■スポンサードリンク


呼びだされた男



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
呼びだされた男 (新潮文庫)

呼びだされた男の評価: 4.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(4pt)

シンプルな構造で別の意味でビックリ

チャーリー・マフィンシリーズ2作目の『再び消されかけた男』に続く3作目が本書。実に懐かしい気分で読むことが出来た。

まず非常に読みやすいことに驚いた。『魂をなくした男』の、学生に頼んだ下訳のような日本語の体を成さないひどい日本語ではなく、実に滑らかにするすると頭に入っていく文章が非常に心地よい。

そしてこれもまた『魂をなくした男』と比べて恐縮だが、二分冊になるような長大さがなく300ページ強と通常の厚みでありながらスピーディに展開していくストーリー運びもまた嬉しい。若さを感じる軽快さだ。

さて本書ではチャーリーは前作同様英国情報部を追われる身でロンドンに潜伏していたところをルウパートに自身の保険会社が抱えた巨額の保険金支払いを回避してほしいと依頼される。
ルウパートの会社が抱えた保険金とは香港の大富豪ラッキー・ルーの所有する豪華客船が中国人によって放火され、爆発した事故の保険金600万ポンド。しかも容疑者は逮捕され、裁判中に殺害されてしまう。

そんな圧倒的不利の中でチャーリーは過去のルウパートの父親の恩義のために動き出す。

最近のシリーズ作に比べると非常に構造がシンプルだ。
したがって特にサプライズも感じずに、「えっ、もうこれで終わり?」的な唐突感が否めなかった。

また最近のシリーズ作では既に忘却の彼方となっているが、前作で妻イーディスを喪ったチャーリーは彼女の想い出と悔恨に苛まれて日々を暮している。従って折に触れチャーリーのイーディスへ向けた言葉と当時の下らないプライドを後悔しているシーンが挿入される。折に触れチャーリーは自身の行為が生前イーディスが話していた台詞が裏付けていたことを思い出す。疎ましく思っていた存在を亡くしてみて気付く愛しさと妻こそが最大の理解者であったことを自戒を込めてチャーリーは改めて確認するのだ。
う~ん、この辺は実に教訓になるなぁ。

さて本書では保険調査員に扮し、そのまま無事に難関をクリアしたチャーリー。特にピンチもなく―以前出逢った外交官と思わぬ再会をするというハプニングはあったが―物語は終えたため、よくこのシリーズが現在まで続いたものだなぁと不思議でならない。
この後は『罠にかけられた男』ではまたもやFBIと保険調査員として見えることになり、実に痛快に活躍するのだから本書はシリーズの動向をフリーマントル自身が探っていた小編だったとも考えられよう。

とにもかくにもチャーリー・マフィンシリーズの空白を埋めていくことにしよう。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!