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回想のビュイック8
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回想のビュイック8の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.13pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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俺はスティーブンキングの作品を愛読してきた。単に愉しんだだけならほとんどすべて、皮膚の下に手を突っ込まれ、内臓や首筋の神経を直になぶられるような、他の作家では味わえないような読書体験を得たことも何度もある。 キングはエンターテナーを自認しているからこちらも義理堅くならずにいられる。キングは老い、枯れた。 全盛期のキングはすばらしく刺激的な外宇宙とこちらを結ぶ受信機そのもので、その作品には尋常ならざる現実味があった(矛盾をはらんだ表現かもしれないが)。比類のない、薄気味の悪い題材を扱っているにもかかわらず張り詰めたそのリアリティは、時がたつのを忘れさせてくれた。 と、ここまで書いて気づいたが、この作品にも確かにそれらはある。薄気味悪い題材、あたかもそれらを見てきたかのような緻密な描写が醸し出すリアリティ。しかしこの作品はつまらない。結局のところどうすれば面白い物語をものにすることができるのか、それがわかればキングもこのような反吐にタイトルまで付けて世に出すことはせずにすんだだろう。 昔語りがメインになるこの作品、作中の語り部は次第次第に聞き手の若者への立腹を募らせていくが、俺にはそれが、過去の作品が感じさせてくれたような刺激を飽かず求める読者への、そしてそれにもはや応える手立てを失ってしまった自分へのキングの憤懣が重なって仕方がない。 とはいえ、キングの作品をたくさんの人にお勧めしたい気持ちは強くある。ドロレス・クレイボーンとこの作品はかなり読み通すのがしんどく、骨の袋もちょっぴりしんどい。それ以外の作品なら本好きならハズレということにはならないはずだ。あと、ITは代表作ではあるが、過大な期待はマイナス。あれはかなりマニアック。ミザリィは間違いなく傑作、痩せゆく男もそれに近い「触れている」作品だが、人によっては構成が受け付けないかも。ペットセマタリー、ダーク・ハーフ、ファイアスターターあたりがすんなりと入りやすい(ホラーを、ということであればペットセマタリー)。ミザリィを読んで、内面の狂気系おかわりということであればゴールデンボーイをお勧めする。 蛇足ながら・・・ 俺は文庫版を手に取ったのだが、裏表紙の評文?というのか?いくらなんでもあおりすぎで、売らんかなの助べえ根性に見事に引っかかった自分がいやにもなったが、出版社のモラルを問いたくもある。小僧みたいなこと言わせてもらうけど、お前ら本が好きで仕事してるんだろ。絶品だの絶妙の開幕だの、過去のキング作品の魅力知ってたら絶対にこの作品に使っちゃダメな言葉だろう。読者がっかりするのわかりきってるだろう。それともそういうアオリ文句を避けることが読者として目が肥える、ってことなのかな。空しくないか? | ||||
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だが、俺はこれを圧倒的にキング自身(および読者や批評家、出版業界といった周囲の環境も含めて)についての現況報告と回想録として読んでしまう。そういううがった見方でもしないと退屈すぎ。 キングは着想から物語の完成までの、執筆そのものを題材に織り込んだ作品を折々に発表している。それらの作品のなかで批評家に毒を、それよりもはるかにマイルドな毒を「着想をどこから得るのか?」「自分の作品を怖いと思ったことはあるか?」といったおきまりの質問しかしてこない、せいぜい熱心な本好きにとどまっていたほうが身の為といったファン兼作家志望の人々に対して吐いてきている。また、自分のキャリアがどのように語られようとも、主流−現在まで長らくその座を保持してきたのは、ざっくばらんに言ってしまえば最新の政情や武器や医科学の情報がふんだんに盛り込まれたクライムサスペンスということになるだろう−たりえないことももらしている。キングは物語はあくまで物語であってそこにフィルターをかけて解釈するようなことは愚の骨頂とあきれるだろう、しかしこの作品で繰り広げられる語りにはそういった彼の真情を読み取らざるをえない。 《ネタバレ注意》 四辻で出会った悪魔に魂を売り渡したブルーズマンじゃないが、異世界との交点としてところの、ビュイックであってビュイックでないこのものは創作において何らかの機能を果たすもの、端的に言えば才能であり、「オイルはきれいだ!」といい残して掻き消えた黒衣の男は、全くケイオティックに才能をどうにかできてしまう(あるいはしなくてはならない)悪魔ってところだろう(これは悪魔にとっても疎ましい仕事なのかもしれない)。 この作品を読んでいてまず気になる点は、間歇的に異界から送りだされるものが、あまりに矮小で、短命なことだ。 作中で価値あるものは、分署の身内の安否だけで、それが危うくされるところが物語のただひとつの起伏としての要素なんだけど、だったら警官だけを執拗に狙う、そしてその犯人のいびつな動機に新米が絡めとられていくようなリアルなクライムサスペンスを読めばいいわけで。キング作品を読むからには異界に精神的に囚われて、ついには肉体をそちらに自ら送り出してしまう強迫観念(それを引き起こすのも「うなり」とか「頭の中に聞こえてくる声」とか・・・キングじゃなければ失笑ものの)だけじゃなく、異界からもたらされるものがなにか日常にしみこんでじわじわと人々の正気を犯していくような話を運びを期待してしまう、それがないとあまりにもアンバランスだと感じるのは俺だけじゃないはずだ。 しかしこの作品では、異界から送られてくるものは、悪臭を放ちつつあっという間に腐食したり、証拠物件として袋に入れられ地下牢のような小部屋にしまいこまれたり、やがては単に焼却処分にされてしまうほどのぞんざいな扱いを受けるまでに貶められる。唯一の生存者?も警官的であるよりもはるかに原始的なリアクション、発作的なリンチによってたちまち惨殺されてしまう。 俺にはこれが、なんだかキングのあまりにも自己否定的な過去の清算のように思える。 こういう見方をすると、作品のすべての要素が象徴的に見えてしまうけれど、蝙蝠めいた生き物なんかはその最たるものだろう。 後年モダンホラーの帝王と呼ばれることになるキングだけど、結局お前の書いてるものは何なん?動物?トリ?ホラー?ヒューマンドラマ?サイコスリラー?SF?中途半端なんだよ!という内外の葛藤は常にあったはずだ。しかも最大の支柱であるホラーというジャンルは少なくともキングのキャリアスタート時点では傍流もいいところで格調高い作品、つまりホラーと銘打ってはいても実際は俗物のためのブンガク作品、の需要はそれなりにあったかもしれないけど、娯楽となるとそれは一般のオトナからすればもう蔑視の対象でしかなかったのではないだろうか。その道なき道を筆一本で切り開いてきたキング。マイナーなジャンルを主戦場にせざるをえなかったものにとって盛者必衰の理の酷薄さはひとしおだっただろう。ただそこには、メインストリームの作家と読者にはない「あなたでなきゃダメなの!」的なつながりがあったことだろう。 そしてここからは鶏が先か卵が先かという話になるが、作品に勢いはなくなり、ファンの声も昔の作品を懐かしむ類のものが多くなってきた。確かに俺が身をおいているジャンルはマイナーかもしれないが、俺ほどファンを愉しませているやつはそうはいない、いてたまるか!という自負はそのまま重い十字架になったはずだ。 一方で日本のコミックブームの少なからぬ影響力は、世界中にエコーとなって響き渡り、近年では洋ドラでも異能力ホラー・SF・ファンタジーは、もはやブームに左右されない定番となり、それらは文化の中で不動のレギュラーの地位を確立したといっていい(まあ紛争地帯を除く世界が幼児化させられているのかもしれないが)。マイナーなジャンルが脚光を浴びるのは大いに結構なことだけど、実質は変わってなくて、アイドル露出装置が俗悪なものへとどんどん仕様が変更されたってだけで、キングからすれば金の流れが変わった今こそドカンと派手に本物の花火を打ち上げたい、しかし・・・この作品で、俺が最後に受け取ったメッセージは、「おれ、そっち方面は枯れたっぽいわ^^まだわかんないけど、そういうことにしといて、頼むよ。でも書きたいことはまだあるから、そこんとこヨロシク」というあっけらかんとした開き直り、達観だ。 たしかに悪い意味でキングにしかかけない作品の冗長さ、退屈さに触れるくらいなら、ひとまずホラーやサイコスリラーの思い出は脇において、キングの新境地を先入観なく愉しみたい。ただ今回のこれに関して言わせてもらえば・・・面白くなかったです^^ | ||||
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ふつうだったら★3でもいいと思います。 話が過去と現在を行き来しながら 主人公である少年の 死んだ父の知られざる過去と 恐ろしい出来事にまつわる話を ひもといていく、という内容ですが キングにしては 緊張感やスピード感がやや薄い感じ。 私はキングのあのぐいぐい感が好きなので どちらかというと静かに進行していくこのような 感じは、他の作品に比べ「うーむ」という感じ。 語りはすごく丁寧で、描写もいいんですけどね。 あまり恐怖感がリアルにこないというか。 これから下巻。まあ期待してます。 | ||||
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キングお得意の、ホラー+哀切ストーリー。 どこか懐かしい匂いがするものがたり。 この本のすごいところは全くオチが読めないとこかな。下巻でどう転ぶか、全然検討がつかない。D分署のビュイックは結局なんなのか…。 展開が遅いのと、ビュイックがらみの描写がキモイので★2個です。 | ||||
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グリーンマイルや塀の中のリタ・ヘイワースに感動していました。この本の帯にも「そんな人にはお勧め」みたいに書いてあったので期待して買いました。上下巻読了して感じたことは・・・?「だからどうしたの?おちはないの?はぁ?」この作品ははっきり言って駄作です。この本を読む時間のある人は別のことに時間を費やすことをお勧めします。 | ||||
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作者が瀕死の交通事故から復帰してから発表された作品。満を持して、というには話が膨らまない。 自身も認めているようにキングという人は書きながら筋書きを考える。あとがきから読みとれるように本作は基本的にワンアイデアストーリーであって、長編にする必然性はプロットにはない。 ただ、これは作品の欠点にはなりえない。ってのも、それこそが同氏の傑作に共通する特徴で、筋は単純だけどディテールの書き込みによってリアリティと緊張感が連動してたかまっていくというのがキングの持ち味のはず。 本作ははっきり言って冗長。理由は、膨らんだ字数がプロットを盛り上げるために費やされているのではなく、ペンシルヴェニアという独立13州のなかのしかもアーミッシュが住んでいる州西部の土地をモチーフにアメリカ人の郷愁を誘うために費やされているからかと思われる。 味付けは、市民としての誇り、警察官の職業に対する誇り。 我々がキングに期待するのはホラー、またはヒューマニスティックな感動であって、周囲360°地平線が見えて町のほとんどの人が顔見知り、といったアメリカの田舎風物への共感ではない。 じゃあ、アメリカ人には面白いのかってえと…そうでもないみたいで、レビュー読んでも皆同じような感想を述べてる。ReviesOfBooks.comが、味も素っ気もなく「典型的なキングのホラーではなく、彼の代表作でもないだろうが、大方のキング・ファンには楽しめるかもしれない」と苦しくも無難な評を記しているのからも推して知るべし。 叙情に訴える記述に走るあまり、ホラーとしても成長譚としても中途半端になってしまった本作は他の作家ならともかく、キングにあっては失敗作と呼んでよいのでは(あっ、言っちゃった…)。 帯で煽りまくった新潮社はJAROに駆け込まれても抗弁できないと思う。 | ||||
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上下2冊、いつ盛り上がるのか?いつ我々をつきおとしてくれるのか? いらいらしながら読むと、最後までその調子!! どうしたスティーブン、ほとんど警察署の中?で完結してしまう全く動きのない小説。彼の作風の中ではこの手のものが他にもあったが、こりゃあひどいよ。あえて筋書きは書かないけど、ホラー?SF?おとぎはなし? 久しぶりに駄作を読んでしまいました・・・マニアの方はどうぞ、スティーブン・キングをはじめて読む方は、これはやめて下さい!! 「ドリームキャッチャー」あたりから入ったほうが良いと思います。 | ||||
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アメリカの片田舎の警察署に、突然やってきた車…。不思議な現象が次々に起こり始め…過去と現在が交錯しながら物語は進んでいくのだが、どうにも話しにのめりこめない。内容があまりにも非現実的なせいもあるが、登場人物の台詞の随所に出てくるアメリカン・ジョーク(?)にもなじめないし、訳がよくない。原文に忠実に訳したのだろうが、不自然な文体が多いし、登場人物の名前がニックネームやフルネームが混じりあって混乱してしまう。話の流れを飲み込むために何度も前の頁に戻っているうち、すっかり練達の語り部キングから引きずり込まれ損なってしまった。いくつかのシーンは映像にすればすっきりとわかりやすくなりそうだが、そうなれば私はきっと笑ってしまう。笑いはこの物語にもっとも似合わないのだが…。 | ||||
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