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廃用身
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廃用身の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全77件 41~60 3/4ページ
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立ち読みした時にはノンフィクションかと思った。 なんだこれ!?こんな事件あったか? と表紙をもう一度見返してみると 「久坂部羊」 「破裂」の著者だった。 漆原医師の観察記録(?)形式で物語りは進んでいく。 なるほど、もし自分が麻痺を起こしたら 「Aケア」をしてもらおうかなどと考えるくらい 素晴らしいことだらけ。 でも心の中で、なぜか不安はずっと解消されない。 どこかで漆原医師が狂気に駆られているように 思えてならないのだ。 物語の後半も興奮は収まらず 一気に読み終えてしまった。 なんだかクラクラしてしまった。 「介護」というテーマ自体が 単なるフィクションとして 片づけられない「現実」だからだろう。 | ||||
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このレビューを見るまでノンフィクションだと思っていました。 漆原夫婦の自殺を止められなかった矢倉氏に同情していました。 でもよかった。不幸な慎君はいなかったんだね。 | ||||
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全く新しい実験小説。 奥附が騙し的に使われている。 この久坂部さんが書いたにもかかわらず、小説自体が別の人が書いたような作りになっているため、最初は戸惑ってしまう。 (わかりにくくてすみません…) 話の内容は、老人の麻痺した手足を根元からバッサリ切ってしまった方が介護も楽になり、自身の床ずれなども良くなり、心臓から送りだされる血液が無駄なところにはいかなくなるため、脳にいい刺激になって、ボケていた人がちゃんと物事の判断がつくようになったり…という何かむちゃくちゃな理論を組み立てた医者が、実際に何人もの老人を手術してしまい、その結果…というものだ。 そもそも「この話はフィクションです」とか書いてあるわけではなく、ある医師の告白…のような書き方なので、途中までは「本当にこんな事があったのだろうか…」と迷ってしまうほどリアルであった。 なおかつその医師が自殺してしまい、その手記をなんとか世に出したいと思って色々と取材していた編集者の手記も続けて出てくるのだから、もうだまされてしまっても仕方ない感じ。 で、最後の奥附がその医師と編集者の連盟になって終わっていて、次のページをめくれば久坂部さんの本当の奥附がある…という状況。 現役の医者と言うだけあって、すべてにおいて表現がリアル。それでいてあまり専門的ではないというのも入り込んでしまう要素なのだろう。 | ||||
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これはフィクション、フィクションと唱えていなければ本当にあったことなのだと思い込んでしまいそうです。事実私はノンフィクションだと思い込みました。それほど医師やスタッフ、患者たちの描写が心が力を持って押し寄せてきたのです。 事実著者は老人デイケア施設などを得て、現在も在宅医療専門のクリニックに勤めています。現役の医師です。その現場でしかわからないこと、現場でないと感じないジレンマ、ストレス、アイデア、感情がこの作品を包んでいます。 読後、私は医師を責めることができませんでした。むしろこの治療はあってもいいのではないかとすら思いました。 著者である久坂部羊は言います。 「廃用身は精神的にもお年寄りを憂うつにするもので、その切断は実際にあってもおかしくないと現場医師として感じる。もちろん痴ほうの改善などは虚構だし、この残酷な療法が現実になるとは思っていない。だが事態は奇麗事で済まないところに来ており、何らかの厳しい選択は避けられないでしょう」 激しい選択。 それは近い将来私たちも必ずとらなければならない決断なのです。 | ||||
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皮膚や粘膜によって外界と境界されたもの・・これが自分だという認識はア・プリオリなものであり、意識が清明で五体満足である限り意識することすらできない。しかしこれが半身不随で認知症の老婆と仮定すると、とても安定した認識を持つことができない。そのような婦人が自分の動かない手を熱した油で「揚げて」骨が見えるまで「食べて」しまったというエピソードは、事実であれフィクションであれ鬼気迫るものである。 老木を延命させるために、その腐った枝を切り落とすことが普通であることを考えれば、もはや回復の見込みもなく、本人の苦痛の元であり、周囲の介護者にとっても厄介な「廃用肢体」を切断すること《Aケア》はそれほど非難されるものではないという主人公の主張は合理的で説得力がある。大規模災害発生のときなどに行われる患者搬送の優先順位決定、「トリアージ」にもどこかしら似ている発想である。実際の大規模災害発生現場でトリアージに携わった医師、救命士などは事後しばらくたってからも自分自身の判断や決定が適切であったか、ひどい心的外傷に悩むものであるという。 本編の主人公である医師はその点、十分ナイーブであり、最終的には自分自身のある部分を《Aケア》してしまうことになる。 重いテーマでグロテスクなシーンも多いのですが、明らかに悪意のある登場人物がいないせいか、意外とさわやかに読み進めることができました。医療の発達の結果、介護を要する人間が増えてしまったということが現実であるならば、(医療者の端くれであるワタシも)なんらかのおとしまえを考えるべき・・と思い知らされました(でも結論はでません・・・)。 | ||||
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介護をする人にも厄介な、動かなくなった重い肢体を切断という、あり?かも、と一瞬思えるけど、グロテスクな発想とは別に、主人公の、人間臭さなども、丁寧に描かれていて、いまだに、鮮烈な思いとともに、心に刻まれています。ぞっとするシーンは過激すぎですが、かなり面白です。(「破裂」も、好きです。「チームバチスタの栄光」の白鳥さんより、濃いキャラの登場人物が面白いです) | ||||
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傑作。全てが深く、重くのしかかってくる。 現実を鑑みた善意の治療、それに対するマスコミの対応、周囲の人間の反応、解ける見込みのない誤解が渦を巻く。完璧に思われたインフォームドコンセントが(現実にありがちな形で)崩れ、そこから始まる主人公の自己分析と、外科医としての本質の自壊と、自殺。 若干説明口調で純文学的には秀逸とはいえないかもしれないが、論理的で読みやすく、かつ実際の臨床現場で起こり得そうな設定、登場人物の設定が余すところなく全体の構成にいい影響を及ぼしているのは見事。 | ||||
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読んだ後、ひたすら怖かった本というのは久しぶりだった。内容はもう語り尽くされているので省くが、作者は医師として、まじめに高齢化社会の解決法を模索し、問題意識投げかけている。実際にやりかねないからね、この国は。幸い、まだ介護をするはめにはなっていないが、そうなったとき繰り返し頭に浮かんできそうで、今から怖い。 | ||||
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筆者のデビュー作にして、問題作。老人介護問題の解決策を、動かなくなった手足を、切断することで軽減しようとする発想は、まさに医師ならではだと思う。しかし、そうかんたんには進まず、いろいろな問題を引き起こしてゆく。はたして廃用身の切断は是か否か?人口の50%を65歳以上がしめる社会を直前に控え、物語といってすまされない深刻な問題提起作品だと思う。 | ||||
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まさに度肝を抜かれました!!! 私は、この本と同じような介護の仕事をしています。実際に、マヒや、硬縮で、不自由にしている方をいつもいつも見ています。私は自分がそのようになったら、この本の、A(切断)ケア、S(人口肛門など)ケア、デス(死)ケア、全部考えれると思います。選択肢は多いほうがいいし、それで、自分も周りも楽になれるのなら、タブーではないと思います。職場でほとんどのスタッフで回し読みしましたが、ほとんど全員、賛成でした。全員、目からウロコの考え方の本でした。 いろいろな考え方ができること、いろいろな選択肢が考えられること、それが、大事だと思います。みなさんも、この本を読んで、真剣に、グロテスクに、老後を考えましょう! | ||||
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いきなり、作中作の中表紙が書かれるという構成にまず唖然とする。 そうやって物語に食いつかれたらもう終わり。一気に引き込まれて最後まで読まされてしまう。 「廃用身の切除」などといったものはフィクションでありながら、その向こうに描かれる「介護の現在」といったものは厳然たる現実のものであり、ノンフィクションとしての迫力を持つ。 その一方、主人公たる漆原医師の本性を、最後まで全貌を明かさずに少しずつ、読者に固定したイメージを持たせないように異なる角度から浮き彫りにしていく、というのはフィクションとしての迫力だ。 その二種類の迫力が相乗効果で読者に襲い掛かる、強力な小説である。 そしてもう一つ特筆すべきは、これが作者のデビュー作であり、小説とは無縁の医者という職業の傍らに書かれたものだという点だろう。 読んでいただければわかるが、この異色の表現方法は、小説という形でなければ絶対に実現できない。デビュー作でありながら、「小説である」という特性を完璧に利用している。ただものではない技量であり、驚嘆するしかない。 一読の価値は、十二分にある。 | ||||
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本の中にまた本がある。ミステリなどではたまに見る構成です。 本書は前半が漆原糾医師の手記,後半が編集者の注記となっています。 シチュエーション,人物造型,マスコミのあおり方,どれもがうまい!!!なので,ついついノンフィクションのような気持ちになって読んでしまいます。 漆原糾医師の実像は像としてむすぶかに見えてはまたぼやけ,最後の1ページまで緊迫感を持って読み進められました。 Aケアは小説内の嘘っぱちですが,作者の提示した医療危機は真実です。 現在介護真っ只中の方にはこの本をお勧めしませんが,「高齢化社会って言っても自分にはあまり実感ないし」という若い方にはぜひご一読をお勧めします。 ところで,この本中本の出版は山月で印刷は李陵なのですね。 私も大好きです,中島敦,と著者に少しばかりの親近感を持ってしまいました。 | ||||
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麻痺で身体のお荷物になった老人の四肢を切断する治療「Aケア」。 その治療は本当に患者のためになるのか。四肢を切断したことを後悔してはいないのか。 介護する側の都合なのか。 治療を考え付いた医師漆原は純粋に患者のためをだけを考えて患者に治療を薦めているのか・・・。 医師漆原の手記(主観)、漆原の本を出版しようとした編集者の手記(客観)から次々と明らかになる、医師と患者の気持ちのズレ、漆原の嗜虐性。 病気腎でも移植を施行する医師、病気腎でも移植してもらって透析から解放されれば患者は本当に満足しているのか、医師は純粋に患者のためだけを考えているのか。腎移植をしたいだけなのか・・・。 こんなふうに想像すると、社会的に違和感を覚えるような医療界の報道もわからせてくれるような一冊です。 医師が書いた本でタイトルもなにやら難しそうに聞こえますが、文章は専門用語も少なく読み易いです。平易なだけにぞっとするシーンも多々あり、最後まで読ませます。 なんともいえない読後感が残ります。 | ||||
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革新的で野心的な小説。架空のドキュメンタリーという形をとりながら、Aケアという大嘘を構築している。フィクションというのはこうでなくちゃ。大きな嘘が、小さな事実で慎重に組み上げられている。 手足を切断するというショッキングな『治療』の是非をめぐり、迫真のドラマが繰り広げられる。作者も医者だっただけに、マスコミと世論の身勝手さが生々しい。 最後に、主人公の意志の個人的性向も暴かれ、更に問題を複雑にしている。人気作はすぐ映像化される昨今だが、これだけタブーに挑戦していると、難しいだろう。 | ||||
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最初に「この作品はフィクションです」等のただし書きなしで、いきなりノンフィクションぽい書き出しで始まる本。あるライターが、死亡したある医師の生涯と所業を回想する形式。途中でいかにもな感じの新聞記事や雑誌の転用が挿入される。読み進めているうちに、扱っているテーマの大きさから、さすがにフィクションだと気づくが、最後まで「フィクション」と言い切らないところはすごい。最後の最後まで登場人物の架空の医師の経歴、書いたライターの経歴が載っている。じつは私自身いまだに十パーセントくらい「もしかしたら本当にあったんじゃ?」と疑っているが、麻痺した老人の足を組織的に切断する医師はいないだろう、と自分に言い聞かせている。それくらい読んでいる側を本の世界に引きずり込んでくれる本。 | ||||
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先に破裂を読んだのですが、この話もノンフィクション??と思う内容です。 日本の各家庭で起こりうる、というか既に起こっている老人介護の問題。 面白いという言葉は使えませんが、ショッキングな内容で 眉間にシワを寄せながらも(電車で読んでいたときはすごい顔をしていたと思います。) どんどん引き込まれ(引きずられる?)ていきました。 老人医療の現場にいたお医者さんとのことで、きれいごとではない部分も書かれています。 すごい作品です。 | ||||
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奇抜な倫理感。提起された老人介護という問題を考えているうちに 主人公の心の闇に巻き込まれていく。極端な治療をする医師と、圧倒的な影響力で人を追いつめる マスコミニュケーション。どちらがより犯罪的か。 読み進めていくうち、猟奇とモラルの狭間で読者の感覚も麻痺していきます。歴史上にも、巫女などの超能力を増すために身体の一部を犠牲にする 類型は多いと思います。 また、最近流行の断食ダイエットにしても、飽和している食餌を 一時制限することで体内浄化をはかるという物。 これらに通ずる論説にはフィクションとわかっていても、 本当に効果があるのではないかと思わせられます。マルキ・ド・サド、江戸川乱歩好きな私でも気分が悪くなったのは 自分にとっても無縁ではない、病気、介護、社会に根ざした 現実上の問題と猟奇のパラドックスだからだと思います。 | ||||
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「ノンフィクションなの?」って思わせる見事な構成でした。ある医者が出版社に宛てた遺稿と、その遺稿を出版する担当編集者による注釈章の2本柱からなる構成です。本を出版するにあたり編集者が事実関係をいろいろと調査した内容が後者。この超リアルな構成がとっても気に入りました。この作家の独創性に驚きです。 | ||||
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~多くの方がミステリー小説だとされていますが、私はホラー小説だと思いました。実際、とても怖い思いをしながら読みました。大成功の作品だと思います。トレパネーションを描いた漫画が人気ですし、スプリットタンなどを取り上げたムックもあるようですね。でも本書は「趣味としての身体改造」ではなく「必然性のある身体改造」を設定して追求しているの~~が面白い。趣味なら止められるけど、必然性があれば止められないからね。とくに前半のノンフィクション書籍の体裁を取った部分は、キレイキレイで白々しい雰囲気が良い。逆に怖さを倍増させます。 描写もすごい。糞尿・痰唾・脂垢・膿汁まみれの介護現場から一転、すべすべの新しい皮膚が輝く切断面。この視覚的落差はすごいなあ。架空のノンフィクション書~~籍や週刊誌記事をでっち上げた腕前もすごいし、この著者は小説にとどまらない才能を持っていると思います。~ | ||||
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回復の見込みの無い手足を、切断。 確かに、看護する側は、その分だけ、重さが減るので、楽になるだろうけど、本人にしたら、いくら動かない、回復の見込みが無いと言っても切断されるなんて!一見、合理的に見えるけど、何事も省いていい所とそうでない所があるんじゃないかな。一見無駄のように見えても、何らかの形で、役に立っているというか、役に立っていなくても、そのもの存在自体が、必要とか。「無用の用」と言う言葉がある。まして、Aケアによって、脳への血流が増えるとは思えない。怖いと言うか、こんな考えがありなんて、いろいろ考えさせられた一冊です。 | ||||
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