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ディアスポラ
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ディアスポラの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.02pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全38件 21~38 2/2ページ
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ウィリアムギブスンのニューロマンサーを読んだときの疲労感にも似た気持ちになった。 のっけから造語と専門用語の記述のオンパレードで、とにかくわけがわからないのだ。 おそらくSF読者のなかでも拒否反応を示す方もいるはず。 と好き勝手に感想を言ってみたが、もちろんSF小説の歴史的な文脈で言えば重要な作品であることには違いないだろうし、とばしながら読んでもディアスポラのエネルギーの片鱗に触れることはできると思う。 イーガン初心者には短編集か「宇宙消失」から読むことをおすすめする。 | ||||
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短編集「プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)」を先に読んで、その中で「ワンの絨毯」と「伝播」が一番好きな物語だったこと、そして、ポリスの中で、肉体から転写された第一世代の後の世代は、どのように創られて性格づけがなされて行ったのか、その場合の家族関係はどうなのか、この情報という形でのヒトを存在せしめているコンピュータ(だと思うが)の故障対策や保守はどうしているのかなど、ぜひ詳しく知りたいと思い、また、情報としてのヒトが、どのように人格含めて元のように保たれるのか、十分なバックアップをしても消滅の危険はあるが、そのあたりはこの時代にはどのように解決されているのかなど、興味は尽きないことから、この「ディアスポラ」を購入した。 短編を読んだ後にこの作品を読んで良かったと思った。先に読んでいたら、少し混乱したかもしれない。 また、私が知りたいと思ったことがいろいろと書かれていた。一番最初は、「コニシポリス」で創られる新しい存在の描写。この過程が詳しく書かれていた。しかも、普通の市民ではなく、時折創られる特殊な存在としての新しい存在。それが自我を獲得するまでの過程は、やや長い描写ではあるが、とても理解しやすくリアルに感じられるものだった。 それから、他のポリスでは存在はまた違った創られ方をされるということも示唆されている。ポリスはいくつも存在し、それぞれのポリシーに従ってみんな違った形態であること。また、ポリスとは別に、機械の身体に心を移し替えて宇宙に伝播していた存在もいること、地球にはまだ肉体を持った人々も暮らしているが、人工的に改変が加えられて、もう意思疎通も不可能なほどに分化してしまっていること。 「コニシポリス」で創られた「ヤチマ」が、短編「ワンの絨毯」に出てきた「カーター - ツィマーマンポリス」に移って、様々な人との交流、そして宇宙へと旅立っていく姿がこの物語の主軸だが、主役は決して一人ではなく、それぞれがそれぞれの人生を歩み、それぞれの目的を持ち、そして生き方を決めていく。「カーター - ツィマーマンポリス」の存在たちが、千体のクローンを作って伝播していく中で、時に生命体の痕跡を見つけ、時に何も見つけられず、時に事故で消えていく。それぞれのクローンは、すでに別々な意志を持った別々な個体となっているという描写は、なるほど、とうなづけた。 最後まで旅していくのはヤチマとパオロ。その時間的・空間的に果てしない旅は驚異に満ちている。そして、その後戻りできない旅の終わりには…。切ないような、これしかないのだろうなというような結末が待ちかまえていた。 本の最後に、著者による用語解説と、参考文献の説明があるのもありがたい。 | ||||
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訳者に敬礼! これだけの作品をこんなに読みやすく日本語に移植してくださって本当にありがとうございます。イーガンの『祈りの海』でも思いましたが適任だったと思います。 数字に、というか数学に最高の美を見出している著者渾身の大傑作です。筋を追うごとにどきどきはらはら、いったん読み始めたら読了まではひと呼吸。ものすごい勢いで読み終えてしまいました。 スワヒリ語で「孤児」を意味するヤチマを中心に魅力的な人物たちが数千年の単位でいれかわりたちかわり意識をめぐる冒険をします。 イノシロウのあまりにも意外な選択や、ブランカのかっこよすぎる決めセリフなど魅力満載。 イーガンがおそらくは生涯のテーマとしている「意識とは」「私を意識する私とは何者なのか」のひとつの答えがここにあります。 読むことで、自分を制限する何もかもを振り切って、限りなく自由にさせてくれる爽快感を、イーガンは与えてくれます。 孤独も孤立も、苦悩も苦痛も、「それでも」先に進もうという「意志」までは奪うことができなかった。機械の中の幽霊ならぬ、機械の中の人生を、私はとても愛します。 詩情あふれる素晴らしい傑作だと思います。イーガン、大好き! | ||||
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同じ作者で以前読んだ「順列都市」が途轍もない構成の素晴らしい本だったので、期待して読みました。 本当に面白い小説には、必ず感動があると自分は思っています。けれど、普通その感動は、小説が感情を扱った故での感動です。 しかし順列都市での感動は、異質なものでした。 そして期待を裏切らず、ディアスポラも知的興奮、新たな世界を見せてくれる、鳥肌の立つ様な感動を与えてくれました。 もっとも、物語の半ば以上を過ぎなければ、この先どんな展開になるか全く想像がつかない点も、前作同様でしたが。 ついでに理論に関する細かい内容が難し過ぎで私には理解できませんが、その辺はフィクションですし、また、構成が巧みなため、理解していなくとも物語は楽しめるようになっています。 ただ、人間がソフトウェア化されている世界観故、身体感覚に基づく感情や感覚を扱っていないので、そういう物語でなければ楽しめない方には向きません。 本の面白さには、色んな種類があります。少しとっつき難いですが、たまにはこんな本を読むと、新たな面白さの地平が開けること、うけあいです。 | ||||
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この小説を読んでから八年過ぎましたが、 今でも読み返して変わらない感動を味わっています。 これを超えるスケールの冒険活劇を、 何らかの説得力やリアリティを伴わせて 書き上げる事は困難を極めると思います。 僕の残りの生涯では、この物語に互するものに 再び出会えないのではないかと感じています。 その説得力とリアリティを支えるために、 非常に理解しづらい(作者の創作を含めた) 数学的、物理的、化学的な記述があります。 これらを何一つ理解する必要はありません。 魔法のような展開が「本当に起きる可能性がある!」 と心の底から感じさせるための、作者が 血道を注いで作り上げたガジェットとして、 なんか分かった、というふりで読むべきだと思います。 というか、そうするしかありません。 あまりに難解な記述が多いため、その点が 悪目立ちしてしまいますが、 この小説は巻末の解説にもある通り 純然たる冒険活劇です。 難解さにつまずく人は真面目な人なのだと思いますが、 一度まじめさを脇に置き、 分からないなら流し読むというやりかたで 読了されることを強くお薦めします。 | ||||
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スケール、内容ともにハードSFの最高の帰結点。 ここまでいきついてなお人類としてのアイデンティティが保たれているのが不思議なほど。 アイデアそのものは現代科学の延長線上にあり、実際の未来をリアルに想像できるのも良い。 多元宇宙の果てへと向かうスケール感の大きさ。 量子スピンに隠されたメッセージという、理解より直感をくすぐるアイデア。クラクラと読者を快く幻惑させてくれる、まさにSF小説。 | ||||
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現代ハードSFの極北と評価される長編。 SF好きならば,好む好まざるにかかわらず,読んで損はしないでしょう。賞賛するにせよ,批判の材料とするにせよ。 物理学の素養のない私にはほとんど記号のような議論がちりばめられていますが(専門の方がどう読むのかむしろ興味深い…),イーガンの小説に一貫して流れる,自己同一性の問題は本作でも太い幹となっています。端的には,「自分のすべてがソフトウェア化されたとして,それはなお自分か?」,さらに「ソフトウェア化された自分がコピーされたとして,自分とコピーの関係は?」といったことです。SF的な道具立てはともかく,このような自己同一性の問題に対するひとつの解答は,文系的思考の人間にも十分に楽しめるものです。 さらに,本作で描かれる,人類の行く末→宇宙の行く末は,私のような素養のない者にとっても,圧倒的なものでした。ヒトの想像力の限りなさを示した一作といえるでしょう。 なお,難しい議論については,巻末に用語集もついています。 | ||||
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ソフト化された人類が深宇宙に旅立ち銀河の謎を探求する様が、強固な物理的理論武装で肉付けされ描かれる。確かに難解であるが、筋立てはストレートな冒険SFなので、混乱する事は無い。 解説では小松左京の「果てしなき流れの果てに」が引き合いに出されていたが、僕は手塚治虫の火の鳥を想起した。宇宙が入れ子状に重層的に重なっている、てなところとか。やはり偉大だ、手塚先生は。 ともあれ、久々に脳みそを振り絞って活字を追った。今度は軽めの本にしてみるか。 | ||||
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「序盤が大変」とのことですが、そういう方にはとにかく「科学的な解説は読み飛ばせ」と申し上げておきます。と書くと、本書を通じて数学への愛を語っている著者には失礼にあたるのですが、本書の主要な登場人物はすべて「知性も意識もある電子情報」としてのみ存在していること、「ポリス」と言っても実際にはコンピュータそのものであること、の2点だけ承知して読み出せばよろしいのではないでしょうか。 このように通常の実体を持たない不老不死の主人公たちではありますが、「架橋者オーランド」の決心、トランスミューター(神?)を追って高次元宇宙にたどり着いた主要登場人物二人が最後に選択した行動に涙できるようなったら、イーガンのファンとしては十分ではないでしょうか。少なくとも私はこの本を読んだことで、イーガンの他の著作も読もうと決意いたしました。 | ||||
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なんか読み合わせが悪かったのか、カウフマンとすんごくかぶってしょうがなかった。ま、途中から全然ハードSFしちゃっててもどってこなかったけど。以下、ポイントを列挙。 ・「進化には大量の突然変異と絶滅が必要」 ・「カウフマンネットワーク」という言葉がそもそもでてくる。 =>わたしはタイル並べのルールにはじまって、あらゆるレベルにカウフマン・ネットワークを確認した。全システムが、静的状態とカオス的ふるまいのあいだの超適応状態の縁で安定している。 ・予想できない事態が必ずおこるというべき乗的なイベントの発生。 ・「自触媒効果」(=自己触媒反応)が重要なアイデアになっている。 ・意識の起源について =>イカは自分自身が考えていることについても、やはり考えているのだ。私はそれを、意識と呼びたいのだが、どうだろう? ・ちとカウフマンからはずれるけど、登場人物が自分の思考を三次元ネットワークとして検討するシーンがあったりする。 ・非線型的だなというか、集中するべきものには思いっきりリンクなどが集中するということは、量子力学の解釈や、宇宙構造に関する部分でも応用されているアイデアであるように感じる。 やっぱり、小説のはじまりのシーンは「適応度地形」だと思った。 | ||||
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共感と深い感動を得ました。「人類の叡智の一端を担うものとして、いったい何をすべきなのか」という命題を、肉体人でないけれど人類が本来持つ探究心を含めてソフトウェア化された主人公に、一途に取り組まさせています。敢えて、ソフトウェア化された者を主人公にするところも、人類の本来持つ限界を否定するのではなく、それに対して著者が深い敬愛の念を持っていることの現われではないでしょうか。 | ||||
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「ディアスポラ」というタイトルがここまで内容に即したものだとは、読み始めたときは予想だにしなかった。 アイディアの奇抜さを楽しむイーガン作品において、これ以上語るのは憚られるが、一つだけ言いたいのは、この作品は文系人間には人気が無いのは当然かもしれない、ということ。一般的な小説に展開されるようなドラマが、何よりディアスポラ(離散)によって失われているからである。 何にせよ、これから読む人は巻末の用語集に付箋を貼っておくと便利かと思われます。 | ||||
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この作品はとかく難解と見られがちであるが、技術畑の人間であれば苦もなく読めるはず。 詳細を語る愚はしたくないが、この作品は「SF」というものを雄弁に物語っている作品だと思う。 友達に読ませたら難しすぎると言われた。よってSF好きなら買いではないだろうか。 | ||||
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流して読むには少々難解ですが 腰を据えて読めば面白くなっていく事は請け合いです。 邪道かもしれませんが、判り難い点が有ればメモでも取りながら 事項を整理して読み勧めて行くと良いと思います。 最後のページを読んだ後に、再読の面白さが感じられる作品です。 | ||||
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肉体を捨て、自らの精神をソフトウェア化した人類が、銀河系スケールで迫る危機に瀕して宇宙に進出する<ディアスポラ>計画を発動させるというハードSF。 数学・物理学的な広範な知識で理論武装された文体は、たしかに万人向けではないと多くの場所で書かれるのも無理はないでしょう。 作中に登場する物理理論が精緻化・厳密化してゆく過程は、<ディアスポラ>の驚異的な旅の射程と一対一の写像となっていて、そこにとどまることを、つまりはページをめくることを止めさえしなければ、読み進めるほどに宇宙の真の姿が語られてゆくのは、そもそもSFにだけ与えられた特権的な喜びといっていいはず。ワームホール、多次元宇宙、多宇宙解釈、超弦理論、といった最新の宇宙理論を追いかけるのが好きな人には、目に映るべくもない世界をこうして垣間見せてくれるイーガンの想像力に酔いしれることができるはずです。 もっとドラマチックな展開が好きな読者にとっては、直接的に訴えるドラマが少ない作品ではありますが、<ディアスポラ>から脱落していった登場人物たちが、なぜそこで留まろうとしたのかを想像することもまた、宇宙と、それに対峙した人類の姿を感傷抜きで描き出してくれていて、興味が絶えません。 | ||||
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~「新たな火星年代記」みたいなコピーがついた帯に常に裏切られ続けてきましたが、そんなキャッチがついていないにも関わらず、この本こそが、21世紀の火星年代記と称されるべきではないかと思います。ひとつの大きな流れの中での連作短編であることや、地球外への「移住」(ただし括弧付きで)をテーマにしている点だけでなく、ハードSFの中に潜む詩情も含めて~~レイ・ブラッドベリ的。 多次元宇宙の表現や最新物理学をちりばめたSF考証も相変わらずめまいがするほど魅力的です。~ | ||||
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読んでる最中、ずーっと「試されてる」という感じが抜けず。何を試されてるかというと、理系度というか。数学で落ちこぼれていた人は劣等感にさいなまれるだろう。 解説で、本書で一番難解なのは出だしの部分と書かれているが、大嘘である。日ごろからコンピュータに接していれば、理屈はわからなくてもイメージするのはたやすいはずだ。が、そのあとに延々と続く、5次元とか6次元とか12次元とか無限次元とかの幾何学を文字だけで語るにおいては、とてもついていけない。傑作中篇だった「ワンの絨毯」とか、ワームホールとたんぱく質の類似性とか、トランスミューターの遺物とか、個々のアイデアはメチャメチャ面白いのだが。 そう、この本、小説としての完成度は決して高くない。各章は基本的に独立していて、それぞれが長編一本分のアイデアをぶち込んだイーガンの実験室だ。ストーリーには重きを置いていない。読者は章が変わるたびにまったく違う舞台装置に放り込まれる。小説を読んでいるというよりは、ゲームをプレイしているという感覚が近い。 というわけで、「SFやっててよかったよ~」と心底思えるヨロコビはある。そういう意味では五つ星。でも、こんなに読み手を選ぶ本を、人様にオススメできるわけがない。わかったふりをして絶賛する気には(まだ)なれない。自分の責任においてのみ、手に取るべき本である。 | ||||
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私はもう本当に一気に読んでしまいましたが、この本はもっとじっくり時間をかけて、読まれるのがよいでしょう。二読・三読に十分値します。 これ以前にSFマガジンにて「ワンの絨毯」を読んでいたので途中、ネタバレでしたが、この『ディアスポラ』には有り余るアイデア、そしてアクロバティックな世界観の変容がどっさり詰まっています。ネタバレにならないようこのような抽象的な褒め言葉を羅列してしまいましたが、<確実に>大森望氏の言葉に間違いはなかった。 | ||||
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