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誠実な嘘



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【この小説が収録されている参考書籍】
誠実な嘘 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

誠実な嘘の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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(8pt)

幸せな日々を守るために小さな嘘、大きな嘘、そして誠実な嘘

「容疑者」、「生か、死か」がちょっと話題になったロボサムの邦訳第4作。出産を間近に控えた二人の女性の出会いから起きた悲劇を描いた、サイコ・サスペンスである。
成功している夫と二人の子供を持ち、裕福に暮らしているメグは三人目の子供を妊娠していた。専業主婦でありながらブロガーとしても充実した日々を過ごしているメグをうらやみ、密かにストーカー的行動をとるアガサはパート店員で、恋人の子供を妊娠しているものの恋人は逃げ腰で、日々不安を募らせていた。不幸な少女時代を過ごしたアガサは子供を中心にした家庭生活にあこがれを募らせており、生まれてくる赤ちゃんがすべてを変えてくれるものと一途に思い込んでいた。メグを崇拝するあまりアガサは偶然を装ってメグに接近し、友達になることに成功する。しかしその出会いは、お互いの嘘を重ね合わせることで取り返しのつかない結末を招くのだった…。
出産を控えた二人の女性のドラマという設定から想像できるように、赤ちゃんを巡る悲劇になるのだが、そこに至る対照的なヒロイン二人のドラマが実に面白い。起きたことは犯罪だが、犯人を単純に断罪すれば済む話ではなく、読者が犯人に肩入れしたくなるドラマ作りが成功していて、ぐんぐん引き込まれていく。幸せを守るためには嘘も必要なのか、隠し事がないことが誠実なのか、人間の性(さが)について考えさせられる作品である。
ミステリーというよりサイコ・サスペンスとしてオススメする。

iisan
927253Y1

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