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悪なき殺人



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悪なき殺人

悪なき殺人の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

予備知識なしで読むことをオススメ!

フランス人ミステリー作家の本邦初訳で、フランスの文学賞・ランデルノー賞ミステリー部門の受賞作。フランスの山岳地帯の村で殺害された女性の事件を巡り、関係者5人の独白を繋げて真相が明らかにされる凝った構成のミステリーである。
フランスの山岳地帯の小さな村で、家業(畜産業)を嫌って都会に出て成功し、豪邸を建てて帰郷した実業家の妻が行方不明になった。トレッキングにと言って家を出て、車がトレッキングコースの入り口あたりで発見されたため、当日に発生した猛吹雪に巻き込まれたのではないかと見なされた。だが実際は殺害され、死体が思わぬところに隠されたのだった。その謎を解いていくのが、畜産業者を訪ね歩く福祉委員の女性、その不倫相手の羊飼い、村に移ってきた若い女性、アフリカでなりすまし詐欺を働いている男性、最後に福祉委員の夫という5人の関係者の愛と欲望、孤独と執着の物語である。語り手が変わるたびに事件の真相が違った絵柄になり、最後に愛することの悲喜劇が読者を嘆息させる。
何と言っても、物語の構成が見事。犯罪ははっきりしているのだが、動機、様相が全く見えていない状態から思わぬ結末に導かれるまで有無を言わさず引っ張っていく力強さがある。5人の心理描写、愛と孤独の考察も読み応えあり。暴力やサイコが登場しなくても高レベルな心理サスペンスが書けることを証明する作品である。
単なる謎解きではない、心理サスペンスのファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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