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【森博嗣】
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黒猫の三角の評価:
6.67/10点 レビュー 6件。 B ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点6.67pt
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
シリーズ1作目だからこその大トリック!
森博嗣の新シリーズVシリーズ、堂々の開幕である。先行する短編集『地球儀のスライス』所収の「気さくなお人形、19歳」で既に小鳥遊練無と香具山紫子は既に登場済みだったのですんなりと物語世界に入れた。しかしその短編ではてっきり小鳥遊練無は女子大生と思っていたのだが、なんと女装の男子大学生だったとは!そして小鳥遊の理解者で関西弁の姉御肌の長身美人香具山紫子に自称探偵兼便利屋の保呂草潤平。彼の憧れの的でバツイチお嬢様の没落貴族の趣がある瀬在丸紅子とシリーズはこの4人を中心に進むそうだ。そしてこの4人が実に個性的で私には好感を持って読むことが出来た。S&MシリーズよりもこのVシリーズの方が私の好みに合うのはメインの登場人物たちが個性的であるのもそうだが、何よりも西之園萌絵の不在が大きい。あの世間知らずの身勝手なお嬢様がいないだけでこれほど楽しく読めるとは思わなかった。確かに瀬在丸紅子もお嬢様だが、30歳という年齢もあってか、どこか大人の落ち着きが見られ、不快感を覚えなかった。さらに保呂草は瀬在丸紅子に惚れているが、紅子は保呂草には全く好意を示しておらず、一方で香具山紫子は保呂草に惚れているが、彼は全くそれに気付いていない。そして紅子は小鳥遊練無を可愛がっている。この4人の奇妙な関係も物語に彩りを添えている。さてシリーズ1作目の事件は連続殺人事件。しかも1年に一回起きる殺人事件でどれも共通してゾロ目の日にゾロ目の年齢の女性が殺害されている。3年前は7月7日に11歳の小学生の女の子が、2年前は同じく7月7日に22歳の女子大生が、そして1年前には6月6日に33歳のOLが絞殺され、そして今年は6月6日に44歳の誕生日を迎えた小田原静江が殺害される。そして凶器はインシュロック、電気工事や最近ではDIYで使われることで有名になったナイロン製の結束バンドだ。これら無差別殺人だと思われた一連の殺人事件にはあるミッシングリンクがあることが判明する。そしてそれを見破った瀬在丸紅子もまた天才の1人だった。まさかまさかの真犯人。しかしこれこそ読者に前知識がない、シリーズ第1作目だから出来る意外な犯人像。タブーすれすれの型破りな真相を素直に褒めたい。しかしそんな驚愕の真相の割には殺人事件のトリックは意外と呆気ない。本書は1999年の作品だがこんなチープなトリックを本格ミステリ全盛の当時で用いるとは思わなかった。さてタイトルの隠された意味は理系の学生ならば皆知っていると書かれているが、私は知らなかった…。天才同士の戦い、数学的興味に満ちた殺人動機とS&Mシリーズ第1作『すべてはFになる』を髣髴とさせる設定であるのは作者として意識的だったのだろうか。S&Mシリーズと表裏一体の構成はこれからのシリーズ展開を示唆しているのだろうか。ともあれ保呂草潤平、小鳥遊練無、香具山紫子、瀬在丸紅子らの織り成す居心地の良い新シリーズはまさに波乱に満ちたシリーズの幕明けとなった。正直S&Mシリーズは世評高い1作目を読んでもそれほど食指が動かなかったが―多分に西之園萌絵のキャラクターがその原因であったのだが―今度のVシリーズは今後の展開が非常に愉しみだ。ところで何故Vシリーズって呼ぶの? ▼以下、ネタバレ感想
森博嗣の新シリーズVシリーズ、堂々の開幕である。
先行する短編集『地球儀のスライス』所収の「気さくなお人形、19歳」で既に小鳥遊練無と香具山紫子は既に登場済みだったのですんなりと物語世界に入れた。しかしその短編ではてっきり小鳥遊練無は女子大生と思っていたのだが、なんと女装の男子大学生だったとは!
そして小鳥遊の理解者で関西弁の姉御肌の長身美人香具山紫子に自称探偵兼便利屋の保呂草潤平。彼の憧れの的でバツイチお嬢様の没落貴族の趣がある瀬在丸紅子とシリーズはこの4人を中心に進むそうだ。そしてこの4人が実に個性的で私には好感を持って読むことが出来た。
S&MシリーズよりもこのVシリーズの方が私の好みに合うのはメインの登場人物たちが個性的であるのもそうだが、何よりも西之園萌絵の不在が大きい。あの世間知らずの身勝手なお嬢様がいないだけでこれほど楽しく読めるとは思わなかった。
確かに瀬在丸紅子もお嬢様だが、30歳という年齢もあってか、どこか大人の落ち着きが見られ、不快感を覚えなかった。
さらに保呂草は瀬在丸紅子に惚れているが、紅子は保呂草には全く好意を示しておらず、一方で香具山紫子は保呂草に惚れているが、彼は全くそれに気付いていない。そして紅子は小鳥遊練無を可愛がっている。
この4人の奇妙な関係も物語に彩りを添えている。
さてシリーズ1作目の事件は連続殺人事件。しかも1年に一回起きる殺人事件でどれも共通してゾロ目の日にゾロ目の年齢の女性が殺害されている。
3年前は7月7日に11歳の小学生の女の子が、2年前は同じく7月7日に22歳の女子大生が、そして1年前には6月6日に33歳のOLが絞殺され、そして今年は6月6日に44歳の誕生日を迎えた小田原静江が殺害される。そして凶器はインシュロック、電気工事や最近ではDIYで使われることで有名になったナイロン製の結束バンドだ。
これら無差別殺人だと思われた一連の殺人事件にはあるミッシングリンクがあることが判明する。
そしてそれを見破った瀬在丸紅子もまた天才の1人だった。
まさかまさかの真犯人。しかしこれこそ読者に前知識がない、シリーズ第1作目だから出来る意外な犯人像。タブーすれすれの型破りな真相を素直に褒めたい。
しかしそんな驚愕の真相の割には殺人事件のトリックは意外と呆気ない。
本書は1999年の作品だがこんなチープなトリックを本格ミステリ全盛の当時で用いるとは思わなかった。
さてタイトルの隠された意味は理系の学生ならば皆知っていると書かれているが、私は知らなかった…。
天才同士の戦い、数学的興味に満ちた殺人動機とS&Mシリーズ第1作『すべてはFになる』を髣髴とさせる設定であるのは作者として意識的だったのだろうか。
S&Mシリーズと表裏一体の構成はこれからのシリーズ展開を示唆しているのだろうか。
ともあれ保呂草潤平、小鳥遊練無、香具山紫子、瀬在丸紅子らの織り成す居心地の良い新シリーズはまさに波乱に満ちたシリーズの幕明けとなった。
正直S&Mシリーズは世評高い1作目を読んでもそれほど食指が動かなかったが―多分に西之園萌絵のキャラクターがその原因であったのだが―今度のVシリーズは今後の展開が非常に愉しみだ。
ところで何故Vシリーズって呼ぶの?
▼以下、ネタバレ感想