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(短編集)
カササギたちの四季
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カササギたちの四季の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.81pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 21~26 2/2ページ
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なんて愛おしい人物たち、愛おしい世界観、文章! 昭和のホームドラマ+ちょっとマヌケで愛らしいホームズ&コロンボという感じ。著者はこのところ、ナイフを研いで研いで研ぎ澄ましたような文章表現を追及していた印象だけれど、今度は一転して文章そのものもユーモラスで、温度がある。 「蜩の川」で、男の世界で頑張る女性・サチが頑張りきれなかったときの、日暮の【川トーク】とか本当にずるい。泣ける。 さらに、「橘の寺」で、雪遊びする奈美と宋珍の姿に突如、華沙々木がダーダー涙を流すのも、とてもいい。しかもあまりひっぱらず、和尚さんのラグビー投げを決めたりとテンポよく物語を展開するところもうまい。 華沙々木の神がかり的推理センスが最後に奇跡の一致(気持ちの部分だけで)を見せるのも面白く、泥棒も偶然だったりと、いい意味でご都合的な部分を楽しめるのも、小説を読むことの醍醐味という感じでよかった。 | ||||
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リサイクルショップを二人で経営する店長の華沙々木と副店長の日暮が、商品買取や販売の仕事をしながら事件に巻き込まれていく様子を4つの四季とともに描いた短編集。 著者の作品の中では、暗い影や怖い雰囲気がなく、ほんのりと読める短編集だった。4つの短編集とも、基本的なパターンは関わった事件に対して華沙々木が自信満々に披露した間違えた推理を、華沙々木に気づかれることなく日暮が正しい方向に導いていくというものなのだが、どの話もよく考えられていたと思う。 ただ、華沙々木と同級生のはずの日暮が、華沙々木に妙な気遣いをしている理由や、リサイクルショップに入り浸っている中学生の菜美をがっかりさせないように意識している背景が分からなかったのが残念だった。たまにはこんな雰囲気の話もよいが、著者の作品にドキドキ感を期待していたので物足りないと感じてしまった。 | ||||
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道尾作品ですが、殺人も児童虐待もありません。 全編を通して、さわやかです。 両氏のファンに叱られるかもしれませんが、読んでる最中は坂木司氏の「ひきこもり探偵シリーズ」を思い出しました。 道尾さんの作品に共通する(と私が思う)人間に対する優しい視点が全開ですね。 しかし。他の方のレビューにもありましたが、主人公が事実を作りあげる原動力となる、中学生への思いがよくわかりません。 中学生のエピソードはもちろんありますが、彼女を落胆させないように・・と、寝る時間を割いてまで行動するに足る感情が 彼にどうして芽生えたのか。それが十分に理解できれば、彼の行動にもっと共感できるのではないでしょうか。 全体としてみれば、読後感も良く、流麗な筆力を堪能できる良い作品だと思います。 道尾作品が暗くて苦手・・と言う方も、このお話は読めると思います。 おすすめです。 | ||||
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道尾作品は全て読んでいます。自称道尾ファンです。今回、初めて道尾さんの作品を読んで泣きました。 最近は文章をいかに美しく書くかということにとらわれすぎている感じがして、上手いなぁとは思うけど、読み返したくなるほど物語として魅力的かと問われると疑問を感じていました(直木賞受賞作も然りです) でも今作は違いました。最近の文章の上手さは健在のまま、肩の力が抜けていて、作者自身が楽しみながら書いてるのが伝わってきます。楽しくて切なくて、ふと思い出して読み返したくなる物語。続編を望みたくなる物語。とにかく面白かったです! ただ… 難点もいくつか。 本作は、事件が起きる→華沙々木が間違った推理をする→語り部である日暮がヒロインである奈美を「落胆」させないために裏工作をして辻褄を合わせる、というパターンの連作短編なのですが、日暮が奈美を落胆させたくないと思う動機が弱い気がします。だから、空回りし続ける華沙々木がすごくマヌケに思えてしまう。トータルで見てもそんなに魅力的じゃないんです、この華沙々木という男が。なので、感情移入という点では自分はイマイチでした。まぁ、この辺りは人それぞれの好みだとは思いますけどね(^_^;) それを差し引いても読んで損はなし、直木賞で彼を知って興味を持った、という方々が次に手に取るには最適な作品ではないでしょうか(^O^) | ||||
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物語の語り手は28歳の青年・日暮。高校の同級生・華沙々木(かささぎ)に誘われるままに2年前、2人で「リサイクルショップ・カササギ」を開店。赤字営業で現在に至っています。美大出の日暮は手先の技術を活かして、商品の修理やブラッシュアップを受け持っています。店長の華沙々木は、「マーフィの法則」(原書)を心から信奉する至っていい加減な男で、日暮はしじゅう振り回されています。物語は、日暮の視点から、ぼやき混じりに描写されていきます。 4編の中編は、いずれも親子を巡る物語で、リサイクルショップの客が抱えている事情と、周辺で起こった些細な事件を、頼まれていもいないのに華沙々木が首を突っ込み、推理を展開し、その陰で日暮が黒子になって「天才・華沙々木」を演出するという小話になっています(日暮には、華沙々木を天才にしておきたい事情があるのです)。各話のタイトルは、主要な登場人物の名を借りており、最初の2編は「鵲(かささぎ)の橋」「蜩(ひぐらし)の川」。3編目「南の絆」は、店に入り浸っている中学生・南見菜美が、なぜリサイクルショップに入り浸るに至ったかという前日譚で、菜美とその親の物語です。最終話「橘の寺」も登場人物の名ですが、最終話までは誰の名であるかは伏せられています。やはり、親子の物語です。 語り手の日暮も、自身の親に対する思いが行動原理の一部をつくっていることが繰り返し示されます。主要登場人物の中では、華沙々木だけが家族との関係がまったく描かれていません。嵐の中心にいるけれど空っぽな、台風の目のような存在といえるかもしれません。 話の展開にびっくりするような仕掛けはありませんが、ひとつの状況の解釈が、登場人物ごとに二転三転していき、やがて真相とそこにまつわる人々の思いが露になっていく様はみごとです。最終話のラストには、ちょっと泣かされました。いろいろな人たちが、人知れず他者を思いやっていることを少しだけ匂わせて、優しく爽やかな気分で物語は終わります。 力強い傑作というよりは、鮮やかな佳作です。 | ||||
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直木賞受賞後初の作品となる(書かれたのは去年一昨年ですが)この本。 雰囲気は全体的に明るめで、前作「月と蟹」よりはむしろ「カラスの親指」「花と流れ星」 に近いです。 ミステリー仕立てになっており 語り部、日暮とその上司華咲々木、そして友達である女子中学生南見菜美を中心に不思議な事件を解決していく。 タイトルからもわかるとおり四つの短編で構成されており、四つとも綺麗にまとまっていると思う。 メインに置いてるのはやはり「真実を塗り替える」ことだと思う。 菜美が華咲々木に抱いている幻想を壊さないように、日暮が暗躍する。 四つそれぞれ楽しめ好感がもてたが、しかし、少しインパクトが弱く物足りなさを感じてしまうことも。 個人的に帯の言葉は最高だと思う。 | ||||
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