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セント・イージス号の武勲



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【この小説が収録されている参考書籍】
セント・イージス号の武勲

セント・イージス号の武勲の評価: 2.67/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

残念作だけど、読みどころはある

小説としてのルール違反や(132頁)、帯と本文での表記の食い違い
(トラファルガーとトラファルガル)など、形式的なミスが目立つ。
出版社が気づかないはずはないから、決して罪は軽くない。

「歴史海洋冒険小説」という宣伝文句もピンとこない。特に「冒険小説」というところは、
ビルドゥングスロマンという古典的な言い方のほうがふさわしい。

しかし何よりも残念なのは、「大海蛇」である。人間とコミュニケートして共生する
巨大海洋生物が出てくるのだから、上田早百里の読者なら全員、「魚舟」を連想する。

日本SF史上に燦然と輝くあの『華竜の宮』シリーズを、である。いやでも期待に胸が
高鳴るのであるが、本書の「大海蛇」は実に扱いが軽い。こんなとってつけたような
役割なら無いほうがマシで、むしろ全体のストーリーを乱してしまっている。

「大海蛇」を取っ払ってしまえば、意外にというかさすがにというか、読みどころがある。

18世紀後半、まだ帆船で行なわれていた海戦の様子は、史実に基づいて圧巻である。
それも、(軍人ではないため)一切史料に名の残らない乗船員の視点から描くあたりは、
著者の面目躍如である。

さらに、上田作品を読んでいつも心にずっしりと響くのは、単純な人物造型をよしとせず、
人間の複雑さから目をそらさない点であるが、本書でもその点は変わらず、光を放っている。

 「だから人を助けに行くのか?罪滅ぼしのために」
 「違うよ。そんな考え方はつまらない。人は殺し合うしかないときには殺し合い、
 助けるしかないときには人を助ける。そんな馬鹿げた生き物なんだ。僕は馬鹿
 げた生き物なりに、馬鹿げた人生を送りたいだけだよ」(292)
セント・イージス号の武勲Amazon書評・レビュー:セント・イージス号の武勲より
4062196808

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