■スポンサードリンク


(短編集)

夜の淵をひと廻り



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
夜の淵をひと廻り
夜の淵をひと廻り (角川文庫)

夜の淵をひと廻りの評価: 3.88/5点 レビュー 8件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.88pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(5pt)

これまた怪作である

この著者の本で読んだのは『宝島』『畔と銃』に続いて3冊目である。

主人公は交番勤務の警官。

新任時代から退職後までのエピソードで連作となっている。

まず、警官の人物造形が素晴らしい。

街のことをすべて知りつくしたい、という欲望にとりつかれた男だ。

刑事になりたいとも、昇進したいとも思っていない。

ただ、街のことに耽溺しているのだが、それゆえにその街で起こる不思議な事件をいくつも解決してしまう。

新任時代から退職後までだから、おそらく40年近くの時間差があり、その中には時代的におかしいところもある。

例えば、どう考えても1980年代末のはずなのに、店の看板に「携帯つながります」などと書いてあったりする。

しかし、そんなこともほとんど気にならないほどで、やっぱりこの作家はただものではない。
夜の淵をひと廻りAmazon書評・レビュー:夜の淵をひと廻りより
4041035589
No.4:
(5pt)

どんどん面白くなる。

中盤からグイグイ引き込まれて「ヤバ面白い」。
この作家さんの頭の中はいったいどうなっているんだろう。天才としか思えない。「畦と銃」「墓頭」「庵堂三兄弟の聖職」を読んでからのこの作品。「天才作家」とはこのかたのためにある言葉だと思いました。大真面目に読み進めていると途中吹き出してしまったり。文章がたまらなく魅力的です。
夜の淵をひと廻りAmazon書評・レビュー:夜の淵をひと廻りより
4041035589
No.3:
(5pt)

登場人物の個性が楽しい

好みの分かれる作者だと思いますが、どこで読んでもすぐ没入できる内容は流石。
夜の淵をひと廻りAmazon書評・レビュー:夜の淵をひと廻りより
4041035589
No.2:
(4pt)

人間(関係)や"街"の<因果律>をキーワードとして、「狂気と神秘性」の混淆の雰囲気を巧みに醸し出した怪作

職務質問と巡回連絡の鬼で、地域の全ての把握に努めている(ある意味では地域に対するストーカー)上に、異能の推理能力を持つ、シドという交番巡査を主人公とした表題作を含む9つの作品から構成される連作短編集。一応は警察小説の範疇なのだが、読んでいる間は、むしろ怪奇・幻想小説の趣きが強いという奇妙奇天烈な作品。物語はシドの一人称(手記)として語られる。

シドは自身の観察・推理能力に絶対の自信を持つ高慢な性格(表面上は穏やかで、手記の文体も軽妙)であるが、それよりも、上述した地域に対する執着心が何処から来るのか不明。扱う事件も異常(異様)なものが多い。幾つかの短編は、本格ミステリとして充分通用する物語構成を持つ(特に、"どんでん返し"が鮮やか)が、何故、作者が本格ミステリ短編集ではなく、この様な作風にしたかも不明。しかし、「狂気と神秘性」の混淆の魅力に溢れているのである。冒頭の「蟻塚」を読んだ時は、「何だ、この作品は」と訝ったものだが、次第に本作の「狂気と神秘性」の混淆の魅力に惹かれて行った。短編としての骨格は、書き下ろしの「新生」が一番雄大(シドが元SAT隊員等と未解決事件解決チームを組む)だが、後になって見ると、本短編も全体の流れに沿っている事が分かる。他に、数編のファンタジー風の短編もあるが、この良し悪しは微妙な所。

掉尾の表題作も書き下ろしなのだが、作者自身による本作の解題ともなっている。結局、人間(関係)にも"街"にも<因果律>があり、その<因果律>の悪い面をなるたけ摘み取るために努力すべきであるという至極真っ当な主張をシドという変り者の交番巡査を通して韜晦的に描いた事が窺える。面白い才能を持った作家を発見したという率直な感想を持った。
夜の淵をひと廻りAmazon書評・レビュー:夜の淵をひと廻りより
4041035589
No.1:
(5pt)

理性と狂気、現実と過去を往ったり来たり

この作家ならではの、ひとつひとつが濃厚な連作短編集。
主人公のシド巡査は、交番のお巡りさんですが、タガの外れた詮索魔で三度の飯より職務質問や巡回連絡が
大好きな偏執狂。〈超〉のつく地域密着型、、、そのぶん知識や捜査力の嗅覚がバツグンで、犯罪多発の
山王子市で起こる難事件に挑んでいく。この巡査、ヘンタイだけれど情にあふれるいい男。
中盤、クセだらけの元SATや公安捜査官、プロファイラーなどが集められる特別捜査チームものがすごく好き。
これなんて連作短編の一編としてはものすごく贅沢です。

全編を貫くダークな味わい、闇の手ざわりが濃く、しかしユーモアや口当たりのよいエンタメ性にも彩られて
いて、独特の読み心地です。こっちの生理的な好悪、感情のバランスがぐらぐら揺さぶられて、だんだんと
そのエッジの立った表現や描写が、麻薬的にクセになってきます。
物語の引き出しがこの作家はとても豊富で、「夜の淵をひと廻り」しながら犯罪・猟奇犯罪のカタログを見て
いく感覚。この設定であればいくらでも書けるんじゃないかな。続編クレ~
夜の淵をひと廻りAmazon書評・レビュー:夜の淵をひと廻りより
4041035589

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!