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海の底
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海の底の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.26pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全129件 101~120 6/7ページ
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水上の牢獄と化した潜水艦と、二人の若き海上自衛隊員。 属する家族、コミュニティの中で屈折した自我を持ちながら、潜水艦に迷い込んだ13人の子供たち。 横須賀を駆ける機動隊と、それを率いる警察官僚たち。 敵を滅ぼす力を持ちながら、満足にそれを振るうことのできないジレンマを抱えた自衛隊員たち。 そして、海の底から来た真っ赤な、真っ赤な化け物ども。 多種多様な立場の人々と、それぞれの社会、世界観が交じり合いながら、決して混濁していないその精緻なまでに張り巡らされた設定を縦糸に。 血と汗と、葛藤と慟哭と、激情と懊悩と、ありとあらゆる感情を横糸にして、真紅の海辺を舞台に紡ぎあげられる6日間。 そして迎えるエンドロール。 掛け値なしに素晴らしい物語を堪能して見てください。 | ||||
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「空の中」に続く、メディアワークスから出版されたハードカバーの文庫版。 基本的にはほとんどハードカバーと変わらない。 詳しい内容はハードカバーの方を見てもらえばいいとして、ここでは番外編について少し。 「海の底 前夜祭」は以前携帯サイトで配信されたものだが、当時読むことができず、いつ読めるのかと待ち続けていたところ、文庫に収録ということで、迷わず手に取った次第だ。 内容は期待に背かず、本当に有川氏にぴったりなシーンだと思う。 ハラハラドキドキの駆け引きと緊張感を持った闘い。 登場人物二人の性格も上手く出ていて、本編を読んだ人は確実に楽しめる。 こんな自衛官がいるなら、日本も大丈夫かもしれないと思わせてくれる作品だ。 同じ登場人物が出てくる番外編としては、「クジラの彼」がある。 読んでハマった方はそちらもおすすめ。 | ||||
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春のある日、桜祭りが開催されている横須賀。 突然、巨大化した水中生物レガリス(ザリガニに酷似)が 大群となって海より襲来し、 人間を餌としたために街は大混乱!! 横須賀で必死に防衛線を守る警察の機動隊の様子と、 艦長がその命をかけて守った子供たちとふたりの海自の潜水艦乗組員が逃げ込んだ潜水艦で過ごした6日間を描いた作品。 それぞれの思惑で動く大人、 プライドや自分の命を捨ててまで市民を守ろうとする機動隊、 悩みを抱え手探りながらも前に進もうとする子供たち。 それぞれが複雑で、それぞれにドラマがあるんやなぁ***と思いました。 ふたりの潜水艦乗組員、 知的で人当たりがいい男前・でも内面クールで無関心なハルと 無骨で直情型・内面は情に厚い夏木。 どちらもとっても素敵です☆ 『幸せに出会って、幸せに始めよう。』 本を閉じても、ストーリーは続いていくんやなぁ***って感じさせるラストも良いなぁと思いました(*^^*) | ||||
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無念である。まことに慙愧に耐えない。 血が出るほど唇をかみ締め、ふつふつと沸き起こる後悔の念をこらえる。 まったくなんということだ、こんなにおもしろい本を3年も見逃していたなんて。 だいたい作者も作者だ。なんだ、このタイトルは。こんなにおもしろい本に、なんでこんな地味なタイトルをつける? だまされてしまったではないか。つまらない純文学と勘違いしてしまったではないか。 それも3年も。 ちくしょう、おれの青春を返せ。 (以上、気狂いのたわごとでした。皆さんは冷静に読まれますように。) | ||||
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まず読んでみると、やはり台詞回しや登場人物の性格設定などにライトノベル/漫画的なものが多くあります。 この点で抵抗のある人もちょっといるかもしれません。 が、普通の文章で言えば他の作家さんと比較しても遜色ない、あるいはそれ以上の文章力で書かれていますので、 所々の漫画的な台詞に目を瞑れば、ラノベなんて!と毛嫌いしていたむきにも読めると思います。 さて、内容について。 なかなか分厚いこの本(文庫にすると上下巻に分割されるでしょうか)ですが、展開、というかエビの登場は物凄く早いです。 ものの数ページで奴らは押し寄せて来ます。事前の登場人物の説明などは一切ありません。 ちなみに、あとがきで作者の方も述べておられますが、潜水艦は最終章まで一海里たりとも動きません。 序盤に出港しようとしてほんのちょっと動くぐらい。 なので、自衛隊の潜水艦と某国の潜水艦が深深度で魚雷を撃ち合う!なんてのを御所望の方にはまったくお勧めできません。 福井春敏氏の『終戦のローレライ』や池上司氏の『無音潜行』などをお勧めします。(未読ならば、ですが) 従来の怪獣映画に見られるような自衛隊が大量に火力を投入! しかし大量に押し寄せる巨大エビには歯が立たず!なんていう怪獣ファンが唸るような派手な展開もありません。 あるのは機動隊が巨大エビと繰り広げる肉弾戦の描写ぐらいです。登場する機動隊員もほとんど小銃の弾の一発も撃ちません。 この作品で特筆すべきは、さすが女流作家!と言いたくなる女性の心理描写です。 自分が男性の為、この心理描写が合っているのかいないのかは計りかねますが、 男性の作家ではおそらく何ともなく描かれるであろう所を、事細かに書いています。 これが男性作家だったら、『あの』描写なんてなかったでしょう。多分。 爽やかかつ希望に満ちたラストも良い。 物語としては良質だと思います。 | ||||
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23:30頃からちょっとだけのつもりで読み始めたら、 一気に読んでしまい、読み終えたのが3:38だった。 おもしろかった。 人物描写が秀逸で、頭の中にイメージがありありと浮かぶのだけど、 どうもカニの描写がイマイチで、ドラクエのぐんたいガニとか ガニラスとかそんなのが浮かんだ。 なんか、実写映画の中でデフォルメされたアニメが動いているみたいな印象。 あと、このカニは非常に食いでがありそうなのだが、 誰も食べようとしなかったのだろうか?気になる。 | ||||
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有川さんの作品の中で一番最初に読んだのですが、個人的には一番好きな作品です。 今回は海自が舞台で、巨大な甲殻類が横須賀を襲うのですが、主に潜水艦の中の出来事です。 戦闘シーンはあまりないので、そういうSFを期待される方にはあわないかと…。 たった6日間ですが、潜水艦内の出来事と甲殻類撃退作戦+恋愛と、とにかく充実しています。 | ||||
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自衛隊が・・・ちょこっとだけで。 潜水艦も・・・1メートルも動かないで。 大殺戮のシーンがあったかと思うと、シーンと気まずい潜水艦内のシーンがあったりして。 実に妙な物語でした。 いや!良かったですよ!すごく興味深く読みましたもの!圭介くんママのありようにはすごく考えさせられましたし{レベルは違うけど同じような人は確実に居るし}冬さんと夏さんの2人の奮闘ぶりも拍手喝采でしたよ。望ちゃんについては「よく書いてくれました!」というシーンもあり{これは男の人には逆立ちしたって書けないでしょうねえ}すごーくお勧めの一冊なんですよ!!・・・そうお勧めの一冊なんですが・・・ 「あれー?!」という気持ちも正直あったのでした。 原因は自衛隊。自衛隊は?!出てこないじゃないの!・・・まあラストでちょこっと出てきたんですが、その出方が・・・一番良い恰好の所だけうわーっと出てきて持って行っちゃって「何かずるくない?あんた達」と腹が立っちゃいましたね。せっかく出てきてくれたのになんですが。 「首になるのも覚悟して、俺が一発ドカンとかましたろ!って奴はいなかったのかー?!」って思いました。何人もの人が助かるのなら首になるぐらいなんですか!って。コルチャック先生を見習いなさい!ナイチンゲールだって許可なしに物資を出した事あるのよ!・・・などなど。しばらくカッカして、そのあとしゅんとして。 まあね。もし。もしも今本当にこういう事態が起きたなら。今現在の自衛隊幹部はB型が多いらしいから無許可でドカーンとやっちゃってくれる人も居るかもしれないんだけど。ぜひやっちゃってちょうだい!と願うばかりです。 あと「私のことは忘れてください」の台詞が良かったです。あのね皆さんこれの訳はね「じゃあさようなら」よりも「その首洗って待ってなさいよ」の方が近いんですよ。びっくりした?ほんと、日本語って難しいものですねえ。わたくしも最後まで判りませんでしたことよ。ほほほほ・・・気になった方はぜひお読みになってみてくださいませね。 | ||||
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作者本人も後書きで書いている通りトンデモない大ホラ話です。 そもそもしょっぱなから巨大ザリガニが出現!人間を襲って食べてしまう!!というどう考えてもB級な設定。 こんなノリで始まってるくせに、妙に感動させたり、考えさせられたり、過ぎた若き日々の悩みを振り返りたくなったり。 確実にライトノベルなのに小難しい用語とか組織の説明とかがまた面白い。有川さんらしいスピード感で「ありえない」と思いつつもぐいぐい読ませます。 真剣に裏工作する大人たちの話もいいし、艦内の子ども達とのいかにも青春小説っぽい悩みもいい。セリフのやり取りにも勢いがあって楽しめます。 ご都合主義な感は否めませんが、読後感もいいし、お勧めです! | ||||
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『図書館隊』シリーズから入った私には衝撃的な一冊でした。 前評判の巨大ザリガニ来襲は聞いていましたが「ヒーローの大活躍・ロマンス風味」だと思っていたので、 あまりにも真剣に考えられる内容に動揺したし、大きなインパクトがありました。 巨大ザリガニとの攻防の様子などが過剰な擬音語・擬態語を使わないだけに想像をかき立てられて怖いのですが、 それに対応する人々の様子・言葉があまりに人間的で、無敵のヒーローじゃないのに頑張る姿や悲しみ苦しむ姿に何度も泣きました。 なので、私のお薦めは断然前半です。 後半はきちんとザリガニを撃退し、恋模様や人間関係に変化が見られて読後スッキリするのですが、 前半の『与えられた状況で最善の努力をするしかない人々』が苦しんで、苦しみを克服できないままに精一杯を尽くす姿を読んで、命や生死について深く考えてしまいました。 勿論ストーリーを追ってロマンスを楽しむだけでも面白い本です。 が、あえて時間をとってどっぷり感情移入して読むと、何か心が変わるんじゃないかと思います。 | ||||
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巨大エビと戦う話と聞いていたので、ゴジラのような巨大なエビを想像していたのですが、ちょっと違いました。 大きさは1〜3メートル。でも出てくるのは一匹じゃなくて、もう数えられないほどウジャウジャと。 実際、食われるシーンはそのくらいの相手の方が怖いです。 一撃即死じゃないところがなんとも。 大した武器もなく、それでも市民を守るためにがんばる警察官。 小中高校生の子供たちと共に潜水艦に立てこもる二人の若い自衛隊員。 言葉を失った弟を守ろうとする高校生の姉。 みんなとてもよかった。 とても嫌な性格の中学生が出てくるんですが、でもラストでは彼も・・・。 とても面白かったです。 | ||||
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横須賀基地に巨大エビ現る! ガメラやゴジラが大好きという作者が描くパニック小説、いえ、人間模様を描いた小説です。 潜水艦の中に子どもたちと共に立てこもる自衛隊員。 大盾などという原始的な道具で戦う警察官。 みんな懸命に戦っています。 この作者さんの描くキャラクターも本当に魅力的で、ほんのりした恋模様もすてきです。 | ||||
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知人に紹介されて読んだのですが、予想以上の大当たりでした。このほかの作品もすべて読んだのですが、この『海の底』が一番好きです。 普通こういうSFものは作品に入り込むのに時間がかかりますが、これには一切必要ありませんでした(舞台が日本だと言うこともあるのでしょうか)。有川さんらしいスピーディーな物語の運びで厚さの割りにあっさりと読めました。 有川さんの作品に出てくるキャラはみんなとても魅力的です。夏木さんなんかは、実際にいたら言いな、と思う人ナンバー1です(ちなみにナンバー2は『図書館〜』の堂上)。 とってもすばらしい作品です! | ||||
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「巨大エビ来襲!」と、トンデモ系のストーリーですが、 それを受け入れられる人にはたまらない面白さ!! 展開が早いし、ムダがなくテンポ良く進むので、 この分量のわりにあっという間に読めてしまいます。 著者の有川浩さんは、お名前からして男性と勘違いしていたのですが、 女性だったんですね(@_@;) でもそれを知って納得。 女の私がここまでこの本にのめり込めたのは、 ベタだけど女性が好みそうな恋愛の描き方にもあるんです。 そして人物の描き方のうまさ! 中心人物も脇役もいわゆる悪役も生き生きと個性的に描かれていて誰もが魅力的。 SFともパニックものとも言い難い作品。 ありえない設定だけど、読まず嫌いでパスしちゃうにはもったいない傑作です☆ | ||||
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有川さんの名前は「図書館戦争」で知りました。 なんでもっと早く気づかなかったのかなー。 どの作品も、ほんと面白いです。 夏木さん、かっこいい。「図書館戦争」の堂上教官に似てるのですが、こちらは主役なので、心理描写も多いし。望じゃないけど、好きです。こういうタイプ。 横須賀を救うために。子供たちを守るために。陸と潜水艦の中は別々に話が進んでいきます。 有川さんの書くキャラは、なんでどの人もこんなに強いのかな。 何でこんなにカッコいいのかな。 悩みながら、苦しみながら、それでも、助けようと。 ありえない設定の中にリアリティも隠れていて、素直に作品の中に溶け込めます。 そして! なんと言ってもラストの終わり方は最高でした。 「えー、まさかとは思うけど、ここで終わっちゃうの?!」ってやきもきしてたけど、さすがは有川さん。 すてきなラストです。 いろいろ想像できるところがいいですね。 消化不良にならずに終われますよー。 長期間を描いた「図書館戦争シリーズ」に比べ、「海の底」は短い時間を丹念に描いています。 だから、「さっさか展開速いのが好き」って人は、「図書館戦争」のほうがお勧めかな? いえ、でも、有川さんの本はホント、だれでも楽しめますよ。 おもしろさは抜群です。 ぜひ、ご一読を。 | ||||
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本の詳しい内容については、他の方々が書いてあるのを読んでみてください。 私はそこまで丁寧に詳しくかけないので、、、書きたいことは一つ。 内容はザリガニとか自衛隊のことなんですが、その中にある恋物語にやられました。 どうしてこんなにも甘くて、甘くて、甘い恋が書けるのでしょうか(笑 作者の有川さんが女性だということもあり、心理描写がとても素晴らしいです。 こんな恋は現実に絶対有りえないなぁ。。っていう感じもするのですが、それがまた読者を引き込んでしまうのかもしれません。 有川さんもあとがきで書いてあったのですが、ほんとにベタな展開です。 ベタすぎて、私はやられてしまいました。(笑 戦争(?)的な内容と共にこのような恋物語も楽しめる一作ではないでしょうか。 | ||||
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この作者の作品はほぼ全部読んだが、なかでも一番の傑作だと思う。 良いところはすでに他のレビュアーが上げているのでツッコミどころを・・・。 1.烏丸警視正 設定では30代半ばの警視正と言うことだが・・・。県警本部長の発言を一笑に付す・・・とか県警備部長とため口をきくとかあり得ないんですけど。県警本部長は警視監または警視長の役職で警視正より確実に1〜2階級上の役職。県警備部長でも警視正(警視のこともあるが、神奈川県警、警備部の重要性から言ってまず普通は警視正)。年齢から言って先任なのは間違いない。命令権すら普通は30代の警視正にはないだろう。いくら七光りがあるにせよ、上司の立場もあるからため口はないぞ、ため口は・・・。作者の得意な自衛隊もので言えば、三佐が年上の一佐をあごでこき使うようなものである。せめて40代半ばの警視長にすべきだった。それならとてつもなく出世が早ければあるかも知れない。 2.レガリスの餌とサイズ 推定数万体の食欲旺盛なレガリスたちは横須賀に上陸するまでどうやって餌を?あのサイズに大きくなるなら上陸までに東京湾近辺に深刻な漁業被害が生まれたと思うんだが・・・。なお、確かに甲殻類は際限なく大きくなるが、タラバガニですらあのサイズになるまでには10年以上かかる。3m以上になるためには・・・。まして世代交代が速い(つまり寿命が短い)種があのサイズになることはあり得ない。 と言うツッコミどころはあるにせよ、それらを超えて面白いのがこの作品。絶対あり得ない設定をあり得そうに書くのが作者の真骨頂だろう。また、女性ならではの心理描写は見事。 | ||||
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物語の舞台となるのは、横須賀、海自の潜水艦内である。 だが、敵との戦闘を強いられるのは、自衛隊ではない。機動隊である。 実際的な戦闘からは切り離された潜水艦の内側では、そこに避難した自衛官二人と子ども達の物語がある。女性ならではの視線で描かれる課題や、地域や教育の問題など、それぞれが自らの問題と向き合い、成長していく。 登場人物も多く、いろんな要素を盛り込みながらも、散漫にならずに、最後までぐいぐいと引っ張る力を持つ。 たった6日間の物語とは思えないほど、いや、だからこその、濃密さ。 設定の奇抜さを忘れるほど、個人の描写、社会の描写が巧みでリアル。政府やメディア、世論への批判的な作者の眼差しも、好感を持つ。また、脇の人物の一人一人まで惚れ込みたくなるほど魅力的なところもよい。 ラストは、重苦しく深い海の底から、ようやく水面に出ることができたかのような、希望と平和な日常にほっとする。 中学生ぐらいから、大人まで、それぞれの目線で楽しみ、考える本だと思う。 じっくりと何度でも読み返したくなる、読み返すに足る小説。読み応えのある、読書の楽しみを再確認する一冊。一推し! | ||||
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横須賀に上陸した、人喰いの巨大甲殻類。 その甲殻類に囲まれて、逃げ場を失った潜水艦。その中に取り残された子どもたちと、幹部候補生ではあるものの、二十代前半の若い自衛隊員二人。 命がけで甲殻類の侵攻を食い止める機動隊。 これだけ揃っていて、面白くないわけがない。 横須賀に巨大甲殻類が現れてから6日間の出来事を、警察関係者の側と、潜水艦に取り残された側から見て書いている。 この作品の見所は、そうした危機的状況にいる登場人物たちの心理と、それを描写する有川さんの力。バトルものを期待している人には少々物足りないかもしれないけれど、警察と自衛隊の駆け引き、子どもたちの関係など、とてもリアルです。 | ||||
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横須賀の巨大な甲殻類の群れが上陸。混乱する市街で機動隊は甲殻類を押し留めるために奮闘するものの一進一退の状況が続く。状況打破を狙い、警察官僚の烏丸と、現場指揮官の明石は奮闘する。一方、混乱の中で孤立した潜水艦『きりしお』の中には、不良隊員といわれる夏木と冬原、そして子どもたちが取り残される…。 知的生命体と少年の交流と、危機的状況が絡み合った『空の中』とは違って今度の敵は交流を持たない甲殻類の襲来という危機的状況の物語。 「機動隊」では到底推し返せないと判断した明石と烏丸が、煮え切らない官邸を動かすために仕掛ける虚虚実実の駆け引き。潜水艦に取り残された二人の自衛隊員と少年たちのやりとり。少年たちの間には、少年たちなりの序列、派閥ができあがっている。それが自衛隊員の二人とのやりとりで変化が生じて行く。 巨大な甲殻類が襲来してくる、という設定は確かに荒唐無稽。しかしながら、そこで繰り広げられる警察、防衛庁の縄張り争いなんていうものは日本の危機管理であるとかを考えさせられるし、また、潜水艦に取り残された少年たち、そして、夏木、冬原の成長物語、として考えても面白い。 全体を通して考えれば決して派手な場面展開があるわけではないのだけれども、その分、じっくりと心理描写だとかが生きていて存分に楽しめた。設定で躊躇しないで読んでみて頂きたい。 | ||||
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