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宵山万華鏡



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【この小説が収録されている参考書籍】
宵山万華鏡
宵山万華鏡 (集英社文庫)

宵山万華鏡の評価: 4.17/5点 レビュー 78件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.17pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全78件 41~60 3/4ページ
No.38:
(5pt)

〈あわい)

久々だった。自分が読みたいと思っていた世界がそこにあった。

身近だけれど懐かしい、妖怪のような神のような何かと触れ合う瞬間。

祭りとは〈祀り)なのだ。決して生半可な気持ちで踏み込んではいけない。うかつに触れると、戻れない。

一歩戻れば日常なのに、人間の世界なのに一歩進めばそこは異世界。

〈あわい〉とは、そうゆう場所。踏み込み過ぎると、もう帰ってこられない。

あなたは戻りますか?それとも、進みますか?
宵山万華鏡 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:宵山万華鏡 (集英社文庫)より
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No.37:
(4pt)

立体的な宵山世界

構成は計算され尽くして素晴らしい 宵山を舞台とした六篇に登場する人物は、基本的に皆同じ世界に属し、見えない糸で繋がっており、それぞれが動く度、それぞれが動く このように縦横無尽に張り巡らされた糸が動く様子を、読み手は六篇のそれぞれの主人公の視点に立って観察することができる 糸の繋がりに気づく度、読み手の中で物語世界が反芻され、宵山が徐々にその輪郭を明らかにして、自らの深奥へ読み手を誘う 非常に興味深い構成である ただ、この構成にはひとつ欠点がある 六篇の繊細な繋がりが背景となって宵山を浮き上がらせているがゆえに、読み手が意識的に六篇の繋がりを汲み取らなければ、宵山は読み手の意識から消え、六篇で一つの宵山世界も六篇の凡作と化すのだ 立体的に自分の頭の中で組み立てられる宵山ではなく、六つの宵山アトラクションを刹那的に楽しみたいという方には、間違いなく向かない作品である おそらく、何度か読み返す、ネットで宵山について調べるなどして、頭の中の作品世界を仔細にしていく過程を楽しむ類の作品である その度に、宵山は変幻自在に読み手の前に姿を表すであろう まさに、万華鏡の如く
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No.36:
(4pt)

まさに万華鏡

祇園祭宵山を舞台にした、摩訶不思議な連作短編集。

摩訶不思議なのは話の内容だけではない。
普通、連作物は同じ雰囲気で全体を統一しているものだが、あまりにも系統の
違う作品が一緒に入っているという摩訶不思議さに呆気に取られてしまうのだ。

「宵山金魚」「宵山劇場」は『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』系
のアホらしくて笑ってしまう作品だが、その後に続く「宵山回廊」「宵山迷宮」
はトワイライトゾーンのようなシリアスタッチの幻想小説。『きつねのはなし』
系とでも言おうか。まさに万華鏡と呼ぶにふさわしい、変化を楽しむことが
出来る。

不定期連載をしていたものを一冊にしており、書いた年代も間隔が空いている
ので、こんなふうになったのかなと想像してみるが、なかなか面白い試みだな
と思う。
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No.35:
(5pt)

意味のないところに意義がある!

この作品は、『夜は短し 歩けよ乙女』を読んでから読みましょう。理由は、『夜は短し』には京大の学園祭におけるゲリラ演劇プロジェクト「偏屈王」なるものが登場するのですが、その「偏屈王」の舞台裏と全く同じものが、この『宵山万華鏡』で明らかにされるからです。

 この舞台裏の描写は非常に楽しかったと共に、読んでいてユーミンの『稲妻の小女』という曲の次のフレーズが頭に浮かんできました。

 なんの足しにもならない事に
 ムキになれるあなたが一番好き!!

 しかし、『宵山万華鏡』は、『夜は短し』と同じ路線の作品ではなくして、別の路線の本当は非常にコワイ、コワ〜イお話なのです。
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No.34:
(2pt)

意味不明

多分私の読解力がないせいだと思います。と断っておいた上で書きます

なにが起こってるのか全くわからない

文章がよくわからない

物語から振り落とされる

森見登美彦さんの他の作品もそうでした。

イラストがさやかさんなので買いました!
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No.33:
(5pt)

読後に残る何か

表面的な祭りの華やかさや艶やかさ、面白さとは別に、
読後に何かを残してくれる作品だと思います。

表面的に起こった出来事の根底にある
愛情や思いやり、未練や悲しみといった「思い」がこの作品の裏主人公ではないでしょうか。

華やかな祭りの後に残される一抹の寂しさや思い出のように、
登場人物たちの「思い」が心に残る作品です。

「夜は短し歩けよ乙女」や「恋文の技術」とは違った、ちょっと大人(?)な森見作品です。
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No.32:
(5pt)

まさに 森見万華鏡全開!!

森見ワールド全開!!京都の街を舞台に森見登美彦のお得意、はちゃめちゃで不思議な和風の幻の世界が展開されます。
この森見氏独特の世界は、かなり好き嫌いが分かれるところでしょうが、正直私は大好きです。何処となくもの悲しくてしっとりとした、京都のそこ知れない奥深さと歴史、怖さが表現されていると思います。
それにしても、京都の夏の宵山を舞台に、登場人物を次々と変えながら、短編を上手く関係させて作ってあり、まさに物語の万華鏡を見るようです。
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No.31:
(4pt)

まさに万華鏡

ぐるぐる作品世界を巡っていくと、そこかしこで登場人物たちが繋がり、その繋がりが少しずつ、作品世界を変えていく。それぞれの作品がリンクし、登場人物たちが交錯しあうことで、少しずつ視点が変わり、視点が変わることによって繰り広げられる新たに見える景色が面白い。まさに万華鏡の世界。
一編一編の彩りもテイストも異なるため、作品ごとに見える世界は大きく異なる。それもまた万華鏡。
少し妖しく幻想的なお話あり、力いっぱい馬鹿らしい話あり、作者お得意の単純明快、妄想大好物のヘタレ学生たちの活躍あり、ホラーテイストの話あり、と様々なテイストを楽しめる作品。
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No.30:
(1pt)

期待していただけにがっかりです。

初めて森見登美彦さんの作品を読みました。読後の感想はハッキリ言ってお金返して欲しいです。これから読む方もいらっしゃるので物語の構成は詳しくは書きませんが同じ話は2度も読みたくありません!話のオチも分かってるのでつまんないです!もっと神秘的で美しい夏の独特な雰囲気が伝わってくる作品であることを期待したのですが、話の内容もありきたりでした。。。
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No.29:
(3pt)

ジブリっぽい

色々な視点から語られる宵山の祭りは不思議な世界でした。
読んでいる間、私はずっとジブリの千と千尋の神隠しみたいな絵を頭に描いていて、登場人物が浮かんだり、幻想的な感じはまさにジブリみたいだなーって。
馬鹿なことを企むシーンも笑えましたが、自分の心情がそれほど揺さぶられなかったので凡作として残りました。ミステリーとかどんでん返しが好きな人には向かない平坦な物語でした。
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No.28:
(4pt)

繋いだ手は離しちゃいけないよ

ちょっと不思議な世界にくるくると惑わされる。
見える景色がくるくる変わる。これはこうで、あそこはこうで。
この人があの人で、あそこにいたのがこの人で、あの人はここにいて。
一つ一つは短くてあっという間だけれども、それが次に重なりあう。
万華鏡のように景色が変わる。そういう連作短編集だ。

私の頭の中の京都の地図は通りの名前しか記載されていないので、町名で書かれると戸惑う。
でも、町名がぴんと来ないことで、景色がぼんやりと曖昧で感覚的なものになり、物語世界が幻想的になった。
達磨や招き猫や信楽焼きの狸が飾られた、天狗や竜が舞い遊ぶ、そこは偽京都。
偽京都の祇園祭に偽祇園祭があるのだ。要注意。
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No.27:
(4pt)

宵山の夜

いままでより少し大人っぽくなったような。

森見氏でないと書けないあの祭りの夜店にいるような目くらまし、けれどそれがなくとも充分正統な幻想小説のように感じました。
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No.26:
(4pt)

迷子になりに行きませんか

ぐるぐるぐる。繋がる繋がる。
宵山巡りをして、自身もまるで迷い込んでしまった感覚に囚われます。

この本を読む私自身は万華鏡を通して宵山を眺めているのか,
それとも少女達に誘われて迷子になってしまったのか。

全ては繋がってきっと出口へと導いてくれます。
だけど、途中で何かを見落としたらそのまま宵山に取り残されてしまう。

京都の夜の不思議な世界へ。
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No.25:
(4pt)

幻想世界の光と闇

京都、宵山の祇園祭の世界に迷い込んだ人たちの話が収められています。
一つ一つの話は独立していますが、全ての話を読むと宵山の世界が見えてきます。
一度、宵山の世界に入り込むと二度と抜け出すことのできない、あやしの世界です。

宵山の世界は幻想的な魅力を放ち、人々、特に子供の心をつかみます。
それは、子供たちにとって手に入りにくい物でも、祇園祭で一番えらい“宵山様”の近くに行くと簡単に手に入ってしまうからでしょう。

幻想的だけれども二度と抜け出すことのできない“あやし”の世界に浸れます。
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No.24:
(4pt)

ほどよくおもしろい

太陽の塔で森見作品にハマり、キラキラな表紙に惹かれて購入。
なんだかにぎやかで心惹かれる表紙ですよね!

一番初めの小学生の姉妹の話を読んだときは「怖い」「あの愉快なノリは?」と???な感想だったのですが、読むうちに納得。
いつもの京大生風と怪談風、どちらも一冊に収まったというか。
読み終わったあと不思議な感覚になりました。

多分二回目のほうが楽しめる作品です。
違う章で出てきた登場人物たちがさりげなく登場しててニヤっとします。
本当に万華鏡をのぞいている感覚!
宵山行きたくなりました!
乙川さんが一番好き♪
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No.23:
(5pt)

夏が恋しくなります!

日本の夏祭り特有の、蒸して汗ばんだ空気、
浮かび上がる提灯の明かり、夜店の甘ったるい匂い・・

日本人ならば誰もがおそらく持っている
夏祭りの、心躍るも切ない情景が詰まっています。

しかも、舞台は京都の宵山。
短い話に出てくる何人かの主人公は、それぞれ
近づいたり、遠ざかったり、関係があったり、なかったりしながら
それぞれの宵山を過ごし、ちょっと成長したり、心の「つかえ」が取れたり、
一歩前へすすみます。

まるで、この宵山全体が誰かに見られ、操られているかのように。

ただ単に、読んでいるだけで楽しく、夏が恋しくなる本です。
夏が好き、京都が好き、不思議ストーリーが好き、
という方は楽しんで読めるのではと思います。

さやかさんのカバーイラストがまた美しく、ずっと眺めていたくなります。
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No.22:
(5pt)

不思議ななつかしさ

綺麗な表装に魅かれて初めて森見さんの作品を手にしました。
昭和生まれの私の年齢のせいでしょうか?どこか懐かしい風景が眼に浮かぶ作品です。一夜の宵山の出来事をいろいろな人間がいろいろな角度から見ておりそれがひとつにつながるというものですが不思議なタッチの作品です。
祭りの賑わいから少し離れると静寂の暗闇があり、誰もがこどもの頃に経験した怖さを思い出しました。この作品が好きな人は他に「きつねのはなし」もおすすめです。
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No.21:
(5pt)

小説のテクニックとしてかなり高度

初出は小説すばる2007年3月号〜2008年10月号。リリースは2009年7月10日。6つの短編からなる作品だ。

森見氏の作品の特徴として、ひとつの事象を登場人物それぞれの視点から作品化するという手法がある。その視点が時間・空間という軸を90度異なったもので進行していく。本作の短編6編は正にその典型とも言える手法が用いられていて、最初の短編にちょっと登場した人物が、次の話の主役にすわり、その人の周辺で前の話が別の角度から進行する。小説のテクニックとしてかなり高度である。その高度さをほとんど意識させないところが氏の又凄いところだ。

相変わらずの森見ワールドで愉しめるのだが、それと同じくらいに感心したのはカバーの絵だった。実に完璧に森見ワールドを絵にしている。何となく伊藤若冲の現代風みたいな感じである。どうやら『さやか』という人が描いたいるらしいのだが何者だろう。それがますます作品の価値を高めている。ますます、の森見氏だ。
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No.20:
(4pt)

好みがわかれそうですが個人的には好きです

祇園祭の宵山を舞台に繰り広げられる、六つの短編小説がおさめられています。

今作は従来からの森見ファンの中でも評価が分かれる作品かもしれません。
というのも、森見氏が今まで見せてきたいくつかの作風の作品が混じってはいっているからです。

六つの短編を分類すると
A.1、4、5→”きつねのはなし”で見せた怪奇小説風の作風
B.2、3、 →”新釈走れメロス”の表題作などで見せた阿呆なノリの作風
C.6    →”夜は短し”の古本市の話などで見せた、幻想と現実が継ぎ目なしに入り混じった作風
という感じがしました。

だから
BやCの森見氏のいつもの作風を期待して読む人にとってはやや物足りないかもしれません。
一方Aの怪奇小説風が好きな人は気に入る可能性が高いと思います。

個人的には森見作品の幻想性が好きなのですが
三編目がやや空回りしている印象を受けたものの、全体としては大変楽しめました。
特に六編目の宵山万華鏡が好きです。
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No.19:
(4pt)

お見事!

この作家お得意の怪異の似合う街、京都の、しかも祇園祭りの前夜際、宵山の黄昏から夕闇迫るある一夜を舞台にした連作。「宵山姉妹」「宵山金魚」「宵山劇場」「宵山回廊」「宵山迷宮」「宵山万華鏡」の六篇を収める。
それぞれの物語は、宵山の祭りの喧騒のなか、しかしひっそりと現実と妖しの世界が入り乱れる不思議な空間に陥ったひとびと、あるいは同じ刻、同じ場所で宵山の祭りを楽しむ人々の物語を描く。ふと気づくと、あちらの世界に足を踏み入れ、帰れなくなってしまうひと、帰れなくなりそうになる少女。その横では馬鹿馬鹿しくも祭りを楽しむ。不思議な魅力、そしてふと横にある恐怖がそっと孕まれた、静かな喧騒の世界。祭の夜は何かが起こる。

連作最初の「宵山姉妹」を小学校三年生、四年生の姉妹の妹の視点、最後の「宵山万華鏡」が姉の視点、それぞれの視点から書く物語を最初と最後に置くことで一冊の作品としてうまく纏め上げた。ふたつの短編それぞれの最後の場面の叙述は、「彼女は姉と一緒に夢中で走って」と「妹の手を引いて走り」と、最初の一文が違うだけで以降はまったく同じ文章であることも見事。そしてまた二話と三話で祭りを楽しむ物語、四話と五話は宵山に閉じ込められる物語を、それぞれがまた連なる。
宵山の不思議な世界(あちらの世界)から、現実の世界(こちらの世界)に無事戻ってきた二人の幼い姉妹が「帰ろ」と堅く手を握り合ったまま、家というまさに安心な空間に、何事もなかったかのように戻る姿で始まり、終わる物語はまさにファンタジーであろう。対して四話「宵山回廊」で明かされる、従妹の手を離したことで起こる怪異はうすら怖い。ゆめゆめ大事なひとの手は離すべからず。

本書表題が、あるいはその一篇に「万華鏡」が名づけられてはいるが、昨今流行の西洋のきらきら煌く万華鏡とはちょっと違う。どちらかというと日本のお祭りが今でも持つ、提灯で照らされたほの明る暗い(ってどっちなんだ?)煌きに近いものだろう。五話の「宵山迷宮」で乙川の探す水晶玉は、その万華鏡の一部。人ならざる者の持ち物で、宵山の夜は、この世界の外側にある万華鏡に覗かれた世界であると物語は語る。陳腐な物言いが我ながら情けないが、おそらくジブリアニメで描くことが似合いそうな風景。
黄昏時から夜の闇までの、まさに逢魔ヶ刻(おうまがとき)ならばこその風景であり、そして物語。万華鏡のようにきらめき、くるくる繰り返され、そして閉じ込められた物語たち。携帯電話さえ登場する現代という時代においてさえ、京都という街、その祭りの夜には、いまだ幻想的な世界が繰り広げられることに違和感を覚えない。
前作「おっぱい万歳」もとい、「恋文の技術」はオモチロイ物語であったが、本書は不可思議できらめく世界の物語。同じようで、同じでない作風の作品を書き、発表しつづける森見登美彦は、やはり巷でモリミーなぞと騒がれるほどにスゴイ作家なのかもしれない。

蛇足:本書カバーのカラーインクで描かれたイラスト(さやか)と、そして特殊処理された煌くコーティングは、まさに本書の軽ろみをも含む世界を表現している。ただ背景の、夜を表現する紺と、夕焼けの朱はもう少し深く濃く滲んだもののほうがふさわしいような気がする。ちょっと明るすぎるかな?
蛇足2:古道具屋の乙川なる人物の印象が、物語が進むに連れ、変わっていくことに、少しだけ違和感を覚えた。
宵山万華鏡 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:宵山万華鏡 (集英社文庫)より
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