■スポンサードリンク
トランプ殺人事件
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
トランプ殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.64pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
以前から読みたかったのですが、中古でけっこうな値段がついていて、図書館の本もボロボロで手に取るのに躊躇していたら、書店で新装版を見つけて大喜びで買って帰りました。 が、 中盤、トランプのブリッジの説明が延々と続きます。図表も使って、なんと50ページほど…。 トランプゲームが主題のミステリーなのでこれをしっかり理解せねば、と思って頑張ったのですが、まったく理解できず、頭に入らず、それでもせっかく買ったのでもったいないから読んでみすすめたところ、あらまびっくり、理解しなくても全く問題ない爽快なトリックが待ってました。 作者さんの本は『函の中の失楽』しか読んだことがなくて、「ゲーム三部作」は読んだことがなかったので、キャラクターや話の構造に先入観がなかったのもかえってよかったのかもしれません。 書店で手に取って、ルールの部分をみてうーんとなった人もぜひ手に取ってみてください。 この手のミステリ―にありがちな大長編ではなく、分量もほどほどで、出張の行き帰りにも楽しめる一冊だと思います。 (ちなみに、ブリッジの部分は分からなかったら読み飛ばしても問題ないよ、と最後の解説に書いてあるので、ネタバレではない、と判断して書きました) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
繊細な神経の指先で組みあげられた、カードの城のような作品である。虚構と現実、正気と狂気、生と死…、相対する概念の絵模様をきざんだトランプのカードを、緻密なパズルのように組みあげたミステリの城。密室からの人間消失を中心に、暗号、叙述トリック、作中作などの仕掛けをほどこしたトリッキーな間取り。危うい均衡をたもちながら、より高くより複雑に構築されるほど、それは奇跡のような偉容にみえる。 そして、吐息のようなラスト一行で、その全容が崩壊し消失する、静謐なカタストロフィ。一瞬で美女をかき消すマジシャンの手際に瞠目させられると同時に、自己のアンデンティティが喪失してゆくような、うすら寒い虚無の気配も感じとる。何が現実で、何が幻想か。それは、やはりこのカードの城の回廊も、つねに竹本作品に通底する、不確定性の迷宮へと繋がっているから…。 『匣の中の失楽』などのアンチミステリと称される特異な竹本ワールドと、『囲碁殺人事件』などの定石的な本格パズラーの間を、平明な文体でたくみに綱渡りしてみせた快作であり、ゲーム三部作の掉尾を飾るにふさわしい秀作になっていると思う。併録されている書き下ろし短編『麻雀殺人事件』は、ファンタスティックな異界の論理に彩られた掌編。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
第一部が、作中の人物によって書かれた”小説”ということになっており、 そこに仕込まれた叙述トリックに、読者が、探偵役となる姉弟ともども翻弄されるという 面白い構造になっている。 用語表に仕掛けられた暗号はなんだか凄いのですが、2つ目に発見するやつは、ちょっと乱暴かな。 アナグラムも込めてるから、無理が生じてしまうのも致し方無いかもですが。 しかし、その解法キーとなる、言葉遊び的な俳句、あれが”小説”に取り入れられてるのが少し納得出来ない。 あれがヒントとして機能すると分かってるって事は、用語表の暗号を知ってる事に他ならないですから。 そもそも、○○殺人事件という題の本ながら、本当は事件など…(略)。 詰まるところ、小難しいことを考えるのが好きな、頭のいい人向けのお話かと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
同著者の“匣の中の失楽”をよんでピンと来たのなら間違い無いです。ゲームシリーズはお勧めです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
後半各章の章タイトルです。 人差し指で動く/影の暗さに歩調を/対応が最初から/ 門をくぐるとき/一方で密約を/痕跡はなかった/ 技術上の不能/さらに大胆な/もどかしく行を追う/ 足元近くでなく/別れ、そして晩夏/もう一度逆に/遠近のない透視画 今まで読んできたミステリの章タイトルは、 例えば「第1章 招かれざる客 第2章 嵐 第3章 閉ざされた扉 …」的な、 章タイトルを見ることで流れを把握できるようなものでした。 この本は「?????」です。 そして読み終わったあと、別の理由でこのタイトルを眺めたくなるような そんなミステリでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
素封家の四男・園倉と、コンビで活動しているイラストレーターの戸川と詠子、 そして精神科医・天野の四人が、園倉の屋敷に集まり、コントラクト・ブリッジ をした夜、事件は起きた。 誰もいないはずのキッチンで、なぜか薬缶の湯が沸騰し、 密室状態の遊戯室から、詠子が忽然と姿を消したのだ。 数日後、彼女は遺体となって発見される。 天野は、自らの体験を手記に綴り、それをもとに事件を 解明してもらうよう、牧場典子と智久の姉弟に依頼する。 本作は二部構成となっており、第一部「赤のカード」が天野の手記に当る作中作のパート、 そして、第二部「黒のカード」が、手記の謎に典子と智久が挑むパートとなっています。 手記のなかには、「カード・ゲーム用語表」や「コントラクト・ブリッジ用語表」、さらには俳句や、 分裂症患者の妄想といった、事件とは無関係な記述が挿入されていますが、智久によって、 そこに隠された暗号と、それに託された秘められし想いや真情が浮かび上がらされていきます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ゲーム三部作の第3弾。 1981年にCBS・ソニー出版から出たのが最初で、その後は1994年の角川文庫版など、いくつかの版があるようだ。 囲碁、詰め将棋と来て、最後はコントラクト・ブリッジである。イギリスのミステリなんかには良く出てくるが、いまいち日本では馴染みのないトランプ・ゲームだ。 そこを逆手に取ったのが本書である。このトリックには、絶対に引っかかる。多くの人が見過ごしてしまうような箇所に、壮大な暗号が仕掛けられているのだ。暗号トリックとしては、世界でも有数のものではないだろうか。 とはいっても、小説としての面白さは皆無。竹本作品には、そろそろ見切りをつけさせてもらうことにしよう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
叙述のトリックが大好きです。実際の出来事と考えてどうなのか、という問題もありますが、これぞミステリの醍醐味だと思います。そのような作品が多い竹本氏ですが、大衆に馴染が深いトランプを使ってのミステリに楽しめました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
竹本健治のゲーム三部作が待望の文庫化された。本作「トランプ殺人事件」は三部作の最後にして、竹本作品の一つの精緻な頂点を為す作品といえる。本書を読まれる方には、ぜひそれに先だって「囲碁殺人事件」と「将棋殺人事件」を読まれることをオススメする。ひとつひとつが独立した作品ではあるが、その方がより深い感銘が得られるはずだ。今回の文庫化に際して大内史夫氏が末尾に付した解説が名解説で、私がこの作品から感じた「えもいわれぬ感慨」を巧みにすくってくれており、一つの文庫本としてよくできたものになっている。この作品は「殺人事件」のタイトルを持ち、実際、事件を軸に話は展開するが、それによって描かれる世界の美しさと儚さ、もろさが小説としての驚くほど深い感銘を与えてくれる。人が漠として感じる不安や、自分の存在への問いかけが優しく、しかしその背後に深い闇をともなって、読者のまわりを取り囲んで行く。読み進むにしたがって、様相を変える自らの周囲の闇に人は気づくに違いない。もちろんパズラーたちをも十分に納得させる力感も持っており、あらゆる意味で深い作品と言える。この作品の読後に得られる深い感情をもって、この作品を傑作と呼ぶにためらわない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ゲーム三部作の掉尾で、ブリッジの世界を扱った作品。三作の中では、一番、「匣の中の失楽」に近い雰囲気で、薄い割に、「匣」っぽい目まい感があり、「匣」好きな方には、オススメです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
言葉によって組み立てられた巧緻なトランプの城。「赤のカード」と「黒のカード」という二つの物語は、虚空から取り出されたようなトランプの一閃によって瓦解します。冒頭の「{wA 注意書き」に隠された時間のトリックが、最後の「手紙」で明らかにされるまで、トランプの迷宮を彷徨することでしょう。華麗な文字謎。それを営々と作り上げることしかできなかった深い孤独。そして、カードの裏側の愛。胸を打つ秀作です。中井英夫ファンの貴女に。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!