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未来からのホットライン



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未来からのホットラインの評価: 4.39/5点 レビュー 23件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.39pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全23件 1~20 1/2ページ
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No.23:
(5pt)

タイムパラドクスへの真っ向勝負

過去を改変することによる影響から目を逸らさずに向き合っている本作。
時間への解釈を深堀せず、ドラマチックな群像劇に逃げている作品が多々あるなかで貴重な作品です。
未来からのホットライン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:未来からのホットライン (創元SF文庫)より
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No.22:
(4pt)

タイムパラドックスSF傑作。

"ふたりがいっしょにいられるかどうかさえも、たしかめる方法はない。彼をおびえさせたのは、その思いだった(中略)『忘れてなんかいなかったわ』と、彼女はいった。"1980年発表の本書はSTEINS;GATEの元ネタ、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||でも再注目されている時間SF傑作。

個人的には著者の本はデビュー作の『星を継ぐもの』につぐ2冊目として手にとりました。

さて、そんな本書はスコットランドの古城の地下室で老科学者が開発したタイム・マシン?【60秒過去の自分へ、6文字までのメッセージを送るプログラム】の実験に巻き込まれる、老化学者の孫にして数理物理学者のマードック、そして日本は大阪(!)生まれの親友のコンピューター技師のリーの2人のアメリカ人+猫のマックスウェル)を主な語り部にして、80年代のハードSFとしてタイムパラドックスによる危機が描かれているわけですが。

まず、テクノロジーが飛躍的に発達し、大容量データが飛び交う現在感覚から見ると、タイムマシンはおろか、ラストの五十メガバイト(!)にも【懐かしさや古さを感じるし】実験を繰り返しながら仮説を検証していく【展開もやや冗長に感じる】ものの、こちらがそもそも先で、かつ『セカイ系』ではありませんが。まんまプレイしたこともある人気ゲーム&アニメSTEINS;GATEなので、胸熱というか【おお、これが元ネタなのか】と感慨深いものがありました。

また2021年現在、劇場公開中の新劇場版エヴァンゲリオン4部作の最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』英語版サブタイトルとして、【本書の原題『THRICE UPON A TIME』が使われている】ことから、作品解説や考察記事であらためて注目が集まっているわけですが。『存在しなかったこと』と世界をリセットするも【どこかで『ちゃんと覚えている』描写がある】本書。鑑賞済の新劇場版を思い出しつつ、WEB検索での本書と絡めた感想も楽しませていただいていたり。

古典ハードSF、タイムパラドックスSF好きな方。あるいはSTEINS;GATEやエヴァンゲリオンが好きな人にもオススメ。
未来からのホットライン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:未来からのホットライン (創元SF文庫)より
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No.21:
(5pt)

SFの巨匠はやっぱりすばらしい

SFの巨匠はやっぱりすばらしい。原語でも読みたい。商品も期日通りに届きました。
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No.20:
(4pt)

「私はあなただ」と納得させる手紙。・・・どう書く?

本作では「未来から実際に通信を受け取ることが出来る」ということを前提にして、
平行宇宙ではなく動的に変化する単一の宇宙という舞台が設定されています。
「大災害が起きるぞ!」という警告を未来から受けて、それに対処して被害を食い止めたら、
実際に被害を受けた世界と、誰かがそれを過去に向けて警告した行為自体が消失してしまうわけです。
しかしそこにパラドックスは生じない・・・何故なら「過去にそういう未来が有った」ことは事実だから。
難解な宇宙観ですが、「未来から実際に通信が来るという前提の上でなら」成立し得るかもしれません。

ホーガンはハードSFの書き手と言われますが、「創世記機械」でも見られるように
「悪い出来事をやり直せないだろうか?」「戦争などという愚かな行為を回避できないだろうか?」といったような
誰もが持っている願いを核にした「物語」を創作する優れたストーリーテラーだと思います。

この物語の佳境で、非常に興味深いシーンが出てきます。

物語では、未来の大災害を未然にふせぐため、それに関係する要人を説得しなければならなくなります。
しかしその人物は「タイムマシン」などというものは有り得ないと思っている。
そこで彼を一発で納得させる方法として採用されたのは、未来のその人自身が書いた警告文でした。
彼がそれを読んでどうしたかは本文を読んでいただくとして、
「これを書いたのは自分自身だと信用せざるを得ない文章」というものをどう書くか?・・・それは大変に面白い問題です。
何故なら「これを書ける者は自分以外ありえない」というような文章を判別できるのは、これもまたその人以外には有り得ない。
つまり、その「証明」はその人本人にだけ有効で、客観的な証明にはなり得ないのです。
それは物語の主旨ではないので、深くは描写されておりませんが、
実際に「未来からの文章を受け取ることが出来る」という事実を大勢の人間に納得させようとすれば、
この小説の何倍も苦労することは確実だろうと思います。

AIの発達が見込まれ、人間の意識をハードウェアに移植して「自分の電脳版」を作ろうなどという話が
SF小説以外でも論じられる昨今、
「自分ならどういう手紙を書いて自分であることを証明するだろう?」・・・と考えてみるのも
この小説のひとつの愉しみ方ではないかと思います。
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No.19:
(5pt)

面白かった

文章が読みやすくてストーリーもよく、引き込まれて面白かった。なんとなく暖かみもあり、よいSF。
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No.18:
(5pt)

ある程度の科学知識を要求する時間遡上サスペンス・ハードSFの佳作

情報を過去に送れる装置を発明した老科学者と、彼の孫はじめ若く溌剌とした科学者・技術者達が、地球を破滅に導く実験や、人類を絶滅に導くパンデミック/バイオハザードを阻止しようとして戦うスリルとサスペンスの物語…

ではあるのだが、ハリウッド映画のように派手なアクションはなく、数式が出ないだけで、論理学的命題が飛び交い、本腰を入れて読まないと、特に前半は何が問題で何をどう解決すれば良いのかを見失う。読者サービス的に切ないラブ・ロマンスも織り込んであるものの、基本的には物理学全般の論考を下敷きとしたゴリゴリのハードSFだ。

作者ジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作『星を継ぐもの』は、ミステリー的要素を盛り込んだハードSFだった。頭から湯気を立ててホーガンの提示する謎と格闘しつつ読み進む傑作SFだが、あの作品を楽しむには、ある程度の生物学、地質学、天文学等の知識を要する。本作も同様で、量子力学を始め物理学全般に対して初歩的な知識が必要だ。情緒・感性重視の文学系の方には面白くないかもしれない。

その代わりと言っては語弊があるが、ホーガンが本作で展開する物理学理論は、情報の時間遡行の実現のみならず、ブラックホールの解明を経由してビッグバンの謎まで解いてしまう凄まじい威力を持っている。宇宙の成り立ちの根幹に迫る大風呂敷の見事さは、是非とも読んでご堪能いただきたい。

作品が書かれた時代背景(1980年)を反映して、作中の時代は21世紀なのに、研究を担う計算機はDECだし、ソ連は存在するしで、我々の所属する宇宙と、作中の宇宙はずれてしまっている。だが、そんな事は全く問題にならないことは、作中の時間線理論を読めば明らかだ。なぜなら… 詳しくはご一読あれ。
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No.17:
(5pt)

このSFを次に読むつもりの人へのホットライン

短いテキスト情報だけを、ごく短い期間の過去や未来に向けて送信できるタイムマシンを開発した老科学者と、それを使おうとする人達。果たしてこの宇宙は平行か直列か、それともひもの断面か。

近い未来をある程度自分の望むように変えるには、正確に未来の予測や予知をする必要は無く、ただ現在観測・測定できるものをよく知って検討し、それによって自分自身の振る舞いを変えればよい。

もしもそれ以上に大きく、多数の人々の未来を変える方法を知りたければ、その詳細はこの本を読む事。それと同時に、読み終わった時間線にいる未来の自分が、今の自分へ緊急連絡を入れて来るのを待つこと。
ただし過去のまだ読み終わっていない自分へこの本の内容を緊急連絡すると、その瞬間に読み終わった自分の存在はその宇宙の中で再構成されてしまう。
たとえ自らの存在を消す事になろうとも、近い過去の自分にホットラインを使って伝えたいほどの事が、果たしてあるだろうか。
もしあるならば、この本は読む価値がある。
もし無いのならば、何か取り返しのつかない失敗をした後に、この本を読むのがふさわしい。
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No.16:
(4pt)

SF大好きパパ

限られた時間さかのぼりに対する機械の使い方が、なんとなく現実てきで面白い発想でした。
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No.15:
(2pt)

だめ

2-3ページ読んで止めた。
皆は読んで面白かったのでしょうか?
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No.14:
(5pt)
※削除申請(1件)

未来からのホットラインは可能かもしれない

可能かもしれない、最近の量子エンタグルメント実験では対に成った二つの量子間の
スピンは時間を逆行している可能性があるという二重スリット実験の結果が出ている。

但し、対に成っているのは電子2個のみだから、これだけでもコペンハーゲン派は
大騒ぎしている。

要点を言葉で書くのは難しいが

当然の事だこれを認める事は多元宇宙論(インフレーション宇宙論を除く)完全に否定
しなければならない、それはM理論を含む超弦理論による宇宙論解釈をも放棄する
事をも意味する、それは現在の量子重力理論を破棄する事に成る。

ヒュー・エヴェレットの理論を完全に否定する事に成る、ところが超弦理論の出現により
その新たな側面であるM理論によると粒子の波動関数は必ずしも収束させる必要は
無くても良いという答えが存在する、これは正しく多元宇宙の存在を示唆する事に
他ならない、但し相互の宇宙間の連絡は量子論によるとマクロ的には不可能とされる
が、量子重力理論は未だに完全とはいえない、ところがM理論ではブレーンとバルクが
存在する事が示唆される、ブレーンは我々の存在する宇宙だがバルクはその間を
へだてる空間(?)だ、バルク空間にブレーンから流出出来るのはスピン2の重力子だけ
である、仮にスピンが2の他の粒子が有ればそれもバルク空間を連絡出来る事に
成るが現在の理論ではそんな粒子は否定されている、では二重スリット実験には
どの様な意味があるのか、電子のスピンは1/2であるからブレーン間を移動する事は
不可能であるにも関わらずブレーン間を移動した様なふるまいをする、これは直線的時間
を移動するとしか考えられないのである。

と、まぁこんなふうに解釈してみたのですがね、いずれにしろ現代科学では不可能と云う
結果しか出てこないんです、熱力学第2法則にも違反するし、これを実現させるには
ホーキングの言う時間保護仮説を否定出来る様な代物が必要ですね、情報もエネルギーの
一形態にすぎないんですよね、そう成るとアインシュタインの物質・エネルギーが等価である
限り通常のタイム・マシンでなければね、これにはキップ・ソーンの出したワーム・ホールの
を使う方法が最も手っ取り早いでしょうね、但しこのソーンの言うWHを使う方法もどうすれば
WHを作れるかそして安定させられるのかは現状、全く不明です、ではゴットの宇宙紐を使う
方法はどうか、これは紐自体が存在するか否かはが不明ですし、ティプラーの円筒だともっと
難しい、ゲーデルの回転する宇宙はそもそも回転している事が否定されている。

まぁこんなところですね現在の科学では、しかし短く書くのは大変だ。
未来からのホットライン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:未来からのホットライン (創元SF文庫)より
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No.13:
(5pt)

未来からのホットラインは可能か?

2010-07-27 21:36:52
J.P.ホーガン死去

J.P.ホーガンが亡くなったそうである。享年69才。

ホーガンについてあまり詳しくない人に説明しておくと、SF小説界で唯一、リアルなコンピュータ小説が書ける作家であった。というのも、その前出が、一番技術的に難しい時期のDECのセールスエンジニアだったと言うのだから凄まじい。正直、コンピュータの芯の芯まで理解している人間が書く小説である、他の人間が書くものとは、最初からレベルが違う。正直言ってことコンピュータモノといえばホーガンの独壇場であった。

ホーガンの面白さは、ハードウェアではなくて、ソフトウェアや技術そのものがメインのネタになることが多いことだ。例えば他のSFだと、タイムマシンといったハードウェアがネタの中心になるが、ホーガンだと、時空間通信システムの方が中心になる。しかも、それがまったくのホラでなくて、現在の技術の延長上で可能であるという、大技を繰り出してくるわけ。俺がホーガンを好きなのは、そのリアルな無茶苦茶さ加減にある。

まあ、彼の作品を読むなら、まずは処女作の「星を継ぐもの」(ガニメアンシリーズ第一作)がいいかな。月面に5万年前の宇宙服を着た遺体が見つかる。彼は誰? そこから何回ものドンデン返しが続く。初出が1978年だから30年以上前の作品になるが、確かに今、読んでも面白いと思う。

そして、どうせだったら、「未来からのホットライン」も読んでいただきたいと思う。最初に言った通信システムのヤツね。で、SMTPプロトコルとuucp接続も勉強して、プラス、WiFiをつかうとどうなるか、よーく考えてみよう。

そう、未来はもう、実現しているのだよ 、じつわ。意味がわからん人は、俺の「超光速通信システム」の本稼動をしばし待てw
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No.12:
(4pt)

未来からのセンテンス

ハードSFの巨匠J・P・ホーガンによる80年代初期の初の時間SFテーマの長編。 タイムトラベルものだが、3行ほどの文章を24時間程度前に機械内で送れるだけという極めて制限の厳格化されたタイムトラベル設定となっている。 時間SFは制限が多い方が面白くなるが、さすがにこれは制限し過ぎたという感じで、あまりたたみかけるようなタイムパラドックスの伏線回収展開はおこらず、途中からクライトンのアンドロメダ病原体みたいな話になってしまい、どちらかというとタイムパラドックス落ちというよりは、病原体の原因追究というハードSFにありがちな決着になってしまっているのは否めない。
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No.11:
(5pt)

JPホーガン

今更ながらJPホーガンのファンになってしまいました。 この人が1950年代に書いているなんて信じられません。 現在、巨人の星シリーズを読んでおり、未だに本書を読んでいませんが、絶対面白いと思っています。 早く読みたい。
未来からのホットライン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:未来からのホットライン (創元SF文庫)より
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No.10:
(4pt)

一気に読める、しかし若干のもの足りなさも

時間を逆行してメッセージを伝えられる、通信におけるタイムマシン。
マシンの起こす現象から、時間と宇宙をどう捉えるかという理論の部分がかなり細かく書かれています。
興味深いところではあるのですが、正直なところ、高校で初歩の物理を教わっただけの私には、大半が難し過ぎてついていけません。
でも、ポイントを部分的に理解する・あるいはざっくりとイメージで理解した気になるだけでも、十分ストーリーは楽しめます。

前半はマシンの分析が主ですが、後半はある「危機」に直面し、そこにいかに対処するかという、ハラハラドキドキの展開になります。
もちろんそこでタイムマシンの出番。文章における「時間が戻る」表現は、簡潔なのがかえってエキサイティング。
登場人物それぞれの得意分野を生かした活躍も見られ、一気に読まされます。
ただちょっとこの部分、前半の緻密な理論に比べて展開が大雑把です。
もっと因果関係が複雑に絡み合う面白さを期待していました(そういう意味でいったら映画”Back to the future”の方が緻密、もちろん宇宙観が違いますが)。
「この伏線があとで活きてくるんだろう」とか、「この件とこの件にどういう関連があるのか?」などとわくわく読んでいると、ちょっと肩すかし。
また、この世界の政治家や研究者の態度・行動はとても楽観的な書き方をされていて、「現実的でないな」と感じてしまいます。

あとは、本書を楽しむ上で「恋」がかなり重要な位置を占めていると思うのですが、いかにその恋が大切かという描写を地の文の説明に頼っている気がして、少しもの足りなく思いました。

でも、とにかく楽しい作品です。
未来からのホットライン (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:未来からのホットライン (創元SF文庫)より
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No.9:
(5pt)

今後ホーガンの他の作品も読みたい。

あまりにも有名な作家さんですが、今まで読んだことがなかった。ハードSFの著者ということで敬遠していたのですが、思いもかけず当たりで、最後のほうはページをめくるのがもどかしい感じだった。

終わり方も良かった。着地点がほっとするところで、今後の展開を安心して期待し本を閉じることができた。

翻訳がひどいと書いてある書評があったが、私には問題なかった。プロの方の翻訳を素人があれこれ言うのも失礼な話だ。読み返してみたら、確かに原文が想像できるような翻訳ではあるが、淡々と翻訳してすっきりしているだけで、むしろ翻訳者が色をつけないことで原作の色がきちんと伝わっているのではないか。
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No.8:
(5pt)

シュタゲファンの知らない、直列宇宙の世界

J・P・ホーガンのファンなので、この作品を手に取りました。
読み進めて3分の1くらいで「これは……Dメールじゃね?」と思いましたが、やはり元ネタというか、ADVゲームの「シュタインズ・ゲート」はこの作品から発想を得たところがあるようです。

「未来へのホットライン」と「シュタインズ・ゲート」の大きな違いは、宇宙の仕組みです。

「シュタゲ」の世界の宇宙は「平行宇宙」。
人々がした選択の数だけ、異なる数多の宇宙がある。そして、それらが分岐した川のように並列して流れている、といった考え方です。

一方、「未来へのホットライン」の世界の宇宙は「直列宇宙」。
宇宙は一本の糸のようなもので、過去の一点を改変すると、それ以降の糸はすべて失われる。と同時に、新たな糸が再構成され、過去と繋がって続いていく、といった考え方です。

この違いが、シュタゲと未来へのホットラインの読後感に違いを与えています。

シュタゲでは、誰かが不幸になる世界線から、主人公のオカリンが脱出しても、その世界は続きます。幸せになれるのは、あくまでも数多ある世界線の中の“たった1人”のオカリン。ハッピーエンドの世界線のとなりの世界線には、苦しむオカリンがたしかに存在する。酷なことを言えば、決して「なかったことには、ならない」わけです。

一方、「未来へのホットライン」では、メールによって宇宙がそっくり再構成されるので、最終的に存在する宇宙のみが、唯一の世界です。そこに存在する幸せなマードック以外に、マードックはいないわけです。

こんなふうに、アプローチの異なる2作品を比べてみることで、両者への理解が深まり、面白さを再確認できる、ということが言えると思います。
ちなみに、どちらの読後感も、それぞれの良さがあり、どっちがいいというわけではありません。どちらも同じくらい好きです。

ほかの方が書かれている通り、訳された文章にはたまに意味つかめないところもありますが、個人的には本当に「たまに」です。
少なくとも、よく練られた巧妙なストーリーが楽しめなくなるほど、ひどい訳ではないと思いました。

ぜひ読んでみてください。
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No.7:
(4pt)

2度目

着想とその方法には脱帽。
人間は自分の欲望のためだけに生きているわけではないことがわかる作品だろう。
それでも男女の関係は何にも勝る物であるのだ。
人生とはそんなに捨てた物では無い。
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No.6:
(5pt)

邦題が素晴らしい

「未来からのホットライン」原題は“Thrice upon a Time”。ホットラインだから本当に重要な時にしか使ってはいけない。今どきの無料電話とは訳が違うのだ。でもって、作品中では本当に「重要な3回」だけタイムマシンが使用されるのだが、実は主人公が(こっそりと)事前に1回テストしている。

それはもちろん人生にとって(人類にとっても)最も重要な、人間の心の営みに関することなんだけれども。波乱万丈の物語の展開の中で、その行為も虚しい結果に終るかもしれないと見せかけて「重要な3回目」の後の見事な決着の仕方。すばらしい! また「タイムトラベル」ものではお約束の「ネコの活躍」。まさにSFの王道に相応しい(笑)
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No.5:
(5pt)

タイムマシンものの佳作

タイムマシンは数あるSFのテーマの中でも、もっとも難しいものの一つだとおもう。

そもそも「時間を逆行する」という考え方がナンセンスで、説得力を持ちにくい上に、いまここにいる我々が未来人の来訪を受けていないことから、遥かな未来においても、タイムマシンが発明されなかったことが納得できてしまう。

でも、本作ではちょっとひと味違う。出来上がるのはただの受発信器。歴史のタイムテーブルの上でも、この受発信器誕生以前には戻りようがないのだ。タイムパラドクスについての解釈も、タイムマシンの理屈も、難解ではあるもののホーガンらしい濃密なSF味で、非常に心地よい。

そしてこのタイムマシンで世界の危機と向き合い、一組のカップル──そしてほんとうは無数のカップル──の運命を翻弄する。

「一つだけ秘密を打ちあけましょう──すでにこのマシンは一度、同様の目的に使われたことがあると、われわれは信じているんです。」

というわけで、タイムマシンものの佳作だと思います。
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No.4:
(5pt)

シュタインズ・ゲートの原点がここにある

J.P.ホーガンのタイムスリップものということで手に取ったが、読み進めていくとどこかで観たような覚えが。そう思ってググッてみると、昨年アニメ版が放映された「シュタインズ・ゲート」との類似点を挙げるブログがいくつも引っかかりました。
 ストーリーは、ノーベル物理学賞も受賞した天才物理学者が、リタイアして帰った故郷のスコットランドの寒村で、仲間とともに「時間をさかのぼって情報を送ることができる装置」を開発し、それによるタイムパラドックスの謎解きをしながら、世界を破滅に追い込む大惨事を食い止めるというものです。前半ではどうやって過去に情報を送ることができるのか、そしてその際に世界はどうなるのかについてストーリーが展開されますが、破綻の無い(少なくとも書いた点では否定のしようのない)緻密な理論の展開はホーガンの小説の醍醐味です。後半では「バゴファント事件」と「センチュリオン事件」の、世界を破滅に追い込む2つの事件を、過去へ情報を送ることで解決しようとしますが、そこに主人公の一人の恋の行方が絡み、いろいろとやきもきさせられます。
 本作品に登場する、「時間をさかのぼって情報を送ることができる装置」というのが、シュタインズ・ゲートでいうところの「Dメール」に相当します。未来の情報を受け取った世界がその後どうなるのか、その解釈もこの作品と良く似ています(リーディングシュタイナー能力のある人物は登場しませんが)。ホーガン自体は他にもタイムスリップもの(プロテウスオペレーションなど)を書いており、作品ごとに違った解釈をベースにストーリーを展開していますが、この作品では主人公たちが実験結果を見てそれらの解釈を比較検討したりしていて、ホーガン自身のタイムスリップものの原点ともいえるでしょう。1980年に、そこから30年後の2010年(奇しくもホーガンの没年)を舞台に書かれた作品ですが、ホーガンの想像ほどには現実世界は進歩していない一方、はるかに進歩した部分(本書では最高スペックのコンピューターの記憶容量が50MBないとか)もあったりして、それはそれで楽しめます。
 過去に情報を送ることで危機を回避できるということで、基本的にはハッピーエンドですが、その間に起こったことが(送った情報以外は)、全て無かったことになってしまう訳です。それが恋愛関係にある二人の間には悲しい訳ですが(改変された世界では当の本人達にも気付きようが無いのですが)、この作品ではストーリーをうまく運んで、爽やかな終わり方になっていると思います。
「当然のなりゆきというものだ・・・」
「これがシュタインズ・ゲートの選択だよ」
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4488663060

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