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線
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線の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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初めて読んだ古処作品。 初めに読んだ時は、実録ものの戦記と小説の違いが分かっておらず、正直ピンとこなかった。次に読んだ「ルール」でやっとピントが合った感じだ。 ルールか7月7日を初めに読む事を勧めます。 で、一通り古処作品を読み終わってから、またこれを読んでみたら、滅茶苦茶面白いのに驚いた記憶がある。なんでこんな面白い作品を面白く感じなかったのか自分が理解出来ない。 古処作品でこれが一番面白いか?と言えばそれは人によるんだろうけど、これが傑作である事に変わりはないと思う。 個人的に最も好きなのは「接近」だけれど、それに負けず劣らずの傑作だと思う。 個人的には意外とルールや7月7日はそんなに評価が高くなかったりする。一連のビルマものよりは評価は高いけれど・・ まあ全部のビルマものがつまらないわけではないけど・・ 中尉や生き残りは割と好きだし。 でもビルマものは別物だ、という意識はある。 | ||||
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まず、ニューギニア戦について知りたい、というニーズに答えようとしている本ではない。その点、軍記物とは全然違う。 筆者が書きたいことは、(戦争における)人間というものは何なのか?という極めて普遍的かつ文学的な問いだ。 この普遍的な視点の導入により、読者は、かえって、遠い昔でかつもちろんほとんど知らない戦争、戦場とはどのようなものなのか、を間接的にもしかしまざまざと見せつけられることとなる。 経験したことでなければわからない、を覆そうとするのが小説であり文学の持つ大きな力であると思う。想像力を刺激することで、あらゆることを追体験させることができる、そこにこそ文学の存在意義があるのだということを改めて強く考えさせられた。実は、舞台はどこでもなんでもかまわないのだ。 読者の想像力を書き立てるには、ディテイルに誤りが混入していてはだめだ。筆者はあの戦争について1000冊以上の本を読んでいるとのことだが、特に、ニューギニア戦という題材が題材だけに、徹底した細部の舞台装置のリアルさが追求されている。軍馬に載せる鞍の名称に至るまでこだわっている。 僕は、戦記物を読んで知ったつもりになっている自分の恥ずかしさをこの本によって鋭く感じさせられた。いつのまにか追体験する、という営為を忘れてただ知識を追いかけてばかりいた。想像力を働かせることを忘れていたのだった。何のために自分が戦記物を読んでいるのか、と自問自答させられた。 たんたんとした語り口ながら、どの短編に描かれる人間ドラマも非常に面白い。むしろたんたんとしているところがよいのだろう。暑苦しくなく激情的でもない。いわゆる戦争文学というのとも違う。 ニューギニア戦についての知識があればあったで面白いし、なくても面白いと思う(あったほうがより楽しめるとは思う)。ニューギニア戦について知りたいと思う中で出合った本だが、思わぬ拾い物をした。 なお、ニューギニア戦についてある程度手っ取り早く知ることができかつ深い読み物には、地獄の日本兵、という新書がある。ぜひともあわせて読まれたい。こちらの本も違った意味ですばらしい本である。 | ||||
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まず、戦場を知らない若い作者にどの程度のリアリティをもった描写が可能なのか、また、このテーマで、マッチョな主人公が出てきたり、逆に反戦を声高に唱えたりと、何かしら色付きなのでは、と、多少批判的な気持を抱きつつ読み始めた。 だが、すぐに引き込まれた。江戸時代を舞台にした時代小説が、戦場を舞台に変えたという印象を持った。これを本当に兵士としての経験がある方々が読んだら、どう感じるのかは知らない。だが、これは時代小説の人情劇なのだろう。どの作品にもいわゆるオチのようなものがある。今ではどんなものか、ほとんどの人が知らない個々の小道具も正確に扱われて、リアリティを感じさせる。 どれもおもしろかった。「生木で作った墓標」の最後のシーンは素晴らしいと思ったし、徴発された馬を扱った「たてがみ」は、大昔に読んだ三好達治の詩「列外馬」(といったか?)を思い出し、涙が止まらなくなった。だが、決してウエットにならない。抑え気味の文体がこの題材には実にぴったりしている。 自衛隊出身ということで、第二の野呂邦暢という感じか? | ||||
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私は57才、父は88歳で第二次世界大戦のときに満州に出征し終戦前後にソ連との戦いで銃撃戦をしたらしい、戦後しばらくはシベリアに抑留されたと聞いている。日本軍と開拓団の中国満州での悲しい歴史とまた違った南方戦線での飢えとマラリアの中での過酷な戦いを読みながら戦争のおろかさを悲しく感じた。ニューギニア、ポートモレスビー、ラバウル、ソロモン海、ガダルカナル島などの激戦地区の地名などが昔・・・昭和30年台、私が10歳頃に読んだ貸し本屋の戦記物の漫画が懐かしく思い出されました。戦時中の人間の行為は軍隊の規律に縛られた行動と自分自身の中にある信念、郷土家族への想いという美しい理由とその反面、自己利益だけの醜い行動等の理由が入り混じった中での行動だったのでしょう。 1970年生まれの作者が経験も無い世界のことを、いつどんなときに書こうと思ったのかをしりたいと思う。 | ||||
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衝撃を受けた。 確か日経新聞の書評欄で見つけたと思う。戦場の最前線に生きる(というか死にかけている)兵士の生き様(というか死に様)を描いた短編集だが、風景の描写力はいかにも見てきたような迫力があり、複雑な心理描写も実にリアル。人間の深い業を見事に抉り出していると思う。しかもこの戦場の凄惨なシーンを落ち着いた、というか冷静な文体で描いている。これが大岡正平なら理解できるけれども、作家は実に1970年生まれと知ると呆然とせざるを得ない。これまでいったいどれだけの人生経験というか、修行というか、人間観察をしてきたのだろう? いや本当にびっくりした。著者は戦争のみをテーマにして書き続けているそうだ。 ちょっとしばらくこれくらいの感動はなかった。 ありがとう。 | ||||
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