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夢宮殿
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夢宮殿の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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国民の夢を検閲してそこから得られる情報の断片から国家の危機に関わるような危険の芽を摘む機関の話、 というフィリップ・K・ディックのマイノリティー・リポートの幻想版、というストーリーで、 設定がほぼ全てでそこからの展開も読者の想定の域を出るものではないが、ディックの作品が「悪意」を検閲し、 犯罪行為を未然に防ぐことをまず目的として、それが結果的に民主主義の危険に通じかねないというものであったが、 こちらの作品ではその目的が全体主義に対する危険の排除という、より直接的に国家権力の暴走の恐怖を描いている。 作者は多作のベストセラー系の作家らしいので、一つの作品の質はそこそこということだと思うが、 ただテーマとは別に面白いのが、エリート省庁「夢宮殿」に勤めることになった主人公が、その新しい未知の世界に飛び込んで、 多少神経症的とさえ言えるかもしれない不安感や警戒心、恥をかきたくない恐怖心や結果を出そうとする焦りが、 新たに社会に飛び込む現実の世界の新社会人の心労とほとんど同じに描かれているように思えるところ。 そんな不穏な世界で働き始める主人公に同情できる。 テーマから広げたかたちで恐ろしく思えるのは、夢の検閲など非現実的に思えるが、 現代ではインフラを通じて個人の思考に通じる情報も吸い上げられまくっていて、それが検閲されるならば、近未来を扱ったディックの作品よりも、むしろこっちの作品の方がリアルに近いというところ。 | ||||
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(ネタバレを含むので、未読の方はお気をつけください) 国家が夢を管理する、というアイデアがいい。そんなことあるわけ…と言いかけて、止まってしまう。…あるかもしれない。どこか遠い国でならあるかもしれない。たとえば、アルバニアのような。 主人公が名のある家の出身なので、どんどん出世していく。それが怖い。出世はするんだけど、国家の全貌がまるで掴めない。カフカの「審判」に通じるものがある。そういえばこの小説、全体的にどこかカフカエスクだ。そうして詳しいことはわからないままに、物語は沈黙してしまう。 正直に言えば、そこがぼくには少し不満だった。せっかく面白いアイデアなのだから、もっともっと掘り下げて欲しかった。細部を知りたかった。夢判断の新人研修とか、でっちあげでもいいから書いて欲しかった。 とはいえ、この小説は妙に心に残る。この物語に漂う独特の不安感は、おそらくアルバニアという国に由来している部分もあるのだろう。アルバニア事情に明るかったら、もう少しこの小説に踏み寄れたかもしれないですね。つまりぼくが悪いわけで、この本が悪いわけでは決してないです。 | ||||
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