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廃院のミカエル
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廃院のミカエルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.84pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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とても楽しく読みました。読んでる時間が、小説の中に引き込まれる感じで相変わらず楽しかったです。が、一般論で言うと、この本の評価に出ているようにとても楽しめたという人と全然楽しめなかったという人と分かれるのは仕方ないかなぁ、とも思いました、ギリシャが舞台という時点で。でも、この方の本が好き人には楽しめるかな。この方の南アジアが舞台の一連の本とも根底で共通するところがいろいろとあった気がします。この方の世の中や宗教や世界観や、ちょっと一歩ひいてじっくり観察している姿勢がとても好感持てます。 | ||||
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篠田作品は皆読んで来たが、最近5作品は未だだった。というのは文庫化されてないからだ。安く、場所をとらずということで、飽和状態の我家対策でもある。解説が付くのも有難い。その解説によるとかなり後半加筆され面白くなったとか。他の「銀婚式」「ブラックボックス」「ミストレス」などの文庫化が待たれる。 「インコは戻ってきたか」はギリシャとトルコが島を分かち、未だに争っているキプロス島で、日本人が巻き込まれる話だが、これはギリシャの北部アトス山中に多くある修道院が舞台で、例の如くサスペンスに展開するが、一応納得のいく結末だ。主人公の美貴は篠田作品によく登場する元気一杯の女性だが、この地独特の蜂蜜に魅せられ、世に出さんと目論む。これに修道院の壁画の修復者である吉園、現地で結婚した綾子の3人が絡みあって物語りは展開する。 修道院といえば、私は北海道のトラピスチヌ修道院を訪れたことがある。観光化され修道女達の作品も売られていた。彼女達とは隔てられており、それが逆に厳しい信仰生活を想像させ、家内等は私以上の感銘を受けていたようだ。例によって丁寧な取材によって書かれた作品であろう。主人公の目的からは、多少物足りない感がしたが、充分楽しめた。 | ||||
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ギリシャもの。 小説すばるに2008/10から2009/8に連載したもの。 平安女学院 横川典古「ヘシュカズムとその美術についての覚書」「キリスト変容図とヘシュカズムの思想」の2論文を参考にしたとのこと。 蜂蜜と芸術を求めて彷徨う。 宗教と病気とが交錯する。 ギリシャに興味がないと面白くないかも。 | ||||
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小説すばる連載の篠田節子の長編小説である『廃院のミカエル』は、『死都』に続いてギリシア・宗教を題材にしている。『死都』では、音楽が題材であったが、今回は絵画だ。『贋作師』、『神鳥』と同様に、廃院の入り口に漆喰によって塗り込められた宗教絵画が物語り上、重要な役割を果たしている。また、もう一枚の絵、タイトルにもなった大天使ミカエル像は対悪魔戦争の表象である。 それぞれの目的を持ってギリシア・アルバニア国境の小さな村を訪れる日本人3人が、怪奇な現象に見舞われる。この村の廃院を舞台に起こる宗教的な幻覚・異変の描写はサイコ・ホラーを得意とする篠田の独壇場だ。アイヌ宗教と和人宗教の精神的確執を幻想世界上で活き活きと描いた『聖域』以来の迫真性だ。 この小説でも、科学的現実解析と精神世界の表像をパラレルに描いており、事実性をどちらかに限定し他方を否定するという方法をとっていない。例えれば、「ゆうれい」と「柳の枝」をどちらも真実性を持って描き込むところが篠田作品の魅力だ。われわれの前に現出する世界は、実は多義的であり、多様な解釈が可能である。またこのアンビバレンスを抱え込むことが人間と計算機の違いである。科学と宗教の両者が共に価値を持つこの小説は、現代社会の縮図でもある。 ただし、科学的現実解析ではやや勇み足が見受けられた。篠田は、クリプトコッカス・ガッティによる感染症に着目したと思われるが、同じ真菌でもクリプトコッカスは酵母様真菌であり主に出芽によって増殖し、黒カビなど多細胞の糸状菌類のように胞子嚢や菌糸を形成しない。また、クリプトコッカスは鳥類の体内では増殖しない。ウイルス感染と異なり、真菌による感染症は人から人に伝染しないことも付記しておく。 | ||||
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私は篠田節子の宗教的なテーマを持つホラーを高く評価している。聖域や神鳥などはその白眉である。ただ、これらの作品はあまりに深刻で、万人向けのものとは言えない。 篠田節子はまた、女たちのジハードのような、社会的に追い込まれた女性の逆襲劇においても良い作品を残している。 廃院のミカエルは得意な2つのジャンルを合わせた、ホラーを背景にした人生のやり直し物語である。どちらか一方を求める人から見ると物足りないかもしれないが、十分に楽しめた。 | ||||
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私は篠田節子の宗教的なテーマを持つホラーを高く評価している。聖域や神鳥などはその白眉である。ただ、これらの作品はあまりに深刻で、万人向けのものとは言えない。 篠田節子はまた、女たちのジハードのような、社会的に追い込まれた女性の逆襲劇においても良い作品を残している。 廃院のミカエルは得意な2つのジャンルを合わせた、ホラーを背景にした人生のやり直し物語である。どちらか一方を求める人から見ると物足りないかもしれないが、十分に楽しめた。 | ||||
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<あらすじ>幻の蜂蜜を求めてギリシアの山奥へ向かった美貴たちは、不気味な廃院に迷い込む。その直後から、美貴たちやその周囲にまで、怪異な事件が度重なってしまう。現地の人間は悪魔の仕業だと言うが、果たして本当に悪魔の仕業なのか。かつて廃院に何が起こったのか。美貴たちは真相に迫っていく。 前半から中盤にかけての、廃村や廃院の描写が生々しく、実に不気味で恐ろしかった。 この筆力はさすがの一言。 「神鳥(イビス)」のようなホラーものなのか、サスペンスものなのかラストまでわからず、一気に読み進んだ。 ラストは作者ならではの重厚なテーマが横たわっており、深い読後感に浸れるとともに、登場人物たちの過去や、それぞれの弱さと強さに胸を打たれた。 やはりこの方は、宗教ものを書かせたら天下一品ですね。 | ||||
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<あらすじ>幻の蜂蜜を求めてギリシアの山奥へ向かった美貴たちは、不気味な廃院に迷い込む。その直後から、美貴たちやその周囲にまで、怪異な事件が度重なってしまう。現地の人間は悪魔の仕業だと言うが、果たして本当に悪魔の仕業なのか。かつて廃院に何が起こったのか。美貴たちは真相に迫っていく。前半から中盤にかけての、廃村や廃院の描写が生々しく、実に不気味で恐ろしかった。この筆力はさすがの一言。「神鳥(イビス)」のようなホラーものなのか、サスペンスものなのかラストまでわからず、一気に読み進んだ。ラストは作者ならではの重厚なテーマが横たわっており、深い読後感に浸れるとともに、登場人物たちの過去や、それぞれの弱さと強さに胸を打たれた。やはりこの方は、宗教ものを書かせたら天下一品ですね。 | ||||
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