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鯨の王
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鯨の王の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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日本近海の深海底から未知の鯨類と思われる死骸が発見され、その調査に乗り出す主人公の周りで奇怪な出来事が… と言った陰謀めいた雰囲気を前面に押しだす形で始まっていく本書であるが、そこに珍奇なヒネリや迷走じみたトリッキーな描写はなく、実に読み進めやすい軽妙な筆致で一方の主役「ダイマッコウ」へのアプローチが描かれていく。 手に取った当初の予想に反して、深海テーマに有りがちなハードサイエンスや未知動物に対する冗長な記述は見事に抑えられており、代わりに荒唐無稽で子供っぽいとも思える冒険アクション的な展開を随所に投入していくことで、堅苦しさの取れた楽しい読み物に仕上がっている。 反面、本来ならアクが強いという設定で描かれているはずの主要人物やその背景は非常に平坦で、魅力と印象に薄いのが難点。 各章の振り割りと場面転換にもあまり意味が感じられなく、メリハリと緊張感に乏しい進行は本の厚みに比して読後感に欠ける内容に感じられてしまうのがいささか残念である。 また、上にも書いたようにハード寄りで割とアカデミックな内容を期待していた方には、中途半端でむやみに道具立ての多い話に思えてしまうことだろう。 | ||||
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う〜ん、口惜しいなぁ。 本の帯の推奨文曰く、「深海で繰り広げられる死闘に興奮した」、「読み始めたらやめられなくなる」、敢えて名は秘すが、どちらも冒険エンタテインメント小説を語らせたら信頼が出来る人物たちの惹句とわが国では稀な海洋アドベンチャーとの触れ込みにそそられて読み始めた。 海洋生物学の世界では幻の海獣と呼ばれるダイマッコウが暴れまわると思えたお話にも拘らず、米潜水艦が遭遇するまるでモダン・ホラーのようなゾクゾクするプロローグに、小松左京の「日本沈没」の田所博士を想起させる偏屈で頑徹な鯨類学者の登場、小笠原海溝探索中に発見された巨大生物の遺骨、何者かによる研究所の夜荒らしと序盤は極めて快調なのだが、ここからの停滞が著しい。 巨大製薬会社をスポンサーに自らの夢を追い続ける学者とまだ若き日本の女性パイロット、海底基地ロレーヌクロス、イスラムのテロ組織、米海軍とそれを指揮する冒頭の“事故”で肉親を失って復讐に燃える軍人等、幾つかのドラマが、“幻の海獣”を巡って展開するのだが、これがなんとも冗長なんですね。それなりに個々の人物の内面を掘り下げていけばもっと面白い“ドラマ”になるだろうに、間延びして一向に盛り上がってこない。 “海獣”がその全貌を現した後の最新の米潜水艦とのチェイスはぐいぐい読ませるが、それとて全体のバランスからして1割程度、ダイマッコウが変質化し凶暴になった理由もありきたりで妙に取って付けたようなモノだし、そもそもその悲しみが顕現化されてこないので、彼ら(ダイマッコウ、ね)に感情移入することも、人類(当事者)のエゴに怒りを覚えることもない。 “ドラマ”も不在だし、“海獣”も役不足、“環境問題”へのアプローチも物足らない、著者は書ける作家だと思うだけに残念。 | ||||
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