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スズキさんの休息と遍歴
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スズキさんの休息と遍歴の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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大友克洋のAKIRA(漫画版)の画力に感動し、童夢、ショートピースなど大友作品をさかのぼりむさぼるように読んでた高校時代。 手にした「気分はもう戦争」そこに実在キャラとして大友とともに登場する矢作俊彦。大友も一目置くその存在感に「スゴイ人なんだなあ」と思っていた。 たまたま書店で目にしたこの矢作作品に、内容も分からず「ドーシーボー」の意味も分からずとりあえず漫画チックな表紙に惹かれ買った単行本。 当時は中年の主人公の1970年代・全共闘時代への心情も理解できず、ただ随所に出てくる「昭和のアジ看板文字」が、ああなんか東大の占拠事件とかの映像で見るロゴだなあと思いながら読んだ。 内容は全共闘時代を生きた父ちゃんとその息子が、シトロエン2CVで北を目指すロードムービーというか小説。 30年近くが経過し、もう単行本もどっか行っちゃったけど、たまたまamazonで見かけてレビューしてしまいました。 面白いですよ。 | ||||
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矢作俊彦は1972年に小説家デビューした。 流麗な文体、レイモンド・チャンドラーを彷彿とさせる比喩表現などを絶賛され、ネオ・ハードボイルドの旗手として名を馳せた。小説以外でもラジオドラマの脚本、漫画の原作、ラジオのパーソナリティーや、映画監督などと幅広く活動をしていたが、いずれの作品もハードボイルドをそのジャンルの前提としていた。 しかし、それも70年代、80年代までのこと。1990年代以降は作風の幅を大胆に広げ出した。 私は、たまたま古本屋で見かけた妙なタイトルの小説でそれを知った。本書だ。 久しく著者の作品から遠去かっていた私は、1ページ目を開いた瞬間から度肝を抜かれた。 これは・・・全くハードボイルドではない。いや、それどころかコミカルタッチの娯楽小説ではないか。 さらに読み進めると、これは純粋に小説と言って良いものかさえ自信が持てなくなってきた。 それほど実験的な作品だ。 見れば判る。 としか言いようがない。 しかし皮肉なものだ。 後年、別の作品で三島由紀夫賞を獲った際に、作家 筒井康隆は自らのエッセイで「彼もやっと受賞できたか」と言っている。筒井氏によれば、既に本作を以って賞に推したのだったが、他の審査員の中に激しく拒絶を示した者達がいたため、その際の受賞にはならなかったと述べている。 大作家先生様方から、それほどあからさまに疎んじられるほどの独特な作品という訳だ。 そして、NHKでドラマ化もされ、そのドラマはなんとギャラクシー月間賞を受賞してしまっている。 あらすじは、うううん、書くにはちょっと難しい。 とにかく、元学生運動の活動家で、今は広告会社の副社長のスズキさんと息子ケンタのひとときの冒険譚、それこそ騎行の物語とでも言っておこう。 なお、副題にある「ドーシーボー」というのは、フランスのシトロゥエン製の前輪駆動方式の乗用車「2CV」のおフランス語読みである。非力ながら、ペケペケペーと2ストバイクの様なやかましさで走る、極めて独創的且つ、合理的な設計の小型大衆車なのだ。 で、と。 お薦めしたい一冊だ。 但し、スズキさんのアクの強さにアテられない様には、どうぞご留意のほどを。 | ||||
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ちょっと難しい。 2CVが出てくるので買ったけど・・・。 (ー_ー)!! | ||||
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いまの若い人が読んでも、あの時代背景の意味がわからないと思います。 私もドーシーボーに乗っているので、それなりに楽しく読めたのですが。 | ||||
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中古品ですが読みたかった本が手に入り満足です。 何でも諦めずに探せば有るもんですね。 | ||||
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この矢作俊彦の『スズキさんの休息と遍歴―またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行』は、 ≪全共闘世代の妄想×ドン・キホーテの妄想≫ がつくり出した物語である。中年男性の「勘違い」や「時代錯誤」が織り成す、抱腹絶倒のコメディーである。まさにズバリ全共闘世代の著者・矢作氏にとってはじつに自虐的な作品でもある。 いろいろな視覚的な工夫も施されている。例えば使われている文字のフォントが凝りに凝っており、たくさんの楽しいイラストが用いられている。矢作氏は漫画家でもある。 この『スズキさん…』は三島由紀夫賞の候補に残ったそうであるが、詮衡委員の大江健三郎と中上健次の強い反対にあって、残念乍、受賞は逃したそうである。『ドン・キホーテ』におけるサンチョに当たるスズキさんの息子が面白くないことと、「絵が下品」というのが理由であるらしい。そういうものなのかな…。 全共闘世代の体臭を感じることが出来るエンターテイメント。 | ||||
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40歳になったスズキさんは都内に家を構えるサラリーマンです。いろいろと口うるさいけれどそれでも好きな奥さんと、小さな鋭い観察者でもある男の子との3人暮らしです。この年になってスズキさんは初めて有給休暇を取ります、そして奥さんは妹と一緒にヨーロッパへ旅行です。男の子は親戚に預ける予定で、慌ただしい日常の朝の風景の中、スズキさんに封筒が届きます、そして冒険が始まるのです。遠く、20年も経ってしまった昔の友人から届いた封筒には、勇ましくもどこかズレている男の話し「ドン・キホーテ」が入っていました、スズキさんにとって思いで深い、リアルに触れる社会があった頃の話しです。 スズキさんはとても優しく、そして真面目で、こうありたい、という自分の姿、あるべき社会を思い描き、出来る限りそれに沿おうと努力します。その努力は過激に見えることもありますし、愚かに見えることもありますし、まるで旧時代的です、風車と戦うドン・キホーテのように。しかし、戦わざるをえない生活、信念を持つスズキさんに私はとても惹かれます。旅先での様々な場面でスズキさんの行動は波を立てますし、スマートではありませんが、しかし馬鹿ではありません。そうしたいから、その道を行くチカラ強さを感じます。いわゆる左向きな方なんでしょう、しかし今の時代の左派的なものとも違い、いわゆる左翼とも違う何かしらの現実的所作を醸し出しつつ、しかしリアルに対応する、たとえ誰も傷つかないとしても、というスタンスが好ましいと思いました。 そんなストーリーの中にとても上手い挿絵と、素晴らしいキメ台詞が満載、そんなファンタジーでリアルな小説です。 全共闘世代とはなんだったのか?は、私には興味はあるものの、まだよく分かりません。しかし、その全共闘に興味がある方、なんだったのか?が気になる方(はい、私はとても気になります、いわゆる日本的な祭り騒ぎともいえますし、それだけではない何かを感じることがあるのです)にオススメ致します。その謎を解かないまでも、矢作俊彦として遊べるこの本は、私は傑作だと思うのです。 学生運動に興味がある方に、父子である方に、オススメ致します。 | ||||
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~『リンゴォ・キッドの休日』などから、『ららら科學の子』へ向かうターニングポイント的な作品。あらすじは平凡なサラリーマンのスズキさんが、ある日送られてきた本「ドンキホーテ」をたよりにシトロエンで旅に出、行く先々でドンキホーテのように社会に対する怒りをあらわにする、といったもの。ブラックなユーモアはそのまま、60~70年代には物心ついていな~~かったわたしもなぜか郷愁を誘われる楽しい本です。 見ていませんが、NHKでドラマ化もされていますね。~ | ||||
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~『リンゴォ・キッドの休日』などから、『ららら科學の子』へ向かうターニングポイント的な作品。あらすじは平凡なサラリーマンのスズキさんがある日送られてきた本「ドンキホーテ」をたよりにシトロエンで旅に出、行く先々でドンキホーテのように社会に対する怒りをあらわにする、といったもの。ブラックなユーモアはそのまま、60~70年代には物心ついていなか~~ったわたしもなぜか郷愁を誘われる楽しい本です。見ていませんが、NHKでドラマ化もされていますね。~ | ||||
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リンゴォキッドの休日、マイクハマーへ伝言、といった一連の作品から作風がかわったが、これ以降の作品の方が違和感なく読める気がする。ブラックなユーモアはそのままに懐古趣味と現代への希望がないまぜになった明るさを感じさせる。三島賞を受賞した『ららら科學の子 』への流れが見て取れる。 | ||||
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