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ソロモンの偽証
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【この小説が収録されている参考書籍】
ソロモンの偽証の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全76件 61~76 4/4ページ
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ソロモンの偽証 3部作の3冊目。 1部事件⇒2部決意を受けて、いよいよ法廷編となる。 宮部みゆきらしく、細部までこだわった書き込みや、中学生の深層心理にまで踏み込んだ記述は見事。 ただし、他の方も書いておられるように、中学生に作中のような法廷の運営・進行は不可能。 いじめによる自殺と法廷の話は、別の物語にした方が良かったのではないかとも思う。 それだと、ストーリーが成り立たないことも分かるのだが。 また、ラストは誰もが考えるとおりに収束してしまった。 これも、作者の意図は理解できるのだが、エンターテイメントとしての魅力を半減させてしまった。 | ||||
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第1部を受け、第3部の「法廷」に向けての第2部。 法廷関係者それぞれの決意を描いている。 しかし、法廷内容に関しては、中学生の考えを超えている感が否めない。 第1部に比べ、ややスローダウンした感じがする。 また、内容がまどろっこしく冗長である。 事件の真相はもちろんだが、弁護人の神原くんの事件への関与も気になる所ではある。 事件の真実が明らかになるのか? 柏木くんは自殺か?他殺か?事故か? 第3部が楽しみである。 | ||||
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「史上最強のミステリー」というのをみて買ってしまいました。しかも3冊まとめて、'T部は確かにおもしろいです。でも、途中ぎから登場人物が次から次へと増えていき、あれこれ誰だっけ?という感じで読み進めなければなりませんでした。小説だから不自然なところはたくさん出てきますし、リアリティに欠ける部分もたくさんみえるのは仕方がないのかなとは思いますが、おもしろいな、次が早く読みたいと思いつつ、「こんな中学生今まで出会ったことない」と中学生を身近にみている商売をしていると感じてしまうところが多々でてきました。中学生はもっと利己的で反面もっと純粋で・・・と思いながら読みました。謎を解明しようと決起する中学生。それを妨害しようとする教師や大人。サポートする大人。宮部さんの書く力が存分に発揮されていて・・・・'U部につながっていきます。 | ||||
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1・2は徹夜で読んだが、3でガッカリしてしまいました。裁判があまりに不自然すぎて…「こんな中学生いるかよ」と思ってしまいました。「模倣犯」を超える傑作を期待していただけに、ガッカリです。 | ||||
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1巻目読了時点で、高評価しました。2巻目読了後も、3巻目が待ち遠しくてなりませんでした。3巻目も読み始めた最初の50頁くらいまでは、法廷の展開が興味深く、最スピードの勢いでした。が、実は2巻目あたりから見え始めていた、作者自身、読者にそう看取されているだろうことを見越して何人かの登場人物たちにそれとなくぼんやりかんじさせていた結末の予感がはっきりとしてしまって以降、急速に失速。まことに残念な最終盤になってしまった。 それでも3巻揃っての出来栄え自体は決して悪いものではなく、水準維持。読み応えは十分です。 | ||||
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中学生から、こんな思考や発言でるか!と思ってしまう。いちばん感情を理解出来たのは樹里だった。 私は歪んでいる?でも、やっぱりあり得ない。もっとリアルな中学生に登場して欲しかった。久しぶりの現代物で、凄く期待していましたが、正直残念です。 | ||||
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※本編の内容に一部触れています 第一部は良くいえば期待感を持たせる内容で、第二部はその期待感とはややズレた方向に進んで、ちょっとがっかり。 そしてこの第三部。 結末だけを見れば、なんとなく“いい話”みたいな風に見れなくもなく、物語としては悪くないのかなと思いました。 ただ感じたのは、これミステリーか?ということ。 密室殺人があって連続殺人があってアリバイトリックがあって、みたいなものだけがミステリーということはないと重々承知してますが、ミステリー作品と思って見た際の事前情報とのギャップがところどころある。 個人的に非常に感銘を受けた第一部のコピーや、第三部の帯のアオリなど、充分すぎるほど惹かれるものがありましたがそれを本編内容に照らし合わせてみると、どれもこれも期待値を下回るものばかり。 『偽証』ってこれ? とか 『この裁判は最初から仕組まれていた?(第三部帯)』←別に悪意があったわけでもなんでもないし、そもそも“仕組まれた”のか?これ。 という感じです。 途中参加の神原和彦には、『不可解な弁護人(第二部帯)』と書かれるなど、おせっかいというくらいあからさまなヒントの描写が散りばめられ、結局予想を上回ることもなくエンド。 “真相”と言いつつも、そこには悪意も故意も絡んでなかったわけで。。 本編各所で示唆されていた以上の“謎”は見当たらなかったように思います。 はっきり言えば、例えば柏木卓也が死を賭けて壮大な仕掛けをしていたとか、神原和彦もグルで大出一家になんらかの復讐を行っていたとか、後味は悪いでしょうが個人的にはそういうのを期待していたわけです。 だからこそ、弁護人が大出俊次を糾弾するシーンはゾクゾクきたのですが、樹里に対してのただのフォローだったということでゲンナリ。 そういえばあの細かい悪業の数々のデータの入手経路は結局、ハッキリ明示されませんでしたね。 それと振り返ってみれば、浅井松子も大出の祖母も森内先生も、『犠牲者』という扱いになってますが、これ別にいらなかったんじゃ、と思ってしまいます。 うがった見方をすれば、『犠牲者』というワードを使いたいがために作者が死なせた、ないしは被害を受けたようにしただけ。 特に、浅井松子なんかは樹里の“最後の証言”のために死なせたのではと思えるくらい。 もしそうならお粗末すぎるし可哀想でしょ。 さらに言えば、コピーやタイトルに『偽証』というワードを使いたいがために、樹里の“最後の証言”のくだりがあるのか?というくらいコチラは蛇足感が強い。タイミング的な意味で。 ただこれのおかげで“いい話”みたいに見られるので、これはこれで良かったと思います。 しかし逆にこれで、ミステリー…?と言うくらい印象が変わってしまった。 この部分を主題(タイトル)に持ってきているくらいですから、ここを一番描きたかったんでしょうが、そう見ると「ミステリー」とは全く別物になる印象です。 『偽証』の内容も結局告発状のリピートで、“真相”とは全く関係ないし、事件の全容がひっくり返る、みたいなこともなかったですからね。 期待していたのは、もっともっと悪意ある『偽証』でした。個人的には。 最後に、非常に、ひっじょーに気になる点をひとつ。 この第三部はほぼ冒頭から法廷シーンですが、その各所ほぼ全編にわたり、 『傍聴席が笑った』とか『傍聴席から笑いが起こった』というような描写が、とても非常にかなり多い。 一方ではおよそ中学生とは思えない台詞の応酬が繰り広げられるので、その温度差を物凄く感じる。 傍聴人といっても大半は生徒の保護者なわけですよね。 この関係性、なんというんでしょうか。 まるで文化祭の演劇を行う演者と、それを見守る観客みたいな印象です。 なにこれ、パフォーマンス? 作者はこの法廷をどう見せたかったのか、その意図が理解できません。 ここだけはちょっとイライラしました。 少し長くなりました。まとめます。 物語としては悪くない、だがミステリーとしてみると疑問。 さらに、構想15年などという割には期待値を超えることはなくスケールも小さい。 計2100ページ超で1900円×3冊。 3カ月連続刊行は嬉しいですが、内容やコスパをみると正直がっかりです。 これ9年に渡って連載されてたわけですよね。 連載の読者の方は満足できたのでしょうか、がっかりしなかったのでしょうか、とお聞きしたいくらいです。 ちなみに私は、映像化作品は複数拝見してますが宮部みゆきさんの作品自体を読むのは初めてでした。 ネームバリューもありますし、たくさんの賞を獲っていらっしゃるということで期待していたのですが、ハードルを上げすぎたのでしょうか。 | ||||
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少年の死によって始まる物語。 2部までの少年像は繊細で優秀すぎて生きにくさを感じる…という描かれかたでした。3部でいきなり底意地の悪い身勝手な人物像に。 それを大勢の前で暴かれ、家庭不和も晒され、少年の遺族一家には救いようのない結末。 少年の友人で弁護人の他校の生徒。非の打ち所のない完璧な人物。彼の証言で少年の死の真実が明らかにされるわけですが、彼が実はとんでもないサイコパスで、証言は全て嘘、ってことはないの?!と思ってしまいました。 電話の内容も現場での様子も証拠はないわけで。 あと松子は樹里に突き飛ばされて道路に飛び出したのかと思っていましたが、違ったんですかね。 こんな風に読んでしまうのは、私の心の汚れ具合を反映しているのでしょうか?皆さんのレビューでは絶賛されていますが、そうか〜?と。 これだけのページ数で一気読みさせる筆力はさすがです。 | ||||
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2巻の後半からどういう展開になるのかわくわくしながら読んだが、最後に明らかになる真相がしっくりこなかった。 途中から出てきた他校の生徒が話の中心になるというのはどうなんだろう。 それを抜きにして、思春期特有の心の葛藤とかスクールカーストみたいなところはリアルに描けていたので及第点。 | ||||
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※本編の内容に一部触れています。 法廷モノになるというのはあらすじから分かりきってましたし、だからこそ期待していたのですが。 第一部を読了した時点で、てっきり柏木卓也の自殺の真相が明かされていくものかと思ったのですが、 論点が大出俊次のシロクロになるとは、最終的に行き着く先に変わりはないとはいえ、予想外というか期待外れでした。 第一部では、「あいつはやってない」「柏木は自殺」と、警察サイドや柏木卓也の身内など複数の視点から語られ、別に真相があるのだなという雰囲気のストーリー進行ですし、告発状は(少なくとも現段階では)捏造だと、その告発者まで読者に明かされてますし、そこまで見せておいてなぜ大出を被告にして裁判?という感じです。 目的は罰することではないというものの、ここまで大掛かりなことしてもし有罪になれば、なかば公にクロと判定されるようなものです。 所詮ウワサレベルの疑惑だったものが、既成事実となってしまい、それこそ冤罪になるおそれがありますよね。 いじめだとか万引きだとか、そんなレベルの話ではないはずです。 殺人者の汚名を着せられるおそれがあるんですよ。 いくら潔白だとしても、ここまでのリスクを負ってこの裁判にのぞむメリットは大出側にはあるのでしょうか。 そもそもその大出自身からも、身の潔白を証明したいという思いがあまり感じられませんし。 まあ描写がないだけ、ともいえますが。 ただそれでは物語が進まないのでこれで裁判を始めるとして、ここでもひとつ疑問が。 最終的に検事側となる涼子は当初「告発状には触れない」という方針を取ろうとしました。 告発の主のことをいたわっての考えなのでしょうが、そもそもこの告発状が大出俊次が疑われはじめた大きなきっかけだったはずです。 学校外にまで影響を与えることとなった大きなきっかけなのに、これに触れないというのはいくらなんでも無理があるでしょう。 他にも、検事側にもかかわらず涼子がハッキリ 「告発状は捏造」と考えていたり、 殺人の汚名を着せられるかもという危機的状況の大出自身が 「俺がウソついてるかもしれないぞ」と自らの弁護人に語りかけたり、 “真実”を求めているはずの涼子が、いつのまにか 「大出をこらしめる」と発言していたり、 それぞれ前後の文脈や状況もあるので一概には言えない部分もありますが、 こういったトンチンカンな言動がところどころ見受けられます。 これらをひっくるめて、この第二部は『茶番』という印象をうけました。 ただ、中盤から終盤にかけて全く違う真実の存在が匂わされてきたので、どういうロジックでどういう結末を迎えるのか、どんな大ドンデン返しが待っているのか、そこに期待しつつ第三部を読み進めたいと思います。 | ||||
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これまで、宮部みゆぎさんの小説は数々読んできました。間が空いていた期間はあるものの、ごく初期作から読ませていただいています。 確かな文章力とストーリーテリング。 高くは評価していましたが、しかし、「ぞっこん」というほどではないのは確かです。 自分は、宮部みゆきさんの人間観、人生観、(本来の意味での)世界観にいまひとつ馴染めなかったのです。宮部みゆき作品の底流に(どんなに悪意に満ちた人間を描いても必ず)いつも流れている宮部さんの「性善説」――これだと語弊がありますか――ときに青臭ささえ漂いかねない「母性で世界を包む寛容さ」というべきか、そういうものにいまひとつ得心いかず、没入できなかったのです。 なのに何故読んできたかといえば、上に書いたようにひとえに宮部みゆきさんの職人気質にも似た巧みさ故ですが、そうした確かな構成力・構想力などは本作でも健在でした。 ……う、巧いっ! その筆力に、宮部みゆきというベストセラー作家の地力を改めて思い知らされました。 ただし、第三部の新聞広告にでかでかと書かれた「あなたはこのラストを絶対に予測できない!」との惹句には「絶対に」納得いきません!(笑)。 公衆電話の件等々も複数回に渡って「背格好が似ている」点など第二部序盤において、すでに作者が目に見える「ヒント」をばらまいていますし、○○のの反応などで、事件との「強い関わり」が、何度も繰り返し示唆されていたのです。 ラストは、正直、想定の範囲内というか、想定のど真ん中でした。 上記、出版社の惹句のせいで、最後の最後に更なるツイストがあるのかと期待してしまったではありませんか(笑)。 一切、本作に関する情報を仕入れず読み始めたため、第一部から第二部への「大転回」に、「うーん、そうくるかあ」と感じましたし、突然ジュヴナイル風になったなあとも思いました。第一部の流れで第三部まで行ってくれれば、「大傑作!」と言ったかもしれません。 しかし、それでも、なかなかに読ませるいい作品でした。快作です。 匠・宮部みゆきここにあり、です。 細やかな筆致と、日常における人間観察力が生きたであろう、ひとりひとりの登場人物に「憑依する」その力量。 そう、自分が「いまひとつ馴染めなかった」作家・宮部みゆきの「慈愛」は、本作でもそのままなのです。そのままでありながら、「腕力(かいなぢから)」に持っていかれたという感じです。 相変わらず「前提」がフィットしないので「ぞっこん」になったわけではありませんが、これからも変わらず宮部みゆきを読むだろう、という気持ちになったことだけは確かです。 | ||||
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'1部は火車・模倣犯のような骨太な現代ミステリーで、登場人物一人一人を丁寧に書きこんでいてぐいぐい引き込まれました。 '2部はいきなりの学園ものか?というほどタッチが変わっています。涼子を美化しすぎだし、大出もやんちゃだけど本当はいい奴という描きかたに違和感が。 大出たち3人からの仕打ちや涼子のいい子ぶりに怒りを煮えたぎらせていった樹里をもっと読みたいです。それは'3部で読めるんでしょうか? いい子ちゃん達ばっかりで、いまいち入り込めませんでした。こんな中学生いないよ… '3部期待します。 | ||||
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登場人物である中学生の会話によって、物語は進行します。 そのため700ページを越える長編でありながら、短時間で手軽に読むことができ、週末の暇潰しには良いでしょう。 ただ、1800円という値段と3部作であることを考えると、果たしてそれに見合う内容か…私はおすすめできません。 | ||||
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第1部が良かったので、今回も期待していましたが、こんな中学生本当にいるの?って思いました。出来すぎとゆうか、女検事に共感出来ませんでした。 | ||||
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宮部みゆきの作品はいくつも読んではいるが、ソフトな人情話の時代小説よりは現代ミステリーが好みで、現代ミステリーでもその時代の断面を的確に切り取って見せた初期の作品『火車』『理由』『模倣犯』が代表作だと思っている。『誰か』にはこれら前作の鋭さがなくなっていた。2007年の『名もなき毒』にはこれまでの作風にはなかった風変わりなものを感じ、次回作を期待させるものがあったのだが、その期待を5年間、今日まで待たされたことになる。 「第1部 事件」だけで740ページ。これから「第2部 決意」「第3部 法廷」と刊行が予定されているから、恐ろしいほど長編のミステリーに仕上がることになる。 第1部だけを読んだだけだから的外れになるかもしれないが、部分的印象を述べてみよう。 第1部は、第2部でさらに深まるだろう謎の前提、第3部での謎解きのための基本の状況設定が書かれている部分だ。 飾り帯に紹介された文章をやや補足すれば………。 「クリスマスの朝、雪の校庭に急降下した14歳の少年。警察は自殺と判断する。自殺の理由は不明。だが、殺人だとして犯人を名指しする匿名の告発状がマスコミに届けられ、少年の死はその周囲に幾重もの波紋を広げてゆく。連鎖する犠牲者。校舎の悪意が呑み込んで………。」 「彼の死を悼む声は小さかった。けど、噂は強力で、気がつけばあたしたちみんな、それに加担していた。そして、その悪意ある風評は、目撃者を名乗る、匿名の告白状を産み落とした。真相は雪が覆い隠した………死体は何を目論んだのか!?新たな殺人計画。マスコミの過剰報道。狂おしい嫉妬による異常行動。そして犠牲者が一人、また一人学校は汚された。ことごとく無力な大人たちにはもう、任せておけない!」 単なる中学生たちの学園ミステリーのようであり、そうであれば興味を失うところだが、ここは次の刊を期待しておこう。いくつもの家族が登場し、子供の目線で語られるホームドラマがある。悪意のマスコミ、保守的な学校の先生たちが無垢の子供心を傷つける。親たちがギャアギャアとわめき散らす。逆に子供にある悪意がたまたま実行され事件を深刻化させ、周囲を混乱させる。これらエピソードがどんどんと積み上がっていく。 ボリュームはあるが読むのに時間がかからない。ほとんどが子どもの会話と独白だから難しい話ではなく、しかも丁寧すぎるほど詳しいから読み飛ばしても差し支えなさそうである。そのエピソードは実際によく耳にした実例であり、ドラマや小説にもこれまでよく取り上げられてきたテーマである。 すいすい読めるのはもうひとつ理由がある。ビリヤードの球が次々にはじけるように、ひとつの事件がアレッと思わせる新しいパターンを連鎖反応的に作り出していく。次にどうなる、それでどうなると、読者は先へ先へと急き立てられるように読みすすむことになる。 ところで、あれはどうなったのだろうと振り返る余地はない。巧妙だと思う。その度に解決されていない疑問が生まれるのだが、それらはさりげなく置き去りにされているのだ。だから置き忘れた問題が残らず合理的に理解できるような展開がラスト近くからはあるはずである。 さて物語の時代は1990年である。今より20年も前の中学という学園を思い浮かべることはできないのだが、時の流れの速さからみれば、随分昔のお話だという印象を持たざるを得ない。携帯はなく、ポケベルである。もちろんインターネットはない。この間の情報ネットワークの急速な普及が中学生の生活環境に与えた影響は計り知れないものがあると思うから、1990年を舞台にしたお話はもはや現代ではない。現代ミステリーを期待していたのにふた昔も前のミステリーを読むことになるのかもしれないと不安になった。 タイトルの「ソロモン」であるが、イスラエル王ソロモンであろう。子を奪い合う二人の女の裁判で、日本で言えば大岡裁きと同様の名審判がある。そういうイメージを持ちながら「ソロモンの偽証」とはなんなのかと考えている。 まだまだ第1部の「起」である。このイメージが「承」「転」「結」でガラッと変り、『火車』『理由』『模倣犯』を上回る名作として完成することを大いに期待している。 | ||||
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たまたまかもしれないけど中学生の自殺が大きなテーマになっている事で時事的な感じがしたよ。。。 最近の宮部みゆき氏の作品に根本的な正確が悪と言えそうな登場人物が出てくるのが何とも言えずトラウマスイッチを刺激されて怖いです。 ここから三部に向けてどう話が展開していくかとても楽しみだ。 | ||||
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