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戦闘妖精・雪風(改)



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【この小説が収録されている参考書籍】
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)

戦闘妖精・雪風(改)の評価: 4.49/5点 レビュー 82件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.49pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全71件 41~60 3/4ページ
No.31:
(4pt)

どっぷり嵌りたくなる力のある作品

地球南極点にあらわれた巨大な紡錘形の超空間。そこは異性体の地球侵略用<通路>だった。異性体に対抗するため人類は、<通路>をくぐりぬけた惑星・フェアリへ地球防衛機構の主戦力FAF(フェリ空軍)を配備する。以来、30年にわたる人類と異性体の戦闘は、拮抗状態を保っていた。FAF・特殊戦第五飛行戦隊 深井零は、戦術戦闘電子偵察機(スーパーシルフ)雪風を駆り、<特殊戦>の戦士として戦闘に参加する。<特殊戦>に下された至上命令は、最前線で情報を収集し、友軍を見殺しにしてでも帰投することであった ・・・

人類が未だ目にしたことのない異性体ジャム。惑星・フェアリでジャムとの戦闘に明け暮れる人々の物語が、非情かつ冷徹なパイロット深井零と愛機 雪風を中心につづられていく。各短編に通底しているのは、人間とは何か、人は何のために戦うのかとういう哲学的なテーマ。人間=深井零と機械=雪風の関係性の変化から、人間の存在意義にまで踏み込んでいく。短編を読み進めていくとジャムの存在や思考がおぼろげながら見えるのだけれど、人類を超えたもの同士の戦いを予見させる展開になっていく。

機械に近く非人間的という深井零のキャラクターが面白い。善でも悪でもなく、雪風とともに<特殊戦>を遂行するためだけに生きている男。「W インディアン・サマー」で、同僚の死に見せる深井零の人間的な側面には違和感ありだったけれど、所詮、人間は人間でしかないという、本作のラスト「[ スーパーフェニックス」への布石とすると、納得はできるかな。

長引く異性体との戦闘で、地球の側では戦闘自体が忘れらはじめているという設定も戦いの意義を問うのに効果的だ。強大な軍事力が自立しないよう食料の自給自足が禁止されているなど、政治的な背景を含めて世界観がきっちりと確立している。本書は、第2部『グッドラック―戦闘妖精・雪風』、第3部『アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風』と、引き続きどっぷり嵌りたくなる力のある作品になっている。
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)より
4150306923
No.30:
(5pt)

もうひとつの「ソラリス」?

このシリーズの第3作までと,スタニスワフ・レムの古典的名作「ソラリスの陽のもとに」を,偶然ごく最近になって読んだ。「雪風」第1作でジャムが送り込んでくるコピー人間のエピソードに,「ソラリス」へのオマージュが感じられたが,第3作に至っては,フェアリイ星自体がジャムであり,ジャム戦闘機はフェアリイ星に生える爪や髪の毛のようなものだと示唆されている。こうなってくると,「戦闘妖精 雪風」はスタニスワフ・レムの強い影響を受けている,というより「ソラリス」のパロディなのではないだろうか。

同じく二重星の太陽を持つ惑星ソラリスを覆う海はそれ自体が一つの巨大な知性生命体であり,二重星の重力変動の影響を排除して惑星軌道を一定に保つほどの能力がある。物語設定の時点で人類はソラリス研究に長い歴史を持ち,その文献内容が作中で語られる。さらにソラリスは「超擬態」の能力があり,人間が送り込んだ装置の模倣をしたり,人間の思考を探って,記憶の中の人物のコピーを作り出す。だがその意図は全く不明であり,その一方でソラリスは人間の存在に気づいていないのではないかという示唆もされる。

「ソラリス」の中でソラリスについて語るケルビンに,ハリーは「ソラリスのような惑星は他にもあるのかしら」と言っている。「雪風」はこの問いかけへの答えとして構想されたのではないのか。不可解だが攻撃性のない海の惑星ソラリスに対し,森の惑星フェアリイ星=ジャムは,戦闘機を作り出して攻撃を仕掛けてくる,戦闘的なソラリスなのではあるまいか。その土台に築かれた神林氏の新しい物語は,「ソラリス」とは全く異なるながらこれもまた大変に面白く刺激的である。
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)より
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No.29:
(4pt)

人が機械に近付くのか、機械が人に近付くのか

ハードSF的な感じだけど、読むと設定が「人間性とは何か」ということを語るための記号的な意味合いを持つように配されていることに気づきます。
「機械異星体 VS 人間が創り出した地球コンピュータ」と「人間 VS 機械異星体が創り出した有機機械」という構図だったり、
一般の社会(世論)から切り離されたような実験戦場のような超空間通路を越えた世界設定、
人間味を持たない主人公と特殊戦の非情な任務。
上記の設定で「人間性とは何か」を描くだけならショートショートでも十分で、ハードSFチックなタッチは要らなかったんだけど、そこをあえてハードSFタッチに描いたことで、深井中尉とブッカー少佐の迷いや成長も描かれ緊迫感のある感じに仕上がってるところに本書の魅力を感じました。
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)より
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No.28:
(5pt)

マシンと人の絆

OVA化された作品の原作となる。 主人公と愛機を取り巻く環境は、異空間を抜けた地球ではない星。 細やかな描写のなかと、退廃的な主人公の気持ち、依存ともいえる機械との関係、 一気に読めて、そして、何か気持ちにのこると思います。
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4150306923
No.27:
(5pt)

20年も前のストーリーとは思えない

神林長平の代表作にして様々なメディアミックスが行われた有名作品ですね。ちなみに僕が読んだのは改訂版ではなく原本のほう。

超高性能戦闘機「雪風」と、雪風以外は何も信じられない孤独なパイロット。敵は謎の生命体「ジャム」。今では同じようなプロットのSFがたくさんありますが、20年も前のストーリーとは思えないです。
元々冷静かつ冷徹だったパイロットが徐々に人間性を取り戻す(戦う意味に疑問を持ったり、涙を流したり)中で、雪風は多くの戦闘経験から凄まじい速さで学習し、パイロットの人間性を嘲笑うかのようにコンピュータとして自立していく。僕はそんな風に感じました。だから、読了後に残ったものはパイロットと雪風の信頼の美談では無く、哀しみでした。「グッドラック・戦闘妖精 雪風」も読めばまた感想が変わるのかも知れません。
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)より
4150306923
No.26:
(5pt)

哲学

様々な側面を併せ持つ、正しいエンターテイメントの形、正しいSFであると感じました。 戦闘機の描写も緻密でなによりこの作品は哲学的で考えさせられるものがあります。 読んだあと後悔はしないはずです。 何を考えているか分からないものと対峙するという事のの恐怖、民衆の戦争への無関心さ、無知という恐怖、など今の日本そのもののような気がしてなりません。 まさにエンターテイメント最高峰です。
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)より
4150306923
No.25:
(5pt)

現実が追いついて来つつあるような気がする

主人公・深井零は、恋人に拒絶され国家にも拒絶されてフェアリー星の戦場へ送られ、そこで絶対的な信頼を置く事の出来る「雪風」と出会い、共に戦うことになる。
しかし、人類対ジャムであったはずの戦争は、いつの間にか地球製メカ対ジャムへすり替えられ、人類の生存を賭けた闘争からも拒絶されていく・・・。

昔、初めて読んだ時には色々と考え込んでしまったものでした。
特に『人類がコンピュータネットワークを作らなければ、ジャムは地球を侵略しなかったかも知れない』という一節にはショックを受けました。
現に侵略の矢面に立って防戦している人類が、当の侵略者には認識されていないかも知れない・・・。
数多ある侵略もので、こんなに怖ろしい、そして哀しいものがあるだろうか、と。

メカニズムの描写が詳細かつ膨大で、まず最初にそれに魅了されますが、それこそがこの作品の仕掛けなのかも知れません。
メカニズムこそ、この作品(戦場)の主役であり、人間などは端役に過ぎない、という・・・・・。

しかし、現実の戦場においては、正にそうなりつつある様な気がしています。
電子的偵察手段の発達と情報処理能力の向上により、近い将来、歩兵ですら直接に敵の姿を見ないで戦うようになると言われているそうです。
いや、艦船や航空機の戦闘においては既にそうなっています。

モニターの向こうに敵を見て戦っている兵士達。
だが、それは敵の姿を正確に捉えているのか?
そもそも、本当に敵がそこに居るのか?
機械が『そこに敵は居る』と言っているだけなのでは?

現実の世界がそんな感覚で見られる、ということが、本作品の今日的な意義なのかも知れません。
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4150306923
No.24:
(5pt)

これを読まずして神林作品は語れない!

随所に散りばめられた航空用語、専門的知識があることに越したことは無いのだろうけど、戦闘機について何も知らない素人の私でさえとても充足感を覚える内容になっている。 一見機械的に語られているようで、人間の存在を何処に見つければいいのか、最初は戸惑う。 けれどこれ程内面的な…奥深くに眠る感情を揺さぶる作品は、滅多に読めないに違いない。 出来れば10代の内に(もしくは20代の内に)読んでおいて欲しい。 きっとバイブルの一つになるから。
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4150306923
No.23:
(5pt)

神林作品の最高傑作

アニメが作られたときに増刷されたので読みました。  それを機会に神林長平のことを知ったのですが、彼の作品の多くは、支離滅裂か、晩年のフィリップ・K・ディックのようにグダグダダラダラしていて、この作品と同程度の完成度は望めません。  神林はディックを模倣することで作家になったらしいのですが、メカニックに詳しいという長所を生かさず、無理にディックと同じように形而上の描写をしようとして失敗することが多い作家です。  この小説は神林の長所がもっとも生かされた傑作です。  続編もありますが、私は勧めません。
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4150306923
No.22:
(5pt)

これは傑作

これを読み終えると、2〜3日頭からもやもやが消えませんでした、読み終っても楽しめる作品です。 私は戦闘機が好きでこれを買ったのですが、ある戦闘機に何の関心も無い小説好きな友人に「読むの無いから貸して」と言われ貸したのですが、あんな専門用語だらけなのが面白いのかなと思って、「おもしろい?」ともう半分くらい読んだその友人に聞いてみると「用語がわかんなくても、戦いより人間関係が多くて面白いよ」と言ったのです。 この体験で老若男女この小説は楽しめる、と確信しました。 このレビューを見たなら絶対に買ってください、誰が読んでも買ってよかった、と思える事は私が保障します!
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4150306923
No.21:
(4pt)

雪風が進むフェアリイの空、何が出るかドキドキします!

SFものとしてとても秀逸! 友軍を犠牲にしてでも、必ず生還することを命じられた偵察機・雪風とパイロット・深井零。 その孤高の存在感にもしびれました! 南極に突如現れた「あな」と、 そこから飛来する全く異質な「敵生命体」。 敵は「あな」の向こうに広がるフェアリイからやってくる。 人の世界を守るため、人類が総力を結集して造ったフェアリイの前線基地で、 雪風と深井零は戦いながら進化して行く。 人類が異質な敵と戦うとき、 その存在を人類やコンピューターが どう認識しようとするのか描かれていて非常に面白かったです!
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4150306923
No.20:
(5pt)

SFならではの世界観

謎の異星体ジャムとの戦いを連作長編の形式で描いています。 冗長になるところを背景説明や周辺状況を思い切って切り捨てることで、無駄の無いきびきびとした印象を与えてくれます。 現在形を使った戦闘シーンも特徴的で、スピーディーな印象を読む人に与えてくれます。 物語は、単なる勝ち負けを競う形で戦争を描くというよりも、機械的だった主人公が人間らしさを得ていく姿、道具として作られたはずの機械が人間を必要としない個体と変化していく姿、ジャムは何を敵としているのかといった多元的な構造で描かれています。 その物語を通じて、人間性とは何か、人間の尊厳、存在意義について考えさせてくれます。
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4150306923
No.19:
(5pt)

違いを楽しむ

『雪風』と『雪風<改>』の微細な違いを見つけると楽しい。 特にほかの神林作品のファンならばニヤリものの改訂が多数。 さすがファン心を心得ているな、と、★×5。 …ワーカムで書いたならこの文章は、…変わらないなぁ(笑)
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4150306923
No.18:
(5pt)

片恋のうた

美しい一粒のダイヤモンドのような小説。 恋を知ること。 それを失うこと。 すべては、戦闘妖精の意のままに。 戦闘機の話と言うよりも、 人工知性体の話である。 そうして。 この話はとても日本らしい感性の話だと思う。 神はすべてものものに住まわれる。 もちろん、戦闘機にも。 自我に目覚めた人工知性体は、 淡々と日常をこなしていった。 すべては本能の命じるままに。
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4150306923
No.17:
(5pt)

これはおススメ本

南極大陸に突如出現した超空間通路によって、地球への侵攻 を開始した未知の異星体「ジャム」。 反撃を開始した人類は 、「通路」の彼方に存在する惑星フェアリイに実戦組織FAF を派遣した。 戦術戦闘電子偵察機・雪風とともに、孤独な戦 いを続ける特殊戦の深井零。 その任務は、味方を犠牲にして でも敵の情報を持ち帰るという非情かつ冷徹なものだった。 神林の頂点に立つ作品。 神林ファンなら一度は読んだことの ある作品です。 まだ読んだことのない人でも楽しめるはずで す(戦闘ものが好きな人)。 感動がしたい人はあまりおススメできません。 是非一度ごらんアレ!!!!!!!!!!!!!!
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4150306923
No.16:
(5pt)

人間を必要としない機械

これが20年前の小説だなんて。 人間、機械、ジャム。 この3者は、物語の中で、間違いなく生きています。 機械が人間を必要としないものになったとき、 世界はどうなっていくのか。 いや、そもそも、「生きている」とはどういうことか。 これが20年前の小説だなんて。 神林さん、ほんとにすごい。 続編「グッドラック」と合わせての一気読みをおすすめします。
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4150306923
No.15:
(5pt)

特殊空間で描かれる無機的な戦い

すでに古典的名作として世評の高い一冊。もっとも特徴的なのは、戦闘機フェチのために書かれたとしか思えない空中戦描写。当時はこれが書きたかったんだろうなあ。無論、そこには必然性がある。

 異次元通路によってつながれた異星上での空戦のみの特殊防衛隊。正体不明のエイリアン・ジャムとの、目的を見失いそうになる戦いの連続。無機的で厭世的な、しかし死と確実に隣り合わせな生々しい世界が描かれる。

 見えない敵と戦う状況は、敵対者が明確でない現代の我々の生き様に重なる。主人公が人間・零ではなく、戦闘機・雪風であるかのように感じられてくる。

 なぜ戦うのかわからないが、戦い続けなくてはいけない。この状態は、「戦う」を「生きる」と置き換えても成り立つ。とってきたような大義名分をそこにあてはめても仕方がない。この小説世界で、時折零やブッカーに共鳴して感じてしまう苛立ちは、そこに起因するのだろう。
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4150306923
No.14:
(5pt)

納得の名作

少々の取っ付きにくさは確かにある。

ミリタリー系の知識があまり無い人間(私もそう)には、ミッション中、特にドッグファイト(対戦闘機戦闘のこと)において、何を言ってるのか解らなくなるときがある。

HUD、ECM、ECCM、IFF、etcetc一応、簡単な解説はあるけれど、いきなりはさすがに全て飲み込みきれない、というのが本音。

しかし、そういう人間にとっても『戦闘妖精雪風』は、十分に読む価値のある作品と、自信を持っていえる。

人間の存在と意義を、全編通して緻密に、しつこいくらいに線を張って問い掛けていく。

有機=意志のあるもの、無機=意志の無いもの、として。

無機的な有機、無機によって生きる有機。

有機と見間違う無機、有機を支配する無機。

その対比は、鉄腕アトムやドラえもんなどで描かれる

『意志をもち、人間を上回る能力を持ちながらも、人間に極めて友好的な機械』

に対する、真っ向からのアンチテーゼ。

何かと機械に頼ることが常識となった現代、ぜひ一読する価値はある。
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4150306923
No.13:
(4pt)

SFの枠に収まらない作品

DVDも買って観ましたが,やはり小説が一番ですね。装丁も含め一見ただの軍事小説に見えますが,内容は中々深く読み応えがありました。お陰様で同氏の他の小説も数冊読んでしまいました(笑)。
機械や,謎の敵に仮託して,作者は異なる存在へのコミュニケーションについて問題提起しているように思いました。それはもしかしたら現代における隣国との関係にも通じるものかもしれません。
良かった点
・主人公固定による深く掘り下げた内面描写
・メカ好きなら引き込まれる戦闘機に関する詳細な記述
悪かった点
・結局結論の出ない敵との戦いの結末
・迷ったまま終わる主人公の気持ち
とはいえ面白い作品だと思います。似たような作品は他には無いように感じました。
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4150306923
No.12:
(5pt)

無題

「カッコイイ戦闘機が未知の惑星でエイリアンと戦う」と聞けば、
あるいは単に「戦争モノ」であるというだけでも、
そのテの好き者でない多くの方は、失笑まじりに
「何を幼稚な、読むものか」と思われるかもしれません。
雪風は恋の物語でもあります。
戦場で共に戦う女に惚れて、その生涯を添い遂げると誓った男。
永遠の愛を誓ったはずの二人の関係が、いつしか不確かなものに感じられるようになり、
自分は彼女に必要とされているのか、いやそのはずだと彼は悩みます。
別れを拒む男と、何も言わない女。
そして。
ミサイルという単語でもうダメって方もいらっしゃるでしょう。
専門用語を乱発されてもワケがわかりませんという方は大半でしょう。
それでも、この、最も純粋で哀しい恋の物語を、手にとって最後まで読んでみてほしい。
それにしても、私が小学校に上がる頃に書かれた作品なんだなあ。これ。
雪風に出会えた幸運に感謝。
戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)Amazon書評・レビュー:戦闘妖精・雪風(改) (ハヤカワ文庫JA)より
4150306923

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