方なかったんでしょ?だから他人から見られないようにロックもしなっかったんだよね』」といった記述。ほかに「ライン」や「スカイプ」といった記述もある。作者が著した今時は同世代の者でしか描けない内容で、才能がないと彼のようには書けない。「蟹工船」のような時代を切り取った小説として読みつがれるかはわからないが、現在の年配の読者や未来の読者には、注記がないと理解出来ないかもしれない。ちなみに191頁の「ウイイレ」は、コナミのビデオゲームのサッカーゲーム”Winning Eleven”のこと。
本書のメインテーマは就職活動である。1986年施行の男女雇用機会均衡法と労働者派遣法、そして小泉内閣の聖域なき構造改革の一つとして2004年の労働者派遣法の規制緩和を経て、就職について男女を問わず職に就ける環境が整ったのものの、正規雇用と非正規雇用との峻別がつけられ、非正規採用者となった者は以降、正規雇用者に移ることが現在の日本では難しく、その結果何千万円もの生涯賃金の差がついてしまう。今春大学を卒業した者のうち就職や進学もせずアルバイトや契約社員などの非正規労働者を含め、全体の4分の1が安定した雇用がない。例えば早稲田大学という一流の大学生ですら、必ずしも全員有名企業に採用されることはなく、正規採用者にすらなれないことがあるかもしれないという学生たちの危機感が「就活」という言葉を生んだ。また一部の企業は正規採用した社員を「長時間労働」という枷を嵌め、耐えられない社員を自己退職させたうえ、精鋭の社員だけの雇用を前提とする、「ブラック企業」すら世に跋扈する。16章255頁にはブラック企業の記述がある。「大日通信 エリア職 ブラック」
残念ながら、小説ということもあってか実際の就職の面接の具体的な記述は少なく、面接の際の実用性には乏しい。しかし、17章の280頁の面接官と被面接学生の台詞は、当然作者が演出し記述しているのだが、このいわゆる模範解答がすばらしい。280頁「『弊社は、ご存じのとおり、インターネット通販によって世の中のショッピングを変えよう、という思いを胸に日々仕事をしています。大学生世代への調査の意味も含めて聞かせていただきたいのですが、ここ最近、インターネット通販で買ったものは何ですか?そして、なぜそれをインターネット通販で買おうと思ったのですか?-』」 281頁「面接官が三人、学生も三人という、典型的な一次面接だ。」 同じく281頁「『私は、写真集です』-『都内の店舗を数点回っても見つからなかった写真集が、インターネット通販ならばすぐに見つかりました。出回っている数が少ないモノほど、インターネット通販を利用すればすごく便利に購入できるのだと実感しました。私はゼミで地方の行政について学んでいましたが、きっと、地方だとよりその傾向が強いと思います。私は御社で、そのような都市と地方のショッピングの格差を埋めて生きたいとも思っています』」 作者はほんとに賢く、すばらしい。また、実際に就職活動をした作者の「就活」への想いが現われた幾つかの台詞もすばらしかった。4章40頁「就活がつらいものだと言われる理由は、ふたつあるように思う。ひとつはもちろん、試験に落ち続けること。-。そしてもうひとつは、そんなにたいしたものでない自分を、たいしたもののように<面接官に>話し続けなくてはならないことだ。」 16章248頁「『-、ピーマンが食べられないように、逆上がりができないように、ただ就活が苦手な人だっているわけじゃん。それなのに、就活がうまくいかないだけで、その人が丸ごとダメみたいになる』」 また、平易な会話で話が進み、登場人物も少ないため、軽く読めてしまうが、作者は軽く書いているように見えて、実は随所に工夫を凝らして作品に仕上げている。こんな、作者の就職先は、大手映画会社、東宝?らしいが、こんご今時の会社員の様子を描写した本書のような小説をこれからも描いてほしいと思う。会社の仕事が忙しくて、描く事が出来ないという事がないように切に望む。後に「仕事」というルーティンワークに見切りをつけて、作家業に専念するようなきもしますが、とりあえず、新作が出来るまで、2011年の「もういちど生まれる」や2012年の「少女は卒業しない」を読んでみようかなと思っています。今後に期待します。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.41:
(5pt)

何者を読んで

僕自身、常に自分は「何者」なのか考えている。
専門学校に通っているいま、TwitterやLINEで毎日いろんな人と繋がろうとして、一喜一憂して、疲れている。
そんなのを繰り返していくうちに、僕は「何者」なのか分からなくなっていた。「何者」になろうとしていたのか分からなくなっていた。
僕は朝井リョウさんの作品が大好きだ。朝井リョウさんは社会人としての自分を俯瞰で見つめ、作家としての自分を俯瞰で見つめ、俯瞰で見つめている自分を更に俯瞰で見つめている作家だ。葛藤の終わりの無い作家だ。それらの集合体がこの『何者』という作品なのだ。朝井リョウさんはいつも冷たく現実を映し出す文章を書く。瑞々しい文章表現だ、とか方々から言われたりしているけど、その瑞々しい文章表現で映し出す冷たい現実はいつも僕等の心臓に突き刺さる。等身大であるがゆえの残酷さ、だ。
僕の話に戻ると、そんな毎日を繰り返していて、たまに僕はその「何者」に近づいてたんじゃないのかと思える時があった。「何者」であればよいのか、そんなのは当たり前のように漠然としているのに、近づいた一瞬だけとても幸せな気持ちになれたのだ。そう思った理由として、高校時代には周囲にたくさん馬鹿な人間が居た。始めてできた彼女に興奮して「俺、あの子と結婚するかも!」とはしゃいでいたやつがいた。僕は、そんな訳ねえだろ、と冷めていた。結果、案の定別れた。また、少し可愛い目の女子が「私、キャバクラの店長にスカウトされたからそこに勤めるかもー」と香水の匂いをまき散らしながら話していた。僕は、無理に決まっているだろ、と思っていた。結果、彼女は一般企業に勤めることになった。自分の考えた通りに物事が進むと、なんだか精神的に上位に立った気分になれた。「何者」に近づけたような気がした。

――「あんたは誰かを観察して分析することで、自分じゃない何者かになったつもりでいるんだよ。そんなの何の意味もな   いのに。」

いまになって考えると、そんなことで上位に立った気分になったって、何の意味も無かった。現実は変わらないのだから、どんなに馬鹿にされようと、今を必死に楽しんで生きた者勝ちだった。実際、彼女が出来た友人はカップルであったその期間だけでも楽しそうだった。キャバクラにスカウトされたあの女子だって、本当に嬉しそうだった。
この作品の題材である「就職」というこれからの一生が決まる規模で考えれば、僕のは規模が小さいけれど、そこに起こっていることはほとんど変わらない。
これからも自分が「何者」なのかを追い求めるのは続くだろうけど、この本を読むことによってなんだか自分が本当に成長できたような気がした。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.40:
(4pt)

若者ならでは

60代のおばさんがよんでも面白かったです。 若者ならではの作品ですが、友だちとの間に細かく気を遣っているのが描かれており、現代の若者の気持ちや考えを垣間見ることができました。 ワタシもスマホを使っていますが、入力が楽なように便利機能がいっぱいで、言葉を選んで書くより、差し出された言葉をま、いいかと使ってしまうことが多い。 それでコミュニケーションしているつもりになっているのは確かにおかしいのだと思う。 作者の視点は、なるほどと思いました。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!