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【森博嗣】
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人形式モナリザの評価:
7.00/10点 レビュー 4件。 B ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点7.00pt
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Vシリーズにはどこかアダルトな香りが漂う
Vシリーズ第2弾の舞台は長野県の別荘地蓼科(ちなみにシリーズの“V”は瀬在丸VENIKOのVから来ているらしい)。そこにある人形博物館で殺人事件が起きる。調べてみたがこの人形博物館は実在せず作者の創作らしい。さて今回の事件は大きく分けて3段階に分けられる。まずは劇場で上演されていた人形文楽の最中に出演者が襲われ、もしくは殺される事件。一方が毒を呑まされ、その騒ぎの間隙を縫って何者かが櫓上の老婆に近づき、背中から刺殺する。もう1つは2年前に起きた悪魔崇拝者岩崎亮が何者かによって刺殺された事件。死体発見者の妻麻里亜は3メートルを超す馬頭人身と人頭馬身の2種類の悪魔が現れ、神の白い手によって殺害されたというオカルティックな事件。最後は瀬在丸紅子が巻き込まれた真夜中の人形博物館で起きた館長岩崎毅の毒殺事件と密室状態の病院に何者かによって喉を切られた麻里亜殺害未遂事件。上に書いたように事件は3段階で起きるが、事件の種類は大きく2つに分かれる。毒殺と刺殺。毒殺は未遂も含めて岩崎麻里亜と岩崎毅の2人。刺殺は未遂も含めて岩崎亮と岩崎雅代と岩崎麻里亜の3人。どちらの事件にも遭遇しているのが岩崎麻里亜でしかもいずれも未遂である。この辺がキーだと思われる。しかし森ミステリのもはや定番ともいうべきか、本筋の殺人事件の真相には驚きがなく、むしろサブストーリーの謎やガジェットの真相の方に実は大きなサプライズがあるが、本書も例外ではなかった。本書はタイトルにもあるように人形がモチーフとなっている。世界中の人形を集めて展示している人形博物館にそこで上演されている人形を操って劇を行うばかりか演者自らが人形となって演じる乙女文楽なる伝統芸能。さらに著名な彫刻家が遺した千を超えるモナリザ人形と数々の人形が物語を彩る。しかし人間こそが操られた人形ではないかと保呂草は最後に辿り着く。誰かに操られているという意識は実は自らを苦難から解き放つのに最適の思い込みなのかもしれない。さてこのVシリーズ、S&Mシリーズと違い、男女の恋のもつれ合いが前面に押し出されている。前シリーズでは西之園萌絵が准教授の犀川にアピールするものの、犀川が知らぬふりをしてさらりとかわす一方で、萌絵のピンチになると命を擲ってでも彼女を救おうとするギャップがファンには受けていたが、このシリーズでは主人公の瀬在丸紅子に離婚歴があり、その元夫林は愛知県警の刑事でダンディーな風貌で女性にもて、結婚中に部下の女性刑事と愛人関係にあったというドロドロとした愛憎劇が底流に含まれている。かてて加えて本書の登場人物の岩崎家も乙女文楽の創始者岩崎雅代の夫の家族と彼女が愛人だった彫刻家江尻駿火との間に生まれた子供たちの家族とが混在している奇妙な関係性がある。つまり通常の家族の形とは違ういびつな関係の人々が物語を形成しているのだ。前作のシリーズを踏襲しているのは惚れやすい香具山紫子と保呂草潤平との関係だろうか?保呂草に恋心抱く紫子が冗談交じりでモーションをかけるのに対し、保呂草は常にクールに切り返すが、相手にしないわけではない。そして保呂草はどこか瀬在丸紅子を気にしているといった奇妙な三角関係にある。女装癖のある小鳥遊練無はそれらの関係の中ではニュートラルな位置にあり、紫子のグチ相手となってこの奇妙な4人の関係の緩衝役といったところだろうか。しかしどこか浮世離れしたシングルマザー瀬在丸紅子の特異なキャラクターに、謎めいた探偵保呂草潤平に紅子の元夫で刑事の林とどこか善人とは云いきれない怪しい魅力に満ちた登場人物が主役であることで実際何が起こるか解らないミステリアスな雰囲気に満ちている。それを中和するのが小鳥遊練無と香具山紫子のコミカルな2人。実に面白いバランスで成り立っている。あらゆる意味で先行きが興味津々なこのシリーズ。次作も非常に愉しみだ。 ▼以下、ネタバレ感想
人形式モナリザの感想
今作は人形がテーマ。犯人の目星は簡単につきやすいが、ハウダニットから導かれるフーダニットは美しい。なによりも、メインの事件とは別の仕掛けに驚かされました。ラストの一行では思わず鳥肌…
シリーズ第2弾!衝撃のラスト!綾辻さんの人形館をちょっと思い出した。
Vシリーズの第2作目
黒猫の三角ではイマイチ把握できなかったメインの登場人物たちの輪郭が分かってきた。S&Mシリーズのイメージが強くVシリーズになれるには時間がかかりそうだと思ったがほっとした。今回のトリックは分かりやすかった。なんとなく犯人も推測することができる。が、やはり最後の一言に驚きである。このセリフを言わせたいがために人形式モナリザが書かれたのではないかと思うほどだ。
Vシリーズ第2弾の舞台は長野県の別荘地蓼科(ちなみにシリーズの“V”は瀬在丸VENIKOのVから来ているらしい)。そこにある人形博物館で殺人事件が起きる。
調べてみたがこの人形博物館は実在せず作者の創作らしい。
さて今回の事件は大きく分けて3段階に分けられる。
まずは劇場で上演されていた人形文楽の最中に出演者が襲われ、もしくは殺される事件。
一方が毒を呑まされ、その騒ぎの間隙を縫って何者かが櫓上の老婆に近づき、背中から刺殺する。
もう1つは2年前に起きた悪魔崇拝者岩崎亮が何者かによって刺殺された事件。
死体発見者の妻麻里亜は3メートルを超す馬頭人身と人頭馬身の2種類の悪魔が現れ、神の白い手によって殺害されたというオカルティックな事件。
最後は瀬在丸紅子が巻き込まれた真夜中の人形博物館で起きた館長岩崎毅の毒殺事件と密室状態の病院に何者かによって喉を切られた麻里亜殺害未遂事件。
上に書いたように事件は3段階で起きるが、事件の種類は大きく2つに分かれる。
毒殺と刺殺。
毒殺は未遂も含めて岩崎麻里亜と岩崎毅の2人。刺殺は未遂も含めて岩崎亮と岩崎雅代と岩崎麻里亜の3人。
どちらの事件にも遭遇しているのが岩崎麻里亜でしかもいずれも未遂である。この辺がキーだと思われる。
しかし森ミステリのもはや定番ともいうべきか、本筋の殺人事件の真相には驚きがなく、むしろサブストーリーの謎やガジェットの真相の方に実は大きなサプライズがあるが、本書も例外ではなかった。
本書はタイトルにもあるように人形がモチーフとなっている。
世界中の人形を集めて展示している人形博物館にそこで上演されている人形を操って劇を行うばかりか演者自らが人形となって演じる乙女文楽なる伝統芸能。さらに著名な彫刻家が遺した千を超えるモナリザ人形と数々の人形が物語を彩る。
しかし人間こそが操られた人形ではないかと保呂草は最後に辿り着く。
誰かに操られているという意識は実は自らを苦難から解き放つのに最適の思い込みなのかもしれない。
さてこのVシリーズ、S&Mシリーズと違い、男女の恋のもつれ合いが前面に押し出されている。前シリーズでは西之園萌絵が准教授の犀川にアピールするものの、犀川が知らぬふりをしてさらりとかわす一方で、萌絵のピンチになると命を擲ってでも彼女を救おうとするギャップがファンには受けていたが、このシリーズでは主人公の瀬在丸紅子に離婚歴があり、その元夫林は愛知県警の刑事でダンディーな風貌で女性にもて、結婚中に部下の女性刑事と愛人関係にあったというドロドロとした愛憎劇が底流に含まれている。
かてて加えて本書の登場人物の岩崎家も乙女文楽の創始者岩崎雅代の夫の家族と彼女が愛人だった彫刻家江尻駿火との間に生まれた子供たちの家族とが混在している奇妙な関係性がある。つまり通常の家族の形とは違ういびつな関係の人々が物語を形成しているのだ。
前作のシリーズを踏襲しているのは惚れやすい香具山紫子と保呂草潤平との関係だろうか?
保呂草に恋心抱く紫子が冗談交じりでモーションをかけるのに対し、保呂草は常にクールに切り返すが、相手にしないわけではない。そして保呂草はどこか瀬在丸紅子を気にしているといった奇妙な三角関係にある。
女装癖のある小鳥遊練無はそれらの関係の中ではニュートラルな位置にあり、紫子のグチ相手となってこの奇妙な4人の関係の緩衝役といったところだろうか。
しかしどこか浮世離れしたシングルマザー瀬在丸紅子の特異なキャラクターに、謎めいた探偵保呂草潤平に紅子の元夫で刑事の林とどこか善人とは云いきれない怪しい魅力に満ちた登場人物が主役であることで実際何が起こるか解らないミステリアスな雰囲気に満ちている。
それを中和するのが小鳥遊練無と香具山紫子のコミカルな2人。実に面白いバランスで成り立っている。
あらゆる意味で先行きが興味津々なこのシリーズ。次作も非常に愉しみだ。
▼以下、ネタバレ感想