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怒り
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怒りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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猟奇的殺人の後、”怒り”の文字を残して、行方をくらまし、手配中の山神。 各地に、前歴不明の、3名の男が現れる。 周囲にいる人達は、近づくほどに、山神ではないかと、、疑っていく。 3名の謎の男性の書き方も良かったし、 その周辺の人達の疑惑の持ち方も、、関係性もよかったのだけど。 下巻に入って、なんだか、尻切れトンボなんですよね。 あれほど、三つの話しが交差して、面白そうだったのに。 それと、怒りの意味がわからない。 どうして、あんな怒りを持つのか、あれが、怒りなのか。 本当に尻切れトンボな感じで、 もやもやと終わった、、。 | ||||
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一気に読み進めました。そういう意味では面白かったんだと思います。 冒頭から誰もが実際に起きた事件を想起させるような描写から始まります。いくつか世間を騒がせた事件を織り交ぜて物語が進行していきます。いろいろな事情を抱えて懸命に生きている人、いろいろな事情を抱えて素性を隠している人。身近で大切な人になったけれども素性がわからない、指名手配された凶悪犯の共通する特徴を持つ人。微妙な均衡を保ってきた関係が些細な疑惑から崩壊していきます。犯人かと思われる3人の素性のわからない男性、また犯人を追う刑事の恋人も素性を隠しています。事件の結末は納得のいくものでは決してありません。事件の全容がわからないこともよくありますし、実際には起こりうることでもやはり、純粋な少年があのような罪を犯してしまうことは読んでいて辛いです。またゲイカップルもそれほどの事情ではないのだから、最後には打ち明けて幸せになってほしかった。疑いを口にした途端姿を消す、やっぱり怪しいぞ(でも実は自分の意思で姿を消したわけではなかったのかぁ)と思わせるためにあの結末にしたのでしょうが、そのために○○されたのかと思うとやり切れません。ある意味二人が望んだ通りになったとしても。 この作家の作品は初読ですが、今一つ筆力が拙い気がします。またあからさまに読者をひっかけるためのトラップが見えているのでげんなり。そんなもんはいらないから純粋に楽しませてくれと思いました。 面白かったかと聞かれれば面白かったです。ですが、読んでよかったかと聞かれれば心地いい読後感とは言えません。人に勧められるかと聞かれれば勧めないかも?読みたいなら止めませんけどね。 | ||||
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吉田修一の本は、「悪人」のレビューをざっと一読してもわかるように、 いわゆる読書家ほど、評価が低いような気がする。 文章がおおらかというか雑駁というか、他の純文学作家の著作をよく読んでいる人には、 えぇ! という表現がある。 「紺碧の海」とか「雄大な海」とか「人生を切り開く力」とか、「最愛の××」とか。 もっと頭ひねって他の言い方考えろ、といいたくなるような表現がある。 以前の著作にも、「美しい風景」というのがあって、びっくりしたことを覚えている。 確信犯で使っているのでもないし、無意識に使っているのでもないだろう、たぶん。 人を信じる難しさ、尊さ、危うさ、がテーマかな。 同時進行で三つの話が進み、それぞれの人間関係のなかにどこかからやってきた「よそ者」が加わる。 それぞれの「よそ者」が、全国指名手配の犯人と疑われるが、もちろん犯人はその中のひとりである。 整形して逃げ回っていた実際の事件があるが、それをヒントにしているだけで、 凄惨な殺人事件そのものがテーマではないのだから、殺人の動機などあまり問題ではない。 というか、よく本作を読めば、動機なき殺人(もともとDNAが凶暴な奴)ということがわかる。 作者の小説の登場人物は、いつだって理性や論理や信仰や政治的信条で行動する人間はいない。 エロスやタナトスで行動する。 つまり大方の日本人と同じである。 それぞれ相手に分からない闇を抱える人と人とが信じあうこと、 とかなんとか書評を書いていた人がいたけれど、 人間同士、根本的に分かり合えないのは言わずもがなのことであって、 夫婦だってお互いの心の闇は分かり合えない。 この作者自身、深い無意識の衝動で作品を書いているのだろうと思う。 | ||||
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読んだ動機は、購読している「週刊読書人」の三月七日号に、著者・吉田氏と「週刊読書人」の編集者の対談が載っていたからである。この作家が、映画にもなった「悪人」を書いた人だということを知ったので、自分の好みの本ではない、とは思ったものの、一面から二面に掛けて掲載されている「週刊読書人」の対談の熱意に駆られるようにして読んだのだった。 話は、八王子市の新興住宅街で夫婦二人を惨殺した犯人がその血で、「怒」の文字を書いて逃走した、から始まる。作者は犯人らしき者として三人のよそ者を設定し、彼等が東京の新宿と、房総と、沖縄の波留間島に住み着き、それぞれの生活をしていく様子を描いていく。三人の間には何のつながりも無い。だから読者は三つの物語を読んでいくような気になる。 作者はこの三人のよそ者と、それに相対する人びと、新宿ではゲイの恋人、房総では父親と気だてのいい娘、波留間島では薄幸の母と娘、との関係を描くことによって、人間の絆や信じ合うということを伝えたかったのだと思う。その意味では作者の意図するところはよく伝わっている。 話の終わりの方で、作者が犯人の人間性を描く箇所には凄まじさがあり、思わず寒気がしたものである。こういう人間を犯人に仕立てたことにより、作者は、信じることの出来ない人間、というものも居るのだ、ということを描いてもいる。 読み終わった瞬間は、いやな後味で気持ちがざらつく思いになり、その想いがなかなか消えなかった。その反動か、人を信頼する、ということについて改めて考えてみる機会にはなった。小説としておもしろかったし、構成にもさすがと思わせるものがあったが、「週間読書人」に記載されたほどの迫力と感動はなかった。 | ||||
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ぐいぐいと言うほどではありませんが、最後まで引っ張られる力のある作品です。 しかし、どなたかも仰っていますが後半の失速感が残念です。 悪くはないですが、過大評価されている感も否めません。 | ||||
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吉田修一がなぜこの本を書いたのかを雑誌かなにかで読んだ。 モデルになったのは、英会話の外国人講師を殺害し、 整形をして逃亡していた市橋達也のあの事件である。 作者である吉田は事件の顛末よりも、 犯人の顔が一般公開された時、「似ている人を知っている」と 警察にかかってくる電話の多さに注目したらしい。 当たり前だが、そのほとんどが犯人ではない。 その電話の数は、「もしかしたら犯人ではないか?」と人を疑う数でもある。 吉田はここに着目し、物語をつくりあげる。 「疑う」ことを通して 「信じる」ことへの難しさ、尊さに昇華する。 吉田修一の傑作と、帯には入っていた。 ぐいぐいと引き込まれたが、 「悪人」ほどではなかったというのが正直なところです。 | ||||
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吉田さんの作品には、時折ゲイが描かれており、ゲイフレンドリーな作家さんだなという認識で時折読ませていただきました。それだけに今回は残念な読後感でした。 以下ネタバレします。 田代、直人、田中の3人が山神容疑者ではないかと話が展開して行くストーリーは一気読みさせていただきました。しかし、田代は女の元へ戻りハッピーエンド、田中を殺した辰哉と泉には未成年でもあり、未来がある。 かたや残るゲイカップルは?直人が病気で死んで、家族の墓に入れてあげることができたから、良かったでしょ?っていうことですか!? 結局ゲイは死んで大団円って、よくあるノンケの描く小説映画の落とし所。 直人、優馬は何もしていない。ただ山神の事件でちょっぴり信じきれなかっただけ。その結末が死で、二人を別つなんて。 ゲイは死別って安易な結末で終わらせるのではなく、二人が生きた上でのハッピーエンドを紡ぎ出して欲しかった。ゲイだって幸せになってもいいでしょ? 次回作に期待しています。 | ||||
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