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水底フェスタ
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水底フェスタの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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いいです | ||||
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辻村深月作品は「ふちなしのかがみ」「太陽の座る場所」「サクラ咲く」に続いて4冊目です。出版順に読んでいないので作風がどう変化してきたかはわかりませんが、今回が今まで読んだ中で一番重く衝撃的でやりきれない作品でした。 湊かなえ作品も相当ですが、こちらの方が究極のいやミスだったかも。 著者に多いテーマ、地方出身者のコンプレックスと東京に出て成功するということ、またはうまくいかず村に戻ってきてしまった人間の孤独、田舎にも東京にも居場所がないとはどういうことか、などが今回も描かれています。 ”芸能人”として注目される由貴美が村に戻ってきた、隠れるように1人で実家に滞在している彼女を、ロックフェスでみかけた高校生の広海はその都会的な魅力に惹かれます。最初は青春ものの雰囲気だった話は次第にこれでもかというほど壮絶な方向に向かっていきます。 8歳年上の大人の女性が地方の高校生を易々と手に入れるそのあざとさ。閉塞的な小さな村社会の断ち切れないしがらみ。権力を得たものがのさばり、それによっていわば低い階級に押し込められた地区や家族の怨念。狭い社会で人が妬みあい憎みあう醜さ。 そして一見町おこしに成功した村にはびこる収賄や、男女の愛憎と近親相姦まで、凄まじい要素をこれでもかと詰め込んだ作品です。 その救いのなさゆえか評価が低いレビューもありますが、まあそう思わせたら成功ということでしょうか。好き嫌いが分かれる作品だと思います。 最近、秋吉理香子「サイレンス」を読んだのですが、かなり似通った話ながらすっかり先が読めてしまい安易さが目立ってがっかりました。それに比べるとこの作品は要素の多さ、作品の複雑さ、真相がわかってくるにつれ二転三転するストーリーとまったく格が違います。こういうところで才能の差が出てしまうんだなと感じてしまいました。 主人公の広海は本当に純粋だったから許せなかったのでしょう。これから先、村は、そして彼はどうなるのだろうか。深い余韻を残した物語でした。 | ||||
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作者の作品は他にもいくつか読みましたが、少し雰囲気が異なっていました。 山間部で行われるフェスの盛り上がりを象徴するかのようなスピード感と ダムの水底で、水草がからむ粘着質なイメージがピッタリな作品だと感じました。 テンポよく先へ先へとページを繰っていると、何度も読み返し、反芻をせまる場面が何度か出てきました。私の場合、その場面まで読んでいたスピード感では場面の様子がよく理解できなかったのです。 ゆっくりと単語と単語の意味を咀嚼することで場面の様子が臨場感たっぷりに伝わり、文章の巧みさにひきこまれていきました。 安直な擬音語や擬態語、直接的なを用いないところがそうさせているのだと思います。 例えば水に何かが落ちるような場面でも、「バチャン!」「ドボン!」なんて雰囲気を台無しにする言葉(こうして書いているだけでも恥ずかしい)や、「水に落ちた」などという直接的な表現を用いないことで、その場面の臨場感や、登場人物の焦燥感を伝えることに成功しているのだと思いました。 まさに「水底フェスタ」。 水底でフェスをやったらこんな感じなんだと思います。 快楽と疾走感、息苦しさと不透明感。 読後に気持ちがよくなる作品ではありませんが、良作だと思いました。女流作家らしい視点で描かれた、いい本です。 | ||||
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はっきり言ってこれは傑作である。ロックフェス誘致で発展した「睦ッ代村」に住む、高2男子「湧谷広海」の平穏な日常に、都会から「織場由貴美」と「日馬達哉」という2つの異分子が入り込む。歳上の美女「由貴美」に翻弄され、易々とその虜になっていく世間知らずの「広海」、辻村作品には珍しいその官能的な描写は読者を惹きつける。古くは「八つ墓村」などで表現された田舎の閉鎖性・狂気性、コロナ禍の今年は、地方では都市部でも未だに強く残っていることが明らかにされたが、この「睦ッ代村」も例外ではない。強い保守性、組織的な隠ぺい体質、連帯から外れたものへの冷酷な仕打ち。おぞましい人間の性を、「睦ッ代村」の美しい自然描写との対比で描く。いったい「水根湖」の底にはどんなものまで沈められているのだろうか。後半、「広海」が今まで疑いもなく信じていたことが、次々と根本から覆されていく過程は見ごたえがある。変化・抵抗を選択した「広海」が動き出す、含みを持たせたラストも良い。とにかく辻村深月の才能には感服するばかりだ。 | ||||
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映画やテレビをみるよりもディープにエンターテインメントに浸ることができました。 ミステリーって面白い。 普段ミステリーを好まない(人が死なないリアリティー小説が好きな)僕の感想です。 なるほど、ミステリーは小説の大きなジャンルを作る一つのカテゴリーであるわけだよ。と思いました。 ミステリとしては、文庫解説で千街晶之が指摘しているとおり、閉塞感のある村社会における秘密に巻き込まれるたぐいです。僕も読みながらだいぶ怖い思いをしました。 僕は都心に通うサラリーマンたちのベッドタウンで育ちました。同じ小学校に通う子供は皆、他から引っ越してきた勤め人の家の子。村社会の感覚はほとんど理解出来ません。 中学校に上がると、学区が広がったぶん、戦中/戦後の軍関係の街の特色が加わって、ある程度の地域性があるのですが、流動性があり閉塞性はほとんどありません。 長じて最近ようやく職場の地元採用の人たちの中では仕事の出来不出来とは別のヒエラルキーがあるような気配を感じたりして、地域の社会の難しさも、少し解ってきたように思います。だから、会社は将来期待できる人は全く違う事業所に転勤させたりして、狭い社会で満足させないようにするのだろうな、と思うわけです。 閑話休題。 本書は、閉じた社会の内部で展開されるミステリーの要素以外に、 物語冒頭から描かれるフェスにつどう音楽を愛する人たちの愛着振り と、 主人公広海がヒロイン由貴美に感じる、のぼせるような恋愛感情が描かれているのが印象的でした。 普段はCDやダウンロードした音源を聴くだけで満喫している僕にとっては、実際にライブ会場で楽しむ音楽の楽しみ方を知ることができて良かったと思います。 のぼせるような恋愛感情としては、主人公=広海が由貴美に対して感じる愛欲の有り様が生々しく、自分の記憶を呼び起こされるようにリアリティーを感じました。 肉体的な欲望と、相手に感じる愛情が一緒になって押し寄せる状態は(自分がそれぞれ個別にしか経験しなかったものでもあり)迫力さえ感じました。 こういう状態になると、周囲からどう見られようと(読者である自分は、織場由貴美が策略を持って脇谷広海を篭絡していると理解しても、なお)広海としては、前のめりにはまり込むことも本望であろう、とまるで自分が広海の理解者であるように錯覚しながら、この小説にのめり込むことができました。 メインストーリーではないですが、日馬達哉にも思うところがありました。信用が大切だと思いました。 何か良いことをしよう、と日頃の行いを改めたところで、信用が無いと何もできない。警戒され誰も協力してくれない。挙げ句の果てには、うまくいかず、意図とは逆に「小人閑居して不善を為す。」と陰口をたたかれることになるのは、こういう状態なのだ、と思いました。 文庫はミステリ評論家の千街晶之の解説付き。往年の名著を引き合いに出し、本書の特異性を解説しつつ、おまけにエンディングで安心した読者の恐怖心をあおって終わるというおまけ付き。 たとえば、このような丁寧な仕事が信用を作るのだよな。と、解説者を登場人物(悪役)と比較して感想を述べる僕のレビューとしての信用はどうなのかと疑問に思ったところで僕のレビューは終わります。 それにしても、辻村深月の本はどれを読んでも面白い。本書は著者と同年代か、少し若い世代を読者に想定したエンターテインメントだと思うのですが、定期的にテレビドラマを観ることが難しい、忙しい大人にもお勧めです。 | ||||
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自分の田舎と置き換えて読みました。 読み終わった後、登場人物のそれぞれの物語も想像してしまえる そんな物語でした。 | ||||
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死んでほしくなかったな〜。読み終わった後、何だかゴワゴワした気持ちになりました…。集落の闇深いですね。。女の子が不幸すぎて辛いです。死ななくても良かったのに…。これから2人で、家族になれたかもしれないのに…。 でも読んでいて、続きが気になって気になってしょうがない作品でした。 | ||||
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従来の辻村さんの作品とは随分と経路の異なる新たな世界が素晴らしい。今回も読み進む内に、作品の中に関係者として加わっていました。ラストのシーン(入水自殺)では、”何で?”と思わず息を呑む思いでした。 | ||||
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辻村深月っぽい作品ではなかった気がします。 結構批判があるようでしたが、私は面白かったと思います。書き方や話が新鮮で逆に辻村深月っぽくないから引き込まれました。でもちょっと荒いな、という印象です。いつも丁寧に織り込まれている辻村深月作品ですが、今回はあまり丁寧ではなかった気が…… やられた、こんな展開かよ!?という感じで不 意打ちな辻村深月さんの作品が大好きなので今回のはちょっと寂しかったです。 | ||||
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年上ヒロインが、身体を使って男子高校生を利用するのが気に障って途中までは読むのが苦痛でした。 辻村さんが好きだから…その理由だけで読み進めていたら中盤から急展開して、そこからはラストまで一気に読ませましたね。 個人的には恋より、とあるキャラとの友情が胸にきました。 読み終えてからは、あれから主人公はどうなったんだろう…と思わず考えてしまう程、人物描写が深かった。 | ||||
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個人的にはとても引き込まれて、面白かったです。 中盤からは一気に読みました。 ただ、読後に言葉にしようとすると類型的に感じるものが多いとは思います。 例えば、 高校生の主人公の持つ鬱屈、自尊心、内心の優越感であったり、 感性の合う大人の女の人が急接近してきて…、とか 二時間サスペンスドラマの脚本みたいな展開だな(笑)、とか。 それらが気になってしまうと面白くないでしょうし、由貴美のキャラを方向性が定まらず 半端に感じる向きもよくわかります。 が、私はこの作品、好きです。 由貴美についても、矛盾して見える言動も、強さも脆さも、純粋さも即物的なところも、 全てが本心として様々な要素を含めて成り立つキャラとして気になりませんでした。 物語内では、閉鎖的な村から飛び出して、(なおかつ厳しい業界で)生きていくことを 実践した唯一のキャラクターですし、振れ幅が激しいのもあり得るかなあと。 (そこまでの因習が残る村にリアリティがあるかどうかは別問題ですが) 辻村さんの作品はほとんど読んでいますが、精神的な未熟さやそれゆえの痛々しさみたいな ものを嫌悪していると楽しめない作品が結構ある気がします。 社会生活上、表には出さずにいるが、本音ではそういう部分が死に絶えていない自覚がある人間に とっては心にチクチクくるところがあって、なんか読んでしまうという感じです。 最後に、帯のキャッチコピー「一生に一度の恋」はこの作品に誤解を与える的外れなものだと思います。 | ||||
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町おこしで野外コンサート(フェスタ)をしている田舎町、そこが舞台。 人物紹介をフェスタに絡めながら、前半部分は丁寧に描いている。核になる二人が出会うまでの展開はさりげない。 半ばで衝撃の計画! ここから物語はコロコロ転がり始める。 そして次から次へと新しい事実。そしてラストへ・・・・。 後半は少し急ぎすぎたような印象を受けましたが、物語は面白いと思います。魅き付けられました。 | ||||
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辻村氏の作品としては、ちょっと変わったテイスト。帰ってきた由喜美の憎悪と、腐りきったムラ社会の実態がひとつ、またひとつと明らかになっていく過程に、筆者持ち前の筆力から引き込まれていく。しかし、由喜美の人物描写が、今ひとつ物足りなく感じた。結局彼女は、はかない女性なのか。憎悪の塊か。信じていたものが砕け散る時の様から、くっきりと伝わらず、もやもやした。最後までドキドキしながら面白く読めるが、後味のイマイチよくない作品。 | ||||
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もともとこの方の作品は好きでしたが 今回は主人公も含めての、人間の深さがあり ただ、面白いというだけでなく 凍りのくじらのような、一つの世界をリアルにみてきたような読後感でした 閉鎖された村が、目にうかぶように、リアルに、身近に感じられ引き込まれます 主人公の年頃特有の、その時期にしか出来ない恋の物語りも 綺麗事を限りなく排除して、人間そのものを書ききってなお クオリティーの高さも維持していて 辻村ワールドに深みをましていると思います 私はこの作品好きです | ||||
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