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名もなき毒
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名もなき毒の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全122件 101~120 6/7ページ
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読みました。一気に。傑作というしかありません。とても悲しくなります。涙がこぼれます。確かに、昔の宮部さんとは違いますね。模倣犯以降かな、こういうテーマが多くなりました。読者の中には、物足りない人もいるかもしれません。でも、なにか、自分の日常と照らし合わせて、重く響いてくるような気がします。「自己実現」から今、人は「何か」にならなくてはいけない錯覚に陥り、人は皆苦しんでいるのですね。「ダイエット」、「スポーツ」、「受験」etc。「そのままでいい」とは思わなくなってしまい、その「何か」になれずに苦しみ、「毒」が生まれる。まさに、自分もそうです。この本を読んで心に何かが残った人は、みな、自分の毒が分かっているので、心を揺さぶられるのでしょう。 | ||||
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本屋でさんざまよった挙句購入。(ハードカバーはめったに買わないので) しかし買ってよかった。通勤中に読もうと思っていたけれどとまらず、最後は結局会社のトイレでこそこそ読みきってしまった。ごめんなさい、会社。 大筋は毒物混入無差別殺人事件が軸になるのだけれど、さまざまな毒、さまざまな事件が絡みあって話は進んでいく。各々のエピソードが興味深く、それだけでじゅうぶんおもしろかった。 けれど、それらを最後にまとめあげる手腕はさすが宮部さん!あーー、こういうことが言いたいがための話でしたか、と最後迄きて深く考えさせられた。 世の中には名もなき毒がたくさんある。それは誰もが持っている。誰もがその毒にさらされて生きている・・・。 生まれながらに不平等な世の中。北見さんの言葉を借りるなら「生きにくく、生かしづらい」か。 深く考えさせられた。ああ、人間こそが毒。 惜しむらくは、いろいろなエピソードが絡まりすぎて、各々が若干薄くなってしまっていることか。 もう少しそのへん聞かしてくれんかい!?と思う個所がちらほら。それは欲張りってもんですか? | ||||
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憎悪は心の毒。ごく普通の幸せな会社員が探偵役に巻きこまれる本シリーズ2作目は、青酸カリによる連続毒殺事件、土壌汚染、シックハウス症候群といった化学薬品の毒を横糸に、そして周囲を次々に不幸に陥れる憎悪に満ちた「普通の」キャラクターを縦糸に物語が織られて行く。モルヒネは勿論、毒は人間の脳内で生成される・・・ 一人ひとりの登場人物の描き方、過不足のない横糸・縦糸、陰惨な事件なのにどういうわけか心地よい読後感。ブレイブストーリーでの実験に物足りなさを感じる読者にとっては、名匠・宮部みゆきの最近の代表作といって差し支えない。 | ||||
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単なるミステリーに留まらない、文字通り社会の、人間の「毒」をえぐり出す作品です。 個別の事件にというよりは、事件を引き起こす背景、社会に恐ろしさを感じさせる作品。それでいて400ページ以上の長編をあっという間に読ませる力。宮部さんの他の作品も好きですが、本当にすごいと思います。是非一読を! 「死者は帰ってこない」ではなく「喜ばない」。こう言わせる心の中に、毒に抗する光を見出したいものです。 | ||||
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『誰か』は未読ですが、十分に楽しめました。 少しだけ読む予定でしたが、結局最後までページをめくる手が止まりませんでした。読後感も、すっきりした感じです。 『名もなき毒』というタイトルが気になっていたのですが、この本を読み終えて、本当に世の中のあらゆるところに毒のようなものが散らばっているのかもしれないと思いました。目に見える毒だけでなく、人の心の中や、ことばのはしばしや、いろんなところに。私たちは、自らの中にも毒を秘め、時にはそれを吐き出しながら、様々な毒に囲まれて暮らしているのではないかと。 土壌汚染の問題なども出てきて、勉強になりました。 ボリュームがあり、先が気になるので、まとまった時間がとれる時に読んでいただきたい一冊です。 | ||||
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やっぱり宮部みゆきはすごい!!人間観察のするどさ、温かさは他の作家にはない。お約束のように出てくる下町気質のおっちゃんもいいし、若者にたいする温かい視線もいい。 何不自由ない生活をおくる杉村については、前作ではあまり感情移入できなくて、あまり好きではなかったのだけど、ここで「働かせる」ためにとっておいたんだとガッテンした。 「日常生活の中に、どこにでも潜む悪意。その名もなき毒に名前をつけて、解毒剤をつくらなくてはならない」怨恨やカネ絡みといった犯罪からかけ離れてきた昨今の犯罪社会にたいして警鐘をならしている、そういう作品です。 普通と言う言葉は「空虚」と同義語だ、「自己実現」なんていうやっかいな言葉が生み出されて、皆が空虚に気づいてしまった、という、コワイ言いっぷりにもガツンときます。 | ||||
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青酸カリによる連続無差別殺人事件を縦糸に人間の奥底に潜む「毒」を描いた作品。前作『誰か』の主人公杉村が同じような狂言回しとなる。それなりに思いいれのある人物なのかもしれない。480頁にも及ぶ長い作品だが一気に読ませるのはこの作家の力量だとつくづく思う。かっての宮部作品のように社会問題やオカルトなどをテーマに深刻な悲劇を描きつつ、ラストでどこか人の心を和ませるハート・ウォーミングな作風は、『理由』『模倣犯』以降変りつつある。この作品のラストでも主人公杉村氏の今後の生き方を予感させるような記述がある。でも、どの可能性もまた悲しいものを予感させてしまう。 | ||||
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ひとつひとつの情景を思い描き読み進めていて、 つい泣いてしまった箇所がいくつかありました。 「今の自分の状態を受け入れられない」 「自分を認められない」 前向きに考えれば、向上心になるところが、 殺人の動機となっていく。 人の心には毒になる要素が多すぎると感じた作品でした。 | ||||
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夏風邪で有給とった時、病院の待合室でベッドで一気に読んでしまいました。 それには腕には重い一冊でした。 読み進めるうちに、『杉村さんて、宮部作品の常連さんなの?』という疑問が 湧きましたが、「誰か」で登場済みだったんですね。 ほかの方のレビューにもありましたが、この作品からでも馴染めます。 絡み合う事件と環境問題、人物の心の動きなど、1ページ目から惹きつける宮部さんて本当に巧いです。 | ||||
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面白いと思ったし、実際、人の心に毒は存在すると思うのですが、それぞれの犯罪の動機が今一つだなあと思いました。人の怒りってそんなふうに表面化するものなのでしょうか?多少の度合いはあるにせよ、そんなものなのかなあと思いました。物語としては面白いし、「誰か」の続編みたいだけれども、宮部みゆき大ファンとしては、「模倣犯」や「レベル7」の勢いと巧みさで書いてほしいと思いました。でも、みゆきさんのひさびさの現代ミステリー(私は、宮部みゆきは現代ミステリーを書かせたら、日本一だと思っています。)満足の出来です。 | ||||
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宮部みゆきさんの大ファンで新作が出るごとに読んでいます。 今回も期待通りの内容でした。 名もなき毒、の意味が最後にやっとわかりました。 その時点で、その強度に違いこそあれ、すべての登場人物が毒を内包しているのでは、と感じられました。無邪気に見える菜穂子さんでさえ、常識的な今多会長さえ、見方によれば毒を持っていると言えるのではないでしょうか。毒が他人に与える影響が多いか少ないかだけの違いではないでしょうか。私たち誰もが知らないうちに毒を吐き出して、他人を傷つけているかもしれない、と思ってしまいました。 | ||||
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この、もの悲しい読後感は、何なんだろうかと思う。正直で全うな生き方をする人間が不幸に見舞われることか、権力・地位・財力を得てもなお無力感を感ずることか。どうやら、ここで描かれている登場人物は、正直で素朴な主人公も、権力や財力を得ているその義父も、また犯罪を犯した人々も、皆、満たされぬ思いを持っているからかもしれぬ。その満たされる思いを、解消するすべをもっているか否かで、犯罪者になるか否かが決まる。犯罪者、異常者と、ここで描かれている良い人々との、実は差異があまりないことに、もの悲しさを感ずるような気がする。 | ||||
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文章が巧みなので情景が目に見えるように書かれていて引き込まれる。 杉村さん一家が皆とてもかわいらしく好感が持てる。それと悪い人との 対比がすばらしい。この話の怖いところはごく普通の (この言葉の意味も掘り下げられててよかった)人たちが自分の中で 毒を作り出し、人に危害を加える存在になる、というところ。 今もどこかでこんなことが起こっているからこそたくさんの人に 読んでもらいたいと思う。 土壌汚染の話がとても興味深かった。 宮部さん、杉村さんものをシリーズにしてください! | ||||
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宮部さんのミステリーはやたら久しぶりのような気がします。 宮部さんの著書独特の不可解さ物語の奥深さ・・しっかり味が出ていると思いました。 どうやら『誰か』の杉村(?)さんが登場しているようですが『誰か』を知らない自分でもぜんぜん大丈夫でした。 読んでいくにつれ『毒』が何かわかったり非常に納得できるラストなどとても面白かったです。 とても読む価値のある作品だと思いました。 | ||||
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評者の宮部みゆきへの期待が強すぎたのかもしれないが,本作は決して痺れるようなサスペンスに満ちた作品ではない。そうした点にはやや不満を感じるものの,本作の主人公である「杉村」というキャラクター設定からしても,これが「理由」や「模倣犯」等の作品とは色彩が異なるのは当然とも言える。本作はややプロットにも無理がある(さまざまな「毒」をからめすぎたきらいあり)ので,傑作と言う評価はできないが,一気に全編を読ませる筆力は何とも素晴らしい。読者の期待には十分こたえ,費用対効果は確保した一作であることは間違いない。 | ||||
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著者3年ぶりの現代ミステリーは「誰か」で登場した財閥企業で社内報の編集をする杉村三郎との再会を果たしてくれました(「誰か」に若干物足りなさを覚えた私にとっては嬉しい再会)。前作「誰か」を未読でも大丈夫です。 編集部で雇った女性アシスタントの言動に頭を抱える部員一同だったが、彼女を解雇する事で落着。しかし彼女の怒りは治まらず新たなトラブルに発展してしまう。杉村は財閥企業の会長直々に「交渉窓口」を命じられ、私立探偵の北見のもとを訪ねたが、またしてもそこで連続無差別毒殺事件の被害者家族である女子高生と出会ってしまう。 「名もなき毒」は、この時世にはありふれた毒、蔓延している毒なのかもしれない。しかし宮部さんらしい「解毒剤」も用意されているところに読者としては安堵するのではないでしょうか。 相変わらずお人好しで事件に巻き込まれてしまう杉村。今回、改めて好意を持てた今多会長。そして何より杉村一家の今後とゴンちゃん・加西くん・秋山氏の三角関係(?)が気になるところ……で、続編を期待してしまいます。 | ||||
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昔の人気ドラマ「沙粧妙子 -最後の事件-」のオープニングで 『人間というものがいる限り、この世界から悪意が消滅することはあり得ない。 そして悪意は、目に見えないものとは限らない。』 というメッセージがあったが、本書はまさにそれだと思った。 連続無差別毒殺事件の毒、満ち足りた家族の中に潜む毒、人間の内面に潜む毒、社会に対する怒りの根源となる毒etc あらゆる意味での『毒』に翻弄される群像劇は、宮部氏の『理由』や『模倣犯』と同様、 感情移入したときの喜怒哀楽と、客観的に見た滑稽さを十分に味わえて面白い。 本書は「宮部らしさ」を十分に堪能できました。 ただ、ラストの犯人との対決シーンやキャラクターが、作者の既存小説と被る部分が多々あり、 私が期待した「新境地」を味わうことはできませんでした。それが残念。 | ||||
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あれ?この人って…。 『誰か』でも事件解決へと導いている杉村さんが今回も登場しているんですね。 杉村さんの話している文章を読んでいると、こちらまで穏やかな自分になっていきます。 もちろん、『誰か』を読んでいなくても大丈夫です。 とても読みやすい作品だと思います。 登場人物の一人が非常に恐い…。 ただ、近い現実にもこんな人が出てきそうでもあるのです。 杉村さんシリーズ化されるのでしょうかね? | ||||
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私は宮部みゆきファンではありません。犯罪を書かせたら、桐野夏生のほうがずっと器量があると思っています。それはさておき、この「名もなき毒」は面白い!登場人物の善良さと、不可解さ。簡単に「この原因があるから、この人はこんな人間になった」と片付けずに、小説を展開していく筆力。すごいです!中でも、シニカルか、脳天気かどちらかの探偵像しかなかった中に、苦悩する善良な一般人探偵を作り出したところが、やはり宮部みゆきらしいと思う。 | ||||
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私は残念ながら、「誰か」をあまり楽しめなかったものです。そのため、この作品が 「誰か」の続編だと知って、少し不安を感じながら読み始めました。結果、この作品には 大満足でした。 主人公杉村三郎は日本屈指の大財閥、「今多コンツェルン」の会長の婿。そんな 人間、私には全然想像もつかない人間です。そんな人間の「日常」を、(スケールは違うけど・・・) 鮮やかに書き出してしまうのはさすがというところ。 この話では、三郎は連続毒殺事件と、元アシスタントとの間のトラブルという、二つの渦に 巻き込まれます。しかし、それ以上に印象的なのは、毒殺事件の犠牲者の孫娘。 ストーリー終盤で悲痛に叫ぶ姿は、「模倣犯」の孫娘を殺されたおじいさんと だぶって見えました。 「模倣犯」や「理由」などの壮大さはないかもしれません。だけど、私はこの作品に 大満足でした。 | ||||
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