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(短編集)

小さな黒い箱 ディック短篇傑作選5



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【この小説が収録されている参考書籍】
小さな黒い箱 (ディック短篇傑作選)

小さな黒い箱 ディック短篇傑作選5の評価: 3.86/5点 レビュー 7件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.86pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

分量が多いのでお得

話の数もページ数も多いのでお得感 少しづつ読むのにいい、一気読みは勿体ないし疲れる内容 毎日1話とか毎週1話で楽しめる話が多かった やや複雑でこってりしてるかな 待機員、聖なる戦いという話が面白かった
小さな黒い箱 (ディック短篇傑作選)Amazon書評・レビュー:小さな黒い箱 (ディック短篇傑作選)より
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No.1:
(3pt)

地味な短編集

【小さな黒い箱】
共感ボックスとアーサー教が描かれている「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の原型。今短編集の一番の売りだが、やはり「ブレードランナー」原作にはとうに及ばない。というか、あとがきでも触れられているが、映画では一切描かれていない部分なだけに、映画から入ったディックファンには、どこが「ブレラン?」と思うだろう。サスペンスタッチなストーリー、西洋と東洋のクロスオーバー、テレパスの対決と、物語としてはディック短編の中では秀逸。

【輪廻の車】
前世ではなく後世が覗ける機械が登場。自分が次に生まれ変わるのが虫だと思うと、やはり主人公と同じ思いを抱くだろうけど、目の前に女の子が現れるとついつい目がいってしまうのは男の性で・・・、結局、虫になって悔い改めなければならんのかもしれん。トム・クルーズの熱心さでも有名なサイエントロジーの創設者L・ロン・ハバードと関係があるかどうかはわからないが、作中のエルロン・ヒューという教祖もまた、どこぞの教祖さまのようで胡散臭い。わたしたちが宇宙を構成している一部分に過ぎないのは確かだろうけど。

【ラウタヴァーラ事件】
書籍初収録の晩年の短編。1980年発表だから、最晩年というほど晩年ではない。「神」という概念、「救世主」という概念を、X軸方向とY軸方向から絡み合わせたストーリー。わたしにとってのXは、あなたにとってYかもしれない。そんなパラドックスが楽しめる。宇宙の果てで、脳だけが生き残り、意識下の中で神と出会う。それを研究者たちがビデオ録画していくという、なんともなシチュエーションがディックらしい。

【待機員】
ここから主に政治をテーマにした、というよりは、政治を茶化した物語にシフトする。これで3度目の収録になる「待機員」。マックス・フィッシャー大統領のドタバタを描いた今作。そう好きな短編でもないけど、読めばそれなりに楽しめる物語。スーパーコンピューターが政治を支配するというモチーフは、政治そのものに「人間の情」というものが存在しないという逆説だろうか。TVのニュースクラウン、ジム・ブリスキンって、どうも「流れよ我が涙、と警官は言った」のジェイソン・タヴァーとイメージが混同してしまう。

【ラグランド・パークをどうする?】
こちらも2度目の収録になる「待機員」の続編。比較的、近年の短編集に収録されていただけに再読しても新鮮味はない。この辺りの収録がこの短編集の地味さ加減を冗長している。まったく関係ないけど、都市伝説で「ドラゴン・クエスト」の復活の呪文が未来を言い当てている、なんていうのがあったけど、逆に未来にしたいことを復活の呪文に書き込んだら、さてさてどうなるんでしょうね。

【聖なる争い】
ニュアンス的には前2作に登場したコンピューター「ユニセファロン40D」と類似しているコンピューターが登場する。単純にタイトルから連想して「聖なる侵入」みたいなイメージをもたれるかもしれないが、まったく関係ない。ドラえもんのひみつ道具「バイバイン」って、ここから着想したんではなかろうかと思うぐらい、あるものがどんどん増えていきますが、それと侵略とどう関係あるかは完全に放置されたまま話は終わります。さすがディック。この投げ出した感が好き。

【運のないゲーム】
ここにくると短編集の「宗教・政治」というカテゴリーから若干外れた短編になってくる。これが許されるなら、あの短編やこの短編も収めて欲しかったと思うけど、まあ、後々に続く短編集に入れてくれるでしょう、ということで。考えに考え抜いて購入したものが、大ハズレだったというお話。家電屋さんをハシゴしまくって、一番安くて、一番良さげなものを買ったぞ!と思ったら、3日後に壊れたみたいな。修理に1ヶ月かかるって言われたみたいな。運がないよね。

【傍観者】
汗くさい奴をこの世から抹消しようとしている派閥と、汗臭いのがナンボじゃいという派閥に分かれて、消臭法案をめぐるお話。くだらないと思われるかも知れんが、これが結構、確信をついているからディックなのである。集団的自衛権、TPP参加、消費税増税などの政治論争、わたしは完全に傍観者です。どっちでもええやん、と。それが強硬策に出たら・・・。果ては、とんかつにはソースか?醤油か?みたいなね。とんかつに醤油かけたら逮捕されるってんじゃ、怖い世の中ですやん。味噌はどうなの?なんて言わんといてね。

【ジェイムズ・P・クロウ】
こちらは1999年に刊行された短編集「マイノリティ・リポート」に収録されていた短編。あれから、もう15年も経つのかと思うと、なんだか年を感じてしまう。今度はコンピューターではなく、ロボットに支配されている世界。そこで一人だけ、ヒトが上層クラスでロボットと渡り歩いていた。それがタイトルの人。人種差別、階級差別、勝ち組負け組、パワーハラスメント、この21世紀の世界でも普通に通用する世界が、今から60年も前に書かれていたなんてビックリです。今、本屋さんに並んでいる書籍のどれくらいのものが60年後にも読まれているんでしょう。

【水蜘蛛計画】
「ぶざまなオルフェウス」に通じる楽屋落ちの作品。両方とも1964年に発表された。実在のSF作家ポール・アンダースンが登場する。SF作家たちはプレコグ、予知能力者だというお話だが、さてさてそれがホントになってしまったら、今頃はわたしも宇宙船に乗ってアンドロメダ星雲でドンパチしていたのかもしれん。もしくはコンピューターに支配されて・・・。コンピューターに支配されるねぇ・・・。

【時間飛行士へのささやかな贈物】
このタイミングでこの作品が収録されたというのは、ある意味でトム・クルーズ主演の映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」に当て込んだところもあるんじゃないかと勘繰ってしまう。ディックとはなんの関係もない映画だから、宣伝に使うこともできないだろうけど。でも、だいたい映画原作を巻頭と巻末にもってくるこのシリーズだから、あながちハズレでもなさそうな気がするんだけど、どうでしょうね。自分の葬儀を何度も何度も経験しなきゃいけないなんて、悪夢以外の何物でもないよね。
小さな黒い箱 (ディック短篇傑作選)Amazon書評・レビュー:小さな黒い箱 (ディック短篇傑作選)より
4150119678

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