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警官の血
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警官の血の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全101件 81~100 5/6ページ
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三代にわたる、警察官の問う真の正義とはなにか....を描いた作品です。上下巻別れた作品ですが、まず2巻とも揃えて読まれることをお薦めします。上巻>過激派のスパイとして着任した二代目民雄の全共闘時代の描写が若干くどく、ところどころ飛ばし読みになってしまいましたが、ここは物語の大勢にあまり影響ないのでそれはそれでよいかと思います。上巻でのエピソードが十分な伏線となって下巻では物語の勢いとキレが段違いにUPします。祖父、父の時代に抱えた事件性はきちっとした解決という形には至らずに終わりますからミステリーと呼ぶよりはむしろ「警官」という職業に生きる男たちの特殊な心情を丁寧に描いた心理小説。どちらかといえば悲愴な生き様だった祖父、父の無念をはらすかのような三代目、和也のクールでタフな勇姿は爽快で読んでよかったなぁとしみじみ思わせます。 | ||||
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祖父→父→息子と3代にわたる警察官の話。昨年度の「このミス」1位に選ばれた作品だけれどミステリー感はそんなになく。たぶん犯人は、誰もがなんとなく想像がつく。でも、その時々の時代背景がとっても詳しく丁寧に書かれていてぐいぐいと作品に引き込まれていく感じ。同じ警官でも、時代によってここまで違ってくるのか、と驚かされる。三代目の話は、少し物足りない感があったけれど最後はちゃんと解決してくれたのですっきり。でも、二代目は切なすぎたなぁ…。もう少し報われてもよかったんじゃないかな、と思ったのは私だけ?盛り上がり感には欠けるけれど全体的にすごくよくまとまっていて実際の事件も絡んでいて臨場感も伝わるのでとても読みやすかった。こういうのって映像化されたら面白いんじゃないのかなぁ? | ||||
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安城清二は戦後の大量採用時に警官となり,天王寺駐在所の制服警官となった。昭和28年に鉄道員殺害事件がおこり,5年前上野に勤務していたときに発生した男娼:ミドリの殺人事件との関連性を疑いはじめる。しかし,駐在所に隣接する五重の塔が火災となった際に不慮の事故により命を落とすことになる。その警官の血は息子:民雄,孫:和也へと脈々と受け継がれていく・・・戦後の混迷機から現代までを舞台に親,子そして孫三代の警察官の人生を綴った物語である。上下巻ながら展開が早く,あっという間に読める物語であった。時代の移り変わりが,住居・事件・病名・警察組織などあらゆる場面にちりばめられていて,それも一つの勉強になった本であった。上記にある二つの事件に関わる謎を中心に,それぞれの代の警察官における時代の葛藤がとても重く感じられた。同作家の『制服捜査』と同様に大変心に残る物語であった。 | ||||
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ダイナミックな仕掛けはない。登場人物は凡庸で、末路はなかなかに痛々しい。それにも関わらず人生の機微と時代がきちんと描かれて郷愁を誘う。何というか、読んでいる時間が実に楽しかった。 | ||||
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もともと著者のファンでしたので、即購入し、読むべきタイミングを考えていました。二冊分冊だから、休みの前日で翌日予定のない日と決め、先週やっと・・警察署長と似た話かなと思っていましたが、良い意味で裏切られました。ただ他の方も書いていましたが、ラスト近くが少し結末を急ぎすぎた?そんな印象を受けました。もう少し分量が多くてもよいのになという印象です。 | ||||
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上下巻に渡る佐々木氏の大作「警官の血」であるが、上巻がしっかりとした伏線を引いているので、下巻がしっかりと重厚なドラマとして生きてくる。 欲をいえば、さらにストーリーを先に膨らましてほしかったということである。祖父・父と完結したものだったので、子も同じように最後まで描いてほしかった。佐々木氏が続巻を考えているのなら、かなり期待します。 | ||||
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ひとことで言うなら「読み応えがある」。「このミステリーがすごい!」で一位にランクされた作品だが、いわゆるミステリーのような謎解きの物語ではない。三代にわたる警官一家の生涯を描いていて、その中に秘められた謎というのはあるが、恐らく多くの人は、上巻のかなり早い段階で犯人を推測できるはず。それでも、戦後の東京を見事に描く一代目をはじめ、それぞれの主人公が時代背景の中で生き生きと描かれていて、「戦後」や「学生運動」など敬遠したくなるようなテーマにもすんなり入っていける。全体を通じて大事件こそ起きないけれど、それぞれに描かれるエピソードもおもしろくて親子や夫婦の関係、組織の中での人間関係などリアリティがあり、共感できる部分も多い。「正義とは?」という重いテーマも作品の奥深くに隠されていて、何か声高に訴えるわけではないけれど、心に残る。 | ||||
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各所で評判だったので、読む事にしたものの、題名からも、作家からも地味で重い雰囲気が出ててるわ、上下巻だわ、読むの辛そうだな・・・と思いながら読み始めたところ、おもしろい!話は地味で、エンターテイメントしてるところはないし、親子3代に引きずる事件にしてもすぐ、察しはついちゃうので、推理小説として読む本ではないけれどいわゆる警察小説として、ものすごく面白い。駐在として、毅然と正しい清二。清二を尊敬して、警察官になった民雄。心が壊れ母に暴力を振るう父に反発しながらも父と同じ道に進む和也。警察では、親の後を継いで、息子も警察になることを、「親が正しい姿を息子に見せた」として、歓迎されていて、期待もされる。警察官の仲間意識の有様の変化も清二の時代では、清二の死後、清二の一家に不自由がないように家計も支えた同期との連帯に対し3代目の和也は、先輩刑事を密偵する側に。すごく地味な話だけれど、上下巻のなかに、無駄なエピソードがまったくなく人物の書き方も、逆に、大袈裟な部分がないので、入り込みやすい。長さも全然感じられない。他のレビューでは、3代目の和也の章は、希薄とあって、なるほど確かにそうかも。でも、3章が希薄なわけではなくて、「現代が希薄」なんじゃないかなと。すごく良い小説なので、ラストに和也が、あんな風になってしまったことが残念です。 | ||||
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戦後日本警察の黎明期が、歴史小説のように力強く描かれている。そして父の謎の死を契機に、警官をめざす民雄。多くの父が正しく強かった時代の、清貧ながら美しい姿がしっかりと目に浮かぶ。 一転して舞台は大学紛争の潜入捜査へ。武力闘争を現実化しようとする赤軍派へ、民雄は公安警察のスパイとして渦中にとびこみ、神経をすりへらす。警察官二代の大河小説のような趣の上巻。父の死の謎は下巻へ。 | ||||
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週末、馴染みの店のマスターがしきりに賞賛するので、上巻のみを借りた。ところが、前夜の酒が残ったおそい土曜日の午前、ふと読み始めたら、もう止まらない。(未読の方は、必ず上下一緒に買われることをお薦めします)終戦直後の東京下町から幕が開く、ある平凡な警察官親子の物語。しかし、「平凡さ」とともに、時代の相貌を見事に織り込みながら(ときに臭覚にも訴えつつ)展開される確固たる筆力は、ほんとうに唖然とするくらい上手い。もう、最初の10数頁でぐいぐい惹きつけられてしまった。土曜深夜に上巻を読了する“危険性”を回避するため、夕暮れ時に下巻を買いに行くことになったが、寒気を凌ぐ、物語に籠められた熱さが体を貫いていく。結局、土日全部と月曜の朝までほぼぶっ通しで、2冊を読み切ってしまった。上巻は、応召体験のある清二と、その子民雄が主人公。民雄は昭和40年代の学生運動最盛期に成人する。下巻は、民雄と、その子和也が主人公。時代は昭和から平成へと移り、犯罪者の質的変化、警察機構の軋みなどが、存分に盛り込まれてゆく。もし、ミステリーとして評価されたのなら、それはそれでいい。しかし、犯人捜しだけに限ったら、大抵の読者は途中で、「誰か」に(或いは「なぜ」にも)気づくはず。だからといって、この作品が二流な訳では、決してない。むしろ自分は、この上下2冊を、戦後日本人が備えていた「種」が、半世紀をかけてじりじりと変容し、脆弱になりながらも、継承し続けた遺伝子の尊さ、…その軌跡を描いた博物誌、として読んだ。傑作。 | ||||
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下巻の内容は警察官2代目の民雄が程なく天王寺駐在所勤めになるところから始まり、いよいよ父の死の真相についての調査に着手。ここでのストーリーも特に大きな事件はなく、管轄内のアパートにすむ暴力亭主の案件がメイン。その亭主が何者かに殺されるところから急展開で最後は殉職。続いて三代目の和也の話。和也は大卒で警官となるが、警察大学校卒業後、意外な配置につく。そしてそこですべての謎が解き明かされて・・・というストーリー。本当に面白くて下巻も二日で読み終わりました。昭和23年から平成19年までを駆け足で一気に描き、最後の終わり方はちょっとアテが外れた感がなくもないんですが、とにかく買って損はないと思います。おそらく一度読んだ後に読み返すと、見逃してた伏線が色々でてきそう・・・。 | ||||
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内容がとても濃い作品です。警察官としての三世代の物語に終わらず、日本の社会、犯罪の歴史を交え、個人と組織の葛藤、そして祖父、父親死亡の謎、ラストの爽快感、一気読みの充実度120%。字数は、あまり多くないが、場面展開、人物造詣、登場人物の心理等、思わず何度も、「旨いなぁー」と唸らせる文章、とてもレベルが高いと思います。読んでいて、近年、ここまで自分の感情を作品に注入できた小説はなかったです。最高レベルの作品です。 | ||||
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受賞作として書店で取り上げていたので読んでみましたが、上巻ではなかなか物語が目だった動きがありません。4分の3くらいまで読みましたが、正直退屈になってきてしまいました。直前まで「作家新人賞の取り方」の様な本を読んでいて、その本では「とにかく冒頭で飽きさせるな!」というようなことを書いてあって(もちろんこれは新人賞選考が冒頭でまず判断するせいなので、プロには当てはまりませんが)、その事が頭にあったせいか、非常に冗長に感じました。似たようなシーンが多いと言うか・・・。下巻を読めば面白いのかもしれませんが、買うか分からないです。あと自分はこの当時の空気を知らない人間のせいかな、とも思います。 | ||||
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親子孫三世代に亘る物語。親子の物語が読み応え十分だっただけに、孫の物語の希薄さが際立ち、結果として物語全体が不完全燃焼だったとの読後感が残った。 | ||||
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佐々木譲さんの作品を読むのは初めてでしたが、いっきに読んでしまいました。 三代の物語ということでそれぞれの時代背景といっしょに物語が進んでいって ひきこまれていきました。直木賞の候補にもなったということで、容疑者Xの献身 のように直木賞も取って欲しいです | ||||
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小説全体の感想としては、難解な表現や凝った設定とかはなく、ただ淡々と昭和23年からの時代背景を簡単に踏まえつつ、主人公が関わったいくつかの事件を描いている。途中、伏線らしき事件もあり、おそらく下巻で回収されると思うが、とりあえず上巻は一気に読めてしまった。内容としては、昭和23年に主人公の安城清二が警官になるところから始まり、いくつかの事件を解決した後に、天王寺五重塔の延焼事件の最中に殉職。続いて清二の息子、民雄が清二の同僚たちに支援してもらいながら成長し、自身も警官を目指す。そして北大のブントに潜入捜査、結婚、挫折を得て、ようやく念願の駐在所勤務の光明が見えたところで上巻は終了。 | ||||
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2007年のミステリーNO.1って事で読んでみる。 物語は戦後から始まる。そして親子3代に渡る警官人生が描かれている。佐々木譲さんの本を読むのは初めてだったが、その時代の知り得ない世相の描写に読み応えあり、思わず引き込まれた。欲を言えば、最後の方は走ってしまった感が拭えない。もうちょっとじっくり描いても良かったのでは?と思う。 | ||||
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他の方が書かれているとおり、本書のテーマとしては警官として本来望まれている高い倫理性と、それでは対応できない現実との葛藤であると思います。また、その事情について良く描いていたと思います。 しかし、本書の結末はあれで良かったのか、と思ってしまいます。例えば横山秀夫の物語のように、いかに現実が腐敗していようと根底にある警官としての矜持は持ち続ける、といったような希望が持てるような物であったほうが読後感は良かったと思います。 | ||||
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佐々木譲の作品に初めて触れたのは「鉄騎兵、跳んだ」だった。若い新人の熱い情熱に惚れ込んだのを覚えているが、その後年月をへて、作品に渋みと深みが加わってきた。「ベルリン飛行指令」、「エトロフ発緊急電」あたりからはこのまま世界を舞台にした大型の冒険小説を手がけていくのかなと思っていたが、近年警察小説で佳品を生み出すようになった。「警官の血」はその集大成とも言える作品である。重みのある作品であるが、決して難解なものでないのは、何より人間が描けているからだろう。警察官も、もちろん人間である。その人間の生き様が描かれていることにこの作品の価値がある。これは警察官としての「人間の物語」である。 | ||||
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三代続いた警官の家系。祖父も、父も、制服を着たままその生涯を終え。息子は祖父と父の生涯から、警官として生き抜く術を憶えた。法権力の執行者たる警官として、完璧な市民であり、品行方正・清廉潔白であるべき建前と。その建前が通用しない、現実と。駐在所勤めの、警邏警官として。あるいは、潜入捜査官として。その建前と現実に、折り合いをつけて生きていくことの難しさ。佐々木譲の本を読むのは初めてだが。詳細な描写、というよりも、画素数の少ないモノクロの映画を思わせる、語り口。伝えたいメッセージは、ダイレクトに伝わってくる。陳腐な表現だが、骨太な小説。 | ||||
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