■スポンサードリンク
百年祭の殺人
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
百年祭の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
解説で大山誠一郎さんが述べられているように本作はハウダニットではなく、 フーダニットに主眼が置かれ、密室は手段として持ち出されるので、 それほど凝った構成はとっていません。 二つの密室トリックそのものよりも、第三の事件を含め、それらにまつわる 物証や痕跡に対する考察がおもしろく、ロジック優先の趣があります (ただし探偵役のブラックバーン、第一の密室トリックはみずから解いていない)。 そのロジックはある閃きにより、一気に犯人特定へと導いてゆきます。 決して際立つ所はありませんが、黄金時代に相応しい論理の流れが見られ、 全篇を通して破綻がなく、古典的な均整美を誇っています。 「百年祭の殺人」なる邦題ですが、「祭り」は一切描写されません。 犯人逮捕大立回りのおまけつきです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1936年にオーストラリア人作家の手によって書かれた本格ミステリ。2つの密室殺人と3番目の殺人事件から成る連続殺人事件を数学者である素人探偵が解くという体裁のもの。この素人探偵の造形はファイロ・ヴァンスを意識している様だが、それ程のアクの強さはない。また、冒頭にメインの密室殺人を持って来ている辺りはカーを想起させるが、その後の展開を見ると、むしろ、クィーンに近い作風と言える。良くも悪くもミステリ黄金時代の巨匠の香りを漂わせている。 しかし、冒頭のメインの密室殺人が「How done it?」的には容易に類推出来てしまう(しかも、それが当たってしまう)のは残念。容疑者が絞られるだけなのに、何故犯人が密室を構成しようとしたのか、最後まで一言の説明がないのはチョット酷いだろう。"意外な犯人"を狙ったのだと思うが、プロローグと真犯人との結び付きも強引に過ぎよう。 ただし、様々な伏線を配し、一応ミステリ的に読ませる物語に仕上げていると思う。昨今のミステリよりは余程安心して読める。オーストラリア人作家のミステリという点も珍しい(私は初めて)。斬新性こそ無いものの、上述した通り、黄金時代の香りを味わいたい方にはお薦めの作品ではないか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
原題 Blood on His Hands(別題An Ear for Murder)1936年刊。 かつて国書刊行会で第三長編『魔法人形』(1937年)が邦訳されたオーストラリアの作家、マックス・アフォードの第一長編。 版元の惹句にはオーストラリアのJ・D・カーとあるが猟奇的な犯罪を描いても決してグロテスクにならず平明なパズル・ストーリーを志向しているところはむしろエラリー・クイーンの濃厚な影響を感じさせる。(それは一見オカルティズムに彩られた『魔法人形』も同様であった) 謎めいたエピローグから猟奇的な連続密室殺人に至る展開のスピーディーさ、探偵役が手がかりを逐一吟味し検討、登場人物の些細な言動から真相を看破する論理性の面白さなど国名シリーズを思わせる味わいがある。 作者はオーストラリアでラジオのミステリドラマを数多く手がけたらしいが、本書にも見られる読者を飽きさせないサーヴィス精神にその一端を感じる。 難点を言えばシリーズ探偵の数学者ブラックバーンとワトソン役のリード首席警部に個性が乏しく、黄金時代の水準からいっても登場人物が類型的に過ぎ(細かい人物描写に作者があまり興味がなかったのかもしれないが・・・)かつ描き分けが不十分であること、やや筋立てに強引さが目立つ点が残念。 とはいえ、怪奇的ムードの醸成と論理性のバランスが絶妙であり終盤のどんでん返しが見事な『魔法人形』には劣るが、謎解きのピースが全てピタリとはまって行く後半の論理展開が見事な本書もクラシックミステリ愛好家には充分推奨できる出来である。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!