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(短編集)

ラヴクラフト全集1



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【この小説が収録されている参考書籍】
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

ラヴクラフト全集1の評価: 4.19/5点 レビュー 73件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.19pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全73件 41~60 3/4ページ
No.33:
(3pt)

ラヴクラフト全集1を読んで

ラヴクラフトの有名なところは読んでいるため、知っているはなしもありましたが、それでも気味悪いことのは変わりはありません。 ありそうとかあったら怖いとかいう意識では無く、単純に気味悪いだけです。
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.32:
(5pt)

宇宙的恐怖

これが安く読めるからKindleを導入した。 インスマウスの影、壁の中の鼠など主人公が狂気に侵される感じがとても良い。 次
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.31:
(1pt)

ラヴクラフトの世界が妄想だと理解できました。

この全集(1)を翻訳した方は、わかりづらい日本語のオンパレードで、誤訳が多いと思います。 読んでいて意味不明な文章が繰り返されます。 途中で読み気が失せました。 それと、ラヴクラフトという作家自身が、むるいの神経質症の素質の持ち主で、 人種偏見をもった人物だったことが分かりました。 それらの性格が作品によく投影されています。 こうやって妄想の世界を描いていくのが、小説家なのですか?
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.30:
(4pt)

こどもの朝読書に

中1の子が朝読書に読みたいと言うので購入 感想を聞いたらおもしろかったと言っていました
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.29:
(4pt)

“夢に出ました”

怪奇小説傑作集の「ダンウィッチの怪」が大変おもしろかったので、こちらにも挑戦。 ホラー小説は色々読んできましたが、その内容が夢に出てきてしまったのはこれが初めて。 読んでいる間も 海の生臭さや川の泥の臭いなどが感じられて、気味悪く嫌な気分を味わい(味わえ?)ましたが 夢はもっと怖かった! 「ダンウィッチの怪」だけで止めておけばよかったと思う今日この頃です。
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.28:
(3pt)

独特の表現文は、好みがわかれるところ

ぱっと見で印象的だったのは、独特な文脈による言い回し。
時代的なものか、書き手の味か、理解しやすいかは読み手で違ってくると思うから、万人受けで現代向きかと聞かれると、うんとは即答しにくい。

ただ、その不気味さ、文脈に醸し出される異様な空気、何か不穏なものがにじり寄ってくるような雰囲気は逸品。
特に一話目に収録されている『インスマウスの影』は、当初なだらかだった丘が、徐々にこう配の荒い悪路に変じていくような起伏があり、ハラハラドキドキする緊迫のシーン、予測不能な展開によって最後まで飽きさせない。
読み終えた時には鳥肌を立たせながら唖然とし、最後のページを何度も読み直してしまう、そんな意外性に満ちている。

難点としては、文字が小さくぎゅうぎゅうに並べられているので読みにくい、また目が疲れやすい事だろうか。
異次元的で非現実な世界観なので、現実主義(懐疑論者)には理解できないかも知れない。
また、文章が細かく区切られ、長文な説明や言い回しが多い事から、じっくり文と向き合う根気がない人には向かないかも。

想像力によって形を成す、恐怖と奇怪さと面妖さで溢れるこの作品は、サイレントヒルなどの精神世界を好む者にはお勧めではないかと思う。
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.27:
(4pt)

怪奇小説の原点ですね

一つの文章が非常に長く、強制的に文字から目を離せない状態が作為的に作られて、その特異な語り口から幻想的で背中がむずむずするような恐怖の世界に引き込まれて行く…。 ラヴァクラフト神話を崇拝する人の気持ちが判りますね。
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No.26:
(5pt)

勿論、紙でも持っている

紙の本でも全巻持っている。 何度も何度も読み返した。 久々に改めてKindleで読むことにした。 陰鬱で愉しい時間が待っている。 自明のことだ。 是非とも全巻出版して頂きたい。
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No.25:
(5pt)

この巻は名訳

ラヴクラフト全集は訳者が何人かいるわけですが、この第1集は特に名訳で ラヴクラフトの実にネチネチとした情景描写が巧みに翻訳されていてページを めくるたびにゾクゾクさせられます。 怪奇小説としての面白さだけでなく、この見えそうで見えないような もどかしい書き口は一度楽しんでみる価値はあると思いますよ。 この1集は有名な「インスマウスの影」が収録されているわけですが、特に注目して 頂きたいのは「闇に囁くもの」。 この話は素晴らしい。 古めかしい通信手段と 撮影・録音技術がここまで怪奇さに彩りを添えるのかと感心します。
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No.24:
(4pt)

面白いが読みにくい

話の筋はかなり面白いのですが、文章が日本語としてとても読みにくい。  一文が長くて、修飾が多いからなのか、会話文などで文法的に?なところがあるからなのか、読みにくい。 しかし、今風の簡潔明瞭な文章にしてしまうと、物語の異質感、ドロドロ、くどくど感がなくなって魅力も減るような気もする。
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No.23:
(5pt)

難しいけど…

読んでてめんどくさくなるけど、内容は面白いよ-。 学校図書館にも入ってるよ-
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No.22:
(4pt)

これがラヴクラフト作品なのか!

「クトゥルー神話」として語られるラヴクラフト作品ですが、この作品では暗黒の邪神が人智を超えた怪物たちがといった存在についてはあくまで仄めかされたり垣間見せられる程度です。基本的なプロットとしては、「現代科学を信じる、常識的な、ごく普通の人物」である主人公が、科学的には説明のできない奇怪な経験をする、というものです。そのため、個人的にはあくまで主人公の心理描写を主体としたホラー/サスペンス作品であると感じました。「怪獣(邪神)たちがドーン!」のようなものを想像していると、肩透かしをくらうと思います。その点では、同じくホラー作品の『リング』と同じように感じられました。暗鬱としていて、じとじと、ざわざわ、といった言葉で表現できるような世界観が好みであれば楽しめると思います。
 加えて、20世紀はじめの、まだまだ19世紀のゴシックな香りの残る世界観に、人類史以前の物語や、未来的・SF的テクノロジーの要素も絡めて、奇々怪々な世界観となっています。ホラー要素としては、真菌類など描写もあり、視覚的・生理的嫌悪感を刺激するグロテスクな描写が多いと思いました。なかなか言葉だけでは想像しかねるところもありますが、現在ではYouTube等でそのような刺激的な動画を見ることもできますので、見てみると想像の手助けになるかもしれません。私は思わず寒気がしてしまいました。
 ただ、文章はなかなか読みにくく、一番最初の「インスマウスの影」の最初の十数ページで一旦寝かせてしまったのですが、改めて読み始めていると、途中からの急展開に思わず最後まで一気に読めてしまいました。
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.21:
(3pt)

コスモロジカルな恐怖

ラヴクラフトの、民俗学的な或いはコスモロジカルな恐怖を湛えた怪奇小説集。

幾つかの小説中に、"神を畏れぬ者"という表現が出てくる。人間は古来より"神"という概念を留め金にして、自分たちの周囲に人間的で heimlich な宇宙観(コスモロジー)を構築して、安定的な世界解釈を行ってきたのだろう。ここに収められているのは、そんな馴染みあるコスモスの外部に逸脱してしまったような unheimlich で超宇宙的な趣のある作品たちだ。

「インスマウスの影」「壁のなかの鼠」外なる悪夢が、実は自分の内に巣食っていた、そしていつの間にかその"影"が物語を抜け出て読者にも憑依していきかねない、そんな展開が見事だった。うらさびれた街に嘗て起こった怪奇事件という出だしの、不穏な空気がいい。

「死体安置所にて」ブラックな笑いを生む掌編。見事な小噺。

「闇に囁くもの」SF的な趣もある恐怖小説。超科学的な宇宙間移動法が、余りに強烈だ。
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.20:
(5pt)

全集としての価値について

作品のレビューは大勢の方がされているので、この創元文庫版全集がどの程度、ラヴクラフト作品をカバーしているか、
改めて書いておきます。米国の現状と比較してみます。

小説:老舗のArkham House社から八〇年代に出た小説集は5巻ありましたが、現在3巻は絶版。
 Complete Worksいわゆる「全小説集」で現在刊行中のものはBarns&Nobleのものだけですが、これでも
 「完全ではない」「誤字が多い」「いや完全でなくても価値がある」と評価まちまちです。
 創元文庫版はこれに比べとまったく引けをとっていません。ただ、作品の順序が発表順ではなく、編者の
 意図、都合で収められています。それもそのはずで、第1巻と2巻までは「傑作集」として発行したものを
 急遽第3巻から「全集」に切り替えるという荒業をした背景が祟っています。訳者の大瀧氏もその事情を
 第3巻に書いています。

詩:ラヴクラフトの詩作は重要な作品ですが、米国で数年前にNight Shade Booksが全作品を一巻にまとめて
 出しましたが、今は絶版で中古でもかなり値が高くなっています。邦訳はまだまだというところで、
 創元文庫版は詩作はカバーしていません。

エッセイ:これも欲しいものですが、米国ではペーパーバック5巻で入手可能。邦訳なし。至高のエッセイ
 「文学における超自然の恐怖」はBarns & Noble版も所収。2009年に出た大瀧氏の邦訳ははや絶版か。

書簡:10万通あると言われるラヴクラフトの手紙は小説よりも面白いという評価もあります。
 Arkham Houseが七十年代に出した書簡集5巻は現在高価な中古でしか入手できません。ただ一部の友人との
 文通は入手可能。創元文庫版は第7巻に一部掲載しています。

以上の米国の実情との比較から見れば、創元文庫版の全集は「小説全集として及第」でしょう。
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No.19:
(4pt)

「ラヴクラフト」を読みたいのであればコレ

ラヴクラフト全集を全て読むのは少々苦痛を伴います。 正直な感想を言わせて頂ければ、無理やり終わらせた感のある話や、盛り上がってきたかな?と思うと唐突に暗転して発狂して終りという展開の話が相当数存在します。 「良質な物語」は個人的な観点から見れば少ないです。 それでもこの巻に収められている「インスマウスの影」は絶対に読むべきです。
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No.18:
(5pt)

怪奇小説界の真の帝王

40年前に知ってから、何度も読み返している2人の作家の内の1人です(実際は2人じゃないけど)。もう一人は夢野久作。繰り返し読むのに耐えうる作家です(少なくとも私には)。中には陳腐な作品もあったのですが、今ではもう陳腐だと思えなくなっているので、このレビューは正当な評価にはならないかも(笑)。
アメリカ東海岸の下の方、馴染みのない所が主なる舞台と言うのも私には新鮮でした。いや、新鮮です。
ホラー小説ではなく怪奇小説です(私の中の分類では)。ぐるぐる回る、怪奇なる回転木馬!
なんで子供騙しの怪物が出て来るのに、こんなに読ませるのか!
何を書いても読ませる力がある。これを文学と言うのでしょうね。
顎が長いのも夢野久作と似ています。
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No.17:
(3pt)

「偏見」を感じさせなければ、高評価なのですが…

本書は全集第1巻として、
1.「インスマウスの影」(1931年)2.「壁のなかの鼠」(1923年)3.「死体安置所にて」(1925年)4.「闇に囁くもの」(1930年)
の4編が収録されています。

中でも、1.は著者独特の世界観である「クトゥルフ神話」の一編として名高いそうですが、私としては、あまり感銘を受けませんでした。

成人の祝いに、米・ニューイングランド地方を旅する「わたし」は、マサチュセッツ州の港町インスマウスを訪れることになるが、その住人達は、近隣の町の人達から毛嫌いされていた。
「インスマウス面(づら)」という独特の風貌に不気味さを感じる「わたし」が、その夜、町を出ようとすると、異形の群れが迫ってきた。

というお話なのですが、どうも馴染めなかったのは、「偏見」に満ちた設定です。
「インスマウス面」という風貌の原因には、その町の歴史(神話)に関するある出来事が関わっており、その歴史に関わった人物の血を引いていれば、必然的に異形の者となってしまうようなのです。
であれば、異形の者になってしまうのは、個人ではどうしようもない訳で、その形相で毛嫌いされるというのは、「偏見」に満ちた扱いとしか言いようがありません。
インスマウスの人達は、私にとっては「怪奇」や「恐怖」の対象ではなく、むしろ同情すべき人達と言えます。

1930年代当時、アメリカだけでなく、世界的にも「偏見」と言うものは一般的な認識で、著者も意識せずに作品にしているのかもしれませんが、21世紀に暮らす人間としては、違和感を感じてしまう小説でした。

しかしながら、作品集全体として見た場合、2.〜4.は、1.のような「偏見」は感じられず、その丁寧な描写が凄味を感じさせる良作。
特に、4.は「エイリアン・アブダクション」かと思わせる展開が、現代に通ずるものを持っていて、印象深い作品でした。
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No.16:
(5pt)

まさに"戦慄"

図書館の隅で発見しました。20世紀の鬼才と言われるラヴクラフト。 ラヴクラフトの作品を読むのは初めてでしたが、ホラー映画やお化け屋敷のように、恐ろしいけれど早く次が読みたい!という衝動に駆られて一気に読めてしまいました。 賛否両論ありますが、何度も繰り返されるしつこいほどの描写は、私にとっては、迫りくる恐怖を想像するのに申し分ない役割を果たしていました。 物議を醸している翻訳も、私としては特に煩わしく感じませんでした。しかし原文で読んでいないため、何とも言えませんが 日本での知名度がもうひとつ低いため、あまり読まれていないのが残念でなりません。 この本、特にインスマウスの影はラヴクラフトファンのみならず、ホラー、カルト、ミステリー好きすべての方に読んでいただきたいです。
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.15:
(4pt)

古典新訳文庫、白石朗訳で読み直したい!

奥付を見て驚いた。私が生まれた年に初版が出て今年の一月に出たのが56版。翻訳者(名前が読めなかった、“ただあき”)が21世紀初頭に物故されているが、何故生前に改訂版を出されなかったのだろう。この回りくどくて勿体をつけた極めて読みにくい戦前の翻訳調の文体であればこそ、ラヴクラフトの世界を堪能できるのだ。みたいな変な定着が出版界と読者との間で成立しているのだろうか。あの分厚いスティーヴン・キングの小説を読破させてくれた契機となった白石朗の翻訳で読んでみたい。日本において再発見、再評価されても良いのではないだろうか。ラヴクラフトとフィッツジェラルドの執筆期間が重なる部分がある。チャップリンの「街の灯」が上映された頃。アメリカの大恐慌があった頃。その頃にあのような作品を生み出したラヴクラフト。とても凄いと思うしすごくカルトだけれど、もう少し敷居の低い間口の広いカルトにして欲しいです。
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))Amazon書評・レビュー:ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))より
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No.14:
(5pt)

多元宇宙の恐怖

ラヴクラフトの魅力は全ての作品の背後に感じられる原色の多次元空間である。
この超空間を永遠に漂流するのは三次元の物理的宇宙よりも古くから時間のない空間に存在し続けてきた影たちだ。
そして彼らクトゥルー、ヨグ・ソトース、二ヤルラトホテップなどの超存在ですら全て無限次元空間の
ある切断面に過ぎないというのがラヴクラフトのヴィジョンである。
ラヴクラフトは「銀の鍵の門を越えて」において、多次元空間を含むあらゆる宇宙に存在する
人間を含めたあらゆる種類の生命体は全て無限次元空間の中のある単一の立体の断面に過ぎないと喝破する。
立方体が切り口によって様々な形に見えるように、独立しているように見える全く別の人間、全く別個の生物が
多次元空間に存在するある立体の異なる切り口に過ぎないというのである。
つまりクトゥルー神話に登場する超生命たちと人間の双方が、ある単一の多次元立体の別の形をした
断面に過ぎないというヴィジョンだ。
ラヴクラフトの世界では全生命がある単一の超存在、キリスト教神学者テイヤール・ド・シャルダン
や集合論学者たちが「オメガ」と呼んできた超存在の断面なのである。
つまり、「部分」ではなく「断面」であることが重要なのだ。
あらゆる生命が超存在の単なる部分であるなら、超存在の全体に到達する方法はない。
しかしそれが「断面」であるならどうだろう。
その「断面」としての存在は潜在的にあらゆる四次元宇宙のあらゆる形態に遷移しうるのである。
我々は自分を三次元の存在だと思い込んでいるが実は四次元の超存在の断面であり、
その四次元の存在はまた別のある五次元空間の断面であり・・・という無限の繰り返しが存在する。
これは我々の究極的実質が無限次元であることを意味しないだろうか。
人間は実は無限次元空間の存在であるということにならないであろうか。
これこそラヴクラフトが提唱した我々が実は「古きもの」の子孫であるというヴィジョンの根源である。
物理的な人生というものが実は断面であり影に過ぎずその実体は精神や
幾何学の世界であり、無限次元空間なのだとしたらどうだろう。
人間は自分自身を三次元の物理的存在だと感じているがそれは錯覚に過ぎず、
精神は実はブレーン理論のグラビトンのように多次元空間に飛翔できるのだとしたら
それはラヴクラフトのヴィジョンが真実であることを意味しよう。
現にコンピュータは二次元の回路を使って多次元で情報を処理している。
コンピュータは汎用的で柔軟な知性こそ人間に譲っているが、
多次元の超複雑な図形を正確に思い描くことにかけては人間の一兆倍も上を行っている。
多次元空間に関してはコンピュータがはるかに先行しているのだ。
人間は複数の系列の演算を同時に処理しつつその相関を同時並行的に、
しかも意識的に分析するというコンピュータが常に行っていることができない。
人間が多次元の幾何学的図形を思い描けないのはそのためである。
脳構造の幾何学的次元が三次元であることは脳が思い描ける図形の次元数とは関係がない。
現にベッケンスタインやサスキンドらの“ホログラフィック原理”によれば
宇宙は二次元の平面に書き込まれ流動しているセルオートマトン状のデジタル情報であり、
我々は自らが二次元の平面上にしか存在していないことに気付かずに生きているという。
つまり情報処理が幾何学的多次元を意識化できるほど本質的に多次元的であれば、
脳の幾何学的な次元数によらず実際に多次元が見えるはずだ。
したがって人間がラヴクラフトのヴィジョンを実現するためには精神をコンピュータに
アップロードして生物学的な脳を捨て、人間がコンピュータそのものになる必要がある。
情報処理能力を爆発的に拡大して本格的に多次元化し、高次元の図形を正確に思い描く能力を手に入れるのだ。
即ちラヴクラフトはある意味で人間とコンピュータの融合が必然となる未来像を予告していたのだ。
ラヴクラフトのテーマとはホラーの形式を借りてはいるが実は神学であり未来論ですらあった。
ラヴクラフトは人類よりも古い存在について語りつつ遠未来の人類の姿を予言していたのである。
その真髄は人間の実体は神であり無限次元の存在であるということなのだ。
アルファ・ポイントにおいて無限次元空間の単なる三次元断面だった人間は
未来のオメガ・ポイントにおいてはあらゆる次元の宇宙、あらゆる次元のクトゥルーと一致するのである。
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