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月と蟹
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月と蟹の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全51件 21~40 2/3ページ
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主な登場人物は三人(少年二人、少女一人)で、それぞれの思惑が交差し、それがとてもノスタルジックで切なく塩っぱい作品です。・・と、とても陳腐な紹介をしてしまいましたが、この物語は全編を通じて陰鬱で少年少女達の嫉妬が絡み合い、それが昇華されないままにエンディングを迎えるので、「あの頃の瑞々しさを再び!」みたいな感じで読みに入ると結構ギャップがあるかもしれません。 少年Aは少女を好きなのか、しかし少女は少年Bを好きなのか、少年Bは少年Aを友達と思っているのか、少年Aは少年Bを哀れみで接しているのか、少年Aの母親と少女の父親の関係は、、 そこには確かにサスペンスが存在し、青春郷愁小説、というわけにはいきそうもないです。。 | ||||
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この作品を読み終えた後に思ったのがその一言でした。 登場人物の心理描写が素晴らしい。ここまで描くかってくらい丁寧に書かれています。 そして、至る所に慎一君の「少年らしさ」が上手く表現されています。 少年ならでは、と言ってもいいですね。 とにかく読んでいて慎一君の次の行動が気になってしょうがない。 私はページを捲る手が止まりませんでした。 おすすめの作品です。 | ||||
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読後感はあまりよくないが、読みごたえが有った。 終わりの100頁ほどにはグイグイ引き込まれ、結局1日で読みきった。 自我がまだ確立されておらず、不安定な年頃にそれぞれのしこりを抱える小5の登場人物たち。半分大人、でもまだ子供の葛藤が苦々しく描かれる。共感はないが、封印したい傷を掘り返すようなじんわりとした重みが残った。 | ||||
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以前も新刊で出版された時に読ませていただいたのですが、 文庫本になったということでもう一度手を伸ばしてみました。 アマゾンでの評価は少々苦いものが多いですが、 今までの道夫さんの小説の中ではこれが一番好きです。 ヤドカリが炙りだされる時のグロテスクな描写や、 主人公、慎一の中に煙のように徐々に広がっていくどす黒い多くの疑惑と思い。 いつものように、彼の作る終始一貫している不気味な雰囲気が逸材であり、 読者の心に独特な不安を残します。 この作品で念願の直木賞も受賞したことですし、 これからも道尾秀介さんの文学が今まで以上に浸透することを願います。 | ||||
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慎一、春也、鳴海の三角関係というか、 お互いの友情というか、 そういうのがとても共感できるところが多くて、 泣きそうになりながら最後まで読みました。 慎一の心のもやもやはわかるなぁ。 | ||||
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こどもの頃は自分の周りの小さな世界で一生懸命生きていて、 でもそれが小さいとは知らないし、 成長してから考えたら残酷なことも無邪気にしてしまうことがある。 それを導いて育てていくのが“おとな”の役割なのだろうけど、 それが果されていないから色々な問題が起こる。 “こども”と“おとな”の境界が入り混じってきて、 関係性が変わっているからか。 時代設定は少し前のようなのに、 現代的な問題について考えさせられるような。 大人になるのは難しいですね。 | ||||
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道尾作品は「ラットマン」ではまり、「カラスの親指」で完全にファンになりました。 そしてこの「月と蟹」を読みました。上記2作品のような大どんでん返しはありませんが中盤〜後半のおどろおどろしい感じは好きでした。 友情、愛情、嫉妬、家族愛、裏切り、罪悪、秘密、登場人物が皆なにかしら悩みを抱えながら物語は進んでいきます。 読んでる最中は主人公の母親に対して苛立ちしか覚えませんでしたが、最後のシーンではこの母親も苦しんでいたのだと同情しました。 子供のときの感情(純粋さ、残酷さ)を思い出せる作品だと思います。 後読感はなんとも切なく懐かしく気持ちのいい感じでした。 ぜひ読んでみてはいかがでしょうか? | ||||
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少し大人の世界が分かりかけた小学生が、色々な人間関係に悶え、自分の中に籠っていく。それはまるで赤ちゃんの時はすいすい泳いでいたヤドカリが大きくなって重い貝殻を背負って生きているみたいに。その子供たちがヤドカリを貝殻からあぶり出す儀式で願いをかける。貝殻を捨てたヤドカミ様が自由になり自分たちの願いをかなえる為に犠牲になってくれる様に。しかし現実にはその背負っているものは解消せずに、奇妙な感覚の世界に追い込まれていく。 この奇妙な体験をする小学生のコンセプトは妙に引き込まれるものがあるが、ホラーとは言えない。○○小説と分類するのは難しいが、月と蟹が象徴している恐ろしさは充分楽しめる小説。 | ||||
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海辺の町に住む小学5年生の慎一と春也は、自分たちだけの神様「ヤドカミ様」を創り上げる。 ヤドカミ様はなんでも願いをかなえてくれる。 でも、願いが1つ叶うたびに何かがおかしくなっていって。。。 ヤドカミ様の正体はすぐに分かります。 分かるとちょっと怖いです。 本当にありそうで怖いです。 読み終わった後、重苦しい気持ちになります。 だけど子供の頃に感じていた閉塞感のような感覚を思い出すこともでき、懐かしい気持ちになりました。 シロクロはっきりしている分かりやすいお話ではないので、好き嫌いが分かれるかもしれません。 | ||||
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グイグイ読ませますね。 残酷な子供の遊びもいつしか真剣味を帯び、 終盤は展開が気になり一気に読み進めました。 ものすごく嫌な読後感を覚悟していたのですが、 読み終わってみればそんなに悪くなかったです。 | ||||
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成長期の少年たちの心の動きを丁寧に描いた作品です。 少年たちは、学校で家庭で遊びの中で、様々な問題に直面し考えてゆきます。 そして、それが扱いきれなくなったとき「ヤドカミ様」を生み出します。 その表現のグロテクスさと、意表を突いた視点、それに絶妙のストーリー展開で読ませてくれます。 そして、私たちの心の奥底にある少年期の醜さの様なものを、目の前に表出させます。 直木賞受賞作と言うだけの作品で素晴らしい作品だと思うのですが、子供たちの会話の部分が余りに大人びた表現なのが気になりました。 そのためにリアル感を失い、絵空事の印象が拭えませんでした。 | ||||
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相変わらず不気味なもの書いたら光るものがあります ヤドカリの描写が不気味、 この作者の書く不気味な子供たちは、ねっとりとした不快感が漂います 締め切りにでも追われてたのでしょうか?中途半端というか拍子抜けな感じで終わってしまった | ||||
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何冊か読んだ道尾秀介作品の中では、 ずば抜けておもしろかった。 けっこうグロテスクな描写が多い中で、 この作品の視点が、おもしろい。 一人の少年と、 その友人。 学校では孤立している二人が、 放課後、ある場所で、 秘密の儀式を行う。 小さな遊びだったことが、 次第に、願い事がかなうと言う、 不思議な出来事にかわっていく。 しかしそれもまた、 信じること、そのものもまた、遊びである。 子どもたちの間にあるそのバランスは、 危うく、そして微妙。 少年の日常にある、 悪意とか、嫌悪感とか、 もっと単純な、好きだとか、嫌いだとか、 多くの負の感情を丁寧に描き、 その弱さをさらしてしまう少年という、 誰もが愛すべき、 期間限定の時代の話。 重さや事象の違いこそあれ、 誰もが抱える心を押しつぶすような問題。 そして、弱い心。 大人だと、つい男と女とか、 単純な問題になり、 そして、ずるさも含めた計算になるのだが、 子どもたちはむっとピュア。 その無垢な心の、 ディテールにこだわった作品だった。 懐かしさとともに、 苦さの残る秀作。 | ||||
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あなたは10歳の頃何を考えてましたか、と聞かれてすらすらと答えられる人はなかなかいない。断片的に覚えているとしても、今度はそれが12歳なのか8歳の記憶なのかの区別がつかない。道尾さんは少年の心を覚えているのか、世の中が微妙にわかり始めて、でもまだ子供らしい残酷さを残す年頃の心のひだを、繊細に描き出していく。 そんな筆者にほだされて、たぶん多くの人が慎一に感情移入しながら読み進めるのだろう。慎一を思えば切ない。父を亡くした悲しみが癒えてないだけでも切ないのに、母は恋人をつくり、親友は虐待され、気になる娘は友達に笑いかける。やがて孤独な心は暴走を始め、ここに至って道尾さん得意のサスペンスが展開される。筆者は恐怖を操り、最終盤に慎一が恐怖に耐えられなくなるまで続く。 道尾さんが珍しく文学してると思ったら意外なところから恐怖が飛んでくる。それに耐えられなければ後味の悪さが残るのだろうが、私は恐怖を操る道尾さんの技術を秀逸と思った。 | ||||
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読めば廃れるような流行りの娯楽重視の作家とは違う。それは確かだと思う。 心理描写も、比喩も、情景描写も上手い。 まるで自分が、慎一と春也の傍でたたずみ、事のすべてを固唾をのんで見ているような気になった。 特に何が起こるわけではない、比較的淡々とした小説なのだが、心の底からぞわぞわする気持ちを味わった。 子どもの世界は、大人が考えているほどきれいで純真ではない。 子どものとき、自分も、この小説の登場人物のように狂気におかされていたことを、 まざまざと、思い出させてくれた。 大人の事情に振り回されながら、いじめや虐待に惑わされながら、それでも強く生き抜いて、 だんだんと狂気を強めていく少年少女。 その緩慢で、ゆったりとした事の成り行きが、ヤドカリの気味の悪い描写、暗い海辺の町の描写、 義足の祖父の描写と重なって、独自の世界観を作っている。 私は女性読者なので、主人公が少女なら、もっと強く感情移入できたかもしれない。 しかし、少年の傷つきやすい心にも十分呼応して、苦しくなった。 ミステリーや感動小説、恋愛小説など何かのジャンルに分類できるような分かりやすい作品ではないが、 非常に文章が上手く、良い意味で気味の悪さを残す小説だった。 | ||||
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3人の子どもを軸に話は展開していくのだが、子どもが主人公の話にあるようなサッパリさはなく、いつも曇り空が続くどんよりとした日々のように話は進行して行く。食べるなと言われた「月夜の蟹」を食べることなく、最後まで唯一の友人の嘘に救われる主人公。決して救われて明るい未来があるわけではないのだけれど、最後はなんだかホッとする。 | ||||
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個人的には、重松清の「疾走」に似た激情を見出だせました。 少年期の複雑な感情を見事に表現しています。 | ||||
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子供から大人に近づきつつある年頃の言葉に表せないような心情がとても綺麗に描かれていて、幼い頃のやるせない気持ちとか歯がゆさとかが思い出されて、読んでいると言うより過去の時間を巡っているような気持ちにさせて貰える作品でした。 向日葵の咲かない夏を読んで納得いかずなんだかちょっと腹立たしい気持ちになった方でも楽しめる一冊だと思います。 | ||||
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二人の少年と一人の少女の心理が、丁寧に描写されている。漁港のある町へ転校してきて二年経った小学五年生。 同じく転校してきた者同士の濃密な寄り添い。そして因縁のある少女。 うちとけられないクラスで流れる子供たちの時間。 三人の交流が、小さなしぐさやセリフとともに背景にうごめく心情を伴って描かれる。 慎一にいやがらせの手紙を書くのは誰なのか。…読者の誰もが察する通り。 鳴海をめぐって仲良し二人の少年たちの心が騒ぐ。 母の再婚は許せない。 ヤドカリをあぶって遊ぶ残酷な遊びは、徐々に神話性を帯び、少年たちの行動を縛ってゆく。 この遊びは、車のカギを偶然手に入れる設定として、よく練られた場面である。 いくつもの失敗を超え、こうして私たちは成長してきたのだ。 私たち自身、もう思い出そうともしない残酷な失敗を、いくつもしてきたはずなのだ。 殺人やトリックがなく、ただ物語の迫真性だけが読者を離さない。 | ||||
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少年の清んだ心が濁っていく描写が胸を打ちました。近づく心の闇とそれによって道を外しそうな危うさに最後までどきどきしながら一気に読みきれました。少年の心に度々現れる嫉妬心に共感できるかどうかが作品の感想をわけそうです。女性ってどうなのかな?まだ思春期を振り返れる10代、20代の男性が読むのをお勧めしたいです。漫画おやすみぷんぷん好きな方にもお勧めです。 | ||||
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