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骨折
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骨折の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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競馬シリーズ第10作で、ますます円熟味を増していくなかでの傑作。 調教師の父が交通事故で入院し、代理で厩舎を預かることになった主人公が、何者かに誘拐されるところから始まる。誘拐の目的は、その悪党の息子を有力馬に騎乗させろと脅迫することにあった。とんでもない要求で厩舎にやってきた悪党の息子だが、馬に乗せてみると意外に……という展開で物語が始まる。 これまで同様に悪党vs冷静な主人公の構図が話の本筋なのだが、悪党の息子、主人公の父親との人間関係がそれぞれ深く、ねじれて、面白いものになっている。ミステリというより、ふた組の親子の物語だ。 主人公を脅す悪党、主人公の父で頑迷な調教師、と二人の父親が出てくるが、どちらも父性を極端にデフォルメされた人物になっている。リアリティーは欠けるが、その分、本作で描こうとするテーマが明確になっていると思う。 息子には自分の思うとおりに成長してほしいと願う父親と、思い通りに成長しなかった息子を否定する父親。二人の「だめな父親」を描きながらディック・フランシスは何を伝えようとしたのか。ラストの衝撃的な結末を迎えて、主人公が悪党の息子に言葉をかける場面にすべてがあると思う。 競馬シリーズにそろそろ慣れた(3作~5作ぐらい読んだ)という方にぜひともおすすめしたい一冊だ。 | ||||
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競馬と聞いて、顔をしかめる人もあろう。 私もその一人だった。 あの怪しげな雰囲気。 ところが、この1冊に出会い、目からうろこ。 素晴らしい人間ドラマだ。素晴らしい緊張感、そして読み終わったあとのえも言われぬ幸福感。 ここには、素晴らしいミステリとは、こういうものだという最も良き見本がある。 星5つ!なんて とんでもない。私にフランシスの魅力を知らしめた1冊。 星10個はあげたい。 | ||||
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事故で入院中の父に代わり、調教厩舎の運営のピンチヒッターを務めることになったニール。慣れない仕事に戸惑いながらも実務をこなすニールだが、そこへ悪党のボス、エンソが脅迫に乗り込んできた。ダービーの有力馬と目される馬に自分の息子を騎乗させろと。不可能このうえない脅迫に毅然と立ち向かうニール、度重なる脅迫…。 競馬シリーズのランキングでは上位に上がってこない作品だが、読ませる。父の後ろ盾のもと、厩舎に乗り込んできた息子と最初は激しく対立するニールだが、次第にお互いを認め合っていく男同志の過程が、いい。ストレートなストーリーで傑作ではないかもしれないが佳作である。 | ||||
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競馬シリーズの1972年の第11作。入院した父に替わり厩舎の面倒を見る主人公と、息子に冷たい父親。騎手志望のわがまま息子と、息子のためには手段を選ばない狂信的な父親。違った意味で不幸な2組の父子関係を描いた、ミステリ仕立てのホームドラマと言うべき話。こういう話は、普通に描けばドロドロしたものになってしまう。だが本書では、キビキビと進むストーリーの中で、サラリと描かれていく。しかも、サラリと描かれているのに、鮮烈な印象が残る。フランシスはつくづくうまい作家だと思う。また、馬の調教を中心とした、厩舎の日常が生き生きと描かれているのも、おもしろかった。 | ||||
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この競馬シリーズの中では人気のない方だと思うが、自分としては一番好き。人気のない理由は主人公に人間的な弱さが見えないことかも知れないが、ここまで甘さを排除した人間は魅力的だ。「骨折」というキーワードは本書の中で重要な役割を果たしていて、多分「甘くない」世界の象徴なんだろう。プライドを持って「甘くない」世界に立ち向かう人間の賛美、がテーマかな。とにかく朝の馬場に吹く風のような、冷たくて爽やかな逸品です。 | ||||
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