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SOSの猿
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SOSの猿の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全111件 101~111 6/6ページ
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もとは読売新聞夕刊に’08年10月から’09年7月まで連載された作品。一冊の長編にするにあたり大幅な加筆・修正がほどこされたらしい。 伊坂幸太郎の作品は、どれも独特の人を喰ったような浮遊感があり、ファンタジックな超能力が出てきたりする。また、バラバラの話が進行する複数の章から構成され、最後にそれらがひとつに収斂されてゆくというミステリー風味の謎解き趣味があったりもして、私も含めて多くのファンを抱えている。 本書も例外ではなく、ひきこもりを治して欲しいと頼まれる、副業で“悪魔祓い”の真似事をしている‘私’の話と、コンピューター端末の誤操作で株を誤発注して300億円の損失を出した証券会社へ調査に赴くシステム開発会社の‘五十嵐’の話(しかもそれを語るのはなんと孫悟空なのだ)が交互に繰り返され、さまざまなエピソードや薀蓄が積み重なってゆく。 そしてそれらは終末にいたって時系列を超えて交錯し、まとまってゆく。ああこういうことだったのかという具合だが、その解決編にもひとひねりというか、孫悟空が幻となって関ってくる。 『モダンタイムス』『あるキング』あたりから、確かに作風に変化が見られ、かつてのミステリーっぽさはなくなってきて、上述の<伊坂テイスト>のみが強調されているような気がする。 本書は、「孫悟空」「悪魔祓い」と時系列を超えた独特の浮遊感を味わわせてくれる怪作であるといっていいだろう。デビュー作『オーデュボンの祈り』の世界に回帰したように思われるが、これが“今”の伊坂幸太郎なのだろう。 | ||||
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絶対的に悪い人もいなければ、絶対的にいい人もいない。 普通の人は良い面と悪い面が混然となり、その揺れに悩んでいる。 本書では誰かが何処かで泣いている事態を強く意識させられる。 ちょっとした出来心や偶然が巡り巡って誰かを困らせているかもしれない。 助けたいけれども、自分には何もできないと見過ごす様。 何が原因なのか追っていく様は真実を一つ一つ紐解いていくようで、 どこに落ち着くのか目が離せませんでした。 | ||||
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伊坂作品は好きで多分全部よんでます。 初期の方が面白かった気がします。 今回は、始めの方でどんな話か気になって読みました。 途中答え合わせのようなところがあって、そこからもまた期待してよみましたが、 ややイマイチでした。 読みやすいし、独特の世界観がすきで、それは出ていたと思うのですが、引き込まれる楽しさはなく残念です。 マンガとの競作ということで、マンガ出たら読む予定ですが、そういう新しい試みよりも、伊坂作品らしく、引き込まれる話を読みたいです。 | ||||
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伊坂オタクと言っても過言ではないぐらい初期から伊坂ファンでした。 “モダンタイムス”“あるキング”と私にとって駄作と思う作品が続いたことで、もう見限っちゃおうかと思うぐらい失望しましたが、もしかしたら元の爽快感ある伊坂節に戻ってるかも、と思って結局買ってしまいました。 最初は、あるキングを読んだときのようなイヤな違和感をたっぷり感じて、やべーまたやっちゃった?と思いながら読んでましたが、後半は、わりといままでの伊坂作品っぽかったです。 ハードカバーを買うクオリティかっていうと全然そんなことないので、もっと伊坂さん向きな方向に行って欲しい。 | ||||
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伊坂幸太郎さんの本はだいたい読んでいますが、読み始めると、どんどん前へ前へとページを進めたくなって結局徹夜してもた、ってことがよくありました。が、今作はなぜかきりのいいとこで一回休憩、が普通に出来てしまい、ちょっと引き込む力が弱いかな、というのが率直な感想です。主人公はまあいいとして、周りの人たち、共に行動する仲間たち、がもっと魅力的であって欲しいかな、と。あ、でも孔子孟子の二人はいい味出てるし、救急車のくだりも好きですし、詳しくは書かない方がいいと思いますが段ボール、も思わず笑っちゃいました。これ、これ、と。部分部分で、あやっぱり伊坂さん、ってニヤリとするんですけど、作品全体としては残念ながらそんなに面白くないような。 僕は伊坂さんのことをミステリー作家ではなくてエンターテイメント作家だと思っています。だから別に驚くようなトリックや結末を求めてはいません。ただ、楽しませて欲しい。そろそろ陽気なギャングたちとまた会いたいなあ。 | ||||
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この物語は漫画家の五十嵐大介さんとの競作企画により 「猿」「孫悟空」「エクソシスト」という3つのキーワードをもとに生まれ 3つのキーワードは五十嵐さんのアイデアらしいです。 キーワードに違和感を感じた人には 最後まで違和感を感じてしまうと思います。 話運びや構成は伊坂氏のそれであり 悪魔祓いなど個々は丁寧に書かれているのですが どうも3つのキーワードをまとめるのに持て余してる感が強く "その方法しかないのか"と感じてしまいました。 まあ私にやってみろと言われても無理なんですごいとは思いますが… 競作企画などを踏まえると面白いと思いますが 話をまとめるのにコンパクトになったせいで 結末もそれとなく読めてしまい、「ん〜」と思いながら読み終えました。 | ||||
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雑誌のインタビューでもあるように最近のこの作者は、自分の書きたいものを書いているのが良く分かる。しかしそれが読者の満足度とは比例していないような気がする。悪く言えば作者の独りよがりの自己満足が最近顕著になっているともいえる。 内容はほかのレビュアーが書かれているが主人公が2人いて、1人目はイタリアでエクソシストの経験のある電機店の店員が、母親の知り合いにひきこもりの息子についての相談を受ける。もう1人は株の誤発注をしてしまった会社員の調査をする過程で、なぜか孫悟空と出会うというもので、この2人の話が物語の後半でつながる構成になっている。 内容についてはミステリ要素がかなり薄く、したがってミステリ小説ではない。孫悟空が出てくるもののそれ程ファンタジー色が強いわけでもない。結構現実的な話で、最近の伊坂作品同様最後に落ちやどんでん返しなどはない。 初期作品と比べるとミステリ色が薄くなり、内容も結末もインパクトが薄く、駄作ではないが普通の作品止まりの印象を受けた。 もともとガチガチのミステリ作家というわけではなかったのだが、私としてはもう少しミステリ要素の強い作品を読んでみたいと思った。 | ||||
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伊坂幸太郎のファンです。作品は全て読みました。 「あるキング」と「SOSの猿」は、正直読むのがしんどかったです。最初から最後までヤバイヤバイと思いながら読みきってしまえる、あの作風はどこへいってしまったんでしょう。 非常に残念です。次の作品もおそらく買ってしまうでしょうが、またしんどかったら結構悲しいです。 | ||||
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何故か読んでるとイライラしてしまう最近の伊坂作品。 一ページごと読みといていても話が進まずにとんちの様な言い回しに翻弄される割には結末がお粗末な感じがしてどうもしっくり来ない。 はっきり言うとキャラに感情移入が出来ず無理矢理な設定がつまらないんです | ||||
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『モダンタイムス』…『あるキング』辺りを読んで 少しがっかりした古くからの伊坂ファンの皆様!! 確かに中盤辺りまでは『あるキング』の臭いがプンプンするし お洒落な会話もあまり無いし… 確実に最近の伊坂のインタビューでの発言(伏線はもう引かない 物語を収束しない)が頭をグルグル巡り 嫌な予感がすることでしょう…苦笑 しか〜しっ!! 終盤からのワクワク感とラストの爽快感は あなたが大好きだったあの伊坂幸太郎です!! 読みましょう!ラストまで一気に!! 『魔王』…『モダンタイムス』を経て、問題作『あるキング』を通過したからこそ生まれた これが《現在》の伊坂幸太郎! なかなかの…傑作です。 | ||||
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読売新聞の夕刊に連載されていたものを単行本に纏めた作品。「私の話」と孫悟空縁の謎の「猿の話」が数週分毎に交互に語られると言う凝った構成。 家電量販店員の私(二郎)は「困っている人がいると放って置けない」性分。訪問カウンセラー風の副業をしている。他人の「SOS」に心が疼くのだ。そして副業の正体は、悪魔祓い(エクソシスト)だった...。作中、警句のオンパレードと言っても良いが、作者が一貫して語っているのは、人と人との繋がりの大切さであり、ある人間に対する"決め付け的"態度への懐疑だ。この点、「善と悪」の対立項が鮮明なキリスト教の風習「悪魔祓い」を題材に据え、バリのバロンダンスと対比させる辺り巧いと思った。作中での相談事は"引き込もり"。孫悟空を山に閉じ込めた"二郎神"との対比で、作者の洒落っ気が窺える。ここでも、"引き込もり"を単純に悪とする考え方を否定する。引き込もった青年は「俺は孫悟空の分身」と叫び、そして語り出したのは何と「****」の話...。 「猿」はソフト会社の品質管理担当の五十嵐を狂言回しにして因果関係を語る。五十嵐に説諭される女性プログラマが蜥蜴に化身する様は西遊記の世界さながら。そして、五十嵐がトラブルで呼び出された菩薩証券の部長は牛魔王。笑わせる。だが、五十嵐は牛魔王の、そして一般人の"決め付け的"態度を信じない。客観的な原因究明が全てだ。そして、人間の心理的要因を重視する。だが、因果関係は縺れた糸のようで、何が本当の原因なのかは、やはり判然としない。そして、孫悟空の影が...。 二つの話の"因果関係"も洒脱。他人の心の痛みを感じられる人の繋がりの大切さ・決め付け的態度への戒めと言う重いテーマを、西遊記の世界で包んで、爽やかに描いた快作。 | ||||
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