半島を出よ

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評判

半島を出よの評価:

4.00/5点 レビュー 320件。 A ランク

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平均点4.00pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全537件 161〜180 9/27ページ
No.377
(3pt)

ありえないけど楽しめる冒険活劇ドラマ

経済的に没落し、世界からも孤立している近未来日本の福岡を北朝鮮が狡知な戦略で占領する。
その窮地を救うのが、世の鼻つまみ者・犯罪すら自己解放とある意味開き直った各自過酷な過去を持つ問題児達(児ではないけど)。
北朝鮮の福岡占領の目的がいまいち曖昧な事と、日本がここまで経済的破綻を起こし孤立状態になっていく過程が荒く雑でふにおちないが、「とりあえずそれが前提!」と納得して読めば活劇物としてとても楽しめる。
最初は日本のふがいなさに腹が立ち、そのうち北朝鮮軍のズルくかつ日本をなめた好き放題な言動に腹立ちが移行し、最後には「誰か奴らをスカっと追い出してくれ!」と解決してくれそうな世のはなつまみ者達に期待が膨らむ。後半に進むに従って、とにかく先に読み進みたくてたまらなくなる。
但し、おそらく多くの読者はあまり興味ないと思われる事にも書き込み過ぎなところと、登場人物がやたら多いところが、読んでいて時々つらくなる。それを乗り越えたところにこの小説のそう快感があります。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.376
(4pt)

胡麻菓子がキライになります。

隣接する国の危うさを通して日本の危うさも浮かび上がらせる作品。
国境、道徳、法律など人が描いた物全てはその立場に置いて、ある時意味を成さなくなる。

過酷な環境に身を置き研ぎすまされる隣国人と甘やかされ自我すら保てなくなっている日本人が
拷問と痺れる程の甘さをもたらす胡麻の菓子にオーバーラップしてきます。

世界有数の富める国、知的水準も高く、平和な国そんな誤摩化しで支えられた日本。
足下広がる湖面の薄氷のように今にも陥りそうな危機を透かしているようです。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.375
(4pt)

胡麻菓子がキライになります。

隣接する国の危うさを通して日本の危うさも浮かび上がらせる作品。
国境、道徳、法律など人が描いた物全てはその立場に置いて、ある時意味を成さなくなる。

過酷な環境に身を置き研ぎすまされる隣国人と甘やかされ自我すら保てなくなっている日本人が
拷問と痺れる程の甘さをもたらす胡麻の菓子にオーバーラップしてきます。

世界有数の富める国、知的水準も高く、平和な国そんな誤摩化しで支えられた日本。
足下広がる湖面の薄氷のように今にも陥りそうな危機を透かしているようです。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.374
(4pt)

龍先生の授業

個人的には面白かったです。 しかし、人物の背景や内面以外の説明が多く細かいのが今作の特徴の一つで、その為全編に渡りスピード感が無く、登場人物(イシハラ達)が余り動かない事もあり感情移入出来ませんでした。 僕は興味の無い箇所はスカッと流す感じ読んだんですが、それでも所々でめんどくさい感じがしました。 近い作品を挙げるなら麻生幾の(ZERO)みたいな感じでしょうか?
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.373
(4pt)

龍先生の授業

個人的には面白かったです。 しかし、人物の背景や内面以外の説明が多く細かいのが今作の特徴の一つで、その為全編に渡りスピード感が無く、登場人物(イシハラ達)が余り動かない事もあり感情移入出来ませんでした。 僕は興味の無い箇所はスカッと流す感じ読んだんですが、それでも所々でめんどくさい感じがしました。 近い作品を挙げるなら麻生幾の(ZERO)みたいな感じでしょうか?
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.372
(5pt)

いわゆる「文学」ではありません

上下巻を2日で読み切ってしまいました。他のレビューアーも書いているように、字数が圧倒的に多いです。丁寧に読むと、特にカタカナの名前の人物が誰が誰やらわからなくなり、いちいち確認していると、イライラします。でも、そんな必要は全然ない物語です。これを「文学」と思って読んで文句を言っている人は、現実がわかってない人です。北朝鮮の兵士については、知識がないのでわかりませんが、政府内の状況、病院の状況、東京と福岡の市民の感情など、どれもこれもまさに今の日本ではありませんか。この小説の後で本当にドルが暴落し、日本の経済状態が悪化し、オバマ大統領が任命した駐日大使は「ジャパンパッシングの現れか」と新聞にかかれ・・・村上龍が書いたこの小説の書き出しにあまりに似ていませんか? 確かにグロいです。活字が多すぎます。誰に感情移入していいかわかりません。下巻は突然ものすごいスピードで話が進んでしまうし、ラストはちょっときれいすぎ。でも、それがなんだというのでしょうか。これは、文学ではなく、近未来シミュレーション小説というべきでしょう。村上龍は、日本の現状を官僚よりも政治家よりも銀行家よりも企業家よりもまじめに本質を理解して憂えているのでしょう。よくこんな小説を書いたものです。読むこっちもヘトヘトになるのですから、村上さんは、さぞや疲労困憊なさったことでしょう。しかし、これ以上こんな小説を書かれては、ファンは困りますので、当分はのんびり休養にあてて適当なエッセイでも書いていてほしいです。しかし、この小説の中で、一番説得力がある場面は、赤坂のバーでした。これが村上さんの一番親密な世界なんでしょうねえ・・・
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.371
(3pt)

設定は抜群、でも構成が...

一言で言うと、物語の設定は、時代感覚によく合っていて、興味をそそる内容だけども、話の構成として難が多いといった感じの作品だった。
作者としては、多数の視点から物語を語り、深みをだそうとして新しい小説の構成に挑戦しているのかもしれないが、不必要な部分ばかりが詳細に書かれており、読んでも全然話が進まずイライラする本だった。
作者は、経済や軍事、政治などの多様な視点から物語を語ることで、リアリティを出そうとしているのかもしれないが、村上龍の語る経済は用語ばかりは経済っぽい用語が出てくるが、経済の因果関係に関する考察が稚拙で、よけいにリアリティが失われている感じがする。つまり、作者は物語の背景には、このような経済と政治の背景があって、それらがこんな感じで関係しているから、物語はこうなっているんだということを語りたいようなんだが、どうもうまくいっていない気がする。この点は、愛と幻想のファシズムでも同じだった。
リアリティという点では、物語の中で最も気になる部分であるテロリストの戦いに関して特に前半が曖昧で、かなり現実性に欠けている。それを、作者は奇跡と表現しているようだ。
そのくせ、特にストーリーとは関係のない武器などに関する解説は妙に詳細であり、無駄な気がする。文中で、軍隊オタクが揃えた武器に対して「趣味的だ」という場面があるが、文末に大量の引用リストがある作者の知識こそ趣味的でこの小説には不要のものと思える。
こういった難点がありながらも、展開が気になって途中でやめることのできない小説であり、これも単に物語の設定の良さかなと思う。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.370
(3pt)

設定は抜群、でも構成が...

一言で言うと、物語の設定は、時代感覚によく合っていて、興味をそそる内容だけども、話の構成として難が多いといった感じの作品だった。
作者としては、多数の視点から物語を語り、深みをだそうとして新しい小説の構成に挑戦しているのかもしれないが、不必要な部分ばかりが詳細に書かれており、読んでも全然話が進まずイライラする本だった。
作者は、経済や軍事、政治などの多様な視点から物語を語ることで、リアリティを出そうとしているのかもしれないが、村上龍の語る経済は用語ばかりは経済っぽい用語が出てくるが、経済の因果関係に関する考察が稚拙で、よけいにリアリティが失われている感じがする。つまり、作者は物語の背景には、このような経済と政治の背景があって、それらがこんな感じで関係しているから、物語はこうなっているんだということを語りたいようなんだが、どうもうまくいっていない気がする。この点は、愛と幻想のファシズムでも同じだった。
リアリティという点では、物語の中で最も気になる部分であるテロリストの戦いに関して特に前半が曖昧で、かなり現実性に欠けている。それを、作者は奇跡と表現しているようだ。
そのくせ、特にストーリーとは関係のない武器などに関する解説は妙に詳細であり、無駄な気がする。文中で、軍隊オタクが揃えた武器に対して「趣味的だ」という場面があるが、文末に大量の引用リストがある作者の知識こそ趣味的でこの小説には不要のものと思える。
こういった難点がありながらも、展開が気になって途中でやめることのできない小説であり、これも単に物語の設定の良さかなと思う。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.369
(5pt)

傑作。全く飽きさせない驚愕のリアルさ。下巻への興味は尽きない。

謎の国、北朝鮮を扱った作品であるため、その真偽は別としても、
圧倒的な情報量とリアルさに驚かされる。

北の反乱軍が福岡を武力制圧するという、一見荒唐無稽なストーリーが、
ディテール描写により肉付けされ、瞬く間に現実感を帯びながら、
読者の前に起立している。

このレビューは下巻の読後に書いているのだが、
上巻を読み終わった時点では、結末は何となく予想できたものの、
一体どんな過程で結末に持っていくのか、そのプロセスは見当がつかなかった。

長い、重い、読み難い、とのレビューがあるが、
活字に慣れていれば全くそんなことはない。普通の本。

乞う映画化。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.368
(5pt)

傑作。全4巻でもいける。もっと描いてもいい。それほど面白い。

内容については、他のレヴュアーが書いているので、割愛。

上巻とはかなり趣が異なり、イシハラグループの最終的な破壊工作に至るまでの
各人、各方面が描写されている。

ただし、上巻で描かれた内閣官房や危機管理に関わる政府要人たちの動向は、
パラレルにはほとんど書かれておらず、そこが残念。
同じ九州内の他県の動向や市井の福岡市民を登場させてもよかった。
もっと描けたし、描いて欲しかった。

これだけのスケールの大きな物語なので、
切り口は豊富にあるし、上下2巻は確かに相当なボリュームだが、
その倍あっても濃密な心理・情景描写があれば、退屈しないはず。

それにしても傑作、一気に読めた。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.367
(5pt)

傑作。全く飽きさせない驚愕のリアルさ。下巻への興味は尽きない。

謎の国、北朝鮮を扱った作品であるため、その真偽は別としても、
圧倒的な情報量とリアルさに驚かされる。

北の反乱軍が福岡を武力制圧するという、一見荒唐無稽なストーリーが、
ディテール描写により肉付けされ、瞬く間に現実感を帯びながら、
読者の前に起立している。

このレビューは下巻の読後に書いているのだが、
上巻を読み終わった時点では、結末は何となく予想できたものの、
一体どんな過程で結末に持っていくのか、そのプロセスは見当がつかなかった。

長い、重い、読み難い、とのレビューがあるが、
活字に慣れていれば全くそんなことはない。普通の本。

乞う映画化。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.366
(2pt)

もったいない

この作家は初期の作品から不条理な暴力を扱ったりしていて、好感が持てる。
ただ、ときどき集中力が途切れてしまうのか、それとも忙しいのか、突然安っぽい展開になってしまうのが惜しい。

また、自分自身の問題を普遍的な問題と混乱してしまう癖のようなものがあるらしく(その表現がまた押し付けがましい)、主語に違和感を感じるときが多い。だからキャラクター作りが甘くなる。そうなるとコントラストも美しくないので、めんどくさい女と一緒にいる時のようなうっとうしさを感じるときがある。

作者は怒るかもしれないが、無闇にせっかちな性格を直さないと一流の小説は書けないだろう。実際のところは、この人、ものを書くのがあまり好きではないのかもしれない。

なんていうか、もったいないなぁと思います。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.365
(3pt)

特技が発する 一瞬の輝き

物語が小分けにされているので読みやすい。
平和ボケしているようなら読んでおいたほうが吉。
イザという時、パニックが軽減される。

それに、何かを犠牲にして
何かを守らなければならない状況になった時、
慌てずに済むかもしれない。

各章のタイトルはあえて見ないこと。
ドキドキが薄れてもったいない。

物語内の状況は、執筆時より現在の方が近くなっていて、
貧乏で捻くれて、危なっかしい日本が舞台。

様々な組織単位が出てくるが、
多くの資料や取材を積み重ねたのだろう、
物事は現実に沿って進んでいく。

物流の重要性、政治家や官僚の態度、死との遭遇・・・
対立という環境を通し、最優先事項を決定する大切さも提示される。

作品を通して、ビジネス面や普段の生活で取捨択一する時に
役に立ちそうな教訓も語られている。

平時でも緊急時でも、いつでも教訓は、
少ない情報、些細な兆候を見逃さない。
ということであり。

いつ、どのタイミングでリスクを取って、犠牲を出すのか思案することが
その後の命運を分けていく。

何かを選ぶコトと、何かを捨てるコトの差は同じかもしれないし、
そもそも、この"何か"が決まっているのかいないのか、
そのことが柱になってくる。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.364
(3pt)

特技が発する 一瞬の輝き

『13歳のハローワーク』の直後に執筆されたというのもあり、
「オマエら・・・ 好きなコトやってていいんだよ」
という村上龍さんの声が聞こえてきそうだ。

"経験していない"という恐怖が見え隠れしつつ、
突飛な登場人物は、限りなく突飛していて、
魅力的なキャラに仕上がっている。 (若干、登場人物が多過ぎるが・・・)

子どものように自由な世界と、
大人のリアルな現実が入り混じりながら話は展開してゆく。

『AKIRA』や『グーニーズ』『ぼくらの七日間戦争』『バトル・ロワイアル』
のように、笑い、涙、暴力、権力、恋愛、青春、戦争。
キラキラとドロドロが混ざったごった煮感覚を味わいたい方にお薦め。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.363
(3pt)

特技が発する 一瞬の輝き

物語が小分けにされているので読みやすい。
平和ボケしているようなら読んでおいたほうが吉。
イザという時、パニックが軽減される。

それに、何かを犠牲にして
何かを守らなければならない状況になった時、
慌てずに済むかもしれない。

各章のタイトルはあえて見ないこと。
ドキドキが薄れてもったいない。

物語内の状況は、執筆時より現在の方が近くなっていて、
貧乏で捻くれて、危なっかしい日本が舞台。

様々な組織単位が出てくるが、
多くの資料や取材を積み重ねたのだろう、
物事は現実に沿って進んでいく。

物流の重要性、政治家や官僚の態度、死との遭遇・・・
対立という環境を通し、最優先事項を決定する大切さも提示される。

作品を通して、ビジネス面や普段の生活で取捨択一する時に
役に立ちそうな教訓も語られている。

平時でも緊急時でも、いつでも教訓は、
少ない情報、些細な兆候を見逃さない。
ということであり。

いつ、どのタイミングでリスクを取って、犠牲を出すのか思案することが
その後の命運を分けていく。

何かを選ぶコトと、何かを捨てるコトの差は同じかもしれないし、
そもそも、この"何か"が決まっているのかいないのか、
そのことが柱になってくる。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.362
(5pt)

最上の出だし

まだ上巻の途中までしか読んでいないが、最高の出だしだった。その点は「希望の国のエクソダス」と同様だと思った。北朝鮮は最悪である、という前提を持っている日本人は多いと思うのだが、本書を読むとイメージが変わる。そして北朝鮮のコマンド達と、今後一戦交えることになる日本人のチーム(マイノリティー)との戦い、という展開は面白すぎて、先を待たずにはいられない。村上龍さんにしか書くことができない小説であると思った。映画化のはなしは流れたのかもしれないが、実写版も個人的には見てみたかった。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.361
(5pt)

最上の出だし

まだ上巻の途中までしか読んでいないが、最高の出だしだった。その点は「希望の国のエクソダス」と同様だと思った。北朝鮮は最悪である、という前提を持っている日本人は多いと思うのだが、本書を読むとイメージが変わる。そして北朝鮮のコマンド達と、今後一戦交えることになる日本人のチーム(マイノリティー)との戦い、という展開は面白すぎて、先を待たずにはいられない。村上龍さんにしか書くことができない小説であると思った。映画化のはなしは流れたのかもしれないが、実写版も個人的には見てみたかった。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X
No.360
(5pt)

村上龍がこれでもかと見せつける圧倒的な世界

ずいぶん前に出版されていて、気にはなっていたものの、まとまった時間で一気に読んだ。

経済が没落し、失業率が10%を越え、アメリカからは見放され、国内には閉塞感が漂い、
その出口を核武装も辞さない軍拡主義に見出した日本に、
北朝鮮の「反乱軍」を名乗る精鋭部隊が侵入し、福岡を「占領」、
その独立と、12日後、12万人の「反乱軍」が日本に入国することを日本国政府に要望する。
一方、イシハラというカリスマ的人物の周りに集まった少年たちが、
その「反乱軍」に対して、ある計画を実行する、というストーリーである。

荒唐無稽なようで、上巻は、圧倒的な情報量で、非常に緻密に描かれている。
日本の政治家が「最優先事項を決められない」ということ、
北朝鮮の内情、兵士の訓練の様子、人間性の記述、冷徹さ、脆さ、
イシハラグループの少年たちの生い立ち、心の傷、心理描写、
あまりにもリアルであり、巨大な作戦が少しずつ動いていく様子に、まったく無理がない。
下巻の計画実行のくだりは、さすがにリアリティーに欠けるように思えたものの、
構築されている世界はすさまじい。

北朝鮮兵士の日本人からは想像しがたい精神構造、退廃を発見する瞬間、
北朝鮮兵士とアナウンサーとの恋、それを打ち消す職務への邁進、
西日本新聞記者の北朝鮮兵士への問いかけ、
「国家というものは必ず少数派を犠牲にして多数派を守るものだ」という問題意識、
処刑式を阻止しようと走る老医、
少年たちの、それぞれの物事への狂気的なこだわり、愛情の欠落、何かの欠落、
自分を刺した母親を許した少年など、
映画のシーンが思い浮かぶような印象的な場面、
強烈なイメージを残す思考の跡が随所にある。

著者は、
「コインロッカーベイビーズ」で、人間と人間のつながりは何か、本性は何か、ということを問いかけた。
また、「五分後の世界」、「希望の国のエクソダス」は、
「日本は有史以来、日本固有の領土を侵略された経験を持っていない」という問題意識が貫かれ、
日本の現状を根底から問うていた。
本作は、その両方の問いが、さらに激烈な形で、現れているように思う。

グロテスクな描写もあり、非常に好き嫌いが分かれる作品だとは思うが、
現在の日本へのアンチテーゼ、心の傷とその快復を、圧倒的な情報量と迫力で描ききった、傑作だと思う。
半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)より
4344410009
No.359
(5pt)

村上龍がこれでもかと見せつける圧倒的な世界(上巻と同内容)

ずいぶん前に出版されていて、気にはなっていたものの、まとまった時間で一気に読んだ。

経済が没落し、失業率が10%を越え、アメリカからは見放され、国内には閉塞感が漂い、
その出口を核武装も辞さない軍拡主義に見出した日本に、
北朝鮮の「反乱軍」を名乗る精鋭部隊が侵入し、福岡を「占領」、
その独立と、12日後、12万人の「反乱軍」が日本に入国することを日本国政府に要望する。
一方、イシハラというカリスマ的人物の周りに集まった少年たちが、
その「反乱軍」に対して、ある計画を実行する、というストーリーである。

荒唐無稽なようで、上巻は、圧倒的な情報量で、非常に緻密に描かれている。
日本の政治家が「最優先事項を決められない」ということ、
北朝鮮の内情、兵士の訓練の様子、人間性の記述、冷徹さ、脆さ、
イシハラグループの少年たちの生い立ち、心の傷、心理描写、
あまりにもリアルであり、巨大な作戦が少しずつ動いていく様子に、まったく無理がない。
下巻の計画実行のくだりは、さすがにリアリティーに欠けるように思えたものの、
構築されている世界はすさまじい。

北朝鮮兵士の日本人からは想像しがたい精神構造、退廃を発見する瞬間、
北朝鮮兵士とアナウンサーとの恋、それを打ち消す職務への邁進、
西日本新聞記者の北朝鮮兵士への問いかけ、
「国家というものは必ず少数派を犠牲にして多数派を守るものだ」という問題意識、
処刑式を阻止しようと走る老医、
少年たちの、それぞれの物事への狂気的なこだわり、愛情の欠落、何かの欠落、
自分を刺した母親を許した少年など、
映画のシーンが思い浮かぶような印象的な場面、
強烈なイメージを残す思考の跡が随所にある。

著者は、
「コインロッカーベイビーズ」で、人間と人間のつながりは何か、本性は何か、ということを問いかけた。
また、「五分後の世界」、「希望の国のエクソダス」は、
「日本は有史以来、日本固有の領土を侵略された経験を持っていない」という問題意識が貫かれ、
日本の現状を根底から問うていた。
本作は、その両方の問いが、さらに激烈な形で、現れているように思う。

グロテスクな描写もあり、非常に好き嫌いが分かれる作品だとは思うが、
現在の日本へのアンチテーゼ、心の傷とその快復を、圧倒的な情報量と迫力で描ききった、傑作だと思う。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.358
(5pt)

村上龍がこれでもかと見せつける圧倒的な世界

ずいぶん前に出版されていて、気にはなっていたものの、まとまった時間で一気に読んだ。

経済が没落し、失業率が10%を越え、アメリカからは見放され、国内には閉塞感が漂い、
その出口を核武装も辞さない軍拡主義に見出した日本に、
北朝鮮の「反乱軍」を名乗る精鋭部隊が侵入し、福岡を「占領」、
その独立と、12日後、12万人の「反乱軍」が日本に入国することを日本国政府に要望する。
一方、イシハラというカリスマ的人物の周りに集まった少年たちが、
その「反乱軍」に対して、ある計画を実行する、というストーリーである。

荒唐無稽なようで、上巻は、圧倒的な情報量で、非常に緻密に描かれている。
日本の政治家が「最優先事項を決められない」ということ、
北朝鮮の内情、兵士の訓練の様子、人間性の記述、冷徹さ、脆さ、
イシハラグループの少年たちの生い立ち、心の傷、心理描写、
あまりにもリアルであり、巨大な作戦が少しずつ動いていく様子に、まったく無理がない。
下巻の計画実行のくだりは、さすがにリアリティーに欠けるように思えたものの、
構築されている世界はすさまじい。

北朝鮮兵士の日本人からは想像しがたい精神構造、退廃を発見する瞬間、
北朝鮮兵士とアナウンサーとの恋、それを打ち消す職務への邁進、
西日本新聞記者の北朝鮮兵士への問いかけ、
「国家というものは必ず少数派を犠牲にして多数派を守るものだ」という問題意識、
処刑式を阻止しようと走る老医、
少年たちの、それぞれの物事への狂気的なこだわり、愛情の欠落、何かの欠落、
自分を刺した母親を許した少年など、
映画のシーンが思い浮かぶような印象的な場面、
強烈なイメージを残す思考の跡が随所にある。

著者は、
「コインロッカーベイビーズ」で、人間と人間のつながりは何か、本性は何か、ということを問いかけた。
また、「五分後の世界」、「希望の国のエクソダス」は、
「日本は有史以来、日本固有の領土を侵略された経験を持っていない」という問題意識が貫かれ、
日本の現状を根底から問うていた。
本作は、その両方の問いが、さらに激烈な形で、現れているように思う。

グロテスクな描写もあり、非常に好き嫌いが分かれる作品だとは思うが、
現在の日本へのアンチテーゼ、心の傷とその快復を、圧倒的な情報量と迫力で描ききった、傑作だと思う。
半島を出よ (上) Amazon書評・レビュー: 半島を出よ (上)より
434400759X