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南の子供たち



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【この小説が収録されている参考書籍】
南の子供たち (創元推理文庫)

南の子供たちの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

知らなかった中国系アメリカ人の歴史が面白い

N.Y.の私立探偵「リディア&ビル」シリーズの長編第12作。存在すら知らなかった親戚の冤罪を証明するために、ディープサウス・ミシシッピー州を舞台にヤンキー探偵二人が活躍するハードボイルド作品である。
N.Y.のチャイナタウンに住むリディアは突然母親に「ミシシッピーに行きなさい」と命じられた。リディアの父方の遠戚にあたる青年・ジェファーソンが父親殺しの容疑で逮捕されたので、現地で無実を証明し、青年を解放しろという。それまで存在すら知らなかった親戚だし、しかも一度も行ったことのない土地で満足な調査ができるか? 戸惑うばかりのリディアだったが母には逆らえず、相棒のビルと共にミシシッピーデルタの街に到着し、助けを求めてきたピートおじさんの家を拠点に調査を始めたのだが、大した手がかりが得られないうちにジェファーソンが拘置所から脱走し、事態はますます混沌としてくるのだった。
アメリカ南部特有の文化、風土、気質に加え、19世紀からの中国人移民の置かれた立場、中国人ならではの家族意識が複雑に絡み合い、物語は思いもよらない展開を見せる。それでも、ストーリーの骨格は揺るがず、最後には納得のいくエンディングを迎える。アメリカ南部の人種差別、民族対立、家族愛と、それに翻弄された人々の生きようがリアリティを持って迫ってくる。さらに中国系の若い女性・リディアとアイルランド系の中年男性・ビルのバディ物語も読ませる。
シリーズ作品とは言え、本作だけでも十分に楽しめるので、残酷ではないネオ・ハードボイルドのファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1

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