目黒の狂女: 中村雅楽探偵全集3
- 芸能界 (48)
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歌舞伎俳優兼名探偵の雅楽と竹野記者シリーズ第三弾。 という訳でまたも歌舞伎界での身辺雑事やちょっとした問題を雅楽が推理して解決するのが主の短篇23篇が収録されている短篇集。一篇一篇に含蓄があり、滋味溢れる雅楽の世界を満喫できます。 前の短篇集でも書き込みましたが、個人的に伝統や風格、世襲が尊ばれる様な世界はあまり好きではないのですが、行間から昭和の余裕の様な物が立ち上がってきて、ほんの少し体験した昭和の雰囲気を追体験できる様でそこが嬉しかったです(日影丈吉の作品にも同じ様な感覚を覚えます)。 収録作も殆どに(私の記憶が正しければ)殺人等殺伐とした事件が起きないのも後味が良くて好感度大です。解説で松井氏が「(優れた小説と多くの観客を惹きつける演劇)双方とも大きくいえば、人間とは何なのかという根本的問いかけをドラマチックに説き明かすことで人の魂を揺さぶるのではないか」と書いてらっしゃる様に、人の存在の根源に触れる所は歌舞伎もミステリも一緒かもしれないと思いました。そこがこのシリーズ最大に醍醐味であり成功だとも感じました。 中に一篇テイの名作「時の娘」風の歴史推理があって、この短篇集で個人的に一番面白かったのも付け加えておきます。☆の数は「グリーン車の子供」より若干インパクトに欠けるという事で。といってもつまらない訳では毛頭なく読んで絶対損の無い短篇集でした。 歌舞伎の世界だけでも謎が溢れていてミステリが書ける事を証明した高雅な名シリーズ第三弾。機会があったら是非。 | ||||
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雅楽の全集も三冊目、初期のような殺人事件のドラマは影をひそめ、むしろ役者の日常や生き方をめぐる「日常の謎」のほうに転換してゆきます。 この巻では、役者の家庭の内幕、特に親子や恋愛のテーマが多くなり、雅楽の解説により、梨園の内幕がしっとりと心地よくしみます。 異色作ですが、歌舞伎にある気強い淀君像がどうして成立したのか、雅楽が歴史的推理を披露する『淀君の謎』に感動しました。「お茶々」の生き方を描いた、みごとな小説になっています。せりふも、所作も、芝居のようにきっちり描写されていながら、役柄ではない生身の淀君の大らかさが、歴史の重みの中に広がってゆきます。 芝居でいえば決めぜりふ「私は二度はやってみる。三度めはない」という言葉が忘れられません。 他にも「小説仕立てに書いてみた」と語り手の竹野記者がことわっている話が何本もあり、雅楽が最後にひとこと種明かしをするものの、全体が三人称小説のようになっている自由さがあります。 実子と芸養子のこと、落とし子をめぐる話、役者(特に女形が多く、そのあたりの屈折感が面白い)ならではの恋愛のこと、そして役者の妻の心得など、女性心理がテーマになっているものが多く、それが芝居の中の役柄と重なったりもする面白さと、やはり40年以上前の時代相らしく品のよいお嬢さんや奥さん像が描きだされている端正な味わいがあります。 良い意味での安定した「型」、作者ならではの歌舞伎と劇場の世界の「ぶれなさ」が何とも安らぎを与えてくれます。 このシリーズ自体がすでに立派な芝居・狂言として感じられます。あの十七世勘三郎丈が雅楽をTVで演じたことがあるそうで、ぜひ見たかったと思います。 | ||||
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演劇の世界には疎い自分が、楽しく読みながら演劇の世界を少し知ることができた | ||||
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