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(短編集)
回転する世界の静止点
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回転する世界の静止点の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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初期の作品集ということですが、パトリシア・ハイスミスの醍醐味を満喫することが出来ました。 | ||||
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独特の語り口。 生きることの残酷さ、初期ゆえの過敏、凄いなぁ。 | ||||
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若い頃は夢中になって読んだパトリシア・ハイスミス。 み~んな忘れてしまいました。それに読んだといってもよく知られた 小説ばかりだったかと。たまたま初期&中後期短篇集をアマゾンで目にして 先に「中後期短編賞1952~1982」を読んだ後に初期短編集へと。 ようやくというかんじでもありました。 収録されているのは「素晴らしい朝」~「回転する世界の静止点」~ 「ルイーザを呼ぶベル」まで14篇。 まずは「素晴らしい朝」へ。せっかくの引っ越しまでした新しい生活、 一人の少女との出会いも世間というものの常識の前ではあえなく 消えていくというか「~何もかもが崩壊するようなこの感覚が芽生えた。~」 そして又他の街へと。「解説」によると、この作品は何度も没になったそう。 完成した原稿では、主人公アーロンはハイスミス的ヒーローの初期モデルに なっているとの記載あるも、当方にはよくわからず。 「解説」は読まないことにしましょ。 次々読んでいって最も面白かったのは「カードの館」かな。 通常なら本物の絵を落札するところ主人公は贋作のみ。本物はいらない。 贋作ばかりを生涯集めてきた。それも本物と間違えられるような一級品?の贋作を。 こういう世界があるの初めて知った。現実にあるのかはわからないけど。 ありそうって思わせてくれるところが、小説なのかも。 主人公は戦争で爆弾に吹き飛ばされ、髪はカツラ。手も足も半分技手義即。耳も片方は 拵えもので右目も義眼。歯は日本人が治してる。パッと目はわからない。 お金に不自由はなく自身たっぷり。それがあえなく贋作だから本物より高く落札した絵が まさかの本物だったとは。自信喪失するがそこで知りあった一人の女性に「自分が握っている この手は英雄の手・・」と告げられ、きっとこの二人うまくいくだろうなって よかったねってほっとしたり、かんけいないけどね。 主人公のリュシアンって自分がほんとの人間から離れた贋作みたいなもんだって思っていたの かしらんって、チラリと思いました。これも又かんけいないけど。 「広場にて」読みながら、あっ「太陽がいっぱい」みたいって、貧しくハンサムな少年が 富豪の女性をたらし込み、うまく這い上がりのし上がっていくのに最後は破滅。 「自動車」も最後はひどい。そこに至るまでが、あれよあれよという位の不幸の連鎖を 冷めた目でつきはなしたように乾いたタッチで描けるハイスミスって、やっぱりすごい。 タイトルの「回転する世界の静止点」も面白かった。 「~その小さな公園はまるでエメラルドの島のように輝いている~」その静かな公園で 昼間の30分間だけ密会する男と女。それをみつめる子供を遊びにこさせてる主婦。 女にも子供がいる。主婦と女の住む世界は違う。要するにボンビー族と金持ちの構図。 だから子供たち同志が仲良くなることを好まない。好んでも好まなくても子供たちは 仲良し。女と男も恋人通し。愛しあっていることが主婦には見ていてわかる。 あと3ヶ月経ってお金が貯まったら離婚して・・・それまであと24回密会を重ねる。 (「この公園は回転する世界の静止点だ」彼は静かにそう言ったが、畏敬の念のこもった その声は揺るぎがなかった。~) 主婦はもう二度と子供を公園へは行かせない。 「スタイナク家のピアノ」面白かった。姉妹の愛や憎しみや嫉妬がこんな形で妄想を 生むのか、これこそがハイスミス的世界なのかもと思ったり。ところが 最後の「ルイーザを呼ぶベル」は雰囲気が又違う。一生懸命働いてきた女主人公は 隣人の病気で会社を休むことに。それはもう一心不乱に病人を看る。疲れ果てていた時 会社の上司から堂々たる白い薔薇の花が届く。封筒を開けると「会えないことを淋しく 思っている者から敬意を込めて。」「~夕食でも一緒にどうですか~」とあり ~主人公は泣き出した。だが、「~自分を憐れんでいるのかもしれない。だから 泣くのをやめようとした~長いあいだ花束をもらったことさえなかったのだから~」 色々葛藤しながらも、彼女は疎遠になっていた弟や姉に何かを送ろうとおもう。 そうなんだ。ひとにやさしくされると、自分も又となるのが、にんげんなんだろうよ。 パトリシア・ハイスムスってもしかしたらルイーザみたいなひとに近いのかななんて 読みながら一瞬思いました。ルイーザさん、どうぞ上司とうまくいきますように。 最後の短篇がほっとする話しでおわっていてよかったって、これってトシとっちゃった せいか、そうおもうのであります。 | ||||
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日常にある、ちょっとした分岐点に起こる、怖い話。 といっても、すごい事件とかになるわけでもなく、読み終わった後に、じわりと心に何かが浮かんで来る感じ。怖いと言うよりも、モヤモヤとした薄気味悪さ、といった感じです。 好き嫌いがハッキリ分かれる小説家も。 サイコホラーを期待すると、たぶんガッカリするでしょう。 でも、はまる人ははまりそう。 そんな味わいのある作品でした。 | ||||
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日常にあふれるさりげない悪意ー嫉妬、差別、傲慢、吝嗇、見栄などによって、 いまよりもほんの少し満たされた生活を送りたいとあがく登場人物たちのささやかな夢を、 静かに、しかし確実に砕いてしまう物語が十四編。 それは’40年代だけでなく、いま現在もわたしたちの周りにありふれている光景である。 それよりもまだ時を遡る、T・S・エリオットの「回転する世界の静止点」という言葉が、 作家の創作意欲を掻き立て、わたしたちの読書欲を満たすことにもまた驚かされる。 冷酷なほどの魅力ある長編の片鱗が、多様に伺える一冊。 | ||||
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ここにあるのは灰色の日常です。救いもないかわりに、決定的な破滅もなく、ただ繰り返される日々が、時折ひび割れて「特別なこと」が覗く。でもまたすぐに閉じてしまう。絶望すらもそこでは虚ろな灰色をしている。 淡々と薄暗い色調の短編集です。世界の閉塞した今この時代に、1940年代のその空気が、こんなにも似つかわしい。名作です。 | ||||
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