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リヴィエラを撃て
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リヴィエラを撃ての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.16pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全29件 1~20 1/2ページ
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諜報物で名高いジョン・ル・カレを好む、と公言されていた筆者の渾身の一筆、だと思います。 この作品で一時期、筆者は「和製 ジョン・ル・カレ」の名を欲しいままにしていました。 海外の作品には名作と呼ばれる諜報物ミステリーは数多ありましたが、国内ではこの作品が一番好みです。 尻すぼみの感は抱くのは残念ですが、始まりから引き込まれるその描写と文体には痺れた憶えがあり、数十年前に読んだ記憶が今も鮮明に残っています。 近年の高村薫さんは読みませんが、高名な「マークスの山」「照柿」「レディ・ジョーカー」…へと続く合田シリーズよりも、私はこちらの作品がベストという印象を持ちます。 | ||||
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最初の方は状況がよく分からず、ボケーと読み進めていたが、まだ70ページの段階で「え?え?」となり、すでに何度もそれまでのページを読み返す。伏線との繋がりに思わず鳥肌がたってしまった。 だいたいこの手の小説は、書きやすいのか刑事が主役で刑事目線なのだが、テロリスト目線の小説は初めてかもしれない。 下巻に入って急に加速するが、それまでのリアル体験(Googleマップを見ながら、その路地を走っている姿が想像できる)が少し雑になってしまうのがちょっと残念だった。 しかし、隅から隅まで余すところなく連携していく伏線とその回収が驚きの連続。最後の最後にはほぼすべての謎が解けるのだが、個人的に唯一腹落ちしていないのは「ボートの名前」。ネタバレになるので詳述しないが、他の読者の方で理由がわかった方がおられたらお教えいただきたい。 なおこの本は、見城社長が紹介されていたので出会えました。見城社長にも感謝です。 | ||||
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面白い | ||||
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巧みな導入部、若き異邦人の死、遠い国からメッセンジャーの来訪、リアルで過不足の無い正確な状況描写、物語に自然に引き込まれて行きました。 醜く強欲な、美しくも儚い、人間ドラマの、息もつかせぬ展開が繰り広げられます。 私にとっては、最高のスパイ小説です。 映画化されたら、大変嬉しい。 | ||||
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何年前だろう、私がこの本を読んだのは。最近、面白いと思える架空(やや現実)の小説に巡り合わず、それならばともう一度読み始めた本書です。9割以上忘れている自分にも呆れましたが、その当時には恐らく感じられていなかったという自分の分も分かった感じで、忘れていても当然かも知れないと今は思い到っています。 それはこの本が出来た25年前から今までの間の体験と、そこで見聞きした事がこの本と少し似ているからでした。テロ事件が世界で数々起こっているのは周知の事実ですが、それ以上にロンドン、ベイカー・ストリートのバス爆破テロの調度1年後にロンドンにいる事になった私の事情が今この本をよりリアルにしています。英国の入国審査には2時間掛かるという物々しさでした。 そしてその理由も分かりそうな事案が数ヶ月後に起こります。ヒースロー空港爆破テロです。伝えられる所では決行のほぼ1日前に首謀者、援助者計28人が一斉逮捕という事で未然に防げた出来事でその瞬間に私がロンドンにいたという現実でした。多国籍で老若男女、ほぼ赤ん坊まで使った犯人達の策略の阻止は、前年のテロを防げなかった英国機関の面目躍如として報道されました。が、実際28人が一斉に捕まるというその僥倖は日本とは違う情報合戦の帰結だろうと思われ、007みたいな話はお話ではなく…。そんな体験が私にこの本を新しい本の様に読ませるのだと思います。 皆さんにも「前に読んだ本」を何十年ぶりかで読んでみる事は決して人生の時間の無駄使いではないかも知れないと推薦してみたいです。自分の変化もあぶり出しそうです。まずはこの高村作品から。 | ||||
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スケールの壮大なスパイ小説。 ストーリーは風呂敷を広げすぎた感じが否めませんが、 硬筆な描写、豊かなキャラクター造形、感情移入したくなる主人公等々、私は好きな小説です。 特に、ジャックは大好きです。 発刊当時、日本女性でここまでのスパイ小説が書ける作家が出てきたんだなぁという感慨がありました。 高村さんは、職業作家になる前に小説舞台のひとつベルファストの地へ行ったことがあると聞きました。 乾いた文章と魅力的な人物造形、高村作品の原点がここにあると、個人的に思っています。 | ||||
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この作家さんの古い作品ですが、よくできています。まるで外国の作家さんが書いた翻訳物みたいな感じでした。 | ||||
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過去から連綿と絡み合う複雑な物語を歴史絵巻のように 紐解いてゆきます。 そして、幾多の死線を潜り抜けてきた人物が、冒頭にあまり にもあっさりと殺されてしまう、救いようのない事実に愕然と します。 極めて硬質な文章、登場人物の大半が外国人、様々な組織 が入り乱れる緻密なプロット、かなり読み難い作品ですが、 読破した時のカタルシスは格別です。 | ||||
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壮大なドラマが、くりひろげられる。著者の小説は、読むほうも、話しの中に、感情移入するのに、体力と、すこし時間がかかる、しかしそれを、さしひいても、読む価値が、高村薫の作品には、充実感と、面白さがある。 | ||||
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日本の外交官で中国の反体制投獄されている政治犯1万人のリストをCIAから取り戻してくれた老人がリヴィエラ。彼をめぐって元IRAのテロリスト、中国人で英国貴族夫人となった公安スパイ、CIAなどが戦う話なのだが、流石高村薫で読ませるわけですよ。僕が聞いた話ではリヴィエラのモデルは元中国大使橋本恕。田中角栄が日中国交回復したときの外務省中国課長。存命。中国からは「古い井戸を掘った最重要の人」と言われている。 佐々淳行さんなどは香港暴動が起きた時、東京まで駐香港橋本公使が行き、佐藤総理と直談判して「中国の第五列の扇動です。邦人3千人のためにいざというときは自衛隊の軍艦を出してくれ」とかけあって、佐藤栄作がOKしたという話を文芸春秋でしていた。大した外交官だが、そういう恩義を北京に与えていたのかもしれない。 | ||||
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重厚な作品です。重厚すぎるかも・・・。日本の外交官が主要な位置づけで登場しますが、舞台の基本はイギリス(だっけ?)なんでちょっと感情移入しにくいよ・・・。ただ、でてくる人がみんなかっこいい。ハードボイルドな作品。しかし、高村薫の作品って、全ての問題が登場人物の内面で解決されちゃって、事件は解決しないのよね・・・。 | ||||
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この著者の本を読むのは初めてだったのですが、他の皆さんもお書きになっているようにすごい小説ですね。一文一文がズシリと重く、気軽に読み進めることなど到底できません。アイルランド問題や国際政治についての基礎知識と相応の覚悟を備えた上で挑むことが求められます。それだけに、読み終わったときには清々しい充実感がみなぎります。 著者が女性だということに当初驚かされましたが、すぐに合点がいきました。この人はいい意味での「夢見る夢子ちゃん」なんだと。主要登場人物たちは皆、ルックスがよく、知的で、勇敢で、義理人情に厚い。男性読者からすれば「こんな男いるわけない」となるわけですが、これが女性視点での理想の男性像なのでしょう。著者は、そんな理想のイイ男たちによるハードボイル・サスペンスを、小説という虚構の世界で紡ぎたかったのだと思います。 余談ですが、本書を読むときのBGMにはやはりU2やクランベリーズなどのアイルランド系が相応しいです。ボノやドロレスの哀愁を帯びた叫びが、本書に度々登場するアルスターの風景と絶妙にシンクロします。 | ||||
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高村さんの作品は勢いだけでは読めない。 他の方も書いているけれど、集中して読まないと一文一文に込められた深くて 重い意味を見落としてしまうからだ。 それだけにこの作品も読むのは疲れるけれど、読後感は素晴らしかった。 《国益》という名の下に交わされる数限りない駆け引き。 それは時に裏切りであり、時に騙しあいであり、時に人の命を奪うことですら ある。 その命が《国益》を脅かすとして奪われるものであっても《国益》を守るため に捧げられたものであっても、失われた後は闇から闇へ葬られる。 でもその命の持ち主とはもちろん人間であって、その命の数だけの人生があり、 その命の持ち主の数だけの愛情や友情や郷愁や使命など様々な想いが詰まって いる。 その彼らの生きた証を、ささやかでも誰かが伝えても良いのではないか? それが手島やモナガンの思いだったのではないか? 《国益》とは一体何なのか? 誰のためのものなのか? かけがえのない筈の 命を数え切れないほど奪ってまで守らねばならないものとは何なのか? そんなことを考えさせられた。 今この瞬間にも世界中のどこかで、そして日本のどこかで《国益》のために様々 な駆け引きが行われているのだろうし、もしかしたら《国益》のために誰かの 命が失われているのかも知れない。 日々耳にする殺人事件のニュースの中にも、闇へと葬られる《国益》の為に失 われた命を伝えているものがあるのかも知れない。 | ||||
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書き出しといい、話しの運びといい、日本人作家の作品とは思えませんでした。まるで外国のミステリーを読んでいるよう。物語全体を貫く虚無感も、日本人の感覚とは少し違うような気がします。名前から、てっきり男性作家かと思っていましたが、日本人の女性の作家なのですね。 | ||||
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読み始めは翻訳小説を読んでいるようで多少の違和感がありました。 仕事柄、中国については割りと知識があり、文革、日中国交正常化、香港返還辺りの背景は理解できるのですが、北アイルランド紛争、MI5、MI6、IRA、CIAの関係が良く分からず慣れるまで若干戸惑いが有りました。 発端である1972年から1995年までの物語が記載されています。 壮大な物語であるためか、登場人物も主人公のジャック・モーガン、その恋人のリーアン、ケリー・マッカン、その恋人のサラ・ウォーカー、イギリス人とのハーフ手島修三、リヴィエラ、ノーマン・シンクレア、エードリアン・ヘアフィールド、レディ・アン、キム・バーキン、M・G、ジョージ・モナガンと多彩で、その関係も複雑に入り組んでいます。 「リヴィエラ」と言う陰に翻弄されながらも、世界の裏舞台に命を賭ける男達の執念、友情、愛情が丁寧に書かれています。 リトル・ジャックはどのように育つのかな? 久しぶりに読み終えた後に充実感がありました。 それぞれの時代に自分が何をしていたのか照らしながら読むのも面白いかと思います。 | ||||
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李欧を読んで参ってしまい、手に取りました。 読んで良かったです。どきどきしました。 各国の一部の情報部員が知っている裏事情に、主人公達の運命が絡んでゆくストーリーです。 主人公である元IRAテロリストのジャック・モーガンも、イギリス人の血をひく警視庁勤務の手島修三も、 <リヴィエラ>というコードに包まれた、大きな秘密の一端に触れたところから少しずつ巻き込まれていきます。 近づきすぎれば命の危険があることを知っていながら、 淡々と目的に向かうジャックがとても魅力的でした。 中国、イギリス、アメリカ、日本を中心にそれぞれの政府・情報機関・ 警察・スパイが登場するので、多少混乱しましたが読み応えがあります。 すべてのことの起こりが歴史的事件だったりと、スケールの大きさに圧倒されました。 主人公に関わる登場人物もじっくりと描かれており、 大きな力に翻弄されながら、自分の意志を貫く彼らの人生を感じることができます。 隠蔽するほうも、暴こうとする人々も、<リヴィエラ>事件に関わった皆によって数十年の歴史ができあがっています。 シンクレアのピアノがストーリーの中に華を添えており、 きっと、ブラームスの協奏曲第二番変ロ長調を聴きたくなります。 | ||||
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ひとりのIRA闘士を中心に据え、世界の裏側を描いたスパイ小説である。高村薫の得意とする綿密に計算された構成は、登場人物の豊富さと幾重にも張り巡らされた人のつながりを生み出すことで、その真価を発揮している。とかく男臭くなりがちな諜報戦の中でも、悲恋を挿入するあたりにも著者の如才のなさが伺える。文章に硬質な感じを受けるが、これは話が会話中心でなく心の内面や背景を緻密に描写しているからで、そこに作中人物がおもてに出さない、本音の部分を読み取ることができる。物語は年次ごとにいくつかの章に分けられているが、それぞれに山場がある。そのためか本書を読み終わった後に、物語と同じく何年もこの世界観に浸っていたのではないかという錯角すら覚える。読後は、暗鬱な物語に寂寥感すら覚えるが、前記した理由から壮大な物語を読み終えた達成感も同時に得られる。この作品は、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞をダブル受賞している。 | ||||
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読むのに力の要る作品でした。(気軽には読めません。)文体に触れておくと、外国作品の翻訳のようでして、少々慣れるまで時間がかかってしまったのです。しかし、力強い文章が脈々と続くので、まさか女性の作品とは思いませんでした。「読ませる」文章は素晴らしいですね。作品としては、主人公が前後半でテロリストのジャック、警察官の手島と分かれます。それぞれが「リヴィエラ」というキーワードを巡り、思想・策略などが交錯するのですが・・・手塚治虫作品のように主人公格のキャラがことごとく死んでいったり、「リヴィエラ」があれだったり、重要なキャラの正体が曖昧なままだったり。そういった部分は惜しいと思うのですが、それでも外国の土地に思いを馳せながら、十分に肉厚なストーリーを楽しむことができると思います。重厚な作品をお求めの方に是非。 | ||||
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国際国家、組織などのいろいろな思惑が交錯し渦巻く中、さまざまな人間の血が流れる。コードネーム 《リヴィエラ》 の謎を抱えたまま、物語は突っ走る。複雑な社会背景と人間関係が、緻密な文章で組み立てられていく。「腰をすえてしっかり読まなければ、その複雑な関係が頭の中で混乱してしまう。」そう思いながら読んだ。国家や組織に翻弄される人間の愚かさ、無力さ、悲しさ、そういうものが見事に描かれた、読みごたえのある1冊だった。 | ||||
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ものすごいです・・・。本当に!まさに大作というにふさわしい。ミステリというかエスピオナージュです。情報戦。何が面白いかというとやっぱり、手に汗握る情報戦。錯綜する情報、ドカンドカンと起こる事件、意味の分からないメッセージ、ささいなエピソード、これでもかってほど敷き詰められています。それらの全てがクライマックスに向けて収束されていく様子はまるで砂時計の砂が中心からスーっと落ちていくよう。お見事!としか言いようがない一冊です。こういうことができるから、この方は“女王”と呼ばれるんでしょうね!! | ||||
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