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教誨



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【この小説が収録されている参考書籍】
教誨

教誨の評価: 6.50/10点 レビュー 6件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

教誨の感想

この方の作品は本当に読み易い。
あっという間に読み終えることが出来た。
テーマの割には小難しいことも無く、そういう意味では、お手軽な社会派ミステリーというところですか。
ストーリーのメインは、死刑執行された殺人犯三原響子の「約束は守ったよ、誉めて」という最後の言葉。この言葉の意味を求め、響子の遠縁に当たる吉沢香純が追求するというお話し。
読み始めてすぐに、20年ほど前に起こった秋田児童連続殺人が思い出された。巻末の参考資料を見てみると、この事件に関する書籍が挙がっていたので、著者が参考にしたのは間違いないようだ。
ウィキで調べてみると、この事件の犯人である畠山鈴香は無期懲役で確定しているのですね。
本書では死刑になっていますが、そこが違っているだけで、響子と鈴香は似たような環境設定で描かれています。
それで思ったんだけど、死刑になった響子は、今の日本の司法制度で果たして本当に死刑になるのだろうか?という疑問。
彼女の生い立ち、境遇、壮絶なイジメ被害。実の娘を殺した動機の不明確さ。これらを勘案すると、鈴香と同様無期が妥当なところではないだろうか、と思ってしまう。
確かに本人や母親が一切のいじめを認めないとの設定では描かれてはいるが、調べれば調べるほどこういう事実は浮かび上がって来るもの。
いかにも死刑という結論ありきで、辻褄を合わせたような都合よい設定。
この小説は「死刑を執行された」という大前提が無いと、筋書きが成立しないから、こういう荒業を使ったのかなと邪推してしまう。
当方にとってそこが大きなマイナスポイントになってしまった。

▼以下、ネタバレ感想

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マッチマッチ
L6YVSIUN
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

故郷喪失者は故郷を憎み、故郷に執着する

2020年から21年に雑誌連載されたものを加筆改稿した長編小説。実際に起きた幼児連続殺人事件を下敷きに、犯人女性の動機、背景を解明しようとした心理ノワールである。
自分の娘と近所の子供の二人を殺害した死刑囚・三原響子の刑が執行された。遠縁にあたる吉沢香純は響子に近親がおらず、さらに香純の母が身元引受人にされていたため遺骨の引き取りに行き、そこで響子の最後の言葉が「約束は守ったよ。褒めて」だったと知らされた。香純が三原家の本家に納骨を依頼すると断固として断られ、一切連絡をするなという。さらに菩提寺に無縁仏として収めることも住職に拒否された。殺人犯と関わりになることを嫌がるのは分かるが、ここまで拒否されるのは何故か。また響子は誰と、どんな約束をしていたのか? 解明しきれない謎を抱えた香純は響子の故郷である青森へ向かった…。
事件の関係者、犯行様態は分かっており、謎は動機の解明だけというシンプルな設定だが、誰もが少しずつ自分の思いとズレて行動することから生まれる悲劇を盛り込んで、読み応えがある心理ノワールに仕上げられている。どんな理由があれ殺人は大罪だが、犯人を責め、刑を執行するだけで解決できるものではない。「検事の本懐」など佐方貞人シリーズを重くしたような作品と言えば、本作の持ち味が伝わるだろうか。
社会派ミステリー、心理ミステリーのファンにオススメする。

iisan
927253Y1

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