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怒り
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怒りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全130件 81~100 5/7ページ
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他人を信じるとはここまで悲しく壮絶な一人相撲なのか。 テレビの公開捜査という、私たちには次の番組が始まるまでの繋ぎの番組 でしかないようなものでも、もし、身近に似た人がいたら...?しかも相手は 何らかの過去を持っている。はじめは笑い飛ばすかもしれない。だが、確かに 共通点がある...。 そういうときに、相手に切り出せるだろうか。しかし本当に殺人犯であったなら。 惹かれている相手なら、なおさら悩むであろう。簡単に相談できずに、一人孤独に 戦う彼らの心理描写はまた、読者の心理描写でもある。 信じたいのに信じられないなんてチープなフレーズに終わらない。緻密な心理描写 で読者をぐいぐい惹き込んでくる。相手の些細な動作、しぐさ、特徴...。これらが 絡み合い、そして少しのずれのためにまた起こる悲劇。 他人を信じる―その凄まじさを教えてくれる本である。 | ||||
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「悪人」以来の読後感。たまらなくて、憤って、「なぜ」「なぜ」を繰り返す。 ☆一つの人はきっと勘違いをしているのだろう。 これはミステリー小説ではない。犯人の謎や動機を追って真相に迫る小説ではない。 「愛した人が、犯人かもしれない」という不協和音が鳴り響き 形のない、不確かなものと向き合い「人を信じる事」の弱さ、脆さ、強さを描いたヒューマンドラマだ。 全部を信じようとした人間にすら、「本当に信じようとしたのか?」「本当は疑っていたんじゃないのか?」と問い直す残酷さが読んでいて辛い。 帯に書かれたコピーが秀逸。 「私を裏切ったのは、誰だ?」 「私」が全員にかかっている。 後半、一番脆いと思われた人物が一番強く動き出す。全く救いがないわけではない。 ジャンル的には関係ないが、映画の方の(小説ではない)「桐島、部活やめるってよ」を思い出した。 「山神一也」とはなんだったのか。 不確かなものに、心が揺らぐ。 ただ、この感情を上手く言葉にできない作品なので、きっと映画版では批評が必要だなと思った。 | ||||
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三本の柱で話が進んで行き、それぞれの世界の中に自分も入っているように、物語を読み進められます。 上巻を読み終えたときには、正体の分からない人間への薄気味悪さと共に、なにをもってその人間を信じられるようになるのか、との問いが生まれ、すぐに下巻を読みたくなりました。 | ||||
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正体不明の3人がおり、その一番近くに居るものの苦悩が、丁寧に描かれ、人間を信じる難しさを感じさせられます。 結末へのスリルよりも、どこまで行っても逃げられない人との関わりから生まれる苦悩を追体験することが、この小説の柱のように感じられました。 上下巻一気に読みました。読後は、決して気分爽快では無いですが、読んで損の無い本です。 | ||||
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至極上質のミステリーであり、人間ドラマである。八王子で起きた夫婦惨殺事件。犯人山神一也は逃走。そして一年後、日本の3つの場所で出所不明の 3人の若い男が現れる。千葉の漁港に来た田代は、薄幸の娘愛子と恋仲になりやがて同棲を始めようとする。東京ではゲイの優馬の前に現れた直 人。優馬はその優しさに惹かれて同棲が始まる。そして沖縄。東京から来た泉という娘と地元の高校生辰哉のカップルの前にはバックパッカーの田中が 現れる。読者にはこの3人の出所不明の若い男たちが皆山神に思えてならないはずだ。いろいろな小さい仕掛けで、作者はそのように読者を誘 い込む。3つのストーリー、同性愛を含めてすべて不器用な愛がそのベースとなる、物語の展開に引き込まれながら、誰が一体山神なのかという謎解き が残る。後半になると、まず愛子と優馬がそれぞれのパートナーが殺人犯ではないか、いやそうあってほしくないという葛藤でもがき苦しむように なる。どこまで自分の愛した人間を信じることが出来るのか、まるでイエスを裏切るユダや、イエスを知らぬと言い張った他の使徒のように、愛した人間を一旦捨ててしまうよう な行為に出る。一つの殺人事件を導火線にして、3つの愛憎が煮えたぎる。実にうまい構成であり、展開だ。それぞれの人間劇が素晴らしく、 一つ一つが短編として完成しているといっても過言ではない。最後に事件は極めて意外な結末を迎える。読後感たっぷりの良作である。ただ、敢 えて自分にとって難点と思われた点は、山神が殺人現場に残した「怒」という言葉の意味がもう少し掘り下げられるべきではなかったかという こと。犯人の山神の描き方に深さが欲しかった。 | ||||
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読み始めると一気に読んでしまいました。 いくつかの場面が同時進行するのですが、読みやすくて混乱するようなことはありません、おもしろかったです。 | ||||
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一気に読み終えた読後に、題名の「怒」から来る強烈な印象が余り感じられずやや空振り感が残った。 | ||||
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吉田さんの本を初めて読みました。 とにかく物語にぐいぐい引き込まれたし、飾らないありきたりな表現にも親しみをもてた。 続きが知りたくて、ほぼ一気読みしました。 | ||||
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喪失感と遣る瀬無さを感じた結末。 やはり、惨殺事件の犯人・山神一也を中心としたミステリー、サスペンスというよりは、間接的に山神一也に翻弄される人びとを描いたヒューマンドラマだった。 逃亡を続ける山神一也の正体に驚愕することもなく、『怒』の正体も知ることもなく、読み手に精一杯生きることに対する不信感を抱かせるような結末だった。 | ||||
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ミステリーなのか、ヒューマンドラマなのか…上巻を読んだ限りでは全くストーリーの全貌が見えて来ない。 冒頭に描かれる惨殺事件と全く無関係に描かれる順風満帆とは言えない人びとの暮らし。 この先、どう事件と絡んで行くのだろう。 若い夫婦の惨殺事件。 事件現場には『怒』の血文字が残され、犯人は27歳の山神一也と判明したが、山神の行方は分からず、警察の捜査は難航する。 1年後、槙洋平と愛子の親娘、ゲイの藤田優馬、沖縄の離島に母親と暮らす小宮山泉の近辺に素性不明の3人の男が現れる。 山神一也は3人の男のいずれかなのか、はたまた、全く違う人物なのか… | ||||
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読みはじめからぐいぐい読ます。 3人の誰が犯人か、興味いっぱいに読み進めていくうち、意外な真実と思いきや、サスペンス仕立ての青春群像ドラマ。 | ||||
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おそらく映画公開後に再評価を受けるであろう小説。超豪華キャストで「悪人」越えを目指す映画では、在日米軍問題にスポットライトをあてるために国際的俳優の渡辺謙まで起用して、メディアでも華々しく宣伝される。イカッテルのサインが国外に届くかは分からないが、少なくとも日本ではイケメン・美女大集合の大作を一目見たいと、話題になること間違いなし。「悪人」は物語のセオリーに忠実な作りで、まず大きな謎を提示し、それが氷解していく様を人間ドラマを絡めて書いているので、読みやすく、見やすく、感動もしやすい。一方、「怒り」の成否は脚本のテコ入れと、女優陣の活躍にかかっている。始めの事件についての書きこみの甘さを、被害者としての愛子(宮崎あおい)、泉(広瀬すず)のいじらしい演技でカバーしなければいけない訳だが、世間の顰蹙を買って停滞ぎみの広瀬は、再起を賭けてこのビッグビジネスに臨んでいるだろうから問題はない。妻夫木聡と綾野剛のボーイズラブで、いわゆる「やおい」層の支持を得て、松山ケンイチは朴訥な港湾人足を巧みに演じ、大河ドラマの失地回復。文章が粗いので本屋大賞は取れないが、吉田修一が、着実に文壇での地歩を固める一冊 | ||||
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下巻のレビューに詳しく書きますが、なかなか良いですよ。 だーっと読んで、それで続きは?って感じで、即下巻に突入できます。 | ||||
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3つの話が同時展開してきますけど、1つ1つはシンプルなので、え?何の話?みたいにはならないんですよ。文章も読みやすいですし。身近な人への日常的な愛、家族とか友情とかの書き方がサッパリしてるのに優しさが伝わるというか、うまいし、薄っぺらくない。ただ、最後がねえ。・・・残念かなあ。レイプもありきたりというか発想が単純なんだけど(ちなみにレイプ未遂でも傷つきますが全員が全員、あのように床に伏せることはなく、余りの出来事に、とにかく無かったことにしたいと、さっさと日常生活に戻る少女や、女性もいます。だからこの辺はちょっと下手だなと思います)、そこで少年が殺しちゃったのも、犯人が死んじゃったのも、なんかちょっと違う気がするので、星1個減。もうちょっとスッキリする終わりにしてほしかったな。千葉の港の家族の終わり方が、ストーリーとしてサッパリして、良かったと思います。 | ||||
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吉田修一の文体は、読んでいる側に違和感なくすんなりと入ってきて、立ち止まることなく一気に読めてしまえるのですが、振り返って注意して読み返してみると、細部の描写や、さりげなく印象的な比喩なども使われており、実は、読みやすさの影に隠された文学的技法の高さを持つ作家なのだなと思います。 たとえば次のような描写があります。 「道にタイヤのあとがある。トラクター用の大きなもので、雨の日につけられたらしく、画数の多い漢字のようにはっきりと形が残っている」 「沖縄の星空は濃い。これまで見てきた普通の星空が、ミルフィーユのように何層にも重なっているように見える。泉はいつもそこに自分の腕を差し込んでみたくなる。ズブズブとどこまでも深く差し込まれる腕には、チクチクするような星々の感触がある」 いずれも沖縄での描写ですが、その描写が目の前に感覚的に伝わってくる印象を持ちます。 本書では、東京、浜崎漁港の街、沖縄県波留間島の三つの地域を舞台に、それぞれの物語が進行しますが、中でも沖縄を舞台にしたパートにおける南国の描写が最も印象的でした。 後に書かれた「森は知っている」でも南国での描写が鮮やかでしたが、波留間島の描写がとてもキラキラとしていて美しい。 また沖縄における基地問題もさりげなく取り上げられており、この基地問題の深刻さを知っていると、沖縄における登場人物たちの苦悩の深さが理解できます。 | ||||
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通り掛かりで一家の夫婦を惨殺し、「怒」の一文字を書き残して逃走した犯人を題材とした作品。物語は逃走一年後から始まる。ただし、本作は「怒」の謎を解くミステリ・タッチの書でもなければ、犯人を追跡する警察小説でもない。 本作には、変な言い方だが、犯人"候補"が3人登場する。そして、その"候補"と関わり合いを持つのが、房総在住の父娘一家、東京在住のゲイの青年、沖縄の離島在住の母娘一家の三組。作者の筆は主にこの三組の家族・青年の境遇・言動に割かれる。三組の家族・青年は各々の悩みを抱えており、作者の主眼はこれらの社会的弱者の悩みを掬い取り、救済の手を差し伸べる事にあったと思う。三組の模様が非常に丹念に描かれている点が印象に残った。本作は一種の家族小説であり、所謂<GLBT>問題を含めた社会小説でもあるのだ。沖縄の米軍基地問題や米兵によるレイプ事件を扱っているのもその一環だろう。そして、本作のテーマを(誤解を恐れずに)一言で言ってしまえば、「人を信じる事の大切さ」であろう。一見平凡なテーマではあるが、陰惨な事件を背景としながら、このような真摯なテーマを扱う作者の才能は稀有と言って良いと思う。作中に登場する刑事と、刑事が交際する素性不明の女性が、互いに愛し合いながらも、信じ切れないというサブ・ストーリーがこのテーマを補完している様に映った。 私は「悪人」に続いて本作を読んだのだが、益々作者の魅力・筆力に惹き付けられた。作家の誠実さと作品の出来は無関係だと思うが、本作からは両方の誠実さが伝わって来た。多くの方にお薦めしたい秀作だと思った。 | ||||
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毎作品、今一垢抜けない。トレンド感がワンクール遅い。 それ以外は最高に面白い。 | ||||
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本書は吉田修一氏によるヒューマンドラマ。 時は2012年、舞台は東京、千葉の外房、そして沖縄を行き来する。 1年前に八王子で起きた殺人事件。現場には血で「怒」の文字が犯人によって残されていた。 動機不明のまま犯人を追い続ける刑事の北見。 一方、東京ではゲイの優馬の前に直人という男が現れる。 また、沖縄では高校生の泉の前に田中という男が現れる。 さらに、千葉外房では漁師の洋平の前に田代という男が現れる。 このミステリアスな3人の誰かが八王子事件の犯人なのか? 物語はそんな彼らの視点を切り替えながら進行する。 本書は謎を含んだ殺人事件を軸にしているが、決してミステリーではなく、ヒューマンドラマであると思う。 「信用していいのだろうか」 「信用してくれているのだろうか」 「信用することによって自分が傷つき、誰かを傷つけることにならないだろうか」 彼らは常に葛藤し懊悩する。 そんな「人を信用すること」に向き合う彼らの気持ちの動きや行動が本書の読みどころではないだろうか。 そして彼ら4人はそれぞれの結末を迎える。それは衝撃であったり、悲しみであったり、わずかな光であったり、喪失であったり。 決して「謎が全て解けてめでたしめでたし」な話ではない。 「パレード」しかり「悪人」しかり、吉田修一氏は物事の白黒や善悪をきっぱり断じることがない。 そこが他の作家にはない氏の作品の特徴であると思う。 論理的な結論を求める読者には向かない作品。 また、それぞれの舞台の雰囲気もよかった。 青空と海がまぶしい沖縄の離島。 東京のネオン街。 なんとなくさびれた感じの漁港。 シーンをじっくりと思い描き、どっぷりと作品に浸ることができた。 | ||||
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上下共、一気に読める作品である感じがし、多角的に構成されていて飽きなかった。 | ||||
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上下共、一気に読んでも疲れることなく、終結も何か考えさせられる感じがした。 | ||||
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