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(短編集)
やさしい死神
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やさしい死神の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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落語が題材になっているミステリというモノが1ジャンルをなしている。 落語好きにはたまらない小説で、つまりぼくはこのジャンルの小説を発見すると作者が誰であろうと読んでしまう。 そしてがっかりしたことは一度もない。 この本もそう、満足した。 たまに知らない落語の話が出てくると、今度はその元ネタを調べたり、そしてまたその元ネタの出来の良さに感心したりと至れ利尽くせるなのだ。 本書で紹介される落語の元ネタは、口入れ屋、死に神、桜鯛、宿屋の仇、芝浜、三枚起請、つる、花見の仇討ち、子は鎹(かすがい)、富久、試し酒、愛宕山、不動坊、品川心中、宿屋の富、親子酒。 この中では、芝浜と宿屋の仇、親子酒がお気に入り。まあこれはこの本のレビューとは無関係だが。 | ||||
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落語を素材にしたミステリシリーズだが、噺家を主人公に据えず、落語雑誌の編集者を探偵役に配しているせいか落語そのものへの踏みこみがワンクッション置いた感じで物足りない。探偵役の牧と間宮のキャラクターはなんだか記号的で親近感がわきにくく、何より彼らの会話が「物語を進行させるための説明」に終始していてリズムに乗れないことおびただしい。ミステリは謎解きを堪能するものなのだから人物造型はそんなに重要ではないという考え方もあるらしいが、登場人物に感情移入できなきゃ真相解明の過程を読んでいてもノれないし、ノれなければ最後に解決をみても「そうだったのかぁ!」というカタルシスがない。短編の場合は枚数の制約などもあるのだろうが、ミステリにおいても人物の書きこみは大事だと思う。 そもそも、ミステリとしても人情噺としてもそこそこの出来、というのが辛い。「子別れ」をモチーフにした「幻の婚礼」は明らかに視点の設定に難がある。これは傍観者の視点で語ると焦点がぼやけてしまう話だ。同じ素材を扱った田中啓文の作品(「笑酔亭梅寿謎解噺」所収)がこの点を見事にキめて、謎を解きつつくっきりと二つの〈親子の別離と和解(再会)〉を印象づけているのに比べると、「親」でも「子」でもない第三者の間宮が謎をたどっていく過程は冗漫で、どうしても見劣りしてしまう。 「紙切り騒動」に至っては、読みはじめてすぐにラストがわかってしまって興醒めした。この一篇は、落語好きであればある人物のネーミングだけでサゲが見えてしまうもので、もちろん作者もそれを見越しているわけだが、でもそれじゃミステリとしちゃどうなのよ? と。ネタが割れていても、謎解きのプロセスを面白く読ませてくれるのならこんなこと言わないんですけどね。 | ||||
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