■スポンサードリンク


人生は小説



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
人生は小説 (集英社文庫)

人生は小説の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

エッシャーの騙し絵のような作家と作品の関係

日本では「ブルックリンの少女」でブレイクしたミュッソの2020年の作品。物語の主人公が作家で、その作家を動かしている小説家(物語の作者)が主人公と関わってくるという、実験的な構成のミステリーである。
ニューヨークに住む売れっ子作家・フローラの娘が自宅から姿を消した。誘拐されたのかと思われたが身代金の要求もなく半年が過ぎた頃、フローラのエージェントであるファンティーヌが執筆再開を提案し、そのきっかけにと言ってプレゼントを置いていった。そこからフローラは、パリ在住の作家・オゾルスキが事件に関与していると推察し、オゾルスキと対決して娘を取り戻そうとする…。
母親が密室から姿を消した娘を取り戻す密室ミステリー・サスペンスと思わせておいて、物語は作家と登場人物の関係、現実と虚構の関係が入り乱れる迷宮にはまり込む。まるでエッシャーの騙し絵のような不安に満ちた世界へと読者を誘っていく。謎解きといえば謎解きなのだが、トリックや伏線の回収で大団円ではなく、現実と虚構の境界線を手探りして辿り着いたのが夢の世界だったようなおぼつかなさがある。
事件の謎を解いてカタルシスを覚える作品ではなく、読者を選ぶ作品である。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!