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裏閻魔



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【この小説が収録されている参考書籍】
裏閻魔

裏閻魔の評価: 4.04/5点 レビュー 48件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.04pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全48件 41~48 3/3ページ
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No.8:
(3pt)

日本版トワイライト

自分の意図せぬ出来事から、鬼を持ち不老不死の身となった主人公の100年の物語です。
文体はさらりと流れ読みやすく、帯のイラストと大変マッチしています。

内容は日本版トワイライトと言いましょうか。
主人公とヒロイン奈津の関係を軸に様々な出来事が起こるのです。
しかし、日本と西洋との差か、二人はお互いの心を明かさず秘めた思いで時間が流れます。
が、奈津は外科医です。あの時代に外科を選ぶ進歩的な女性が、秘めた思いでずっと過ごす?
いくら不死の悲しみを理解して、葛藤があったとしても、閻魔への愛情から自らも鬼を封じ込めそうですが。
という事で、星3つですが、面白かったです。


裏閻魔Amazon書評・レビュー:裏閻魔より
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No.7:
(5pt)

ヤングアダルト伝奇時代劇

世界四カ国のヤングアダルト層にターゲットを絞った新企画出版。2010年にコンクールを設け、その第1弾大賞作品として発表されるのが本作だ。

 幕末から太平洋戦争末期まで、長大なスケールで物語が進む。というのも、主人公が不死だからだ。不死の呪いの入れ墨を掌に持つ「宝生閻魔」が中心人物だ。見かけは20才のまま。だが物語終盤では100才になる。運命の宿敵「夜叉」も魅力的。

 適度に耽美的で妖しい雰囲気のある伝奇時代劇だ。性描写がさらっとしていて、読者を選ばない。残虐な殺人がいくつか発生するが、肯定的に描かれてはいないので問題ないだろう。「横浜リッパー」の章が最も面白かった。

 見逃してならないのは、帯に描かれたことぶきつかさのイラストだ。作品世界をうまくイラストにしている。現代日本文化最大の武器・マンガ/アニメとの連動は、今後視野に入れていくべきだろう。

 ちなみに私は、続編よりインサイド・ストーリーの方を読みたいと思った。特異な彫り物が、彫られた者の人生をどう変えていくのか、明治や大正時代を背景に、いくつも魅力的なエピソードができそうだ。

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No.6:
(4pt)

不老者の100年を描く物語(装丁と内容のズレに注意)

近代の日本を舞台に、彫物師の秘術「鬼込め」により不老と高速治癒の力を得た青年の歩みを描く長編小説です。5章構成で20歳、37歳、44歳、49歳、99歳の主人公を襲う血なまぐさい出来事を語ります。

中盤以降、物語を引っ張るのは、主人公の姉の仇で兄弟子でもある「もう一人の不老者」です。時の止まった主人公と年齢を重ねていく女性との関係がもう1本の縦糸になりますが、主人公はここでも受身です。いざ追い詰められると「死にたくない」と願うが、さりとて生きて何をしたいわけでもない。鬼と鬼の宿命の対決、不老者の切ない恋、どちらもエモーショナルに盛り上げられる題材ですが、作者は静かな主人公を淡々と描きます。これは私の好みにドンピシャでしたが、「ヒーローの活躍」を期待すると肩透かしになります。

本作の物語展開、世界描写、キャラクター造形、台詞回しなどはライトノベル的。設定上の舞台は近代日本ですが、リアリティは乏しい。彫物師の技術や、その仕事と生活の描写にも取材の跡が伺えません。また登場人物はみな不老か否かを問わず精神的に加齢を感じさせません。とくに4章と終章とは半世紀の年月で隔てられていますが、作者はその重みを描写せず、設定のみ示して読者の想像に委ねます。

ただ……これは硬派な装丁の問題です。本来この作品が対象とする読者にとって、私が列挙した本作の「物足りなさ」は、むしろ「のどごしのよさ」として機能するはず。ですから、商品として誠実であろうとするなら、ことぶきつかささんの素敵なイラストは、カバー帯ではなく装画に用いるべきでした。読者を限定したくない事情は理解しますが、商品は外見で対象層を指定するのが親切だと思う。

私にとっては面白い作品でした。しかし、本書の装丁や帯の惹句と実際の内容には多少のズレがありますので、自分向きの作品かどうか、一考の上でお買い上げください。
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No.5:
(4pt)

面白かった

エンタテインメントというジャンルはその性質上、設定や文体をやたらに懲りすぎたり、あるいはずるずると破たんしていったりと荒唐無稽を履き違えている作品が少なくない。
この本もタイトルがそれっぽいなあとやや懸念を持って読み始めたのだが、これが結構面白くて一気に読んでしまった。

不老不死、鬼、運命を等しくする敵の存在、彼らのコインの裏表のような生きざま、時を止めた男と彼を愛する女。
設定はよくあるものなのだが、書き手がとても素直な文体で簡潔に明瞭に筆を進めていく。リズムもあり、登場人物も旨くさばいている。とても読みやすい。

江戸の末期から始まって終戦直後までの100年を舞台にしているが各章ごとにきちんとオチがある。
不老不死となった主人公の深層心理にもっと深みを求める向きにはやはり浅さが気になるかもしれないが、押し込めた暗さにとらわれることなく最近の作品にありがちな不健全さがない分気持ちがよい。
ラスト、運命に翻弄された果てに主人公が選んだ道の行方が気になる。
運命に一人残されてゆくことが決定づけられた主人公の行く末をもう少し見たいという半端な気分が残ってしまうが、かといってずるずると終わらなくなる続編を読まされるくらいならここで止めておいたほうがよいのかもしれない。

気になったのは主人公と敵の青年がともに美青年の設定であること。
せめてどちらかが汚い男とか頑丈な男とか、あるいは平凡なごく普通の男じゃ駄目だったのかなあ。
作家が女性だとこうした傾向が強いのは書いていて楽しいからなのかもしれないけど…。

ところで最近の賞は裏でどんな仕掛けがあるのか疑ってしまうことが多々ある
美青年尽くしであることや新しい賞であること、各国での発売が決定済みということも含め、すでに様々な仕掛けが施されているのだろうな。
面白かっただけに、出来レースみたいな気分が払しょくできないのがちょっと残念。

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No.4:
(3pt)

想像以上に読ませる

正直よく分からない賞の大賞とか、どうなんだろうと思っていたが…意外や意外。
表現がおかしかったり、そもそも日本語として意味不明なライトノベルが売られている昨今、
「んん?」
と思う事無く一気に読む事が出来た。

不老ではあるが完全なる不死では無い身体になってしまった主人公と、
彼を一途に慕う女性との関係が、ああいう形になってしまうのも評価したい。
日本人がまだ奥ゆかしい時代が舞台であるとはいえ、その姿勢が崩れなかったのは本当に良かった。

主人公に都合のいい展開になったり、似た境遇でありながら相対する兄弟子との絡みが、
もう少しドロドロしていれば尚良かったかな。
登場人物の殆どが割と大人な感じなので淡々と進むのは仕方が無い?


次の作品が気になる作家さんだ。
流行に捕らわれず頑張って欲しい。
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No.3:
(4pt)

不老不死「閻魔」が人間くさく、魅力的

期待が低かったのもありますが、タイトルからイメージされる軽さに反して、幕末、明治、終戦と、不老不死にされた男を描いた、しっかりとした時代小説です。
ただ、クライマックスの主人公と敵方の対決は、どうでもいいような気がします。
それよりも、不老不死の体のために、人目を避け、友人の遺児・奈津が自分を追い越して成長し、心の中では恋しているのに、妹から姉、母、祖母へと変わっていく――。同じように鬼込めをしている実力者の牟田信正、猫のクロ、悲しい妾のちゑなど、閻魔の心を動かす、人(?)とのつきあいが発生し、閻魔を揺さぶります。心まで鬼になってしまうのではなく、閻魔を人間くさく描いたところが魅力的です。
人間ドラマを前面にしたほうが、よりエンタメとして輝いたでしょう。
なによりも、約100年間を描き切った実力を高く評価したいですね。

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No.2:
(3pt)

晩年の手塚治虫作品のような

史実を縦軸としながら、横軸にフィクションを交えて話が展開される様は、晩年の手塚治虫の漫画を読んでいるような感覚に襲われた。(時代背景が、手塚晩年の代表作「アドルフに告ぐ」や「陽だまりの樹」と微妙にシンクロしているので、余計にそう感じられたのかも)

フィクションとして展開される話は、手塚治虫よりも梶原一騎の描く世界に近しい印象。
単純ではない、無骨で異形ではあるけれども、純真な情愛の形が、様々な出来事の中で、儚げに揺れている。

物語は大日本帝国の敗戦と共に終わりを告げる。
少し心に影が落ちる感じで、爽やかな読後とはいえないが、不老不死の主人公とは異なり、ヒロインは天寿を全うして逝くのであるから、二人の情愛の物語としては、ここで幕を引くしかなかろうという感じ。

さりながら、不老不死として生きる定めを受けた主人公・閻魔が、敗戦後の高度経済成長という時代の波の中で、何を支えに、何を求めて生き続けているのか、その後の生き様も覗いてみたいと思った。
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No.1:
(2pt)

四カ国同時発売!というほどでは

帯にあるイメージイラストからライトノベルに属する作品かなと期待せず読んだが、あに図らんや、しっかりとした出来であるし読ませる。ただ宣伝ビデオで謳われる不死者同士の闘いは一度きりである。ジャンルとしては伝奇ものの範疇に入るのであろうがストーリーは意外に淡々と進む。望むことなく不死者となってしまった裏閻魔の葛藤も思いの外深そうに見えない。多分、作者は歳を取らない不死者と常人の少女の実ることのない恋を描きたかっただろう。それにしては人間であるヒロインである奈津が裏閻魔によせる恋慕の情が抑えられているために、切なくはあるのだが物足りない。生まれついての不器用でどこか人を引きつける裏閻魔と生を貪るまさにヴァンパイアといえる夜叉。対照的な二人の不死者の生き様はまぁ描けている。しかし評価の難しい作品だ。そう思うのは四カ国同時発売の大賞受賞作という看板があるからか。金返せ!って程では無いがイメージソングもありーのとかの力の入れ様を考えると、それほどのレベルなのかなと思う。イメージイラストとみるとクロスメディア展開を考えてるのかも知れない。アニメとして映像化されたら観たいとは思う。うん物語としては有りなのよ。ま、無理に褒めたくも無いが貶すほどでも無いという苦しいレビューとなりました
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