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(短編集)
團十郎切腹事件
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團十郎切腹事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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昭和32年8月号から『宝石』編集長に江戸川乱歩が就いた。 乱歩の方針で、それまで探偵小説作家とみなされていなかった人にも、広く執筆を依頼するようになり、新劇や歌舞伎の評論活動をしていた著者にも声がかけられた。 そうして始まったのが本シリーズである。 だから著者を語る乱歩は編集者目線なので、「なんともいえない味があって、一作を読んだら次の作を読まないではいられぬ魅力」(p.603)があるとべた褒めなのだが、半七捕物帳の魅力が探偵小説としてのそれよりも、江戸情緒を楽しむところに多く依っているのと同じように、本書を楽しめるかどうかは、歌舞伎、演劇への興味、理解の度合いによるのだろう。 そして残念ながら、わたしの歌舞伎の理解ははさっぱりなのである……。 | ||||
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戸板康二先生の本です。 推理小説の短編集です。歌舞伎俳優の雅楽が、犯人を暴いていくという感じ。 語り手は雅楽付きの記者で、その記者から話を聞いて、雅楽が鋭く真実を突く、という流れですね。 18編の短編をおさめていて、さらっと読むことができます。 標題の団十郎切腹事件は、江戸時代の切腹自殺した団十郎の話を聞いて、雅楽が推理して、それを裏付ける文章が出てきた、みたいな展開です。 ただ、演劇(特に歌舞伎)や芸能界に精通していれば、それなりに楽しめるでしょうが、歌舞伎とか縁のない生活ですから、 演劇関係の蘊蓄がよくわからない。 また、犯人が雅楽が指摘するとすぐにゲロっちゃうところが、なんか人の良さを感じてしまいました。 | ||||
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丸谷才一氏の本から知った作家さん。今迄ご縁なく、本当に残念。今からでも遅くないので、「全読み」してみます。歌舞伎を知っていれば、もっと「手触り感」があったのだろうなぁ。これまた、残念でした。 | ||||
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ここ数年、歌舞伎が好きになり、時々劇場で鑑賞しています。歌舞伎+ミステリということでこの短編集を知ったのですが、作者の本業が演劇評論ということで、読んでいるだけで歌舞伎の知識が身につき、舞台裏の事情などもさりげなく描かれていてとても興味深いです。 一編一編それぞれに個性があり、よくこれだけ次々といろんなバリエーションを思いつけるなと思いました。歌舞伎の劇中に殺された俳優、謎の失踪をした美貌の女形、俳優の恋愛、歌舞伎とご贔屓筋(パトロン)のこと、俳優間のライバル意識などなど。そして江戸時代に実際起きた名優市川団十郎の死を扱った直木賞受賞作「団十郎切腹事件」もよかったです。 また、舞台も東京だけでなく全国各地に飛び、旅情ミステリの趣きもあります。金沢近郊の芝居小屋を舞台にしたものもあれば、信州の劇場に出る子役の幽霊の話、京都ものもあって、大変風情がありました。昔は京都の清水寺には拝観料がなく、普通に夜8時半まで門が開いていたのだなあ、などということもわかり、おもしろかったです。 かといって歌舞伎を知らなければつまらないということもなく、品のよい端正な文章やどこか昭和レトロな雰囲気、知的な推理が楽しめます。英国の古典名作推理小説のように、ゆったりと腰かけて、味わいをじっくり楽しむようなすぐれた小説群です。おすすめです。巻末に作者本人の詳細な各作品ノート、再出版されるたびに載せられた小泉喜美子氏、新保博久氏などのあとがきもついています。 | ||||
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10年来、探していました。 たまたま思い出して検索し、入手することができました。 たしか、先代の勘三郎翁が主演されたテレビドラマがあったような…。 楽しみに拝読いたします。 | ||||
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元歌舞伎俳優で素人探偵の中村雅楽の短編18篇を収めた第一短編集。 どの一篇をとっても行間から高雅なる余裕のようなものを感じる好短編集で、推理小説としても良く出来ていますが、その余裕のようなものを味わうのが正答かと思いました。中に一篇、世界ベストテン級の傑作と全く同じものがあって、著者も意識して書いたそうですが、それは少し笑ってしまいましたが。推理小説のステータスがまだ低い時代に名のある賞をとってステータスを上げたという点でもやはり傑出した完成度の推理小説として、偉大なシリーズだったのだなと思いました。北村薫氏に与えた影響等も評価されていいと思います。 解説やリファレンスも充実した本でこれからシリーズを全て読もうと思っているような人間にはわくわくします。煎餅とお茶を片手に読みたくなる和製ミステリの佳作。機会があったら是非ご一読を。 | ||||
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推理小説が大好きな老優・高松屋こと中村雅楽。彼の楽屋を訪ねてくる演劇記者の竹野とともに 身近に起こった事件や謎をを推理し、解決する素人探偵物です。 老優ながら、洒脱で軽快な雅楽は魅力的であり、 話の舞台が、雅楽ゆかりの歌舞伎である作品が多く、歌舞伎をよく知らない人は敬遠してしまうと思いますが、 この作品は歌舞伎をよく知らない人でも面白く読めると思います。 戸板さんの本は二十年前位前、エッセイがキッカケで読み始めました。 しかしこの作品は、当時文庫本では2冊程度しか見つからず、もうそれしか読めないものと諦めていました。 その頃も読んでいて面白かった印象が残っています。まさかこんなに作品数が多かったなんて・・・ 今回、偶然Amazonで発見し、手に入れられて嬉しかったです。 短編で読みきりなので、家でのちょっとした空き時間に一話ずつ読んでいます。 | ||||
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主人公の老優は多分シャーロックホームズからモチーフをとったものと思う。 年齢を重ねても、賢くならない人は居るが、人生の経験と歌舞伎の話題がミックスされた 含蓄のある話が多い。 少し、時代が古く、昭和30年代前半は私が幼児だった頃なので、歴史小説のようだが 50年前のことでも今にも通じる面白さがあるのは、歌舞伎役者の世界がテーマだからだろう。 (2)のグリーン車の子供をNHKラジオの朗読で聞き、興味を持ったのがきっかけになったが、 自分の知らない言葉が多くでてくるのも面白く感じた。 | ||||
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ミステリでもやはり「世界」がその匂いとともに、きちんとできあがっている作品はいいですね。 現実と合っているかどうかの比較というより、その世界自体でリアリティ、臨場感があることです。 その点、歌舞伎評論家としても名高い戸板康二の演劇ものの作品は、劇場のひんやりした空気感まで感じられ、没頭して読むことができます。歌舞伎俳優らの性格ふくめて、世界が確立しているので、そこに特有の殺人事件が起こるのが納得できます。 トリック自体は、かなりとちゅうで読めてしまうものが多いですが、そういうこととは無関係に、何度も読み返せます。 その理由のひとつは文体です。 かなり和文脈だと感じられる(半七捕物帖の)岡本綺堂(しかし当時は翻訳調と言われたようです)に比べると、戸板康二のミステリは、場所や時刻や行動をきちんと明記しようとするつもりか、翻訳文体のように感じられ、そのスタティックな端正さは好対照をなしています。「セリフが流れない」というのでしょうか、決して流れない、おちついた文体で、世界を構築しています。 もうひとつの理由は世界の厚みです。 芝居の小道具を使った「尊像紛失事件」や劇場の構造を活かした「奈落殺人事件」、また芝居の段取りを逆手にとった「車引き殺人事件」など、劇場ならではの謎とき風味が楽しめます。謎解き役が老優雅楽なので、芝居の奥深さもさりげなく語られ、いつのまにかこの世界に詳しくなっています。私はこの中で「松王丸変死事件」に出てきた民芸人形が忘れられず、いつか手に入れたいと思っています。 聞き手である新聞記者の仕事ぶりにも時代を感じますし、かなり多くの登場人物がプロ野球の中継に一喜一憂しているのも、そういう時代だったのだなあという感慨が。 ぶあつい文庫全集で出たことは何より嬉しく(以前は講談社文庫、旺文社文庫などに分かれていました)、ぜひ一読をお勧めします。 うしろ50ページにはこれまで出た版についていた解説(江戸川乱歩や小泉喜美子)、さらにご本人のノートなどもついていて、これだけでも大変な収穫です。 | ||||
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「中村雅楽探偵全集」の第1巻(全5巻)。 映画評論家として著名な戸板康二だが、実は中村雅楽という名探偵を生み出した推理小説家でもあり、本書のタイトルともなっている「團十郎切腹事件」で直木賞を受賞してもいる。 中村雅楽ものは長編と短編を合わせて80数編にものぼる。そのうち本書には、デビュー作の「車引殺人事件」をはじめとする18編が収められている。1958-60年に『宝石』などに出たものである。 いずれも老歌舞伎役者である中村雅楽が探偵役として活躍している。歌舞伎、新劇、ラジオ、テレビCMな、舞台と役者の世界が扱われており、地方へのどさまわりなども描かれ、なかなかおもしろかった。 舞台の雰囲気は抜群で、語り口もいい。しかし、謎解きとしてはいまいちパッとしない。当時は新味があったのかも知れないが、いま読むと非常に物足りない。 | ||||
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俳句かな 戸板康二好きの方々には何を今更と云われてしまいそうですが 俳句ですね、サッパリしているのに匂いやか、残る余韻。 昨今の書物に疲れたかたは是非。 | ||||
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どれも味わい深い作品です。暇潰しにはもってこいです。 | ||||
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初めて雅楽シリーズを読みましたが、こんな面白くて個性的な探偵ものがあったなんて! 歌舞伎の世界についてはそれほど詳しくないので、ところどころピンと来ないところも ありますが、戸板康二のなんとも端正な日本語にうっとりしつつ、十分楽しめました。 | ||||
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老歌舞伎俳優 中村雅楽の探偵譚が全集にまとまった。シリーズ作の中には、直木賞や日本推理作家協会賞の受賞作をはじめ、好短編がそろっているわりにはなかなか手に取れない状態が続いていたので、なんとも嬉しい企画です。 その一冊目が本書、シリーズの代表作で直木賞を受賞した『團十郎切腹事件』、江戸川乱歩にすすめられて書いた記念すべきシリーズ一作目『車引殺人事件』などを含む短編十八作が収録されています。 新聞の芸能欄の記者 竹野がワトソン役・語り手をつとめるオーソドックスなつくりのミステリですが、探偵役が歌舞伎俳優だけに、劇場、舞台の上、楽屋など特殊な場所で起こる事件の数々、中村雅楽の鋭い推理力、そして何と言ってもその悠々たる語り口、今まで全集としてまとめられていなかったのが不思議に思えるくらい、派手さはないもののいぶし銀という言葉がぴったりの作品が並んでいます。 次巻もとても楽しみです。 | ||||
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著者の作品は長らく絶版していたがこのたび中村雅楽探偵全集として復刊することに なった。本書はその第1集ということで『車引殺人事件』から発表時系列順に18篇の短編が収められてる。 最初の方の作品では論理性が何度が読み返さないと理解し難い部分も感じられたが、作 品が時系列に並べられていて後に行くほどどんどん洗練されていくのが良く分かる。 文章自体は簡潔でとても読みやすい。歌舞伎を題材にしている作品が多いので、知って いるとより楽しめるが、知らなくても十分面白い。 表題作でもある『團十郎切腹事件』は江戸時代末期の八代目市川團十郎の自刃の謎を雅 楽が鮮やかに解いてみせる。團十郎は旅先の大阪でなくなったのだが、旅の途中でのト リック、そのトリックがなぜ行われたのかという理由、そしてそれが自刃の訳となる筋 立てなど素晴らしい。 全般的にあっさりしているので、いわゆる本格推理小説にありがちなこってりした物語 をお望みならちょっと違うかもしれない。 | ||||
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