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螺鈿迷宮
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螺鈿迷宮の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全111件 61~80 4/6ページ
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病理専門医である海堂氏が小説を通じて、医療の実態を訴えている。 本小説の中で書かれている終末期医療、死亡時医学検索といった儲からない医療は大学病院ではやりたがらず、地元のお妾病院に回しているという箇所は、おそらく現代医療の問題点であろう。 小説を通じて、医療の実態を垣間見ることができる。 物語としては、おなじみの「白鳥」が上巻から登場、バチスタ、ナイチンゲールでは名前しか登場していなかった「姫宮」も登場する。 下巻はこれから読むので、上巻のコメントはこれまで。 | ||||
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ロジカルモンスター白鳥が大活躍!? 皮膚科の医者として治療・診断をしてしまうのが恐ろしい。 しかも、これまで口先の喧嘩で負けたことがないのに、コテンパンに負けてしまうのも新鮮。 ただ、これまでの白鳥と少しキャラが違って感じてしまいました。 話し口調ももっと強烈で自分勝手だったのに、少しまともな役人にみえた。そこが残念。 これまでの一連のシリーズは、それぞれが別のストーリーなのに、どこかで絡み合っていたので、今回の話が今後どのようにつながっていくのか期待です。 | ||||
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終末期医療を手掛ける碧翠院桜宮病院。黒い噂が絶えないこの病院の闇に東城大学医学部の落ちこぼれ学生・天馬と、厚労省コンビ(白鳥・姫宮)が迫る。「でんでん虫」と呼ばれる謎めいた館に棲む妖しげな経営者一族。銀髪の院長、美人双子女医、そして・・・ゴシック小説の雰囲気を漂わせるミステリーである。主人公にして語り手の天馬の成長物語の側面も併せもつ。 この物語、『バチスタ』のような痛快さを求めるかたにはおすすめしがたい。白鳥たちが出てくるのに、笑えない・・・(彼が出てくるとなれば、笑いを期待するではないか) 現役勤務医である著者がテーマ・作風の異なる作品をハイペースで執筆している仕事ぶりは認めるが・・・ 白鳥の存在感を活かすには、天馬くんの語りは物足りない。やはり田口(『バチスタ』シリーズで白鳥とペアを組む医師)の語りが一番しっくりくる。田口のフィルターを通してこそ、白鳥のおもしろさが活きてくるのだと思う。もっとも、このお話は白鳥のおかしさが主眼じゃないんですよ、と言われればそれはその通りなのだが。 このようにわたし自身は語り手・天馬との相性がいまひとつだったが、院長の一言一言の重みは胸に響いた。また海堂氏による「桜宮サーガ」の一作品として読んでおいて悪くないと思う。 | ||||
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もう手の施しようがない状態の人達が嬉々として働く終末医療先端施設. ここの描写を読みながら,生長らえさせてもらってるのか,生かされているのか良く分からない様な状態で息を引き取った自分の祖母を思い出し,可能であればこういった施設に入ってもらいたかったな,と思ったのは結局素人考え.何故元気に働いていた(あるいは働けた)という種明かしに至って,レビュータイトルの言葉にたどり着いた. 結局,ユートピアなんてフィクションの中にすら存在しなかった訳だが,それでも(法的には兎も角)これが悪い事なのかは私には判断できそうにもない. | ||||
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終末期医療について書かれている。 死に際の医療は儲からない。 それを上手くビジネスにもなるように入院から火葬場までオールインワンとなる 施設が物語の中に登場する。なかなか奇抜な設定だが、作者のこめたメッセージ は深いのだろう。 死因と治療が適切だったことを確かめるために死亡時の解剖が必要である。 めぐりめぐってそれが後の医療にとても重要なものなのだと語られる。 新たなキャラクターが多く登場するが、そのほとんどが初めて会う顔ではな い。その中でも姫宮については、満を持しての登場となる。 本作品では、彼女と白鳥とのやりとりが楽しい。読み物としても十分な手応えが ある。 | ||||
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天馬大吉というおめでたい名前の落ちこぼれ医学生が 幼馴染の記者別宮から桜宮病院に潜入して欲しいと 依頼を受ける。 ボランティアの名目で病院に向かった天馬だが、姫宮と 出合い、怪我をしてしまい患者様になってしまう。 不自然な死亡が続き、天馬はそれとなく探りを入れる。 謎ばかりの病院で、看護師もあまり見かけない。 病院の中で何が行われているか、ワクワクドキドキ します。 章立ても短いのでグイグイ引きこまれていきます。 | ||||
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天馬君の人のよさもあって病院内部の謎が少しずつ 改名されていきます。 ここにきて白鳥の存在がとにかく面白いですね。 この下巻は勢いもあって、息もつけないくらいの 展開を見せてくれます。 上巻がやや退屈なので、上下に分ける必要はなかった ように思います。 そして真実と天満君との繋がり。ここは読ませましたね。 なかなかのものです。 | ||||
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文庫化されてすぐ買い、一日で読み切りました。そのぐらい面白かったです♪ 今回は非常に話のテンポが良く読んでいて飽きが来なかったです。 このシリーズでどんどん文庫化されて欲しいです!! | ||||
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現実の医療業界の問題を内容に織り込む小説を書くこの著者は、ここでは「終末期医療」の問題を取り上げていますが、読者にただ単にその存在を認識させるだけでなく、その裏に潜む「闇」の根の深さを認識させられるような描かれ方をしています。 そのため、小説自体は上下通して比較的短時間で読み終わったものの、その「問題」の重さはしっかりと受けとめることができました。 また、ミステリーとしても、上巻から数々の「謎」を読者に提示し、「この先どうやって謎が明らかにされるんだろう」と読者を引き込む力がありますし、伏線の張り巡らし方もバランスがいいです。 現実の医療業界の問題点を、主軸をぶれさせることなくミステリーと融合させている、その完成度が今までで一番高いと感じます。 また、キャラクターの面からみると、『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』で、田口・白鳥コンビのやりとりの面白さを楽しんだ方々にとっては、こちらはそのコンビのやりとりはなく、田口自体、ほとんど出てこないため、いささかの寂しさを覚えるかもしれません。 しかし、その2作で名前は出ていた「氷姫」がついにここで登場します。切れ者なのか、天然なのかわからないそのキャラクターは、田口、白鳥にはない不思議な存在感。一読の価値ありです。 | ||||
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現実の医療業界の問題を内容に織り込む小説を書くこの著者は、ここでは「終末期医療」の問題を取り上げていますが、読者にただ単にその存在を認識させるだけでなく、その裏に潜む「闇」の根の深さを認識させられるような描かれ方をしています。 そのため、小説自体は上下通して比較的短時間で読み終わったものの、その「問題」の重さはしっかりと受けとめることができました。 また、ミステリーとしても、出だしから数々の「謎」を読者に提示し、「この先どうやって謎が明らかにされるんだろう」と読者を引き込む力がありましたし、結末で謎が明らかにされた時、それまでの中に伏線がバランスよく配置されていたことに気づかされました。 現実の医療業界の問題点を、主軸をぶれさせることなくミステリーと融合させている、その完成度が今までで一番高いと感じます。 また、キャラクターの面からみると、『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』で、田口・白鳥コンビのやりとりの面白さを楽しんだ方々にとっては、こちらはそのコンビのやりとりはなく、田口自体、ほとんど出てこないため、いささかの寂しさを覚えるかもしれません。 しかし、その2作で名前は出ていた「氷姫」がついにここで登場します。切れ者なのか、天然なのかわからないそのキャラクターは、田口、白鳥にはない不思議な存在感。一読の価値ありです。 | ||||
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いわゆる「桜宮サーガ」3作目。私は文庫派なのでまだここまでしか読んでいませんが、他の方もおっしゃっているように、単行本刊行順に読むのが良いと思われます。刊行順については2作目「ナイチンゲールの沈黙」文庫版の解説をご参照ください。 この「桜宮サーガ」を通して作者が社会に訴えたいことは、死亡時医学検索の重要性とそのためのAi(死亡時画像診断)の導入です。とりあえず3作目まではそうだし、たぶんこの先もそうだと思います。普通、こういうスタンスで書かれた小説って、あまり面白くないし、だんだん飽きられてきますが、このシリーズはキャラクターの魅力とそこかしこに張り巡らされた伏線、そして何より抜群の読みやすさで読者を飽きさせません。アニメ・漫画的な部分、ご都合主義な部分、シリーズの他作品を読まないと訳が分からない会話などがダメな人もいるでしょう。でも、それさえ大丈夫だったら一級の娯楽小説として楽しめます。 文庫版は今のところすべて上下巻各500円。値段といい、厚さ(薄さ?)といい、通勤中のバスや電車の中で浮世の憂さを忘れるのには最適だと思います。 さて「螺鈿迷宮」ですが、アニメ・漫画的でありながら(姫宮と薔薇と迷宮から少女革命ウテナを連想したのは私だけでしょうか…)、青バケツに入った臓器の生々しさを感じさせる作品。読み終わった後、もう一度「バチスタ」と「ナイチンゲール」を読んで、伏線の確認をせずにはいられませんでした。生き残りはどっちなんでしょう? 長男だと思われる彼の再登場はいつ? 次作品の文庫化が楽しみです。 | ||||
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東城大学医学部付属病院から舞台を移し、碧翠院桜宮病院でこの物語は展開します。 登場人物も白鳥・田口コンビから白鳥・姫宮(氷姫)コンビに変わり、物語の主な語り手として天馬大吉と言う医学生が登場し活躍します。 碧翠院桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設、寺院までを一体化した複合型病院になっています。 そこには、桜宮巌雄とすみれ、小百合の双子姉妹がいます。 この物語は、別宮葉子の依頼でそこに潜入した天馬大吉の冒険譚になっています。 ここで取り上げられるのは、今までのAiの問題に加えて「死」の問題が提起されます。「安楽死」の問題にも絡むこのデス・コントロールの問題は、改めて人間にとっての「死」の意味を問いかけてきます。 この病院にいるのは、他の病院で見捨てられた末期患者たちです。そんな彼らが役務を与えられて、限界を超えて生きながらえています。生命維持装置で生き続けさせられている患者と比べると雲泥の差です。 その他にも現代的な問題がいくつか提起されています。 昨今問題になっている「後期医療制度」の問題です。 この碧翠院桜宮病院が、どうにも経営が立ち行かなくなるのもこの制度のせいです。 「医療費の適正化」の名のもとに、終末期医療に対する社会保障費がどんどん削られているのです。 更には、医療問題とは直接関係ない「自殺サイト」の問題も取り上げられます。 こうした様々な問題を提起しながら、全体としてはエンターテイメントに徹した非常に面白い読み物になっています。 このあたりのバランスの良さに作者の非凡さを感じます。 | ||||
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本書の螺鈿迷宮(らでんめいきゅう)は、終末期医療(ターミナルケア)を題材とした医療物語です。主人公である医学生の天馬は、幼なじみの新聞記者である葉子から、黒いうわさが絶えない老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院である碧翠院桜宮病院に潜入できないかと依頼を受けて、医療ボランティアとして潜入する。今回は、前2作ではでてこなかった姫宮が看護婦役でてきます。 厳雄院長の強烈なキャラクターがより白鳥や姫宮のキャラクターを圧倒するように思える。父親のような威厳のあるあくの強いキャラクターが医療現場の現状を語るのは妙に説得力がある。 「修羅場で身体を張って覚えた技術だけが、最後の砦だ。」という言葉が心に残った。自分で現場でジタバタして身につけたものだけが、本物の技術として定着するものである。 本書はミステリーというよりは、医療現場のフォーカスさせたテーマ性のある物語である。本書は、終末期医療(ターミナルケア)や死の在り方を題材とした話である。主人公の天馬君のように死の在り方については考えさせられるなと思う。 | ||||
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とても重苦しい気分になる本だった。 よかれかしという心は、いつから道を過つのだろう。どこから道を外すのだろう。 人の心の中は、光だけでできているわけではない。光の部分と闇の部分を併せ持つことでバランスが作られる。 闇を切り捨てて無垢に光にのみ生きようとすることは、光をあきらめて純粋に闇にのみ生きようとすることと、同じぐらいに愚かなことだ。 これまで読んだ東城大病院シリーズとはまた違った、気骨のある医師が出てくる。 あの白鳥に役者が違うと言わしめる、桜宮巌雄病院長。 死が今よりも身近だった戦中・戦後からの日本の医療が抱えてきた闇の部分が、今回の主題になる。 作者は一作に一つずつ、医学の現状に苦言を呈しているが、今回は死体の上に成り立ってきた出自を捨てようとしている医学への警句が聞こえてくる。 死を看取る。その体験が近すぎて、何度も涙がこみあげてきた。 ことに、三色婆には、それぞれに泣かされた。たまらなかった。 死は、人が最後にできる、他の人への教育だ。 ひとは、いかに老い、いかに病を得て、いかに死ぬのか、身をもって示す。 それを通じて、いかに生きるか、学ばせてくれるのだ。 だから、私は死から目をそらさずにいたい。 | ||||
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オリジナルは、2007年11月30日リリース。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。『ジーン・ワルツ』では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示していた。『ジーン・ワルツ』が人間の『誕生』への問題提起であるとすると、本作は人間の『死』に対する問題提起として書かれている。そしてこの2つの小説は対となって構想されたのでは、と思える。 デビュー作の『チーム・バチスタ・・・』で既に死者へのMRI検査の重要性を説いているが、本作では医者とは切っても切れない『死』の問題と、現代医療にとって『死』とはどのような存在なのか、を読むものに気がつかせる。 そして頭を過ぎるのがマイケル・ムーアの『シッコ』だ。アメリカ医療の酷さはどことなく今の日本の医療の先の姿のように思えてならなかった。 ここに登場する桜宮病院の院長の言葉、『医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた、クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な』が、この作品を象徴している。厚生労働省の考える『死』、病院の受け止める『死』、自殺志願者の『死』、末期癌患者の『死』・・・どれも同じ『死』であるはずなのにこの作品では違って感じられる。それは各々の『生』が螺鈿のように様々に光り輝いているからなのかもしれない。圧倒的な読後感を残す傑作である。 | ||||
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オリジナルは、2007年11月30日リリース。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。『ジーン・ワルツ』では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示していた。『ジーン・ワルツ』が人間の『誕生』への問題提起であるとすると、本作は人間の『死』に対する問題提起として書かれている。そしてこの2つの小説は対となって構想されたのでは、と思える。 デビュー作の『チーム・バチスタ・・・』で既に死者へのMRI検査の重要性を説いているが、本作では医者とは切っても切れない『死』の問題と、現代医療にとって『死』とはどのような存在なのか、を読むものに気がつかせる。 そして頭を過ぎるのがマイケル・ムーアの『シッコ』だ。アメリカ医療の酷さはどことなく今の日本の医療の先の姿のように思えてならなかった。 ここに登場する桜宮病院の院長の言葉、『医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた、クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な』が、この作品を象徴している。厚生労働省の考える『死』、病院の受け止める『死』、自殺志願者の『死』、末期癌患者の『死』・・・どれも同じ『死』であるはずなのにこの作品では違って感じられる。それは各々の『生』が螺鈿のように様々に光り輝いているからなのかもしれない。圧倒的な読後感を残す傑作である。 | ||||
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2007年11月30日リリース。海堂氏はいつも小説というメスで日本医療の患部はどこか、を白日の下に曝す。『ジーン・ワルツ』では産婦人科医がなぜ激減したかだけでなく、明治時代のまま変わらない法律の矛盾や、アンケートばかりとっている厚生労働省の逼迫した現実への無反応・無為無策さ、名ばかりの少子化対策といったあらゆるものの問題点を全て提示していた。『ジーン・ワルツ』が人間の『誕生』への問題提起であるとすると、本作は人間の『死』に対する問題提起として書かれている。そしてこの2つの小説は対となって構想されたのでは、と思える。 デビュー作の『チーム・バチスタ・・・』で既に死者へのMRI検査の重要性を説いているが、本作では医者とは切っても切れない『死』の問題と、現代医療にとって『死』とはどのような存在なのか、を読むものに気がつかせる。 そして頭を過ぎるのがマイケル・ムーアの『シッコ』だ。アメリカ医療の酷さはどことなく今の日本の医療の先の姿のように思えてならなかった。 ここに登場する桜宮病院の院長の言葉、『医学とは屍肉を喰らって生き永らえてきた、クソッタレの学問だ。お前にはそこから理解を始めてもらいたい。医学の底の底から、な』が、この作品を象徴している。厚生労働省の考える『死』、病院の受け止める『死』、自殺志願者の『死』、末期癌患者の『死』・・・どれも同じ『死』であるはずなのにこの作品では違って感じられる。それは各々の『生』が螺鈿のように様々に光り輝いているからなのかもしれない。圧倒的な読後感を残す傑作である。 | ||||
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一応、全部の作品がどこかでつながっていることがわかっているので、出た順にタイムリーに読んでいるが、「ナイチンゲール」で登場した「ハウンドドック」のコンビは、この「でんでんむし」のために来たんじゃないの?と思っていたので、少々肩透かしを食った気分。「ナイチンゲール」ではあまり必要なキャラではなかったし、どこかで活躍させなきゃね。その後も出てこないけど、東京へ帰っちゃったのかな(笑)。 お話の構成も、いま一つ。姫宮さんを誇張して書きすぎな気がする。一応お医者さんなんだからさ。さっさと「でんでんむし」をなくしてしまったのも、どうかと思う。一読で十分な気もするが、どこに続くかわからないので、一応手元に置いておく。 それにしても、どなたかも書いておられたが、勤務医って暇なのか? | ||||
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「ナイチンゲール‥‥」で少々がっかりして、「ジェネラル‥‥」で持ち直して、この「螺鈿‥‥」で「チーム・バチスタ‥‥」に並びました。 面白かったですよ、海堂先生は現役の医師ですから医療問題も現代の医療矛盾も実感のある内容になって、そこに「AI=死亡時画像診断」の普及の提唱も盛り込まれてエンターテイメントなミステリーに編み上がってました。 欲を言えば主人公 天馬君 と 氷姫こと姫宮さん の掛け合いでもう少し笑わせて欲しかったですが、映像になるときっと見応えがありそうなストーリーのような気がします。 | ||||
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チームバチスタの作者が描くメディカルエンターテイメント ミステリーというよりも帯にあるようにエンターテイメントと 理解するほうが適切な筋です.しかしミステリーの要素の一つである 話の暗さ,出口の見えなさ具合はミステリーであると言ってよいかもしれません. 出口が見えないのは医療の問題についてであり, 人間の感情やしがらみを基にしているわけでないのでチームバチスタの ような気持ちよさはあなり感じませんでした. 白鳥などおなじみなキャラは出ていないもののキャラクターで 話を動かしてゆくストーリーは読みやすいです.また,重要な登場人物の 一人が問題と共に逃亡してゆくところは今後の話につながって 面白そうです. 重たい内容が好きな人には面白いのではないかとおもいます. | ||||
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