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カオス



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【この小説が収録されている参考書籍】
カオス
カオス (幻冬舎文庫)

カオスの評価: 3.44/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.44pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(3pt)

梁石日。人間という存在の根源的問いかけを始めたのか、この「カオス」

久しぶりに梁石日の小説を手にした。
相変わらず一気に読ませてしまう面白さがある。

だが、作品のトーンは「夜を賭けて」や「血と骨」、「タクシードライバー」時代の梁石日のものとは変わっている。
重さがない、ギトギト感がない。

このトーンの変調は、主人公・学栄の相棒に、磊落で思い込みが激しくて単純な鉄男、
そしてその愛人にニューハーフの“タマゴ”をもってきたといった小さな事ではない。

それは恐らく、姜尚中が「在日」の中で触れているように、
安全網からこぼれ落ちた日本人が「在日化」している一方で、今は昔、
在日が職にありつけ食っていけ、立派に生活が成り立つ様になっているということに起因しているのではないか。
学栄と鉄男も、その強靱な肉体と意志と知恵で堂々と歌舞伎町で生き抜き、
その結果として億単位の金を持ち投資する男たちだ。

この作品の中でわずかに二回だが、学栄が、
在日は金儲けのためだけに生きているのではないか、
人間は所詮死ぬために生きているのではないか、と自問する箇所がある。
これは人間の根源的な問いかけだ。

80歳を超えてなお執筆活動を続ける生命力あふれる梁石日は、“恩讐の彼方”になど行かず、
青年のように根源的問いを発しつつ、今この“カオス”にいるのか。
カオスAmazon書評・レビュー:カオスより
4344010361
No.2:
(3pt)

ちょっと物足りないかな

魔窟新宿歌舞伎町を舞台に腕っぷしと度胸の良さでのしあがってきた鉄と学。そこに絶世の美貌をほこるニューハーフのタマゴ(名前です)がからんで物語は進んで行く。麻薬をめぐる攻防、産めないことはわかっていてもどうしても子供が産みたくて神や仏、あらゆるものにすがりつくタマゴ。物語のテンポはいいんですが、全体的に散漫な感じは否めません。特に終盤は原稿用紙が足りなくなったのかしら(笑)と思えるくらいバタバタっと進んでしまうので残念。同じ作者の「血と骨」や「闇の子供たち」ぐらいのヘビー級を期待すると物足りなさを感じると思います。同じ歌舞伎町を舞台にし、在日や外国人達の攻防を描いたものであれば、馳星周の「不夜城」、「鎮魂歌 不夜城2」のほうが話の練り具合、登場人物の造型力も上ですし、おもしろいです。「血と骨」はとても私にとって衝撃的な作品ですので、この作者の次回作に期待したいと思います。
カオスAmazon書評・レビュー:カオスより
4344010361
No.1:
(3pt)

少し散漫

在日韓国人の学英と鉄治が裏社会でノシ歩く。そこに愛欲とだましあいがからむ。ニューハーフのタマゴというキャラクターが目立っている。
 人間のギラギラしたところがたくさん描かれているが、焦点が絞られていなくて散漫な印象を受けた。「在日」という焦点が薄れているせいかもしれない。ギラギラしたアイデンティティーが、「在日」というレッテルをつけていない分、わかりにくい。現在の「在日」の人たちがアイデンティティーを別に見出そうとしていることを反映しているのだろうか。
 カオスというタイトルから、そもそも焦点を当てた人物などいないのかもしれない。でも「血と骨」のような生々しさ・わかりやすさに欠ける。
カオスAmazon書評・レビュー:カオスより
4344010361

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