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(短編集)
The Indifference Engine
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The Indifference Engineの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
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現在進行形な 未来 が垣間見える | ||||
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The indefference engine の主人公エンツァは子供の頃に激しい内戦の中で親きょうだいを殺されて、それから少年兵になった。憎しみを抱く彼にとって殺戮は正義だ。しかし国連軍がやってきて、内戦を終わらせるため子供たちにある治療を行う。子供は与えられた環境の中でしか生きられない。厳しかろうが残酷だろうが受け入れるほかはないし、大人が良しとする治療や教育も拒否できない。しかし彼は直感的に、自分にとって何が正しいかは知っている。大人は僕らに戦いを教えた、そして平和になることを望んで僕らを作り変えようとした。僕はいったいどうすればいい?そして全てを受け入れた後で、彼はひとつの決心をする。 見てきたような切実さで、もしや自分の経験じゃあるまいかと疑うくらいのレベルだ、もちろんそんなはずはないけれども。もうこの短編を読んだだけで、なんと惜しい人を失ったかと残念でならない。 | ||||
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■「The Indifference Engine」 ■生まれた時から、家族の殺戮に立ち会い、復讐のエンジンで、「敵」と定義されるモノを、排除(殺人)したいと思う少年兵。彼らは、排除のための道具であるAK銃が、いつも手元にないことにイライラしている。彼らが、運よく生き残れば、彼らは「少年兵」とは呼ばれなくなり、「戦士」となる。「少年兵」で人生を終えたのは、運が悪いか、「敵」と向かい合った時に、躊躇なく、反射的に、引き金を引くことをためらった者たちである。結果、「戦士」には、殺戮をためらわない者たちが残りやすい。彼らが、次世代の「少年兵」の手本になる。家族ではなく、「戦士」に育てられる社会の連鎖。IS(イスラム国)という疑似家族が、世代をまたぐと、集団に何が起きるのか? これは、もはや、計画=予言ではなく、現実であり、現実に追い越された計画=予言である。 ■この本が秀逸なのは、ルワンダにおける現実のジェノサイドの記憶、フツ族とツチ族の対立をモデルにした表現である。主人公である語り手の少年は、紛争終結後に、アメリカの停戦組織から、他民族を憎悪する洗脳状態を解除するための外科的?な心理的プログラムを受け、「誰が敵であるか、見分けがつかなくなった。だから、誰を殺していいのか。誰に襲われるのかが、わからなくなって危険だ。」と、まことしやかに言わせる。しかし、本来、現実として、そもそも、フツ族とツチ族同様、あるいは、ホロコーストのユダヤ人同様、「身かけ」で、民族を判別するのは困難だ。つまり、この主人公には、「事実」と「価値判断」を分ける基準が喪失しているのだ。生まれながらにして、宗教的、政治的な教化環境の中で、特定の「価値判断」を圧しつけられ、身近な家族を殺されて怒りや復讐心を煽られた「人間」が、ありのままの「事実」に照らして、共生の「価値判断」を喪失したまま、漂流している。そのような主人公が、たんたんと描かれているのだ。 ■この漂流世代こそ、大量の難民を生んだ「20世紀」の、「21世紀」に引き継ぐ「負の遺産」である。しかも、その「遺産」こそは、まぎれもない「かけがえのない人間」であるべき存在=個人のはずなのだ。彼らを、どう「個人」に戻すのか? しかし、彼らが、すでに「個人」であることも、たんたんと表現されている。彼らの知性やエモーションは、われわれ、現代日本に暮らしている読者に、理解できないものではない。簡単に人を敵と認知したら、迷いなく殺せる行動原理以外は。この殺人の違和感さえ、戦場においては、われわれ現代日本人における特異な論理/価値判断からくる特異な「事実」の味方であり、貧困や紛争地帯にいる大多数の人類の現実は、むしろ主人公のそれに近いのではないか。そんな「危うさ」すら、作者は、少年のエモーショナルな筆致で突きつけてくる。 ■この世界は、どのようなパーツでできているのか? そんなことを考えているうちに、パズルが台紙ごと地に落ち、台紙が消え、バラバラになったパーツのみが、散々に残った。そんな21世紀の貧困や紛争地帯の事実を、現代日本の世界観に染まった「意味の重力」から自由になり、世界の「事実」をフィクションという形で写し取ることのできた著者の偉業に感謝する。この恐怖と希望に満ちたバトンを受け取った読者である一人一人が、「人間」として、一人の「個人」として、特定の「社会人」として、どこを、どのように走るのか。それを考えさせる、恐るべき「短編」である。 ■これらのパーツの線上に、一断「面」としての長編「虐殺器官」が描かれている。まさに、すでにこの世を去った著者挺身の一冊である。この少年を、人工衛星の目線で空爆しても、世界の悲劇の連鎖は終わらないことは、もはや自明である。平和を。共生を。 | ||||
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本作は夭折の作家、伊藤計劃(1974 - 2009)の短編集で、以下の作品を収録。 「女王陛下の所有物(On Her Majesty’ s Secret Property)」 「The Indifference Engine」 「Heavenscape」 「フォックスの葬送」 「セカイ、蛮族、ぼく。」 「A.T.D : Automatic Death episode 0 : No Distance, But Interface.」(作画;新間大悟) 「From the Nothing with Love.」 「解説」(円城塔との共作) 「屍者の帝国」(未完の遺稿) 本書所収の短編やコミックには、“意識” や “言葉”、“歴史” についての考察、“第三世界”における惨劇など、『虐殺器官』、『ハーモニー』、『屍者の帝国』(円城塔との共著)といった伊藤計画の長編小説に通じるモチーフが散りばめられています。とくに「The Indifference Engine」「Heavenscape」「フォックスの葬送」の世界観は『虐殺器官』と直接的なつながりを感じることできるでしょう。もちろん、いずれの作品も優れているので、それらの長編を読んでいなくても充分おもしろい。 「女王陛下の所有物」と「From the Nothing with Love.」の2編は「007」シリーズのパスティーシュ。なにより「ロシアから愛をこめて」をもじった「From the Nothing with Love.」は本書中もっとも完成度が高い。作中では、原作小説やその映画シリーズにおいてジェームズ・ボンドが様々な時代に、そして(配役を変えて)様々な容姿で活躍してきた歴史が、伊藤独自の批評的な視点から再解釈されています。そこに『ハーモニー』にも通じる、作者お得意の “意識” の問題がからめて描かれます。 長編小説を読んでから本書に入ろうとする方にも、本書を長編小説を読むきっかけにしようとする方にも、伊藤計劃のエッセンスがつまった良作であることは間違いないので、おすすめです。 ※kindle版には、評論家・翻訳家の岡和田晃の解説は収録されていません。 | ||||
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本は基本読んだらそれまでだけどこれは何度も読み返しちゃうな。 | ||||
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この短編集は素晴らしい。すべての短編を解説したいくらいだが、本当にそうするとまとまらなそうなので、特に一押しの「From the Nothing, with Love」について。 ネタバレにならない程度のあらすじ。主人公は007でおなじみジェームズ・ボンド。彼の「出生」に関係するある研究で、その関係者が立て続けに死亡する事件が発生した。最高機密である研究の妨害を企てる者がいると判断したMI6は、ボンドに内密の事件捜査を命じるが・・・。 わずか59ページながら、すごい密度だ。彼の遺した3つの長編にも見られる「この物語が語られる意義」「単なる内輪ネタに終わらない設定」「モノとしての脳」などの要素が、この時点で網羅されており、かつ完璧に編まれている。 冷戦の時代からテロの時代まで今なお語り継がれる007というシリーズを、SFにしかできない視点で語り直す。この短編を読むためだけでも本書を購入する価値は十分にある。 | ||||
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伊藤 計劃氏の作風が好きということもあるが、短篇集モノでは一番好きな本である。 短篇集ということもあり、混合色である灰色がタイトルなのでは。 作品に関しては、どの作品も作者の味が出ていて、面白い。 最後の作品については、遺稿という形であり、完成が残念ではあるが、それでも光るものがある。 今まで見てきた作品にはない新鮮さがあり、是非最後まで読みたかった。 (別の作家様が補完なさっている) | ||||
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これを読む前に、「ハーモニー」と「虐殺器官」を持っていましたが、 それらは世界観の説明が多くかったり、黒かったり、かなり読み進めなきゃ核心にたどり着けないなー。と、途中で、著者への興味を失いかけていました。 そんな折、なんとなく立ち読みしたのがこの本で、かなり読みやすく、買う前にかなり読みふけってしまいました。 元ネタが必要なものも1作、2作入っていましたが、十分に楽しめましたし、この著者をここから入っても問題ないと僕は思います。 著者を信頼できると思えたので、長編も読み返してみようと思います。 | ||||
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初めて伊藤氏の作品を読みました。 前情報なく、手軽な短編集から読んでみようと思い手に取ったのですが、 読み始めて早々にこれを一冊目に選んだのは失敗だと思いました。 短編の半数は何かしらの作品のオマージュ、パロディと言ってよいものであり、 そのオマージュ元をそれなりに知っていること、 また元の情報を全く知らない方がこの作品を楽しめるだろうか? と言う疑問が常に頭の隅にあったことから 純粋に伊藤氏の文章として楽しむことが出来ませんでした。 お話自体はどれも面白いです。 オマージュも独特な切り口で書かれており、元を知っている方こそ楽しめる内容です。 だからこそ他のオリジナル作品を読んでからこの作品を読みたかった。 この後「虐殺器官」を読む予定なので、そちらを読了してからもう一度読んでみたいと思います。 | ||||
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引き込まれるような世界観。すばらしいエンターテインメントでありながら、SFならではの思考実験の先に人間とは何かという重いテーマが横たわっています。彼の新作が読めないのがつらい。 | ||||
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死者の再生をテーマにした From the Nothing,With Love. と屍者の帝国が面白い。後者は円城塔氏が完結させたが(未読w)やっぱり伊藤版を読んで見たかった。 | ||||
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まず初めに 私はまだ手放しで彼(伊藤計劃さん)を迎い入れる事が出来ていない。 まだまだ「伊藤計劃」という人物を知る必要があるし、もっと理解していきたい!という欲求もなお尽きていない。 きっと「分かる」人には分かるのだろうけれど 残念ながら私はその「分かる!」の境地にはまだ立っていない。悔しい。 さて今回の著書「The Indifference Engine」 は9本の作品から成る短編集。 「女王陛下の所有物」 「The Indifference Engine」 「Heavenscape」 「フォックスの葬送」 「セカイ、蛮族、ぼく。」 「A.T.D:Automatic Death■EPISODE:0」 「From the Nothing,Wich Love.」 「解説」 「屍者の帝国」(冒頭21P) そして 「解説/岡和田晃」(これが本書に対する外部からの解説です) 私見 とりあえず「虐殺器官」「METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS」「ハーモニー」 以上計劃三部作は全て抑えておいて欲しいところ。 もしくはどれか一冊は読んでいて欲しい。と思いました。 この短編集は短編それ自体でも十分に楽しめる(とは言っても読み手を選ぶ作家さんだとは思いますが…。笑)物に成っていますが、やはりどれかを読んでいて、その上でこちらの短編集をお手にされるのが無難かと思います。 私は伊藤計劃さん同様、小島秀夫監督作品に多大な影響を受けていますので 短編「フォックスの葬送」は読んでいて、計劃さんのメタルに対する愛情がもの凄く伝わり 胸が熱く成りました。号泣こそしなかったものの、心の中ではそれくらいの感動を覚えました。 それくらい私には応えました。 一連の「メタルギア」サーガをゲームでプレーして知っている人ならば この「フォックスの葬送」一編だけの為に買う価値有りです。 もちろん他の短編も実に興味深く、読んでいて楽しめました。 私にはまだまだ彼を語る資格も無ければ、それ相応の知識すらありません。 これはかなりの咀嚼時間を必要としそうな作家さんに出逢ってしまいました。 初版 2012年3月15日 発行 さあ、行進しよう。 ぼくらは歩く。 戦争はまだ、終わっていない | ||||
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正直、この著者のこれまでの、国際テロリストだの本書表題作の少年兵問題だのと言ったテーマに馴染めず、スゴイと思いながらもあまり好きになれなかったが、「From the Nothing, With Love」だけは感心した。日本SFには少ない、哲学的思考実験SFの可能性を感じたからだ。心の哲学で言う哲学的ゾンビの話とロラン・バルトに発するテクスト理論をミックスした傑作だ。でも、突っ込みどころ満載でもある。天才的スパイの人格を書き込まれた4人目の人物である書き手にすでに「意識がない」ことを、プロジェクトの研究者に看破されるという話なのだが、そのきっかけと言うのが、書き手の記憶が虫食い状態というのでは、哲学的ゾンビの話にはならない。意識の有無が決して他者には分からない、というのが哲学的ゾンビのアポリアなのだから。 | ||||
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短編集でも、伊藤の”意思”はひしひしと伝わってきます。 そしてまさかの、”屍者の王国”刊行というおまけもつきましたから、 遺稿で終わらないのが、素晴らしい。 もう、新作を読めないのはとても残念ですが、 残された我々が、その”意思”を拾い集めていくために。 | ||||
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本書は、「伊藤計劃記録」等他書で掲載されたものが多い。筆者の小説を読む分には本書の読了はさほど必要ないかもしれない。 しかし、あまりに少ない著作のすべてを読んでもたかが知れているし、彼の姿を脳裏に描く一つのピースとして、重要であると思う。 | ||||
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伊藤計劃の片言隻句をも読む。 著者のファンとしては買わねばなるまい、 というのが偽らざる心境である。 | ||||
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『虐殺器官』『ハーモニー』と、丁寧な筆致で独特のSF世界を築きながら惜しくも夭折した作家・伊藤計劃の中短編を編んだ一冊です。 寡聞にして存じませんが、一部はゲームソフトの物語世界を踏襲した作品のようです。 私のお気に入りはなんといっても表題作。 アフリカの一国を構成する二つの民族間の血で血を洗う抗争の果てに、融和の機会は果たして訪れるのか。そのために伊藤が仕掛けたSF的仕掛け「公平化機関(The Indifference Engine)」は、90年代のルワンダで実際に展開されたツチ族・フツ族間のジェノサイドや中南米での少年兵の問題を聞き知った私たちには、強く希求したくなる装置です。 「歴史ってのはな、戦争のために立ち上げられる。それだけのもんなんだ。歴史があるから戦争が起こるんじゃないぞ。戦争を起こすために歴史が必要なんだ。奴らと俺たちは違っていて、奴らと戦わなきゃいかんだけの理由をひねり出すためにな。」(65頁) この言葉が奇妙に胃の腑に落ちるのが分かって、物悲しい気持ちにとらわれます。 背筋が凍る事態を描きながら、どこか笑ってしまう掌編は「セカイ、蛮族、ぼく」です。 伊藤は開巻一番、「遅刻遅刻遅刻ぅ〜」と叫びながら食パンをくわえて走る女子高生を登場させるのです。こうした日本のテレビやアニメが安易に用いるステレオタイプを徹底的に笑いのめしたうえで、この少女を主人公がばっさりと餌食にしてしまうという展開には、ニヤリとさせられます。おまけに遠く離れた今あるローマ帝国に強い憧れをもつ、携帯世代のヨーロッパ北方の蛮族である主人公という、時間を大いにねじった世界の広がりに楽しく惑乱させられる物語です。 | ||||
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読みやすいのに、気がつくと現代の時代感覚に囲まれ、強烈なスピード感に押し流されていた。自分にとってはモナリザオーバードライブ以来の衝撃。 | ||||
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表題作の「The Indifference Engine」や「屍者の帝国」などは「伊藤計劃記録」にも掲載されており重なりも多いようですので、そちらを読んだ方からすれば目新しいものは少ないかと思います。それでも、この表紙のデザインは、同じく文庫版の虐殺器官(黒)とハーモニー(白)と並べたくなるので購入してしまいました。 なお、どちらかと言えば「虐殺器官」的な殺伐とした雰囲気が近くなりそうだった「屍者の帝国」の続きを、円城塔さんがどのように記述するのか楽しみです。同時代にSF作家としてデビューした二人で伊藤計劃さんとは盟友だったそうですが、円城塔さんの文体や本質的に書きたいであろうことは世界観やストーリーの作り込みとは真逆というほど離れていると思います(比較的SF色の近いSelf-Reference ENGINE (ハヤカワ文庫JA)を読んでの印象)が、そのような批判は百も承知で、project itohを引き継いだ円城塔さんの意志をまずは尊重して「屍者の帝国」の続きを楽しみにしたいと思います。 | ||||
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伊藤計劃記録に基づく短篇集と未完の長編「屍者の帝国」の文庫版。 007シリーズや小島秀夫監督作品のメタルギアシリーズへのオマージュや「虐殺器官」のスピンオフが収録されている。 私が今まで読んだ中で、これ程までのボリュームのある短篇は知らない。 高校時代、「虐殺器官」「ハーモニー」を読了したあの時の衝撃を文字にしなかった事が悔やまれる。 そして何より、これだけの作家がもういないという現実も… フィクションとしてもウィットに富み、自身の嗜好を凝らした表現だった。 伊藤計劃氏の作品はSFというジャンルだけには到底収まらない。 政治・経済構造の変化、情報化社会の行き着く先、人間の真理、9・11以降のゼロ年代…もしかすると3・11以降の本質を予見した類稀な存在だったのかもしれない。 ここに至って、小島秀夫氏が驚嘆した理由が漸くわかった。 伊藤さん、貴方がもういないことが本当に残念です。今年で三周忌となる、稀代の作家の軌跡がとても愛おしいです。 円城先生、どうか「project itoh」のミームを完成させてください。 追記・文庫版「虐殺器官」の表紙は黒一色、「ハーモニー」は真っ白。 そして、本書は灰。 「いいセンスだ。」 | ||||
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