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半島を出よ



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半島を出よの評価: 4.00/5点 レビュー 322件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全230件 101~120 6/12ページ
No.130:
(4pt)

リアルな絶望感と未来への希望

この「半島を出よ」という作品は、上巻と下巻で少しスタイルが違っていて、上巻が徹底的にリアルな想像を元に執筆された話であり、下巻はエンターテイメント性を重視した物語へと展開される。それ故、若干上巻・下巻で読者として戸惑ってしまう部分はあったが、全体的にとても楽しむ事が出来た。話のボリュームは多いけれど、作品通してスリリングな展開が広がり、飽きずに読ませてしまうのはやはり流石だと感じた。

この下巻は何も有効な対策が取れない日本の政府やメディア、そして諦めに支配された風潮に代わり、社会のはみ出しモノ達が北朝鮮のテロリスト達に対し、必死の抵抗を行うという話がメイン。前述したように上巻とのスタイルが少し違う為に、期待を裏切られる読者も多いかと思うのだけれど、一貫した村上龍の意志は受け継がれているし、本来彼の小説はこういった壮大なスケールをもった物語こそが持ち味だと思うので、僕自身はこういうやり方は上手くはまったというように思えた。ただ、あまりにも話に無理がありすぎる部分も多い為、以前の名作に比べると若干物語の信憑性が薄いと感じる部分があった事も否めなかった。

物語重視故に、上巻に比べると、この下巻は魅力的な人物が多数現れる。北朝鮮軍のブレイン達、占領された福岡の果敢な人間達、そしてはみ出しモノであるイシハラグループのメンバー達。緻密な人間描写と彼らの生き様、状況が変わるにつれて変化する心理描写等、とてもスリリングで読み応えがある。傍目では優秀な人間でも、色々な葛藤や驚き、そして弱さを持っていて、そういったものに対し果敢に挑んでいく姿は、やはり美しいし、僕自身力を与えられる部分でもある。ラストがあまりにも綺麗に決まりすぎていて、何処か矛盾を感じてしまうのが勿体無いのだが、あまりにもリアルで残酷な現状を暴き出してしまった上巻に対して、未来への希望というものを村上龍自身、最後に示したかったのではないのだろうか?そんな風にも思えた。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
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No.129:
(5pt)

実際に

起こる可能性がないともいえない北朝鮮の侵攻。

戦後から現在までの経済発展の中で我々は「危機感」とか「死」とかいうものをどこかに置き忘れてしまっている

殺し合いや飢餓なんて自分の世界の外側だとたかをくくっていると実際の危機に直面したときまさにこの福岡県の職員のようになってしまうのではないか

相変わらず村上龍は僕の心を揺さぶってくれた
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.128:
(5pt)

「退廃の発見」

上巻から続く、圧倒的なダイナミズムと構成力は当然のことしてさておき・・・

村上龍の、言葉の使い方の正確さに脱帽させられた。

下巻のチャプターのひとつに、「退廃の発見」というのがあります

北朝鮮の軍人の一人が主人公になっている章で、その軍人は、ある1枚のポスターをきっかけに「退廃」というものは一体どういうものなのか、その概念を探し始める

この章を通じて彼は試行錯誤して、最後に「退廃」が何なのか、どこにあったのかを見つける

文字通り、退廃の発見。

ネタバレになるのでそれが何だったのかは書きませんが、ここで村上龍(というか、その章の主人公?)が「退廃」と称したもの、まさにそのとおりで、今も頭から離れません・・・

実は、この章自体メインプロットに欠かせない部分ではない

実際、私も再読したときにこの部分のすごさに気づいた

上巻下巻あわせて、何度読み返しても時間の無駄にはなり得ない、新しい発見がある本
半島を出よ (下)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (下)より
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No.127:
(5pt)

マジョリティの外側

『輪の内側にいるとわかりにくいけれど、外側に立って見てみるといかに異様なことをしているかがわかる・・・』

「半島を出よ」に詰められた数多くのメッセージの中の一つ。

特に上巻は、北朝鮮コマンドの福岡制圧が表のストーリーなら、裏のストーリーは、マジョリティ集団を端から見たときの視点、だと思う。

村上龍は、マジョリティ集団に属するものと属さないものの違いをいつも描く。

でも、実はそれが全く別ものとしてあるわけじゃなく、誰でもいつでも立場が逆転することがあると、これを読むとよくわかる。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.126:
(4pt)

ストックホルム症候群

敗戦以来、我々日本人は過度の平和主義に毒されてしまった。傷つくことを覚悟して戦うべき時には戦わなければ、民族崩壊の危機に瀕する可能性もある。

この小説の中で、被占領者がストックホルム症候群に冒され、北朝鮮のコマンドに過度の好意を抱いてしまうところが特に印象に残っています。韓流スターと同列に扱って追っかけもどきになる女性の描写など、かなりの現実味があり、背筋が寒くなる思いをしました。村上龍氏は国民をよく見ていますね。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.125:
(5pt)

コンキチ&ナターシャの絵本ナビ

日本の国防の欠点を見事に突き、ぬるま湯につかっている日本人に鉄槌を

くらわす村上龍の最高傑作、全ての日本人に読んで欲しい一冊です。

完璧な作品に仕上がったと思います。参考資料が数ページにわったって

書いてあるのが凄い、この一冊にかけた時間と労力はこの作品に品位を

与えリアルな近未来への警告に昇華したと思います。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.124:
(4pt)

少しくどい

かなりのボリューム。

端的に言うと福岡が北朝鮮の特殊部隊に占拠されて、壊滅するまでのお話。

内容はよく考えられており、これならあり得るかもと思わせるほど考えられたストーリー展開。

日本政府の行動力が無い様など、これが現実ではないかと考えさせられてしまう。

ただ登場人物の設定が細かく、そのつどその人物についてくどいほどの説明があり

そのくどさでスピード感が損なわれているように思うが、作者の意図はリアルさを追求する

ところにあったのか?

最後のイシハラのセリフ「それは、お前の自由だ」は格好イイ
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.123:
(5pt)

怖い、だから面白い!

この本を手にとって思うことはまず「厚い」。

とにかく重量感のある2冊です。内容もなかなかハードで、頭も使います。

が、とにかく面白いです。リアリティがある分、難解な場面も多々あります。

漢字も多いし、カタカナも多い。専門的な内容がふんだんに出てきます。

多少、難しいところは目をつむり、先へ進むんでも大丈夫だと思います。

特に下巻に関しては、グイグイと読み手を引き込んでくれます。

私は、読んでる途中、区切りをつけることが出来ず最後まで読みきってしまいました。

本当に現実に起こりそうで、怖い内容です。

でも、それだけ色々考えさせられる内容でした。最初はとっつき難いかもしれませんが

読んで損は無いと思います。
半島を出よ (下)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (下)より
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No.122:
(5pt)

虫が夢に出てくる圧倒的な表現力!!

村上龍の作品はだいたい読んでいますが、このような体験は初めてでした。

作中非常になまなましい虫の描写があります。あまりのグロテスクさのせいで、身の毛もよだつ虫たちが大量に出てくる夢を見て、うなされて起きてしまいました。

魔宮の伝説やハムナプトラなどの気持ち悪い虫のシーンをいくら見ても夢に出てくることは無かったですが、描写が頭に焼きつき夢に出てきて、うなされて起きた後もまた夢に出てくるのではとしばらく眠れませんでした。これが彼のすごい文章力ですね。
半島を出よ (下)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (下)より
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No.121:
(5pt)

覚悟!

過激でした。の、ひとことね。最初、怖いの。すごく。
北朝鮮がまず、福岡ドームを占拠しちゃって・・・。
って、話。で、進んでいくんだけど。
福岡ドーム占拠する前に。
日本の現状が書かれているんだけど。
そこで、もう、怖い!!!読み進められないくらい・・・。なんだ。
ほんの、数年先の設定でよ。2008?10?頃だっけ?
ホームレスの数。銀行が預金封鎖しちゃって。
アメリカが世界の警察から降りて。そして、日本のとるべき位置。
日本が外国からというか、アジアでどう見られているか?
・・・?

ほんとにありそうで、おこりそうで。不安が、つのるだけ・・・だった。
でも、ね。読み進めていくと。
《覚悟!》
覚悟してくるの。覚悟が沸いてくる。
この現状。に。日本の立場に。ね。認めてしまう。と、いうのかな?
こういう気持ち表現するのって。

そして、立ち上がっていくのが。
(これも、下巻の途中というかほとんど終わりくらいからだから・・・。お・そ・い。んだけど。)
シノハラグループ。
立ち上がってって書いたけど。
立ち上がるとか、団結とか、使命とか。
って熱いものを持ち合わせて動いたんじゃないんだ。彼ら。
チーム?グループとも呼べない。若者の集団。
彼らが。?WHY?突き動かしたものは???

すべての、登場人物が、細かく書かれているので。
すんなりとは、読み進められない。困難。よ、読むの。
感情もそれぞれに入っちゃう・・・。しね。

あの、でも、若者のグループ。シノハラグループ。
今の社会からは、はみ出たグループ。の、力。
自分のため。に。自分しかできないこと。を。淡々に、と、した。の。
結果とか、評価とか、考えてない。よね。

もう一度。
今の社会って?私の考え方って?
自問に入っております。
い・ま!ね!
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.120:
(4pt)

「あくまで小説だからこそ」の面白さ

なぜ最初これを読もうと思ったかというと、村上龍が好きだとか北朝鮮の真実(かわからないがそういったもの)を知りたいとか、表紙にインパクトを受けたからとか、そんなんじゃなかったんです。なぜかというと、この舞台が僕の地元だったんです。最初はこんな理由でした・・。

さて、最初に言いたいことは、「半島を出よ」の上巻は粘って読んでください。なんでもそうだと思うんですが、やっぱりクライマックスにいくにつれて面白くなってきます。

僕は、このような未来を期待していませんし、なるとも思ってません。しかし現実を見てみると、どこか疑えないところがある。そのギリギリのラインを走っている作品は面白い。ノンフィクションを誇張して書くと、娯楽作品としては面白くなる、ということに近い。「あくまでも小説だからこそ」楽しんで読めるわけですし、現実問題となるとヤバイ。

この作品が面白くなり得たのは、全て村上龍の「努力」だと思われる。めちゃめちゃ調べた形跡があちらこちらに見受けられる。今思うと凄すぎる。量はけっこうありますが、楽しんで(?)読んでください。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.119:
(5pt)

上巻粘って読んだ方、おめでとうございます!

たどりつくべきは、この下巻なんですよ。日本人が好きな判官贔屓の始まりです。勧善懲悪(と言えるかは分からないが)の始まりです。

なぜこの作品が楽しいと思えるかは、やっぱり彼らのがんばってる姿でしょうね。あ〜僕としては敢えて内容はあんまり言いたくないんですよ。というのは、結末知らない人が結末を知るのが可哀相とかではなくて、それをどうとらえるかが人によって全然ちがうからです。それが文学作品の一番必要な点だと思います。

さて、話は戻りますが、とにかく上巻粘って読んだ方、おめでとうございます。たぶん、下巻のほうがスイスイ読めると思います。それは、あの連続した速やかな行動というか、一体感みたいなものがあるからじゃないでしょうか。映画化しても面白いかも。

とにかく、長いのと登場人物が多いのと人間関係が複雑なのなどなど、読みにくい原因となるものも幾つかありますが、楽しいので読んじゃってください。
半島を出よ (下)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (下)より
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No.118:
(5pt)

びっくり

ビルを倒してその下にある北朝鮮軍の野営地を押しつぶすのではなく、シーホークホテル爆破の爆風やホテル倒壊時の振動や風圧・その中を飛んでくる瓦礫や粉塵(呼吸をできなくする)で北朝鮮を全滅させるという計画など、「よくあるイメージではなく、文献や取材で調べた結果分かった現実の方がより具体的で面白い」という感じの所が多々あり、かなり面白い。最後のホテル倒壊の所で、バラバラだったイシハラの集団が協力してホテル爆破をやりとげる事に熱中する所は、スピノザの「協力して力が強まる」例を上手く描いていた

終わり方もすっきりしていて後味も良い

かなり多い参考文献を調べ、徹底した取材も行って、読んでいるだけで「知識」もつくし、物語を「具体的かつ面白くしている」所は凄いと思った。かなり楽しめる作品
半島を出よ (下)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (下)より
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No.117:
(5pt)

日本人よ、危機感を持て

読みました。

相変わらず村上龍の文章というのは、圧倒的なスピード感がある。

本書『半島を出よ』は反乱軍を名乗る北朝鮮軍が福岡を制圧するというストーリーで、『愛と幻想のファシズム』や『5分後の世界』と系統は同じである。

北朝鮮軍は恐ろしく強い。

日本国は恐ろしく弱い。

自衛隊は何もできない。

アメリカは助けてくれない。

中国も助けてくれない。

ネタバレになるのであまり内容についてはかけないが、「これマジで起きるんじゃない?」って思えるくらいリアル。

2010年代の日本を描いているのだが、今本気で北朝鮮が攻めてきたら・・・と思うとゾッとする。

平和憲法は確かにすばらしい憲法。

日本は戦争には巻き込まれるはずがない。

もし何かあればアメリカが守ってくれる。。。

そんな風に思っている日本国民をあざ笑うかのようなストーリーがこの小説上では展開される。

設定は圧倒的におもしろいので、もっと違う展開でさらにおもしろくかけたのではないかと少し思うが、十分に読み応えある良い小説だった。

日本は大丈夫か?
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.116:
(4pt)

つまらない日常に刺激の一冊

怖い!怖い!本当にありそうであってもおかしくない話で現実味のある話でコワイ。

福岡に少しでも携わった事のある人は、面白さ倍増なのは間違いない!です。。。

でも、拷問とかの場面が、、、恐ろしい・・、北朝鮮のコマンドの厳しい訓練方法が、、、スゴイ・・

国を救うのは、政府でも軍隊でもなく個性的な青年たち。

私の頭の中では「AKIRA」の世界が繰り広げられていました。
半島を出よ (下)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (下)より
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No.115:
(4pt)

めちゃくちゃおもしろいが、ちょっとだけ違和感が・・

かなりのボリュームがあるが一気に読んでしまった。

「愛と幻想のファシズム」と「希望の国のエクソダス」を足して2で割らない感じか。人間が根源的に持っているはずの疎外感や破壊願望、人間が生きていくときの「選択」の重要性など、村上龍らしいテーマが繰り返し表現される。

非常に緻密な取材に基づく圧倒的なリアリティで描かれているが、ひとつだけ気になった(違和感があった)のは、集団行動をとったことがない人間が、極限状態で集団としての瞬間的な判断はできないのではないか、というところだ。

村上龍の小説には、集団行動が取れず、それゆえにその集団から疎外されたり、圧力を受けたりする人間がよく登場し、そういう人間が集団に対して復讐を果たすというようなテーマが多いので、そんなことを言ってしまったら彼の小説を全否定してしまうような気もするが、今回は、そういう疎外された少年達が今までの小説に例のないほどの計画的・集中的・緻密な復讐計画を成功させてしまったというところが、他の部分がものすごいリアリティを持っているだけに浮いていた感じがする。
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No.114:
(5pt)

タイムリーな話題かも!?

2011年北朝鮮軍が福岡市にテロを起こし、統治しようとしたが、

結末はいかに。 北朝鮮によるミサイル攻撃が危ぶまれる今、

北朝鮮に関しての膨大なリサーチが反映しているこの本は必読です。

小説の中では、日本の将来は、国際的に孤立して、不況に陥るという悲観論が

メジャーとなっていますが、自給自足や諸外国と協調関係が大事だという結論

にも導かれるのですが、実際に日本がどうなるのかはまだ誰も予測ができないのかもしれません

どんなに貧しくても、ホームレスの悲惨な生活になることだけは、避けたいですよね。

政治経済など、未だ知られていない日本の将来の姿についてもヒントを与えてくれる本かもしれません。
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No.113:
(5pt)

ヤドクガエル

読む前に本を手に取った時は、表紙を見ても「カエル?」としか思わないが、読むにつれて、表紙のカエルが恐〜く見えてくる。最後まで読み終えて、裏表紙の手前まで来たら、頁の右下の隅にカエル!内心「キャッ!」となりましたね。村上龍渾身の作でしょうか。彼の作品には、いつもタフで柔らかいロマンがある。ここまで書くからこそ、美しいものが見えてくるその筆圧の高さは見事
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.112:
(4pt)

凄い。

凄く突いていて怖い本。

そしてまた独特のグロい表現がくどかったりして気持ち悪かった。

手にとる本が偏っているのか、人間を素直に好きになれるような本て、めぐり合えないものです。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.111:
(5pt)

文句なしに面白く、そして深い。

まずは手にとって見てその分厚さと密度に驚くが、内容はそれほど難しくない。

しかし綿密に調べ上げられた軍事、政治、国際情勢に裏打ちされたリアルな描写。人物の心情表現。情景描写の残酷なまでのリアルさ。どれをとっても驚嘆する。今まで村上龍の小説はあまり好きではなかったが、この作品で一気に村上龍を見直した。

この作品には、コリョによる福岡ドーム占拠、SATによる攻撃、イシハラグループによるホテル潜入とそれに続く、迫ってくるコリョとの息をもつかせぬ戦い。そしてホテル脱出。ホテルの崩壊。という4つの見所があると思う。

占領されたときのホークスファンの態度、政府の対応。どれを取っても実際にこうなるかもと思わせるリアルさがあり怖いほどだ。

しかし何よりイシハラグループの戦いはすばらしい。誰も束縛しないで誰にも束縛されない。絶対多数派に組しない。社会のごみのような扱いを受けた彼らが最後には日本を救う。しかしそこには正義はない。ただあるのは快楽だけである。一見ばらばらで、ひどい集団のように見えるが、その実態は社会の裏を見抜き自分たちはいかにして生きるかということを確立した集団である。そして彼らには友情や愛情などの陳腐な言葉では語れない何かしらの深いつながりがある。そのような集団、イシハラの考え方に僕は深く共鳴した。

自由とは何か、それはこの物語の最後の一行にこめられている。

この物語を読むも読まないも「それは、お前の自由だ。」
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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