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天空城殺人事件: もしRPGの世界で殺人事件が起こったら。



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天空城殺人事件: もしRPGの世界で殺人事件が起こったら。の評価: 9.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点9.00pt

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(9pt)

天空城殺人事件の感想

ゲーム世代のミステリ好きへはとてもおすすめです。
本作品は2016年にKindleで初刊行され今年2018年に加筆修正され書籍化したものです。Kindle版の初版時は誤字脱字が多かったみたいですが、書籍版を読んだかぎりでは気にならなかったので修正済みかと思います。ミステリの年末ランキングに載ってもおかしくない出来なのですがレーベル的に埋もれてしまいそうな勿体なさを感じます。これはとても好みの作品。☆8+好み補正+1。

ウィザードリー、ドラクエ等のRPGの世界を舞台とするミステリ。
空に浮かぶ天空城にて魔王討伐の為に集められた7名の見初められし者達。戦士、格闘家、魔導師、法術師、鑑定士、盗賊家、魔物使い。RPGお馴染みの4人パーティーを結成すべく、7名から勇者に同行する3名を選抜する試験を行う所、殺人事件が発生してしまうという流れ。空に浮かぶ天空城へのアクセスとなる魔法陣は機能が失われ空の孤島となるクローズド・サークル舞台。動機は?そして犯人は誰か?

本作の特徴的な点は各職業の能力と装備可能武器の設定を活かしたミステリであるという事。
・戦士は全ての武器が使えるが魔法が使えない。
・格闘家は武器が装備できず拳のみ。打撃可能。
・盗賊家は短剣は装備できるが、剣や棍と言った重い打撃系武器は装備できない。
といった具合。
部屋の荒らされた状況から打撃系の道具を扱える者が容疑者であると推測したり、殺害方法から刃物が使われていると推測される為、刃物が使えるのは誰なのか?他に方法がないのか?と言ったミステリ模様の推理・検証をしっかり行われているのが面白いです。

また良い所はミステリ要素だけでなく、キャラクターも印象に残ります。文章量にして数ページだけなのですが、各キャラクターの背景・心情の入れ方が巧いです。主人公はもちろんの事、特に女格闘家のエピソードは心に残りました。連続殺人事件が記号的に扱われるのではなく、人を感じ、物語としても魅力的になっているのが良かったです。さらにRPGにおける世界平和とは何なのかを示したエピソードが心に残りました。

あえて難を言うなら、ミステリとしては後出し設定が多い事。完璧なミステリを求める人には手がかりが後で出てくる流れが引っかかると思います。RPGの世界だから何でもあるっちゃあるけどモヤモヤ。。。というのは多少あるでしょう。評価もミステリとしてみるか、物語としてみるかで評価は分かれそうです。自分は気になる所はありますが、RPG舞台でのミステリの面白さが純粋に楽しく、細かい事はおいておいて満足できました。終盤の展開と結末も見事です。
続巻の方も評判が良いので書籍化したら手に取りたいなと思います。ゲーム世代のミステリ好きへはとてもおすすめです。

▼以下、ネタバレ感想

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